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 週末も近いとある晴れた日。本多さんと二人きりの帰り道。  
 自転車を押して歩く本多さんと並んで歩く俺。  
 以前と違ってお互い口数が少ないけど、気まずいというわけじゃない。黙って見つめあるだけで嬉しいとか、そんな感じだ。  
「……」  
 今も、俺と目があった本多さんが、頬を染めて視線を逸らした。  
 やっぱり、思い出してしまうと恥ずかしいんだろうな。  
 俺達が結ばれたのは、ほんの三週間前。誰もいない図書準備室で二人きりでいたときに盛り上がってしまって、気が付いたら告白して押し倒してしまっていた。  
 本多さんも、黙って俺を受け入れてくれた。後で、もう少しロマンティックな所で経験したかったと愚痴を聞かされたけど。  
 あれからしばらくは、お互い照れくさくて一緒に下校できなかったりした。だけど、今はこうして二人でいられる。  
「あ……」  
 また視線が絡み合う。意を決して、手を伸ばしてみる。自転車のハンドルを持っている手の上から、そっと握ってみる。柔らかくてすべすべした手。  
「本多さん……今度の日曜日、あいてる?」  
「え? あ、はい」  
「よかったら、プールに行かない?」  
「……いいわね、いきましょう」  
 頬を染めたまま、笑顔で頷いてくれた。  
 別れ道で、思い切って抱き寄せてキスした。  
「……もう」  
 そう呟いた本多さんは,怒ってはいなかった。  
 
 
 日曜日。プールサイドで本多さんを待っている俺。そう言えば以前にもここで本多さんに会ったっけ。あの時はたしか大須賀と一緒に……。  
「早川君、お待たせ」  
「いいよ、全然待ってなかったから」  
 あの時と同じ真っ赤な水着。あの時はあまりじっくり見られなかったけど、こうして見ると結構大胆な水着だ。清楚そうな本多さんにしては冒険なんだろうか。でもスタイルがいいからこれもなかなか……。  
「ど、どうしたの?」  
 絡みつくような俺の視線が恥ずかしいのか、そう尋ねてくる。  
「あ、ごめん。その、見とれちゃって」  
「……もう」  
 鮮やかな赤い水着と、あまり日焼けしていない白い肌のコントラストがまぶしい。大人しそうに見える本多さんだから、そのギャップのせいもあってとても刺激的だ。  
「泳ごうか」  
「ちゃんと体操してからね」  
「へいへい」  
 体操して、シャワーを浴びて。シャワーの水で濡れた水着は、ますます扇情的だった。薄い布地が肌にぴったりと張り付いてなまめかしい。先っぽとかが分らないのは、下にパットが入っているからだろうか。それともニプレスってのを貼っているのかな。  
「……なに?」  
「あ、いや、何でも」  
「変な早川君」  
 そう言いながら、何かに気付いて慌てて視線を逸らす。  
「は、は、早く泳ぎましょう!」  
「え? あ、う、うん」  
 後で気付いたけど、本多さんに見とれて変なことを考えていた俺はしっかり反応していたらしい。それをごまかすために、俺を水の中に入れたかったんだそうだ。  
 
「つかまえたっ」  
「ああん」  
 しばらくの間プールの中で追いかけっこをしていた。今は俺が鬼の番。  
 捕まえた本多さんを抱き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。  
「あ……」  
 肌と肌が触れ、脚と脚が絡み合う。  
「体、冷えてない?」  
「大丈夫よ。ほら、今日は暑いし」  
「でも……冷えてるじゃないか」  
「あっ……」  
 さわさわ、とお尻のあたりを撫でてみる。  
「駄目……こんなところで……」  
 小さな声でそう呟くけど、逃げるそぶりはない。大丈夫、そう思って指を水着のラインに沿わせて、お尻から前の方へと滑らせた。  
「あ……!」  
 さらに抱き寄せて、身体を密着させる。腰を押し付けるようにして、いきり勃ったものを擦りつける。  
「ああ……」  
 真っ赤になって俯く本多さん。  
「握って」  
「……」  
 あの柔らかい手が、俺のものを包んでくれる。  
 
