「小笠原ぁ、男って毎日オナニーするの?」  
「げほっげほっげほっ………」  
俺はちょうど飲み込もうとしていたキュウリにむせた。  
 
昼休みに校内を歩き回っていたときだ。  
見慣れた特徴的なおさげ髪の少女を発見した俺はそぉ〜っと近づいていった。  
「だ〜れだ」  
後ろから目を隠す。  
「小笠原!」  
うれしそうな声音で即答が返ってきた。  
「やっぱりわかる?」  
「当たり前じゃん!」  
振り向いた丘野の手に、学校で見るのは違和感のある物体。  
キュウリ? なんでこんなものが?  
「丘野ぉ、それ…なに?」  
「キュウリ知らないの?」  
「知ってるよ。そうじゃなくてなんでキュウリがあるの?」  
「お弁当のおかずだよ」  
「丸のまま?」  
「うん!」  
 
俺が丘野陽子と付き合いだして4ヶ月。  
一緒にいて楽しいし、自分の知らない世界や価値観を知る喜びもある。  
だが丘野の突拍子もない行動にはまだまだ慣れそうにない。  
 
「小笠原も食べなよ、おいしいよ」  
そう言ってかじりかけのキュウリを俺に差し出した。  
「じゃあいただこうかな」  
何事も自然体でのぞむ丘野。俺はそんな丘野も大好きだった。  
 
丘野とは何度もキスしたし、それ以上の関係もある。俺は差し出されたキュウリにかぶりついた。  
「小笠原ぁ、男って毎日オナニーするの?」  
「げほっげほっげほっ………」  
俺はちょうど飲み込もうとしていたキュウリにむせた。  
「だ、大丈夫?」  
「な、なに? いきなり!」  
「あ、うん……兄貴がさぁ……」  
 
丘野は四つ上のお兄さんと同居していた。  
お兄さんの留守中、丘野の家に何度かお邪魔したことがある。  
アパートだと聞いていたが、兄妹とはいえ年頃の男女のためか部屋は別々だった。  
その丘野の部屋で半月前、俺たちは初めてのセックスをした。  
童貞だった俺は自分勝手なセックスをし、丘野に痛みだけを与えてしまった。  
そのせいか丘野は一種のセックス恐怖症となってしまった。  
それ以後丘野は俺に抱かれることにためらいを見せた。すべては俺の責任といえた。  
しかし、男の生理を知っているのか、丘野は手や口で俺を満足させてくれている。  
水泳部の練習のない日は丘野と一緒に下校し、たびたび抜いてもらっている。  
昨日もそうだった。  
 
「お兄さんがどうかしたの?」  
「なんかオナニーしてるみたいなんだ」  
「そりゃ男だったらするだろうっていうか……しないほうがおかしいと思うよ」  
「今までそんなこと気にしたこともなかったんだけどさ、なんか気配がするんだ」  
「……うん。ま、丘野も気が付かない振りしてあげなよ」  
「そうなんだけど、小笠原とえっちしてからなんかそういうの気になっちゃってさ」  
「丘野の勘違いじゃない? だって隣の部屋に妹いるのにするかなぁ?」  
「『はぁはぁ……うっ!』って音がするからやってると思うよ」  
「う〜ん……」  
「小笠原も毎日してるの?」  
「……いや、俺は丘野がしてくれるから毎日ってわけじゃ……」  
「ねぇ、今日もあたしん家来なよ。今日もしてあげる!」  
「えっ! いやぁ、ありがたいっていうかうれしいんだけど、今日練習は?」  
「休みだよ」  
「……行ってもいいの?」  
「うん!」  
その日起こるであろうことを想像し、俺の股間がビクンッと脈打った。  
 
放課後、俺たちは丘野の家に行った。  
「お邪魔しまぁす……」  
「兄貴いないから平気だよ」  
「う、うん」  
丘野の部屋に通される。  
昨日もここで丘野と……。俺は股間に血液が集っていくのを感じた。  
 
丘野との初体験は処女を顧みる余裕のなかった俺の一方的なもので終わった。  
自分だけ満足を得るのは心苦しい。そう思った俺は丘野にも愛撫を与えた。  
俺たちは互いの体や性器を刺激し合い、性の愉悦を味わった。  
しかし童貞だった俺には女性の体は奥が深すぎた。  
丘野に肉体的な満足を十分に与えられているかというと非常に心もとない。  
それが不満だった俺は後日、丘野に正直に気持ちを伝えた。  
「女はね、イカなくても満足できるんだよ」  
「そうなの?」  
「うん。小笠原がイッてくれたらそれだけでうれしいんだ」  
「丘野……」  
「あとね、あたしを気持ちよくさせようと一生懸命してくれるのもうれしいよ」  
「俺、最初のとき自分だけ気持ちよくなっちゃったし、丘野をイカせられてる?」  
「ううん、その気持ちがうれしいの。そういうもん」  
「……そうなんだ」  
「うん! だからまたしてあげるね!」  
………  
 
