青葉台高校を卒業して12年。今年、10年ぶりに同窓会が開かれることになった。
高校時代に仲のよかった連中とももう何年も連絡を取っていない。
懐かしさから俺は出席の返事をした。
今は遠くの町で暮らす俺。青葉台に行くのは久しぶりだ。
前の晩は子供のように胸が高鳴り、なかなか眠りにつくことが出来なかった。
同窓会に参加を決意したのには理由がある。
高校生のときに木地本と取り合った風間こだち。
彼女は木地本を選び、俺は失意のうちに高校時代を終えた。
だが俺は今でも彼女が好きだった。
俺は風間さんへの思いを引きずり、未だに独身だ。彼女に会いたい。
何人かと付き合った。だが風間さんの面影を追う俺は誰とも結婚できなかった。
……風間さんはもう結婚しているのだろうか?
そうだとして、その相手は木地本なのだろうか?
同窓会の会場。
微妙に老けてはいるが、懐かしい顔がそろっている。瞬時に高校生の時の気持ちに戻った。
立食形式なのであちこちに移動しながら旧交を温める。
と、突然背後から声をかけられた。
「小笠原くん?」
懐かしい声。まさか!
振り向く。
「…風間さん?」
目の前にあれだけ焦がれた風間さんがいた。
昔と変わらず、優しさをたたえた瞳が俺を見ていた。
「風間さんはまだ独身なの?」
「今は『木地本』なのよ」
「それじゃ……」
「そう。私たち、結婚したの」
「そ、それはおめでとう……」
「ありがとう」
「あ…木地本は?」
「出張なの」
風間さんは木地本と4年前に結婚したこと、子供はまだいないことなどを語った。
もともと筆不精なあいつからは年賀状も来ない。
だから二人が結婚したことを俺はまったく知らなかった。
式は友人も呼ばず、親族だけでつつましく挙げたそうだ。知らなかったのも無理はない。
商社に勤める木地本は仕事の都合で出張が多いそうだ。
国外へのものはともかく、国内のものは急に決まることがよくあるとのこと。
今日も参加する気でいたが突然の仕事が入ったことを風間さんに聞かされた。
「木地本にも会いたかったなぁ……」
「今度遊びに来て。歓迎するわ」
「ありがとう。こっちに来ることがあったら、そのときは寄らせてもらうよ」
風間さんは夫の悪友であった俺に対して親しげに誘ってくれた。
人妻になってしまったが、風間さんにまた会うことができる。
それだけで俺は素直に嬉しかった。
「じゃあこれからは木地本さんって呼ばないといけないな」
「風間でいいわ。今日は高校の時に戻って楽しみましょ?」
「いいの? よかった。『木地本さん』なんて呼び慣れてないもんな」
「私もここでは風間の方が呼ばれなれてるわ」
「木地本がいないんなら今日はゆっくりできるんだ?」
「三次会ぐらいまでなら平気よ」
「いっそのこと朝帰りしちゃえば?」
「うふふ、それはダ〜メ。あの人かならず家に電話するのよ」
あの人……。その言葉に嫉妬する俺。
「風間さん…木地本に愛されてるんだな……」
「どうかしら? 嬉しいんだけど、ときどき重荷に感じることもあるわね」
「え?」
「あら、私ヘンなこと言っちゃったかしら。うそよ、そんなことないわ」
風間さんはじっと俺の目を見て話す。
高校の時もまっすぐな気性の人だと思っていたが、こんなに見られたのは初めてだ。
それも真剣に見つめてくる。俺の方がドキドキする。
しかも風間さんは話しながら俺の袖をつかむような素振りもする。
(嫌われてはいない。むしろ好感を持たれている?)
だが相手は人妻だ。ましてや旧友の妻。勘違いはできない。
下手なことを言うと木地本との友情にヒビが入る。
俺はためらった。
だがそんな俺の逡巡をよそに、風間さんはニコニコと話し続ける。
懐かしさも手伝ってか、呑むペースも速い。
気がつくと俺たちはずっと二人で話していた。
何度か他の友人とも言葉を交わしたが、しばらくするとまた二人で話している。
俺は天にも昇るような気持ちだったが、風間さんはどう思っているのか?