「……凄い……」  
「本多さんがいけないんだよ。そんな大胆な水着で、悩殺するから」  
「だって……」  
 ピクッ、と奮わせた先端を優しく握り返してくれる。  
「今日……遊びに行っていい?」  
 確か、土、日とご家族が出かけているはずだ。帰ってくるのは今日の深夜だと聞いている。  
「……ええ」  
 承諾。  
 俺は本多さんを抱きしめなおし、人前だというのに唇を重ねた。  
「もう!」  
 真っ赤になった本多さんと、追いかけっこ再開。  
 いきり勃ったものが収まって水から上がれるようになるまでの間、プールの中で遊んで過ごした。  
 プールから帰る前に、喫茶店で一休み。  
 なんだかいつも以上に口数が少なくて、視線が合う度にお互い赤面しながら、それでも居心地の悪くない時間をすごした。  
「行こうか」  
「ええ」  
 以前だったら「帰ろうか」だったけど、今は「行こうか」。  
 そう、いつもなら途中で別れる道が、今日は最後まで一緒に。  
 下校時と違って自転車を押していない本多さんの手を、ずっと握ったまま歩いていった。  
 
 
 初めて入る本多さんの部屋。女の子らしい可愛らしい部屋だ。  
 みさきの部屋と違った印象を受けるのは、几帳面に整理された背の高い本棚のせいだろうか。  
 本多さんがアイスティーをいれてくれたけど、途中で喫茶店によったせいか二人とも口をつけようとせず、二人してもじもじしながら沈黙する時間がしばし続いた。  
「「あ、あの」」  
 あげくに二人同時に話しかけてしまい、二人同時に沈黙する。そして吹き出してしまう。  
 俺は、素直に行動することにした。  
 立ち上がって、部屋の片隅にあるベッドに腰掛ける。そして。  
「本多さんも、おいでよ」  
 ぽんぽん、と隣を叩く。本多さんはみるみる真っ赤になって、でも、何も言わずに俺の右隣に腰掛けた。俺は腕を伸ばして彼女の肩を抱き、そっと抱き寄せる。  
「……」  
「……」  
 心地よい沈黙。  
「本多さん」  
「……はい……」  
 俺の方を向いた彼女の顎に手をかけ、少し引き上げる。目を閉じた彼女に、そっと唇を重ねる。  
「……ん……」  
「んっ、ん……」  
 二度、三度、と唇を重ね、舌を絡め合う。甘い甘い唇。柔らかな舌。彼女の全てを味わいたくて、俺はキスを続けた。  
 
「あ……んっ……」  
 俺の手がブラウスの上から触れた時、一瞬甘い声が漏れた。それが恥ずかしかったのか、本多さんの方から唇を重ねてくる。それに応えるように舌を使いながら、彼女の胸を……意外と豊満な膨らみを撫で回す。  
 柔らかなバスト。俺の手の動きに合わせて自在に形を変えるその膨らみが愛しくて愛しくてたまらない。触れたい。もっと、直に触れたい。彼女の肌の滑らかさを、体温を貪りたい。  
 だから、ひとつ、ふたつ……ブラウスのボタンを外していく。すっかりはだけた前合わせの下に潜り込んでいく悪戯な指先。  
 スリップの滑らかな感触。冷房に弱いという本多さんは、真夏でもこうしてスリップを着ているのだそうだ。そう言えば彼女はよく図書館にいるから、長時間の冷房は堪えるのかもしれない。  
 滑らかな感触を楽しんだ後、スリップの肩紐に手をかける。肩紐をずらされ、はだけてしまったスリップを下においやり、ブラの上から愛しい膨らみに触れる。人さし指の先で、膨らみの頂をまさぐる。ブラの下で、ツンと尖っている彼女を感じる。  
「あっ……」  
 また漏れる甘い声。本多さんのような清楚な人の口からこんな蕩けた声が漏れるだなんて、目の前で見ても信じられない。だから、そんな声をもっともっと聞きたくて、俺と彼女の間に立ちはだかるその布に手をかける。  
 
