「子供なかなか出来ないわね」  
「まだ結婚して1年経ってないし、あせる必要ないよ。それに……」  
「それに?」  
「俺は作る過程のほうが好きだな」  
「もう!」  
 
高校の同級生だった中里佳織と結婚してそろそろ1年になる。  
俺たちは高2の秋に学園祭の準備を通して親しくなった。  
学園祭が終わったあと、俺から交際を申し込んだ。佳織も俺を好きだと言った。  
その後の高校生活1年半、そして大学時代を通じて俺たちは愛を育んでいった。  
 
結婚したのは大学を卒業した翌年。  
就職先の関係で俺は青葉台を離れ、佳織とは遠距離恋愛を続けていた。  
これまで佳織がそばにいなかったことはなく、俺は離れて初めて佳織の大切さを知った。  
いつまでも佳織にそばにいて欲しい。そう思った俺はプロポーズした。  
佳織は俺の思いを受け止めてくれ、俺たちは結婚した。  
 
 
初めて佳織を抱いたのは大学2年のときだ。  
読書好きでさまざまな本を濫読していた佳織は活字から多くの知識を得ていた。  
その中には閨房でのものも含まれ、処女にもかかわらず最初から積極的に俺に応えてくれた。  
佳織曰く、セックスは子供を作るためだけのものではない。二人で楽しむものだ。  
俺もそう思った。俺たちは共通の価値観を持っていた。  
佳織は、すべてにおいていい妻だ。  
 
佳織は子供を望んだ。俺も同じだった。  
サラリーマンの安月給は不安もあったが、佳織との愛の結晶を得ることを俺は選んだ。  
できやすい日、できない日を問わず俺たちは睦み合った。  
だが子供はまだ授かっていない。こればかりは天に任せるしかない。  
俺は佳織と愛し合う。子供も目的だが、佳織と肌を触れ合えることが最大の幸福だからだ。  
 
「雅人さんは子供きらい?」  
「好きだよ、見るのも育てるのも。……でも作るのがいちばん好きかな?」  
「もう!……ねぇ、抱いてくれる?」  
「うん」  
 
身長差のある俺たちは座位か騎乗位で交わることが多い。この日も座位で佳織と結ばれた。  
この体勢は射精が長引く利点がある。  
その分佳織を長く愛せるため、俺は好んでその体位を取った。  
だがその日はなぜか急速な高まりに襲われた。  
 
「あっ…佳織……イキそう!」  
「待って…もう少し……」  
 
俺の切迫した声を聞いて、自分も達しようと佳織が腰を使った。  
その刺激がもろに伝わった。  
 
「だめだ……出る! っっ!」  
 
射精した。  
こらえようとしたがかなわず、俺は佳織の中に白濁を吐き出してしまった。  
 
「はぁはぁはぁ……ごめん…俺だけ…」  
「大丈夫。私もイッたわ……」  
 
佳織がそう言って俺に体重を預けてきた。  
 
「勃たせてくれる?また佳織を愛したい」  
「うん」  
 
佳織は膣から精液が垂れないようティッシュをはさむと俺の股間にひざまずいた。  
ぐったりと力を失った肉筒を握ると軽くしごいてから口に含んだ。  
そのまま佳織は愛液と精液にまみれた陰茎を舐めてきれいにしていく。  
尿道に残った残滓を音を立てて吸い取り、飲み込む。  
一通りきれいにすると口元を拭い、俺を見上げて聞いた。  
 
「一昨日したわよね?もう溜まっちゃったの?」  
「濃かった?」  
「……昨日はしてあげなくてごめんね」  
「平気だよ。溜めてから出したほうが気持ちいいし……それに濃いほうが子供できやすいんじゃない?」  
「もう……」  
「一度出したから今度は持つと思うよ。佳織、おいで」  
 