彼女の真意が図りかねた。
そろそろ終会という頃には風間さんはかなり酔っていた。
「酔っ払っちゃった……小笠原くん、送ってくれる?」
「風間さんは今どこに住んでるの?」
「実家の近くよ。駅と反対側のマンション」
「だったら誰か……健太くんにでも迎えに来てもらえば」
「私を送るのはいやなの?」
「そういうわけじゃない。むしろ送りたいぐらいだよ」
「だったらお願い」
「……わかった。いいよ」
同窓会は近いうちの再会を約して終わった。
何人かが『二次会に行くぞー』と気勢をあげているのが聞こえる。
俺たちはそれを尻目に会場をあとにした。
風間さんは酔っているのか、足元がおぼつかない。
自然に俺は風間さんの肩を抱くようにして歩いた。
俺も酔っていた。本来なら人目を慮るのに、まったく気にならない。
しばらく歩くと風間さんたちのマンションに着いた。
部屋の前まで連れて行ったら帰るつもりだった。
だが風間さんに勧められるまま、俺は部屋に上がった。
このまま帰るのがしのびなかったのだ。
風間さんと木地本の部屋に入る。
家庭的な風間さんらしく、部屋はどこも掃除が行き届いていた。
センスのいい調度品や趣味のいい家具類。ちょっとした小物は手間のかかった手作りのようだ。
決して派手ではないが、温かみのある家だと思った。
「いまお茶淹れるわね」
「お構いなく」
そう言って風間さんを見る。
風間さんは微妙にふらふらしていた。
危なっかしいと思った俺は、ヤカンを火にかけようとしている風間さんの手を取った。
「危ないよ。俺、ほんとにお茶いいから」
「……ごめんなさい。少し酔っちゃったかも」
「うん。早く横になったほうがいい。俺、帰るけどあとは自分でできるよね?」
「ベッドに連れてってくれる?」
「え?」
「ダメ?」
「……わかった。部屋どこ?」
こんな状態が長く続いては間違いを犯す。
風間さんを寝かせたらすぐ帰ろう。そう決めて風間さんを支えて寝室に向かった。
清潔感にあふれた寝室にダブルベッドが一台あった。
他には枕元のサイドテーブルとその上の電話の子機。
暖色系の部屋はスッキリとまとめられており、本当に寝るためだけの部屋となっていた。
俺の目は自然とベッドに向いてしまう。
(このベッドで木地本が風間さんを!)
なんともいえない悔しさ、屈辱感に俺は見舞われた。
「風間さん、じゃ俺帰るね」
そのとき、枕元の電話が鳴った。
「はい。……そう。ええ、とっても。……気をつけてね。うん……はい」
「木地本?」
電話を切った風間さんに尋ねる。
「そうよ」
「風間さんの隣に俺がいたって知ったら、木地本なんて言うかな?」
「……何も言わないかも」
「え?」
「私に関心ないみたいだから」
「そんなことないでしょ? だって今も電話くれたし」
「私の行動は気にしても、私の体には興味ないみたい」
「え?」
「………3年以上セックスレスなの」
長い沈黙のあと、風間さんがためらいがちに言った。
「!」
「あ、ごめんなさい。お酒のせいか変なこと言っちゃったわね」
「風間さん……いま幸せ?」
「どうかしら? 表面上は幸せよ。でも家庭内別居みたいな感じ」
「二人でここに寝てるの?」
「うん。でもあの人、私の手も握らないわ」
「………」
「私に魅力ないのかな?」
「そんなことない! 風間さんは今でも十分魅力的だよ!」
「……ありがとう」