「ああっ……」  
 肩紐をずらすようにして、半ば無理矢理に外されてしまったブラ。まだ明るい部屋で、俺の視線に晒された素肌が恥ずかしいのか、彼女が視線を逸らす。  
「本多さん」  
「……」  
「こっちを向いて……」  
「……」  
 もじもじと、恥ずかしそうに俺の方を向く彼女の唇を奪う。俺のものだ、と言わんばかりに彼女の舌を啄ばむ。  
「んっ……ん、んんっ……」  
 いささか乱暴なキス。同時にバストへの愛撫を再開する。俺の手からこぼれそうなたわわな膨らみ。柔らかな白い乳房。薄桃色の先端を指先でこねまわす。それだけで彼女の吐息が荒くなる。  
 もう我慢できなかった。俺は彼女をベッドに押し倒し、ブラウスの前を大きく開かせた。  
 スリップとブラを無理矢理にお腹の方に押しのけ、隠すものとて無くなった果実にしばし見とれる。  
「……恥ずかしい……」  
「……綺麗だ……」  
 俺はうやうやしく、その先端に唇を寄せた。  
「あ……!」  
 柔らかな膨らみの頂点の、そこだけ堅い部分を入念に舐め回す。肌の色が変わる境界線に沿って舌を滑らせる。同時に、もう片方の乳房を手で揉みほぐす。  
 
 左右の乳首を交互に口に含む。時々、痕が残らないよう優しく噛む。  
「あああっ」  
 ひくんっ、と震え、本多さんがのけ反る。彼女の先端はとても敏感らしく、撫でるたび、吸い付くたびにあの甘い歌声を聞かせてくれる。  
 そして、俺の手がさらなる侵略を始めた。彼女の下半身に、俺は指先を滑らせていった。  
 背中からお尻へと延びた手が柔らかな丸みをなぞって脚へと。  
 スカートをたくし上げるようにして、膝より少し上の辺りに触れる。  
 滑らかなストッキングの感触。これも冷房対策なんだそうだ。冷えてしまうから、夏場でもストッキングが欠かせない、と。  
 俺は、柔らかな肌を包む滑らかな薄布の感触を満喫していた。そして、その手がスカートの奥と這い上がっていく途中で、急に指先の感触が変わった。滑らかなストッキングのものではなく、吸い付くような素肌の感覚。  
「あ、あれっ?」  
「あ……」  
 恥ずかしそうに教えてくれた本多さん。冷え性予防の為にストッキングを履いてはいるが、暑い外では蒸れてしまうので、パンストではなく太股までのセパレートのストッキングを履いているのだそうだ。  
 確か初めて本多さんと愛し合った時はパンストだった筈だが、制服の時はパンストなんだろうか。そう思ったがさすがに尋ねることはできなかった。  
 
「あんっ……」  
 スカートを腰の辺りまでたくし上げ、彼女の脚を露にする。セパレートのストッキングと、綺麗な刺繍の施されたショーツ。その間に覗く白い太股。悩ましい光景だった。  
 ショーツは、おそらくプールを上がった時にこの綺麗なものに換えたのだろう。お洒落な、そしてセクシーなものだった。勝負下着、ってやつだろうか。  
 こんな下着をみさきが履いたりしたらきっと俺は笑ってしまうだろう。でも、本多さんにはそれが不思議と似合っていた。大人びた雰囲気がそう感じさせるのだろうか。  
「……あんまり……見ないで……」  
 恥ずかしそうに言うけど、無理矢理に隠そうとはしない。恥ずかしいのを我慢しているんだろうと思う。俺は、綺麗な下着を隠さないよう剥き出しの内股だけを撫でながら、ショーツを飾る刺繍で目の保養をさせてもらった。  
「あ……!」  
 十分に彼女を視姦した後、指先をいきなりクロッチの上に滑らせた。そこは、まだ触れてもいないのにじっとりと湿り気を帯びていた。  
「すごい……もうこんなに……」  
「ああ……いや……」  
 恥ずかしさに堪え兼ねて両手で顔を隠してしまう本多さん。  
 そんな彼女が愛しくて、もっともっと感じさせてあげたくて、俺はそこに顔を埋めた。  
 綺麗な下着を剥ぎ取ってしまうのがなんだかもったいなかったので、ショーツの上から、彼女に唇を寄せた。  
 