佳織の舌戯で硬度を取り戻した肉棒。  
それをまたぐように座ると佳織は唇を求めてきた。  
お互いの唾液をやり取りする激しいキス。  
俺の首に回していた腕をほどくと、佳織は勃起を握り角度を調節する。  
そして俺の精液ですべりがよくなった肉穴に怒張をあてがうと、ゆっくりと腰を沈めた。  
 
「んふぅ……」  
 
切なげな息を漏らし、佳織が腰を前後させる。  
童顔で小柄なせいか、見ようによっては中学生にも見える佳織。  
その佳織がぱっくりと開いた膣口に男の醜怪な性器をくわえ込み快楽に浸る。  
(なんていやらしい光景なんだ)  
それだけで背すじがゾクゾクするような射精感が走る。  
(マズい…このままだとまたイク……)  
気を逸らして波が引くのを待つ。  
佳織をイカそうと、俺は二人が結合しているすぐ上にある佳織の肉芽に指を這わせた。  
もう片方の手は佳織の背中からお尻の割れ目、そしてその奥にあるすぼまりに伸ばす。  
 
「いやぁ……」  
 
自分が何をされるのか感づいたのか、佳織は腰をよじって抵抗する。  
だが俺の勃起を呑みこんだままでは逃げ場はない。  
俺はそれを見ながら、ゆっくりと二ヶ所を指で揉みほぐした。  
 
「あぁん…」  
 
佳織の膣が締まった。  
俺の根元から先端に向かって精液をしぼり取ろうとするかのような蠕動。  
一度精を放っていなければ今の刺激で白濁を吐き出していたかもしれない。  
佳織は俺にいじられたまま自分から腰を使い、快感を得ようとする。  
 
よし、佳織をイカせる!  
 
「あ…あっ……も…だめ……っ…」  
「……我慢して。まだイッちゃダメだよ」  
「お…ねが……っ…い……んっ…イカせ…て……っ!」  
 
恥毛がこすれ合う。  
俺たちは獣のようにお互いを求め合った。  
 
佳織の絶頂が近そうだ。  
膣が締め付ける。俺もそろそろ限界が近い。  
 
佳織の感じている顔、甘い吐息、あえぎ声、いやらしい音を立てている結合部………  
それらが俺の五感をしびれさせた。  
もう何も考えられない。イキそうだ。  
射精したい! 精液を佳織の膣中にまき散らしたい!  
 
「佳織!」  
 
俺は佳織を組み敷くと正常位で狂ったように腰を振った。  
肉と肉のぶつかる音があたりに響く。  
佳織が間断なく声を上げる。  
その嬌声が俺の欲望の留め金をはずした。  
 
「佳織っ……イク!」  
「私もイクぅ……あぁっっっ!」  
 
ドピュッドピュッドピュッ………  
小刻みに収縮をくり返す肉のひだに包まれ、俺は一滴残らず欲望を出し尽くした。  
 
精液に満たされた佳織の膣から、俺は満ち足りた気持ちで引き抜く。  
俺が抜ける間際、感覚が鋭敏になっている佳織は  
「あんッ」  
と小さな声を上げた。  
 
満足そうに大きく息をつき、しどけない姿で力なく横たわる佳織。  
俺はティッシュを取ると、佳織の中に残った粘液をすくい出そうと指を入れた。  
 
「だ、だめっ……自分でするぅ」  
 
あわてたように俺を制する佳織の声を聞き流し、俺はそのまま続けた。  
 
「恥ずかしい……」  
「俺に任せて、ね」  
 
「いっぱい出たよ」  
「雅人さんのがビクビクッてなったの感じたわ」  
「佳織の中、とっても気持ちよかったから」  
「私も感じちゃった……」  
 
佳織は下腹部に手を当てると  
「ねぇ、赤ちゃん出来たかなぁ?」  
と言った。  
 
「出来てるといいな」  
「うん」  
 
佳織がこぼれるばかりの笑顔になった。  
 
「佳織、またしよっか?」  
「……うん」  
 
恥ずかしそうにうつむく佳織。  
俺は佳織を抱き寄せ、そのまま静かに横になった。  
 

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