「また木地本から電話が来たら、『風間さんと別れてくれ』って言ってもいい?」
「そんなのダメ!」
「でも俺……」
「………」
「ごめん」
「ううん、ありがとう」
「ね、どうして『別れてくれ』って言おうとしたの?」
「え?」
「どうして?」
「俺、今でも風間さんのこと好きだから」
「高校のとき、私はあなたを振ったのよ」
「うん……」
「そんな私を今でも?」
「……うん」
「あの時、小笠原くんを選べばよかった……」
風間さんが涙声でそう言った。
「風間さん!」
俺は思わず風間さんを抱きしめた。
一瞬身を固くした風間さん。だがすぐに力を抜き、俺に身を預けてくれた。
「風間さんいい匂い」
「やだ…」
「香水?」
「……うん」
「どこの? やっぱり外国の有名なのとか?」
「ううん、国産。そっちの方が私の肌に合うみたい」
「そうなんだ」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「風間さんのことなら何でも知りたいから」
「そんなこと聞いたの…小笠原くんが初めてよ……」
「え?」
「私に関心持ってくれたの、小笠原くんだけ」
「風間さん……」
「あ、ごめん。変なこと言っちゃったわね」
「風間さんが欲しい」
「………」
「だめ?」
「どういうこと言ってるのか分かってる?」
「うん」
「私は木地本の妻なのよ」
「分かってる」
「………」
「風間さん?」
「一度だけよ」
「ありがとう」
何かが吹っ切れたような風間さんの顔。
俺は風間さんの頬に右手を添えると左手で腰を抱き寄せた。
そのまま唇を重ねる。風間さんのにおい……風間さんの味……。
火照ったような熱い吐息に俺の理性が吹き飛んでいくのを感じた。
「ねぇ、シャワー浴びさせて」
唇が離れると風間さんが言った。
「一緒に……」
「だ〜め」
俺の胸を手で押すようにして身を離すと、風間さんが
「ここで待ってて」
そう言って部屋を出て行った。
風間さんがシャワーを使っている。俺は所在なさげに部屋を見回した。
ベッドとサイドテーブルのほかは家具がない。
クローゼットがどこかにあるのだろう。部屋数も多そうだ。
木地本の奴、いい暮らししてるんだなぁ……。
しばらくするとバスタオルをまとった風間さんが戻ってきた。
「俺もシャワー使うよ。場所どこ?」
「いいわ、それより」
風間さんは俺の手を取ると自分の胸に持っていった。
(シャワー浴びてないけどいいのか?)
そう思ったが、風間さんがいいと言うなら俺が気にするのはやめよう。
俺は手早く服を脱いでいった。
全裸になる。
風間さんが手を伸ばし、すでに限界まで張りつめた一物を握る。
「うわぁ〜…こんなに固くしてる……」
「そ、そう?」
「なんだかドキドキするわ」
「俺もドキドキするよ」
風間さんの体を覆うバスタオルに手をかける。
「驚かないでね」
そう言う風間さん。
何かあるのか?
少しだけひるんだ俺に、風間さんが恥ずかしそうに笑って言った。
「ないの」
「?」
疑問を感じつつ、俺はバスタオルを取り去った。
風間さんのそこは無毛だった。
最初からなかったというわけではなく、明らかに剃られたそこ。
「風間さん……」
「浮気防止だって。……あの人に剃られたの」
「………」
「浮気されたくないなら、もっとかまってくれてもいいのにね」
風間さんは寂しそうに微笑んだ。