「ああああああ!」  
 局部を愛撫された快感のためか、本多さんが彼女らしからぬ大声をあげる。そう言えば前のときは、ハンカチを噛んで必死で声を押し殺していた。もしかしたら彼女は敏感な体質で、感じすぎて声が大きくなってしまうのかもしれない。  
 クロッチの上から、ツンと尖らせた舌の先で彼女の輪郭をなぞる。初めての時と違って少しは精神的余裕があるから、彼女の反応を確かめながらあちこちを探ってみる。  
 舐めるそばから、新しい蜜がショーツ越しに滲み出てくる。もっともっと彼女を味わいたくて、その中心あたりを入念にしゃぶる。  
「あ! あああっ!」  
 時折、クリトリスを責めるのを交えながら彼女の局部全体を舐めまわす。綺麗なショーツは、俺の唾液と彼女の愛液でぐちゃぐちゃになってしまった。  
 俺は、ショーツに手をかけ、ゆっくりと引き抜いていった。  
「ああ……」  
 大切な所を覆い隠す最後の一枚を剥ぎ取られて、泣きそうな声を漏らす本多さん。けれど、その布はもう彼女の爪先にひっかかっているだけで、彼女のことを隠すことも守ることもできなくなってしまった。  
 彼女が一度閉じてしまった脚を,再び大きく割り広げる。  
「いやっ……!」  
 羞恥にわななく声。だけど、俺も欲望を抑えられない。彼女の全てを見たい。その一心で、閉じようとする脚を強引に開かせ、彼女のそこに顔を寄せた。  
 あふれ出た蜜で濡れきった秘肉。少し濃い目のアンダーヘアも,濡れて肌に貼り付いてしまっている。鮮やかなピンク色のクレヴァスは、あまりにも魅惑的だった。  
「綺麗だ……」  
「あ……ああ……」  
 彼女のそこに接吻する。布ごしではなく、直に触れ合う粘膜と粘膜。彼女の蜜の味。柔らかな肉の感触。俺は夢中で、彼女のことを貪った。  
 
 花弁を、蜜壺を、そして雌蘂をしゃぶり、舐めまわし、そして吸い付く。敏感な花園を荒らされ、本多さんが叫びつづける。そして、俺がピンク色の小核を剥きあげ、過敏なそこを甘噛みした瞬間、彼女が弾けた。  
「っあああああああああっ!!」  
 ぶんぶんと首を左右に激しく振り、イヤイヤをするようにしながら、本多さんが達した。  
 激しすぎる快感を遠ざけようという本能か、脚を堅く閉じて俺を遠ざけようとする。  
 だが、それをこじ開けるようにして吸い付き続け、美肉を貪り続けた。  
「ああああーーーーーーーーっ!」  
 大きく仰け反りながら叫ぶ。そして、次の瞬間、がっくりとベッドに沈み込んだ。  
「ああ……あああ……」  
 いつの間にか外れた眼鏡が枕の側に落ちている。振り乱された長い髪が広がり、つやつやと黒光りしている。荒い呼吸を繰り返すたびに上下する胸。もはや閉じる力もなく開かれた脚。その全てが美しかった。  
 だから、俺はもう一度、彼女のそこに唇を重ねる。  
「ひああっ!」  
 まだあの高みから降りてきていない彼女には酷な仕打ちだったかもしれない。でも俺は、もっともっと彼女を感じさせてあげたかった。  
 初めて抱いたあの時。彼女は、苦痛を押し殺して、必死で耐えていたはずだ。処女と童貞の初めての結合。気持ちいいわけがない。俺の欲望のために耐えてくれた彼女に、俺は返すべきものがたくさんある筈だった。  
 だから今回は、彼女を感じさせることのほうを優先させた。今すぐ彼女に覆い被さって一つになるのはたやすいだろう。きっと本多さんは、また俺を受け入れてくれる。  
 でも、それでは前と大して変わらない。俺は、もっと彼女を愛撫しなければいけないんだ。  
 
