「な、なぁ……好きって言ったら、どうする?」  
「え?」  
 
学校の帰りに波多野と寄った臨海公園。  
そこで突然告白された。……のか?  
 
「波多野、お前」  
「じょ、冗談だよ。お前はかすみが好きなんだもんな」  
「また言ってる。かすみと俺はそんなんじゃないって何回言えば……」  
波多野が唇を噛んで下を向いているのに気付いた。  
まさか、波多野の奴本気なのか?だとしたらなんと答える?俺にとって波多野は……。  
 
「波多野……」  
「だから冗談だって。お前なんか好きになるわけないだろ!」  
「じゃあ俺のこと嫌いなのか?」  
「え?」  
顔を上げる。心なしか目が潤んでるような気がする。  
「それは……」  
 
「俺は波多野のこと、好きだよ」  
波多野の顔に赤味が差す。  
だがそれも一瞬で、再び寂しそうな表情になる。  
「優しいな小笠原……嘘でもうれしいよ」  
「嘘じゃない。俺……波多野のこと」  
「友達として、だろ?」  
「え?」  
「あたしのこと、女として見てないだろ」  
「………」  
「黙るなよ……」  
「……俺さ、中学で初めて会ったとき、お前とは上手くやっていけるって思った」  
「………」  
「確かに最初は男の友達みたいな感覚だったかもしれない。でも、そのうち気付いたんだ」  
「………」  
「なんで俺が青葉台にしたか分かるか?」  
「え?」  
「お前が行くって聞いたからだよ」  
「!」  
「俺、お前が好きになってた……。友達としてじゃない、女としてだ」  
「小笠原!」  
「好きだ、波多野」  
「……うん」  
 
波多野は涙をこぼした。  
泣かないように耐えていたのが我慢できなくなったらしい。  
「泣くなよ、お前らしくもない」  
「でも…かすみは……」  
「かすみなら分かってくれるよ」  
「でも……」  
「あいつは君子とおんなじだよ。俺にとって妹みたいなもんだ」  
「でも……」  
「かすみが俺のことずっと見てるのは知ってる。だけど俺が見てるのは波多野なんだ」  
「小笠原!」  
波多野が胸に飛び込んできた。  
 
「だけどあたし、かすみに……」  
俺はその言葉をさえぎるように唇を重ねた。  
 
波多野を芝生に横たえる。  
「いいか?」  
「う、うん」  
「ごめんな、こんなところで」  
「小笠原…あ、あたし……初めてなんだ」  
「そうか……」  
「お前は誰かと経験あるのか?」  
「俺も初めてだよ」  
「そうか」  
波多野がうれしそうな顔をした。  
「おい、俺がもてないほうがいいみたいな顔だな」  
「そ、そういうわけじゃないよ……」  
「とにかく、俺も経験ないから上手くできるかどうか分からないけど頑張るよ」  
「や、優しくしてくれよ……最初は痛いっていうから」  
「うん」  
 
「こ、これ」  
波多野がコンドームを取り出した。  
「? お前、どこでこんなもの……」  
「あ、兄貴がさ……お前も女なんだからなんかあったときのために持ってろって」  
「………」  
「そんなことあるわけないよなぁ!あたしみたいながさつなのを好きになる男なんているわけないし」  
「波多野……」  
「もしそんな物好きがいたとしたって、あたしにそういう気持ちになるなんてこと」  
「波多野!」  
つい大きな声を出してしまった。ビクッとして身をすくめる波多野。  
「じゃあ俺は物好きなんだな?」  
「え?」  
「波多野が好きで好きで、うまくいけばエッチしたいって思ってる俺はマニアか?」  
「小笠原……」  
「お前は十分魅力的な女の子だよ」  
「………」  
「コンドーム借りるぞ」  
「か、返さなくていいからな」  
「そうか……使用済み返してやろうと思ってたのに」  
「ばかやろう……」  
 
波多野を抱く。  
波多野が震えている。あまり見たことのない波多野の意外な一面。  
そうだ、こいつだって『女の子』なんだよな……。  
「波多野……」  
「な、名前で呼んでくれるか……」  
「………」  
「だ、黙るなよ……」  
「葵」  
「……うん」  
 
波多野の服を脱がせる。  
飾り気のない下着が波多野らしいと思った。  
波多野を脱がせると俺も手早く服を脱ぎ、コンドームを着けた。  
波多野の足の間に手を伸ばす。そこは熱く濡れていた。  
 
「いいか、行くぞ」  
ぐっ!  
腰を突き出した。  
「ひぎっ!」  
波多野の体が突っ張る。  
俺の体を押しのけようと両の腕に力がこめられる。  
だが所詮は女の力。俺を押し戻すことなどできはしない。  
めりめり……  
波多野の狭い肉穴にこわばりが入っていく。  
「ぐぁ!……う…」  
痛みに耐えている波多野の顔。これ以上は無理か?  
その一方、貪欲に快感を得ようと性器をねじ込みたい気持ちも湧く。  
突然奥につっかえた感じがした。一番奥まで入っていた。  
波多野の処女が散った。  
 
きつく目を閉じて苦痛に耐えている波多野。  
俺の陰茎がギリギリと締め上げられる。きつい……。  
俺はゆっくりと腰を引いた。  
「あぁっ!」  
波多野が白いのどをのけぞらせてうめく。  
ある程度まで引くと今度は腰を送り込む。  
「うぅっ!」  
波多野が歯を食いしばる。  
俺は波多野の中で前後させながら二人の結合している場所を見た。  
血。  
肉棒は血にまみれていた。波多野の処女の血。俺が貫通した波多野の初めて。  
 
何度目かの抽迭。  
俺の動きに合わせて波多野の体も前後に揺れる。  
波多野はもう声も出さずに力なく横たわっている。  
目は閉じられ、眉にときどきしわが寄るだけだ。  
 
根元が熱くなってきた。射精が近い。  
「葵……イキそう…」  
波多野が目を開け、俺を見てうなずいた。  
「出して…いいよ」  
「葵…葵……イク!」  
俺は波多野を抱きしめると、熱いマグマを何度も何度も注ぎ込んだ。  
ゴムが妨げていなければ間違いなく波多野が身ごもる。そう思えるほどの量だった。  
 
 
服を着た俺たちは海を見ながら座っていた。  
「小笠原は卒業したら進学するのか?」  
「そのつもりだけど、なんで?」  
「職人は大変だぞ。手に職付けるには早い方がいいからな」  
「なんだそれ?」  
「わかんないかなぁ、波多野寿司継ぐんだから卒業したらすぐに修行しろってことだよ」  
「なに!」  
「あ!あたしの処女奪っといて逃げる気か?」  
「ちょ、ちょっと待て……」  
「あははは、嘘だよ」  
「葵ぃ!」  
「お、怒るなよぉ」  
「ま、寿司屋はともかくお前とは結婚すると思うぞ」  
「え?」  
「俺は好きでもない相手とエッチしないからな」  
「お、小笠原……うん!」  
波多野が涙でくしゃくしゃになった顔で俺に抱きついてきた。  
 
 

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