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 いつのまにか秋も深まり、窓をたたく冷たい風に一人の夜を寂しく思うこともある。  
 音量を絞ったラジオから流れる流行の歌さえ恨めしく、開いたノートの文字も、先ほどから進む気配がない。  
 ひとつ、大きく伸びをする。  
 転校が間近とはいえ、テストの点数が下がるのは面白くないから勉強をしている。  
 こわばった体の感覚に、不意に、何か運動をしたい衝動に駆られる。  
 とはいえ、時刻は深夜に近い。妹の目を覚まして怒鳴られるのもつまらない。  
 コツ  
 コキコキと首を鳴らしながら考え事をしていると、窓に何か当たる音がした。  
 ゴツ  
 いぶかしげに窓に近づく間に、もう少し大きめの音が聞こえた。  
 カーテンを開けると街灯に照らされた道路に、人影が見える。しゃがんだ背中にポニーテールの長い髪がゆれていた。  
 窓を開けると、その姿がぱっと立ち上がる。手にした砲丸ほどもある石を、背中に隠し、こちらに大きく手を振る。  
 慌てて、しかも足音を殺して玄関まで出るのは、ちょっと難しい。明日妹に怒鳴られなければいいけれど。  
「どうしたの、こんな夜遅くに。」  
 僕の問いかけに、白い息をハァハァと吐きながら彼女がにっとわらう。  
「ちょっと眠れなくてジョギングしてたの。ふっとみあげたら、明かりがついてたから。」  
 たしかにいつものジャージ姿にタオルを首に掛けている。しかもよりによって、いっしょに走らないと聞いてきた。  
 ちょっと考えたけれど体を動かしたかったのも事実で、付き合って走ることにする。ちょっと待っててと声を掛け、玄関に入ってもらい、自分もジャージに着替えてくる。  
 
「じゃぁいくよ」  
 彼女の声にあわせて走り出す。僕のペースに合わせてくれるのか、時々振り返ってにっこり笑う彼女について、街の高台目指して走る。  
 寝静まった住宅街に響く二人の足音、そして吐息。  
 一瞬、世界中からすべての人が消えて、二人しかいないんじゃないかと錯覚に陥る。  
 薄暗い森の脇を抜けて高台に上ると、そこがゴールだった。展望台のフェンスにもたれかかって、空に向かって白い息を吐く。  
 オリオンの三ツ星がすでに南東の空に上り、流れ星がひとつ落ちた。  
 ふと隣を見ると、彼女は眼をつぶってなにか唱えている。  
 お願いしたのと聞くと、ちょっとねと言って笑った。  
「ああ、いい汗かいた。」  
 そう言ってジャージの上着を脱いだ彼女の肌に、白いTシャツが張り付いている。  
 透けたブラにちょっとドキッとして目をそらす。  
「あー、その、やっぱり、女の子なんだし、こんな時間に出歩くのは……」  
 照れ隠しにつぶやいた台詞を、彼女が笑う。  
「大丈夫だヨ。ボクは逃げ足速いからね。それにキミが(ぜったいキミがいっしょにきてくれるってしんじてたから……」  
 いつか見た彼女の白い足を思い出してしまってドキッとしたせいで、彼女が小さくつぶやいた台詞を聞き逃した。  
「え? いまなんて?」  
「え? あぁ? ん〜 なんでもないよ。ははは」  
 彼女の顔が赤いのが、走ったからなのか、照れているのかわからなかったけれど、とてもかわいく見えた。  
「あー、えっと、その、走って、疲れてたら、逃げられないとか考えない?」  
「へーきだよ?」  
 そう言って僕のとなりにもたれた彼女の汗が甘く匂う。  
 張り付いたTシャツ。汗の甘いにおい。まだおさまらない、荒い吐息。  
 そして、不意に触れた柔らかな手。  
 思わず、彼女の手を握った。  
 
 きょとんとした目で僕を見る彼女を、そのまま引き寄せて抱きしめてみる。  
「だめだよ、かわいい女の子が…… こうやって、押さえつけられたら……」  
 そこまで言って、しまったと思った。僕を信頼してくれた彼女を裏切ってしまったと思った。  
「うん、逃げられないね。」  
 いつでも振りほどけるはずの僕の手をぎゅっと握り返して、彼女が僕の耳の横でつぶやく。  
 彼女の顔を見ると、意外なほど真剣な目で僕を見たあと、そっと目を閉じた。  
 唇が、触れ合う。  
 キスと呼んでいいものか迷うほど軽く、互いの唇が寄り添い、離れた。  
 目を変えた彼女が、うつむいて、赤くなる。  
「ねぇ、コイビトって、いうのかな、私たち。」  
「そ、そうなるのかな、やっぱり。」  
 あわててそう返した僕の胸に顔を押し付け、彼女が僕をぎゅっと抱きしめる。  
「流れ星のお願いって、ホントに叶うんだね。」  
 僕も負けずに彼女の体をぎゅっと抱きしめた。  
 近くの木陰に座って、街を見渡す。  
 まん丸の月が明かりの消えた街を蒼く照らし、虫の声が時折小さく響く。  
 握った手は暖かく、柔らかい。いつまでもここにいたいと思った。  
 ふと、彼女の視線を感じる。振り向くと、慌て目をそらした。  
 手をつなぎかえ、肩を抱き寄る。顔をあげた彼女にもう一度唇を寄せる。  
 小さく彼女がうんといった。  
 唇が触れ合う。顔を少しずつ傾け、その唇の間に舌先をあてる。  
 ちょっとびっくりしたみたいに動きを止めた彼女が、おずおずと唇を開き、それを受け入れた。  
 舌で、彼女の口の中を探検する。  
 並びのよい前歯を抜けると、柔らかな舌があった。しばらくどうしようか迷っているみたいだったが、彼女の舌が、僕の舌を舐めるように動く。  
僕も舌を動かし、彼女の下の裏側をくすぐる。  
 不意に、彼女が、僕を押しのける。  
 