「風間さんを抱かないってことは木地元はどこで発散してるんだ?」
「浮気はしてないと思うわ」
「どうしてそう思うの?」
「あの人、自分でしてるから……」
「見たの?」
「直接は見てないわ。でもお風呂でそういう気配がするの」
「機能的には問題ないのか……」
「今は……私のことだけを考えて」
「ごめん、そうだね、風間さんのことだけ考えるね」
俺は風間さんにだけ集中することにした。
本来なら生えているはずの陰毛がないそこ。まるで子供のようだ。
だが童女のような外観に似合わず、成熟した女性を感じさせる秘裂。
そのアンバランスさが俺の情欲を誘った。
静かに触れる。熱いぬめりに満たされた陰裂を俺の指先が感じた。
俺は風間さんを立ったまま抱きしめる。
そしてキスしたまま濡れた秘唇を指で割り、固くしこった突起をさすった。
風間さんも俺の勃起に手を伸ばす。
カリに親指を、残りの指を裏スジに当てると絶妙の刺激が与えられた。
「んっ!」
唇をふさがれ、声を出せない俺がうめく。
俺が感じているのが分かったらしく、風間さんはそこをさらに攻めてきた。
そうして陰茎をなぶったまま、風間さんが俺の乳首に指を這わせる。
主導権は完全に風間さんに握られてしまった。
俺は風間さんの舌を甘噛みしながら唇を押し当てる。
続いて舌先を口内に伸ばし、上の歯列をなぞったあと上顎に触れる。
そのあいだは風間さんの舌が俺の舌の裏側で妖しく這い回る。
キスだけで達してしまいそうな快感! 我慢できなくなりそうだ。
「風間さん、どうしてほしい?」
唇を離し、額をつけて静かにささやく。
「んふぅ…」
目元を潤ませた風間さんが切なげな声を出す。
「教えて。俺、風間さんに気持ちよくなってほしいんだ」
耳たぶをもてあそびながら続ける。
「ぁん……」
感じるのか、風間さんが鼻にかかった声を上げる。
「その声かわいい。もっと聞かせて……」
右手を下に伸ばし、ひざから太ももにかけてを撫でる。
「いやぁ……」
口ではそう言いながら、決して嫌がっている感じではない風間さんの声。
「もっと声出していいよ。風間さん……好きだよ」
耳たぶを唇ではさみながらそっと告げる。
「あふぅ……」
のどを反らした風間さんから快楽のうめきがあがる。
勃起を握っていた風間さんの力が抜ける。
俺の愛撫に感じてくれている! だがまだイカせない!
足を攻めていた手を上へと動かし、胸に持っていく。
すでに乳首は固くしこっていた。
乳房を優しく揉みほぐしながら乳首を押し込む。
「ひゃん!」
風間さんがなまめかしい声を上げる。
もう一度キスをする。
今度は先ほどとは違い、少しだけ荒々しく口付ける。
舌を絡ませて強く吸う。
右手を胸に置いたまま、左手で背すじを上からなでおろす。
さらに俺は腰をかがめ、勃起を小陰唇に当てる形で押し付けた。
水平に近い角度で固定された勃起の反発力が陰核に刺激を与える。
それらの複合した感覚が風間さんを襲うのか、唇をふさがれてなお嬌声を上げる。
風間さんは俺の首に腕を回すと力一杯すがり付いてくる。
俺は左手をお尻に下ろし双丘をもみしだいた。同時に股間を前後に揺する。
カリの出っ張りが陰唇の間を動くと、そこから濡れた音が響いた。
呼吸が苦しくなったのか、風間さんの口が離れる。
「イッちゃう! イッちゃう!……」
目を閉じて、泣きそうな声であえぐ風間さん。
どうする? このままイカせるか?