「あっ! ああっ! だめ、へ、変に、なっちゃ、あああ!」  
 弱々しく俺の頭を挟み込もうとする脚。それを意に介さず、トロトロに融けた肉をしゃぶりつづける。時折、内股にも舌を滑らせ、柔らかな素肌を味わう。  
 二度、三度、と彼女を高いところに連れて行く。まだだ、まだ足りない。  
「ああああああ!」  
 ぶんぶんと振られる首。雌蘂を吸われた彼女がまた大きく仰け反る。  
「アアアッ!ああああああ!」  
 そこへの口唇愛撫を続けながら、花園の方に指を挿入する。前回初めて男を受け入れたばかりのそこは、きつい締め付けで俺の指を歓迎した。  
 だが、俺が優しくクリトリス周囲を円を描くように舐めると、緊張が解けたのか堅く閉ざされた扉に隙間ができる。そこに潜り込んだ指が彼女を内側からまさぐる。また彼女が声をあげる。  
 再びそこが閉じられるがもう遅い。俺は内側と外側から、彼女に侵食していった。  
「ああ……あああ……」  
 叫びつづけて疲れたのか、先ほどまでよりは控えめな声が漏れつづける。俺のほうも少し疲れたので、ソフトな責めを続けている。  
 だがこれはむしろ都合がいいようだった。激しすぎる責めよりも、こうしてぬるま湯に浸かったような心地よさを与える方が、彼女の悦びも大きいようだった。  
「ああ……また……また……くる……あああ……」  
 また大きな波が押し寄せてきたようだ。  
 彼女の声を引き金に、また激しい責めに転じる。再び部屋に満ちる絶叫。  
「ああああっ! だめ! あああっ、死ぬ、しんじゃう! ぅああああああああーーーーーっ!!」  
 口にする言葉とは裏腹に腰を自ら上げて俺の顔に押し付けるようにしながら絶頂を迎える本多さん。たて続けに何度もイッているようだった。もはや意味不明の悲鳴をあげた次の瞬間、糸の切れたマリオネットのように力なくベッドに落ちた。  
「ああ……ああんン……」  
 まるで夢を見るような、うっとりとした表情を浮かべながら横たわる本多さん。立ち上がった俺は、今までに見たこともない彼女の痴態を見下ろしながら服を脱ぎ始めた。  
 
 ズボンとトランクスだけを脱いでベッドに戻る。シャツの胸ポケットから取り出したゴムを着けて、本多さんに覆い被さる。  
 あの時……初めてのときは勢いでしてしまったようなものだったので、こういうものの用意なんて出来なかった。でもその後、もし彼女を妊娠させてしまったらと激しい不安と焦燥にかられた。  
 彼女は俺を受け入れてくれたし、プロポーズしたら首を縦に振ってくれるかもしれない。だが、まだ高校生でしかない俺達がそんな関係になるなど、周囲が、とりわけ彼女の両親が許すはずが無い。引き離されてしまうのがオチだ。  
 だから、あの後彼女に生理が来た、と聞いた時心底安心したものだ。  
 聞けば彼女もずいぶん心配したらしい。  
 だから、今回はちゃんと用意をしておいた。  
「ああっ……」  
 まだあの余韻が残っているのか、身体を重ねて肌が擦れあっただけなのに、彼女の咽から甘い声が漏れる。愛しい人を抱きしめ、もう一度唇を重ねる。  
「んっ……ん……」  
 本多さんも、自分から求めるように舌を使ってくる。しばしの間彼女を味わったあと、唇を離す。  
 何か気の効いたことでも口にしてから事に及びたかったけど、もうそんな余裕はどこかにいってしまっていた。今はただ、彼女とひとつになりたかった。  
 自分自身に手を添えて狙いを定める。先っぽを彼女の花園にぐりぐりと擦りつけて,彼女が漏らすローションを頭部全体に塗り広げる。  
 そして、彼女の中心に狙いをつけて、腰を押し込んだ。  
 