 はぁはぁと、荒い息をする。  
「ごめん、息が……つづかない。」  
 そう言って申し訳なさそうにする彼女に思わず吹き出した。  
 鼻で息をすればいいんだよというと、今気付いたといわんばかりに驚く。  
「じゃぁ、もう一回」  
 そう言って今度は彼女から僕に口を寄せる。  
 長い、長いキスをした。時折小さく息をつぎながら、お互いの口を離すのがさびしくて唇を重ねた、舌を絡ませあった。  
 唇を重ねたまま、枯葉の絨毯に倒れこむ。  
 唇を離すと、彼女が小さく頷いた。  
 もう一度唇を重ねる。  
 彼女の体に体重がかからないよう気を付けながら、手を半ばめくりあげたTシャツの下から差し込む。  
 ブラの上から彼女の胸に触れると、ちいさく声をあげた。  
 ぎこちない手つきで胸を触りつづける。  
 ちょっと待ってと言って、彼女が身を起こした。  
 手を後ろに回し、ホックをはずす。そして、まるで小学生が水着を着替えるようにTシャツの中に手を引っ込めると、ブラだけはずして木の根元に置く。  
 恥ずかしそうにうつむく彼女の肩をだいて、そのまま唇を重ねる。  
 そのまま手をTシャツの下に這わせ、今度は直に、彼女の胸に触れる。  
 柔らかい中に突起を見つける。小さく喉を震わせ、彼女の手が僕のシャツをぎゅっと握った。  
 ひとしきり彼女の乳房を愛撫すると、手をズボンの中に入れた。  
 汗をかいたためか、ショーツもしっとり湿っていた。  
 ショーツの上からそこに触れる。恥ずかしいのか僕の手を太ももでぎゅっと締め付ける。  
 そのまましばらく待っていると、決心がついたのか、腿を軽く開いて、僕の手を受け入れた。  
 手がそこを動くたび、彼女が喉をならす。  
 ふいに彼女が僕の手から逃げるように体を離した。  
 
 そして、うつむいたまま、自分でジャージごとショーツを脱ぐ。  
 Tシャツを手で引っ張り、そこを隠そうとする。反対に背中側が持ち上がり、お尻が見えそうになると、あわててそっちも引っ張った。  
「くっつけば見えないから。」  
 彼女を抱きしめ、そっと横たえる。  
 開いた彼女の両足の間に僕がはさまれる。Tシャツをたぐとうろすると、真っ赤な顔をして顔を左右に振る。  
 じっと見つめていたら、小さく頷いて、Tシャツを持ち上げて上目遣いで僕を見る。  
 彼女の胸に口を寄せる。  
 あんまり見ないでと言う彼女にきれいだよとだけ返して、それを舌先でもてあそぶ。  
 顔をさらに下に寄せようとすると、彼女が僕の頭をぎゅっと抱くようにしてとどめた。  
「そこは…… 本当に…… だめ……」  
 彼女の目を見つめても、だめと繰り返すだけだった。  
「指ならいい?」  
 驚いたように僕を見たあと、視線をはずし、恥ずかしそうに頷いた。  
 指で彼女の秘所を探る。  
 大須賀の「お宝」ですら見たこともないそこを、教科書の解剖図を思い出しながら、一つ一つ確かめる。  
 その肉の峡谷を指でなぞる。柔らかいけれども弾力のあるそこに徐々にもぐりこませ、さらに中を探る。  
 湿り気を帯びたそこにあるはずの突起がうまく見つからず、くちゅくちゅとそこを上下させる。  
 他人に触られたことのないであろうそこを指が動くたび、苦痛とも快楽とも取れる表情が浮かぶ。  
 それをあきらめ、さらに"下"を探ると、くぼみが見つかった。  
「いたっ」  
 
