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「だ、大丈夫工藤さん?」
「だ、だいじょうびだいじょうび」
そんな事を言っている工藤さんだけど、どこをどう見ても大丈夫そうじゃなかった。
久々に来た遊園地で、新しい絶叫マシンに嬉々として挑んだ工藤さんだけど、さすがに三回目でグロッキーという感じだ。前にもこんなことがあったけど、今回はそれ以上という感じ。
どこかで休ませないと、と思うけど、工藤さんも意地っぱりだから、むきになって遊びかねないし。だから、押しても駄目なら引いてみな、という心境でこう誘ったんだ。
「俺もちょっと疲れたから休みたいんだ。どこか木陰で休まない?」
「ん、いいよぉ」
そう遠くない所に、ちょうどいいベンチがあった。
木陰が日光を遮ってくれるし、正目は植え込みとかで景色も悪くない。通路からは直接見えないような感じだから、寄り添っていても人目を気にしなくていいかな。
俺はベンチに腰掛け、工藤さんに横になるように勧めた。恥ずかしそうにしていた工藤さんだったけど、グロッキー状態だったから素直に従ってくれた。
時々、ジェットコースターの轟音とお客さん達の悲鳴が聞こえるけど、それ以外は静かなものだ。こんなのんびりしたのもいいなぁ、と思って工藤さんを見たら、彼女はいつの間にかすやすやと眠ってしまっていた。
そ、そう言えばこの姿勢って、膝枕じゃないか。
そう思って少しだけうろたえる。周囲で誰かが見ているんじゃないかと、きょろきょろあたりを見回したけど誰もいない。ほっと安心して、俺の脚に頭を乗せて眠っている工藤さんを見つめる。
いつも元気に走り回っていて、お腹いっぱい物を食べている工藤さんだけど、寝顔はこんなに可愛いんだな。そう思ったら、なんだか心臓がどきどきしてきた。
女の子の寝顔なんて、かなで見慣れている……というか、見飽きているつもりだったけど、かなの寝顔を見ていてこんな気分になったことはなかった。
俺はしばらくの間、無言で工藤さんの寝顔に見入ってしまっていた。
いつしか、その視線は一ヶ所に釘付けになってしまう。
可愛らしい唇。
つややかで、柔らかそうな唇。
「……キスしたら……起きるのかな」
ぼぉっとしていたせいか、そんな言葉を口走ってしまった。自分の言った言葉に自分で照れてしまう。いけないいけない。女の子の寝込みを襲うなんて最低だ。
頭をぶんぶんと振って、変な気分を紛らせようとしたけど、工藤さんの寝顔を見ていると、どうしても唇に目が行ってしまう。
駄目だ。
そう思って視線を逸らした。その先には、寝息に合わせて小さく上下する、柔らかそうな胸の膨らみがあった。
さっきが唇で、今度は胸。俺の視線は、ふたたび工藤さんに釘付けになってしまう。
そう言えば、工藤さんって結構胸が大きめなんだよな。その、丸みを帯びた膨らみがすぐ目の前にある。手を伸ばせば届きそうなところに。そして、工藤さんは眠っていて……。
ごくり。
俺は、無意識に手を伸ばしていた。指先が小さく震える。あと数センチで、工藤さんの……。
駄目だ駄目だ!
なんとか理性を総動員して手を引っ込める。だけど、その誘惑には抗い切れず、また手をそろそろと伸ばしてしまう。
あと少し、あと少し手を伸ばせば、工藤さんのバストにタッチできる。
でも、俺の手はほんの2,3センチを残してそれ以上先に進むことができず、諦めて手を引っ込めた。
「ふぅ……」
緊張のあまり息を止めていたらしい。何度か深呼吸をする。それでも、胸のどきどきともやもやが収まらない。俺は、未練がましく工藤さんの胸の膨らみをみつめていた。
少しだけ、ほんの少し、触れるだけでいいから……。
俺はもう一度、そろそろと手を伸ばした。さっき超えられなかった目に見えない壁を越えて手を伸ばす。あと1センチ少し。
ごくり。
……だ、駄目だ。
そう思って引っ込めようとしたが、その瞬間、手首をがっし、と掴まれてしまった。
「!!」
俺の手首を掴んだ手は、有無を言わさずその手を工藤さんの胸に押し付けた。柔らかな感触に感動する余裕もないまま、俺は真っ青になってその手の主……工藤さんの顔を見つめた。
「く、く、工藤さん!?」
「さ、触るなら、とっとと触る!!」
耳まで真っ赤になって、それでも目は閉じたまま工藤さんがそう言った。
「え、で、でも……って、工藤さん、起きてたの!?」
「寝てるっ」
「え?」
「あたしは寝てるのっ!」
目を閉じたまま工藤さんはそう言い切った。俺の手首を掴む手から力が抜け、彼女は寝た振りを再開した。
俺はおそるおそる手を動かして、彼女の胸の膨らみの形をなぞるように撫で始めた。
「……」
「……」
俺にバストを触られているのに、工藤さんは怒ってこないし、文句も言ってこない。
もしかして、公認なのかな?
そう思って、少し大胆に指を使ってみる。そっと、その膨らみを握ってみた。……やわらかい。そして気持ち良い。
手の中で自在に形を変えるその膨らみが愛しくて、俺はそれを揉みほぐし続けた。
「……ぁ……ん……」
頬を赤く染めた工藤さんが小さな声を漏らす。いつもの工藤さんからは想像もできない、可愛らしい声。
そのうち、掌の真ん中あたりに何かが当たる感触が伝わってきた。
掌の真ん中……胸の膨らみの先端……ってことは……?