丘野との初めての時、そしてそのあとの甘い日々を思い起こしていると自然と頬が緩む。  
それに気付いたのか、丘野が  
「あっ! やらしいこと考えてる!」  
そう指摘した。  
「ち、違うよ! まじめな俺がそんなこと考えるわけないじゃん」  
「じゃあこれはなに?」  
そう言うと丘野は俺のズボンの前をさすり始めた。  
さっきからの一連で興奮したのか、固くなっていたモノに刺激が伝わる。  
「ううっ!」  
思わず快楽の声が出る。  
「感じる?」  
いたずらっぽい目つきで俺の顔を見上げながら丘野が聞く。  
俺は息を荒くしてうなずくのが精一杯だ。  
「窮屈だよね。……出しちゃおっか」  
丘野はそう言うとベルトを緩めようと手を伸ばした。  
俺は丘野の手をどけると、何かに衝き動かされるように自分からベルトをはずした。  
そのまま下着ごとズボンを下ろし、最大に膨脹した一物を丘野の前にあらわにする。  
「すっご〜い、カチカチ」  
丘野の指に握られ、勃起がビクンッと震える。続けて手をスライドさせる丘野。  
「うぁっ!」  
思わず声が出る。熱を持った剛直にひんやりとした指が気持ちいい。  
 
何度か手でしごいて俺の反応を楽しんでいた丘野が、静かに下半身に顔を寄せる。  
俺は期待に胸を高鳴らせ、丘野の次の行動をじっと見守った。  
と、丘野は動きを止め、俺の瞳を覗き込むようにして言った。  
「口でしてほしい?」  
「お願い!」  
見えも外聞もなく懇願する俺。  
丘野はいつもの人懐っこい笑顔を浮かべると、そっと一物を口に含んだ。  
 
くちゅくちゅと音をたてて丘野がほおばる。  
最初は亀頭を中心に唇でしごくようにするのが丘野の手順だった。  
何度かフェラをするうち、丘野は俺の性感帯を把握していった。  
俺は先端の割れ目が弱いと知っている丘野はそこを尖らせた舌先でこじ開けるように舐めた。  
最も弱い部分を重点的に攻められ、俺は歓喜の声を上げつづける。  
丘野の頭に手を置き、髪を撫でながら愛撫に身をゆだねる。  
俺の声や態度で時期がわかるのか、俺が絶頂を迎えそうになると丘野は手を緩めた。  
そして何度も俺を昂ぶらせ、限界近くを行ったり来たりさせて性感をあおる。  
「丘野……もうダメ……出したいよぉ」  
懇願する俺に耳を貸さず、丘野は愛撫を続けたり休んだりして俺をじらす。  
そうした苦痛とも快楽ともつかない時間が過ぎていく。  
 
たっぷりと時間をかけて俺を身悶えさせた丘野が、フィニッシュさせるためにペースを上げた。  
手も使い、今まで以上のスピードと力で勃起に刺激を与える。同時に袋も優しく揉む。  
急速に高まった俺についに限界が来た。  
「丘野…丘野ぉ……イク、イクよ! うっっ!」  
びゅくっ! ずびゅっ! どぴゅっ! どぷっ!………  
精液が奔流となって噴出した。俺は丘野の口内を汚して射精を続けた。  
 
何度目かの脈動が止み、丘野の口中を占領していた剛直が柔らかくなった。  
しばらくそのままでいた丘野は顔を上げると口を開け、たまった精液を見せる。  
丘野の口の中は白くドロッとした液体でいっぱいに満たされていた。  
 
ティッシュを手に丘野に声をかける。  
「ここに出して」  
丘野は胸の前あたりにティッシュを持ってくると、口から垂らすようにして精液を出した。  
銀の糸を引き、丘野の口から出てくる俺の精液。淫靡な眺めだと思った。  
丘野がこんなことをしてくれるのは世界中で俺だけだ。俺はそれがうれしかった。  
 
「いっぱい出たよ! 昨日したのにこんなに出るの?」  
ティッシュからあふれんばかりの白濁に、驚いたような丘野の声がする。  
「ほんとだ。丘野のフェラ、すっごく気持ちよかったからね」  
「えへへぇ。そう? ふふ、褒められちゃった」  
「うん。丘野はかわいいしエッチも上手だし、俺、世界一の幸せ者かもしれないな」  
「えへへぇ……小笠原」  
「なに?」  
「大好き!」  
丘野が俺に飛びついてきた。  
「俺も丘野が大好きだよ」  
俺はそう返すと丘野を抱きしめ、何度もキスをした。  
 

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