「ああああっ!」  
 本多さんが悲鳴をあげて仰け反る。俺を拒むかのごとく締め付けてくる肉洞を半ば強引に押し広げながら突き進む。二度、三度、と腰を突き込み、ようやく根元までねじ込むことができた。  
 熱い熱い肉に包まれる。俺のものを絞り込むかのようなきつい胎内。彼女とひとつになれた、その思いだけで達してしまいそうなのを必死で耐える。  
 もう一度彼女を抱きしめ、唇を重ねる。歯のひとつひとつを数えるように舌でなぞり、すみずみまでしゃぶりつくす。  
「ああ……」  
「痛くない?」  
「……大丈夫……」  
 前回のような、歯を食いしばって耐えるような顔ではなかった。おそらく、まだ慣れていないぶんの辛さはあるだろうけど、初めてのときのような苦痛ではないのだろう。  
 それに、事前にあれだけ時間をかけて揉み解したのだから、少しは楽になっているはずだ。そうであってほしい。  
「……動いて」  
「いいの?」  
「あなたを、感じさせて」  
 上気した顔でそんなことを言われて我慢できるはずが無い。俺は、深々と突き入れたままだった腰をゆっくりと引き抜いた。そして、抜けてしまう直前で再び突き込んでいく。  
「ああっ……あああ……」  
 彼女も感じてくれているのだろうか。俺の動きは,次第に、速く、そして大胆なものに変わっていった。  
 
「あっ! あっ、あっ、ああっ、ああっ!」  
 彼女が溢れさせる蜜のおかげで、俺はスムーズに腰を動かすことができた。  
 俺自身少しは慣れができてきたし、彼女も腰を浮かせるようにして協力してくれた。最初はおっかなびっくりだったピストン運動も、いつしかリズミカルなものになっていった。  
「あ! ああ! あ!」  
 俺が突き入れる度、腰と腰が密着してクリトリスが刺激されるのだろう。前後に動く俺のリズムに合わせて彼女が甘い声をあげる。そのリズムが,俺の心をさらに煽る。  
「ほ、本多さんっ、お、俺、ああっ」  
「いいの、き、きて、ああ、私で、感じて、あああ!」  
「お、俺、もう、ぅあああっ!」  
 ひときわ強く突き入れた瞬間弾けてしまった。腰をねじ込んだまま、二度、三度、と振るわせる。  
「あああああ!」  
 深く結合された状態で腰を揺さぶられた彼女が叫ぶ。一瞬、ペニスが根元で食いちぎられてしまうんじゃないかと思うくらいに締め付けられた。それに耐えかねた俺は、もう一度射精させられてしまう。  
 びくっ、びくっ、と震えた後、がっくりと彼女の上にくずおれてしまった。柔らかな胸に顔を埋めるようにして、俺は果てた。  
 本多さんの手が、ぜいぜいと呼吸する俺の頭を優しく撫でてくれた。その手に誘われるかのように顔をあげ、もう一度、彼女とキスした。  
 
「は、恥ずかしいからいいよ」  
「駄目。大人しくしなさい」  
 あの後、俺達は一緒にシャワーを浴びていた。本多さんの全身を、スポンジではなく手で泡だらけにした俺は、仕返しにと彼女の手で全身を愛撫されていた。  
「早川君ったら、私のことはあんなに見たくせに」  
「だ、だって、あああ」  
 本多さんの視線に晒されながら股間をまさぐられる。近眼の彼女だから、近くに顔をよせて見ようとするのでなおさら恥ずかしい。  
 白魚のような、という表現がぴったりくるような繊細な指先でペニスを扱かれると、それだけで何度でも達してしまいそうだった。  
「……すごい……」  
 正直に言うと体力的にはまだまだ余裕がありあまっていた。ベッドの上での交わりだけではし足りないのは確かだった。  
「まだ、したいのね?」  
「ま、まあ、ね」  
「いいの……もう一度、抱いて……」  
 俺に抱きついてくる彼女。まるで誘惑するかのように、しなやかな指先で俺のモノを撫で上げる。ぎゅっ、とその身体を抱きしめ、腰と腰を密着させる。このまま挿入して、彼女の中にぶちまけたい。そんな獣じみた欲望がたぎってくるのを必死の思いで押さえ込む。  
「い、いいよ」  
「どうして?」  
 こんなになっているのに? と表情で尋ねてくる。  
「そ、その、ほら、アレの持ち合わせが、ないし」  
 そう言ったら、一瞬きょとん、としたあと思い切り笑われてしまった。  
 