 狭いそこに指を差し入れようとすると、彼女が小さく言った。  
 思わず謝ると気にしないでと言った。  
「指だとかさかさしてるから…… 舌なら……」  
 彼女が小さくいやいやをする。胸元に小さくキスをして、もう一度指を伸ばすが、体が逃げる。  
 もう一度彼女の目を見たら、両手で顔を覆ってやっぱり小さく頷いた。  
 そこに、舌を這わせる。  
 先ほどはわからなかった肉芽もわかった。舌でそれを転がすと、ぁっという吐息がこぼれた。  
 左手でそこを広げながら、舌を差し入れる。  
 汗のしょっぱい味と、甘い匂いがした。  
 気付けば彼女がはぁはぁと甘い吐息をこぼしている。  
 自分も服を脱ぐために口をはなすと、あっと声をあげ、名残惜しげにこちらを見た。  
 服を脱ぎ捨て、彼女に目を戻すと、葉の落ちた枝を通して注ぐ月光の元で、真っ白な肌が青く輝いて見えた。  
 きれいだと言うと、恥ずかしそうに胸元を隠した。  
 覆い被さって、唇を奪う。  
 二人の間に妨げるものは何もない。  
 彼女のそこに自分のものをこすりつけ、そこにある液体をたっぷりと塗る。  
「はずかしい」  
 やっとそれだけつぶやいた彼女の唇を、唇でふさぐ。  
 穴の入り口にあてがい、腰を推し進める。  
「んふっ」  
 痛むのか、まだ先端がもぐったばかりだと言うのに歯を食いしばり、僕にぎゅっとしがみつく。  
 逃げそうな腰を押さえて、支点に体重を掛け、奥まで押し込む。  
 歯を食いしばったまま、瞑った彼女の目から、ひとしずくの涙がこぼれた。  
 ぎちぎちと締め付けられたまま、僕は動けなかった。腕の力は少し弱くなってきたけれど、まだ僕をしっかり抱きしめている。  
「入ったの?」  
 
 薄目をあけて僕を見上げる彼女に頷いてみせる。  
 頭をおこしてちらっと自分のそれを見ると、ホントだとつぶやいた。  
 痛みにゆがむ顔に耐えられず、抜くために動こうとすると、止められた。  
「まって、動かないで。動くと、い、痛くて。」  
 でも抜かないと痛いままだよと言うと少し考えた据えこういう。  
「わたしが、自分で抜くよ。体をいれかえて。」  
 寝転がったまま少しずつ体勢をかえ、対面座位に移行する。  
 むしろこの方が痛いだろうと思うのだけど、彼女の言うとおりにする。  
 最後に僕が横になって、彼女が僕を見下ろした。  
 まん丸な月も、彼女の後ろから僕を見下ろしていた。  
 ぬる  
 彼女が微妙に腰を浮かせた。  
「ひゃぁん」  
 思いもよらぬ嬌声が彼女の口からこぼれた。  
 力の抜けた体が僕に重みを預けてくる。  
 痛くて動けないかと聞いたら、首を横に振る。  
「あ、あの、その、き、気持ちよかった。」  
 耳元でエッチな声がした。  
「も、もうちょっと、動いてもいいかな」  
 いいよとささやくと体重を預けたまま、腰を微妙に動かす。  
 ん、ん、と押し殺した声が耳元でいやらしく響く。  
 背中に指を這わせると、ぴくぴくと体が震えた。  
 ストロークは正直ほとんどない。クリトリスを恥丘に打ち付けているのに近い。  
 微妙な振動と強い締め付けがペニスを揺さぶり、射精感が高まってくる。  
 まだ耐えられると彼女の背中をもう一度なでる。  
 彼女がひゃぁんとエッチな声を出した。あれと思うまもなく、ペニスが暴発した。  
「ひゃ あ あつ い い き あぁん」  
 彼女の中に精液が放出される。髪を振り乱して言葉ないならない叫びをあげる。  
ナカで感じるその刺激が気に入ったのか、ぎゅうぎゅうとソコを僕に押し付けてくる。  
 
 僕も思わず彼女にそれを突きつけ、一番深いところに精を吐き出す。  
 ぎゅっと抱きしめあったまま、最後の一滴を放出するまで、しっかりと抱き合った。  
 どちらからともなく、唇を求めた。  
 そのまま朝までくっついていたいと思った。  
「くしゅん」  
 彼女のくしゃみで、お互いが冷静になる。  
 ど、どうしようとあせる僕に、大丈夫だよきっとと彼女が笑う。  
 根拠もないのになぜか安心して、笑う。  
「あはは、服着ようかな」  
 なんとなくギクシャクとした笑いを貼り付けてそれぞれ佇まいを直す。  
「あ、そういえば、わたし、今日誕生日だったんだ。」  
 今日中にキミに言いたかったと彼女が笑った。  
「そんな、もっと早く言ってくれればプレゼントとか用意したのに。」  
 彼女が小さく笑う。  
「そんなのいいよ。今いっぱいもらったから。」  
 彼女がおなかのあたりをちょっとなでる。  
「きっと、かわいい女の子だよ。」  
<END>  
 

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