それを確かめたくて、指先でそっと摘んでみる。
「あ!」
ひくんっ、と工藤さんが震える。痛かったのかな? それとも、気持ち良かったのかな? おそるおそる、優しくそこを撫で回す。
「ぁ……ぁぁん……」
工藤さんの唇から漏れる声は、少なくとも苦痛のうめきではない。その事に安心して、もう少し大胆に弄ってみる。
「ぁぁ……ぁ!」
可愛い。可愛い。喘ぎ声を必死で抑えようとしている工藤さんが可愛らしくて仕方ない。
だけど、そろそろ終わりにしないとマズいだろうな。
「あ、あの、工藤さん、そろそろ起きた方が……」
「……起きない」
「え?」
「……き、キス、してくれるまで、起きない」
さ、さっきの、聞かれてた!?
青ざめている俺の顔が見えるはずもないのに、工藤さんが悪戯っぽい微笑みを浮かべた。
で、でも、と言うことは、キス……させてくれるのかな?
そう思って、さっきまで見つめ続けていた唇に、俺は再び視線を吸い寄せられた。
据膳喰わぬは男の恥なんて言うけど、もしかしたら、からかわれているだけかもしれないけど。それでも、工藤さんと、キス……したい……。
「……ほ、本気……?」
「……」
工藤さんはまた寝た振りを始めてしまった。もしかしたら俺、遊ばれているんだろうか。キスしようと顔を近づけたら、ゴン、と頭突きされたりして。
それを確かめてみよう、というつもりになってきた。
「本当に……起きない?」
それまで胸を撫でていた右手をゆっくりとすべらせる。
わき腹を撫でながら、セーター越しにズボンのウェストが分かる位置まで移動。
「!?」
工藤さんがビクリと震える。
そっちが意地を張るならこっちだって。俺は右手を、ウェストの線にそってズボンのファスナーまで移動させた。
工藤さんも真っ赤になっている。それでも、寝た振りをやめようとしない。俺は、ズボンの前合わせをなぞるように手を滑らせた。
「ぁ……!!」
反射的に、工藤さんが脚をぴっちりと閉じた。でもそのせいで、俺の指先はがっちりとホールドされてしまった。その状態で硬直してしまう俺達。
俺の心臓もバクバクいっている。だって、俺の指先のほんの少し先には、工藤さんの大切なところが。たった数枚の布ごしに、工藤さんの……。
ごくり。
俺は、指先をくん、と内側に曲げてみた。
「ぁ!」
密着度が増したせいか、工藤さんが驚いたような声を漏らす。俺は指先を何度か小さく曲げたりして、ズボンの上から彼女のそこを刺激してみた。
「……ぁ……」
震えるような声。でも、嫌がっているような感じじゃない。
「……気持ちいい?」
おそるおそる尋ねて見たら、真っ赤になって、小さく頷いた。
「脚……開いてくれたら、ズボンの中、いじっちゃうけど?」
「!?」
ビクッ、と震えた工藤さんは、少し悩んだ後、おずおずと脚から力を抜いた。
俺は、自由を取り戻した右手でズボンのファスナーを下ろして、そこに侵入した。下着一枚ごしに女の子に触れるなんて! どきどきしながら触れたそこは、じっとりと湿っていた。
「ぁ、ぁ、ぁぁ、あ、ぁぁ!」
下着ごしにそこを撫でられて、工藤さんが蕩けたような声を漏らし続ける。特に、なにかツンと尖った感じのところを撫でた瞬間、危うく大きな声をあげてしまいそうになった。
どうやら、ここが一番気持ちいいみたいだ。
俺は、彼女が大きな声をあげないよう気をつかいながら、それでもそこを重点的に責めることにした。
「ぁ……あ……関谷くん……関谷くん……」
小さく開かれた唇の中で、ピンク色の舌が誘うように震えていた。俺は、その誘惑に抗い切れずにその唇を奪った。柔らかい唇! 夢中になって、彼女の中に舌を送り込む。工藤さんは、そんな俺を優しく受け止めてくれる。
嬉しくて、ただ嬉しくて、指先に力を込めて彼女の敏感な一点を責める。
「んっ! ん! んんっ! ん! ん! ん、ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
俺に唇を塞がれ、甘い声を封じられたままで、工藤さんがビクンッと跳ねた。
その後、急に大人しくなってしまった彼女と唇を重ねたまま、俺は彼女の身体を抱きしめた。
「ねぇ、工藤さん、起きないの?」
「起きてるよ、ふふ」
工藤さんは目をぱっちりとあけて、俺を見つめている。
二人の姿勢はさっきのまま。つまり膝枕状態。
「なぁんかさっきから、頭に当たってるんだよねぇ〜」
工藤さんが首を左右に振ると、彼女の後頭部にあたっているそれが刺激されてしまい、せっかく収まりかけたものがまた元気になってしまう」
「く、工藤さん」
情けない声をあげる俺を見て悪戯っぽく笑った彼女が、小さく囁いた。
「ふふ、楽にしてあげよっか?」
驚く俺の視線の先では、小さく開いた唇を一舐めする、ピンク色の舌が俺を誘っていた。
終