「わ、笑うなよ。これでも必死でやせがまんしてるんだから」  
「だ、だって、うふふっ」  
 俺の真剣な表情がよほどツボに入ったらしい。  
「でも……ありがとう」  
「え?」  
「私のこと……考えてくれたのね」  
 ゴム製品を用意していたことだろう。俺は照れくさくて、無言で頷いた。  
「だったら……私が、楽にしてあげる」  
「えっ?」  
 俺を浴室の壁にそっと押し付け、彼女がしゃがみこむ。  
「ほ、本多さんっ!?」  
 目の前にそそり勃つモノを手で撫でながら、それに顔を寄せる彼女を押し止める。  
「どうして? 男の人って、こうすると喜ぶって……」  
「だ、だけど、嫌じゃないの?」  
「……あなたは、私にいっぱいしてくれたわ」  
「それは……」  
「だから、そのお返し。私が駄目って言ってもやめてくれなかったじゃない」  
「あ、あの、おおっ」  
 ちゅ、と先端に柔らかい唇が触れた。それだけで俺は抵抗力を奪われてしまう。  
 小さな舌がちろちろと頭部を舐め始めるころには、あまりの心地よさにすっかり酔いしれてしまった。  
「ああ……」  
 ぱくり、と咥えこまれる。とろりとした粘膜に包まれて、ペニスが蕩けてしまいそうになる。シャフトをしゃぶられ、吸われ、あっけなく果ててしまった。  
「ああああああっ!!」  
 
 けほっ、けほっ、とむせながら、口の中の粘液を吐き出す本多さん。  
「も、もう、いきなりなんだから」  
「ご、ごめん、その、あんまり気持ちよくて」  
「本当?」  
「……うん」  
「……まだ、元気ね」  
「え?」  
「もう一度、出させてあげる」  
「あ、あの」  
「さっきのお返し、って言ったでしょう? 駄目だといってもやめてあげない」  
「え? あああっ」  
 射精したばかりで敏感なペニスを再び咥えられ、苦痛まじりの会館にうめいてしまう。  
 馬鹿息子はというと、そんな責めにあっているというのに元気いっぱいだ。  
「あああっ」  
 先端が感じやすいんだと、さっきの行為で確信したんだろう。本多さんの舌が俺の先端を攻めつづける。スリットをこじ開けるようにして、おれの尿道を犯すかのように……。  
「そ、そこは、駄目っ、ぅあああっ」  
 情けない声をあげる俺を嬲るかのように、そこへの愛撫が続く。彼女の唇が,舌が、俺に襲い掛かった。  
 
 
 翌日。月曜日の朝。  
「おはよう、早川君」  
「お、おはよう、本多さん」  
 いつもの笑顔。制服姿で自転車を押す本多さん。  
「待っててくれたんだ」  
「ええ」  
 楚々とした笑顔。柔らかそうな、桜色の唇。  
 昨日俺は、あの唇に……そのことを思い出して、ぶるっと身震いした。  
 彼女に、あんなに淫らでサディスティックな一面があるだなんて想像もしなかった。  
「どうしたの?」  
「あ、な、なんでもないよ」  
「変な早川君」  
 くすっ、と微笑む。  
「でも、昨日は楽しかったわ」  
「そう?」  
「でも、今度デートするときは……ちゃんと回数ぶん、用意してきてね」  
「えっ?」  
 見つめた先では、彼女が、あの微笑を浮かべていた。浴室で俺を弄んでいたときの、あの微笑を。  
 
 終  
 
 
 

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