俺は動きを止め風間さんを見た。
「もうダメ……イキたい……お願い、イカせて……」
風間さんが濡れた瞳で俺を見上げている。
「だめだよ、まだイカせてあげない」
無情にそう告げると、俺は風間さんと一緒に倒れこむようにベッドに横になった。
俺はベッドで風間さんを攻めながら彼女の感じやすい部分を探った。
クリか中か、そのどちらかだろう。まずはクリだ。
軽くキスしたあと、少しずつ体を下に移動させる。
首筋、わきの下、胸、へそと舐めて来て恥丘に到達した。
舌先にざらざらした剃り跡が感じられる。しばらくそこを舐めまわした。
続いて腿を抱え、陰部を上向けると舌の腹を使ってクリを舐め上げる。
「ひん!」
風間さんの声が聞こえた。
俺は舌先を尖らせるとクリを転がすように愛撫した。
唇ではさんだり、軽く歯を立てたりといった刺激に反応し、膣口からは愛液が分泌される。
舌を尿道口や膣口にも這わせ、こんこんと湧く液体を音を立ててすすった。
クリに口を当てたまま膣に中指を入れる。
腹側のコリコリとした感触を楽しみながら親指でクリをつぶすように力を加える。
風間さんは声を上げつづけ、快楽に浸っている。
だが風間さんが切迫した様子になると俺は愛撫を止めた。
一度イカせることも考えたが、とことんまで乱れる風間さんが見たかったのだ。
絶え絶えの息の風間さん。
だが風間さんは身を起こし、体勢を入れ替えるように俺の下半身におおいかぶさってきた。
「私も…小笠原くんの……してあげる」
そう言うと勃起を手でしごき、固さを確かめるようにしたあとで口に含んだ。
風間さんのフェラチオはそれほど上手ではなかった。
ただ強く吸っているだけで、とくに技巧的に凝っているわけではない。
イク経験はオナニーでも積めるが、オトコを悦ばせるのは相手がいなければ無理だ。
結婚してすぐにセックスレスになった風間さんは基本的にテクニックが未熟だった。
(こっちは開発されてないんだな……)
少しだけうれしかった。
ずっと好きだった風間さんを攻めていることに興奮した俺は先走りで亀頭がヌルヌルだった。
しかし不思議なことに射精感はそれほど高まっていない。
信じられない幸福に感覚が麻痺しているのか、一向に射精しそうにない。
風間さんが勃起を放す。
そして
「小笠原くん……」
潤んだ瞳で俺を見上げ、懇願するように足を開いた。
そうだ。俺は風間さんと一つになりたいんだ。風間さんを抱こう。
俺は風間さんを抱きしめると、これ以上ないほど固くなった性器を押し付けた。
そのまま腰だけを動かし、適切な位置にあてがう。
入れる直前、俺は風間さんを見た。
「入れるよ」
「うん…来て……」
その言葉を合図に、俺は風間さんの中にゆっくりと沈みこませた。
「ぁあッ!」
風間さんがのけぞる。
同時に俺のモノに断続的な締め付けが与えられた。
俺の背中に回した腕に力を込め、何度も細かく体を痙攣させる風間さん。
と、風間さんは体から力が抜き、悩ましげな息をついた。
「イッちゃった……」
「え?」
入れただけでイッてしまったのか?
「だって……久し振りなんだもん」
目元を赤く染め、恥ずかしそうにしている風間さん。
愛おしさが増した。
「もっとイカせてあげるよ」
俺はそう告げるとストロークを開始した。
正常位でゆっくりと、しかし力強く出し入れする。
「あァっ……こ…こんなの…初めて……」
風間さんが俺にしがみついてくる。
「え?」
「んっ……こんな突かれ方……されたこと…ないっ!」
「風間さん……」
俺はゆっくり深く、時には浅く早くとリズムを変える。
「あんっ!…気持ちいい……この突き方好きぃ!」
何度か突いたあと、俺は風間さんの奥深くに入れたまま動きを止めた。
「ずっと…ずっとこうしたかった……」
風間さんの頬に唇をつけ、万感の思いで口にする。
「……うん」
風間さんが本当にうれしそうに俺に微笑み返してくれた。
胸が熱くなった。
「風間さん…風間さん……こだち!」
たまらずに腰が前後する。
自分の意志とは無関係に快感を求めてこだちの中で動き回った。
こだちの膣壁が俺を締め付けているのが分かる。
こだちを俺のものにした。そう感じた。
何度か動いたあと、こだちが腰を押しつけるようにして俺にしがみつく。
「あダメ……イク! イッちゃう!」
突然こだちの中が収縮した。
精液をしぼり取ろうとする膣の蠕動。俺はとっさに肛門を締め、射精をこらえた。
俺にしがみついたまま、ビクンッビクンッと体を痙攣させ、こだちは達した。
俺を締め付けていたこだちの肉壁の動きがおさまる。
満足したのか、大きく息をついて横たわっているこだち。
こだちの瞳には涙が光っていた。
半身を起こすと、
「いろんな女の子、泣かせたでしょ?」
俺の目を見ながら笑って言った。
「そんなことないよ」
「ウソばっかり……小笠原くん、えっち上手なんだもん」
「こういう場合、ありがとうって言った方がいいのかな?」
「うふふ、こんなに気持ちよかったの初めてだわ」
こだちはそう言って再び横になり目を閉じた。
こだちをイカせた。
精神的にはこれ以上ないほど満足だった。
だが俺の股間は解放を求めて猛っていた。
「俺、まだイッてない」
こだちの肌に指を触れさせて言った。
「私はイッたわ」
『イッたばかりで挿入されるのはつらい。感覚がぼやけ、何をされても感じない』
以前付き合っていた彼女にそう教えられていた俺は、
「俺もイキたい。こだちの裸見ながら自分でするね」
そう言ってしごき始めた。
「それはダメ……」
こだちが俺の手を止めると、
「少しだけ休ませて、ね」
と言って唇を合わせてきた。
こだちはキスしながら最初と同じように俺の勃起を攻めてきた。
セックスレスを解消しようと、こだちからいろいろ仕向けたのだろう。
その名残か、いくつかは絶妙のテクニックだと思った。
この手コキも数少ないそのひとつだった。
「抱いてくれる?」
こだちがそう言って横たわった。
「うん」
俺はこだちにのしかかり、勃起の位置を合わせた。
勃起を握り、こだちの秘裂のヌルヌルした液体をなすりつける。
「いじわるしないで……」
目元を染めたこだちが言った。
「もう入れてもいい?」
「……来て」
「行くよ」
静かに勃起を押し込む。
かすかな抵抗のあと、沈み込むように膣内に収まっていく。
「くぅん!」
こだちが目を閉じて気持ちよさそうな声を出す。
何度もこだちを愛してきた。
そのため少しずつ性感の高まっていた俺はそれだけでイキそうになった。
勃起にしびれたような感覚がまとわりつく。頭の奥に甘い感覚が広がる。
ダメだ、我慢できそうにない!
あまりにも早く絶頂が訪れようとしていた。
こだちを完全に俺のものにしたい! 俺の精液をぶち込みたい!
もし許されるなら、こだちの中に射精したい!
「こだち…こだちっ……イクよ!」
「ぁん、中はダメぇ!」
「こだち!」
俺は寸前で引き抜いた。直後、何発もの白濁液が射ち出される。
「っっ!」
ずびゅぅ! びゅっ! びゅびゅっ! どびゅぅぅっ!………
こだちの顔を見ながら俺は射精しつづけた。
「あ、熱い……。小笠原くんの精液……」
俺のほとばしりを身に受け、こだちが浮かされたようにつぶやいた。
満足しきって大きく息をつく。
見るとこだちの下腹部から首筋まで、俺の想いが詰まった粘液が一直線に飛んでいた。
「精液……いやらしいオスのにおい……」
俺の精液にまみれたこだちがつぶやいた。
ティッシュを取るとこだちは俺の股間に手を伸ばし、ペニスを拭き清めてくれた。
(これも木地本に仕込まれたことなのか?)
くやしかった。
俺を拭き終えると、こだちは自らの体を汚した精液を処理する。俺は黙ってそれを見ていた。
「いっぱい出たわ」
「うん」
「溜まってた?」
「ちょっとね」
「……ねぇ、溜まってたから私を抱いたの? セックスできれば誰でもよかった?」
「違う! こだちじゃなきゃこんなことしないよ!」
「………」
「さっきも言ったろ。ずっと好きだったって」
「でも私は人妻よ」
「うん」
「ごめんね」
「こだち……風間さん、また会いたいって言ったら困る?」
「ごめんなさい、主人との生活は壊せない……会うだけなら」
「そうだよな……分かってる。今日のことは俺も思い出にするよ」
「ありがとう……ごめんね」
「………」
「ね、もう一回思い出作ってくれる?」
「風間さん……」
「こだちって呼んで」
「こだち!」
俺はこだちを抱きしめると唇を重ねた。二人の新しい思い出を作るために。