その翌日のことだった。  
 ふと見れば、みさきの部屋のドアが少しだけ開いていた。それはあたかもみさきの心を象徴しているかのようだった。  
 昨夜あんなことがあったというのに……。  
 普通ならドアを閉める。それが開いている。偶然とは思えない。つまりみさきは、兄のことを拒否していないと解釈できる。  
 わざと開けておいてくれた……。  
 自惚れではなく、そう思った。だから、ドアノブに手をかけて大きく開いた。  
 みさきはベッドに腰かけていた。室内灯は消えていて、ベッドのヘッド部分に付属している小さな豆電球だけが点いているので、表情はよくわからない。だがみさきからは悲壮感が漂っているふうには見えなかった。  
 部屋に入ってドアを閉め、みさきの横に並んで座った。ほんのりと甘い匂いが鼻腔に這いあがった。  
「昨夜は変なことさせちゃったな」  
 正直に告白した。  
「おれ、どうかしている。この頃、確かにどうかしているんだ」  
 うまく繋がる言葉が出てこない。  
「しようがないわ。お兄ちゃんは男なんだから……」  
 その言葉でさらに安堵感がひろがった。  
 みさきはおれを許してる……。  
 そう思うと急に体から力が抜けて、リラックスした気分になった。それに、みさきの気を遣った言葉もうれしい。  
 
「おれ、お前に男を剥きだしにした、いけないことをやったり、やらせたり……」  
「お兄ちゃんは……」  
 二人の目が合った。みさきはその瞬間だけ、思いつめた表情をした。  
「のぞみお姉ちゃんのこと、好きなの?」  
「そりゃそうだよ。みさきのことだって大好きさ」  
「ううん。男対女の関係で好きなのかって聞いているの」  
「…………」  
 そこまで言われると言葉がつまった。みさきに「その通りだよ」とはとても言えたものではない。  
「おれには、よくわからないよ」  
 そう答えるしかなかった。  
「とても危なく思える時があるの」  
「……危ない? どういうふうに?」  
「私だって女だからわかるの。ちょっとしたこととか、のぞみお姉ちゃんを見ている時の目とか。とにかく、ピンとくることがあるの」  
「だから、それがおれにはわからないのさ」  
 実際に大輔自身、みさきに指摘されたことについてはまったく気づかなかった。しかしみさきの言うことには納得する部分があった。  
「鈍感なんだわ」  
 きつい語調だったので、びっくりしてみさきを見た。みさきもまた見かえしてきた。目には強い光が宿っていた。大輔はたじろいだ。  
「お兄ちゃんは、私のことどう思っているの?」  
 強い口調はつづいていた。  
「だから、好きだって言っただろ」  
「私だって好きだもん。うまく言えないけど、お兄ちゃんが恋人のような存在だったらいいなって思ってる」  
 あまりにストレートな告白に、ドキドキした。告白せざるを得ないみさきのぎりぎりの心情を思うと、いじらしさ、不憫さが胸に痛く突き刺さった。  
 
「だから私、お兄ちゃんにはなんでもしてあげられたの」  
 みさきにさせてしまった罪作りな行為は、大輔にとって甘い思い出だった。あの時のみさきの奉仕は、大輔を恋人、あるいはそれに近い存在として心のなかにとらえていたからできたことなのである。  
「のぞみお姉ちゃんは美人だし、魅力的だから、お兄ちゃんの気持ちが傾くのはわかるわ。でも、駄目。のぞみお姉ちゃんにはお兄ちゃんを渡せない。渡したくない」  
「みさき、おれたち兄妹なんだぞ……」  
「いやっ! 私だって女よ。お兄ちゃんにいろんなことをしてあげたのは、自分の気持ちに嘘をつけなかったからよ。まだのぞみお姉ちゃんとなんでもないのなら、私を……抱いて」  
 横から体をぶつけるようにして抱きつかれると、その勢いに押されて大輔はみさきをかかえたままベッドに倒れこんだ。柔らかな女の肌は熱かった。  
 大輔のなかで、制動に歯止めはきかなくなっていた。強く抱きしめた。二人の唇が重なった。  
 昨夜の鮮烈な体験に欲望の残り火はくすぶりつづけていた。みさきとの危険な会話に刺激を受け、挑発されていた肉体はすぐに反応を示して、一気に勃起した。  
 それを大胆にもみさきの手がしっかりととらえた。パジャマの上からとはいえ、女の手の感触にまさるものはない。  
「ああああ、みさき……」  
 みさきはデリケートな手さばきで、パジャマの布地ごとこわばりを揉んだ。兄に奉仕した時の感じを思いだし、摩擦を繰りかえす。  
 大輔はあお向けになって、すべてを任せる体勢をとった。  
「昨日みたいにして、いい?」  
 妹の積極さを拒むことなど到底できない。大きくうなずいた。  
 すぐにパジャマズボンが、パンツごと脱がされてしまった。  
 またみさきに見られている……。  
 その疼くような感覚が、いっそう肉棒に力を注ぎこむ。  
「ああ……」  
 声をもらしたのはみさきだった。  
 
「どうした?」  
「だって……だって……こんなに大きいんだもん」  
 もうすっかり声がかすれてしまっている。  
「だから女性は大変なのさ」  
「大変なんかじゃない。普通だわ。女はごく普通に受けとめるわ」  
「だって、お前は今、こんなに大きいって、怖そうな声を出したじゃないか」  
 会話そのものが危険をはらんできていた。  
「見た目が大きいからそう言ったんで、私は少しも怖がってなんかいないよ」  
 要領を得てきたのか、みさきの手の動きに次第にスムーズさが加わった。  
 大輔は唸った。正直な声が自然と出た。  
「気持ちいいのね」  
 みさきの目は、大きく膨らんだ亀頭部分の先口にとまった。すでに透き通った液体がこぼれそうになっていた。昨日の噴射が頭のなかに甦った。  
 いつ飛びだしてくるんだろうか。さすがにまだそこまではわかっていない。  
「出そうだよ、みさき……」  
 赤い顔をして天井を見つめ、シーツを掴み、ヒップをいやらしく動かす兄を、心底から可愛いと思った。  
 あたりを見まわした。なにもない。右手を動かしつづけながら、みさきは左手ひとつでパジャマズボンとパンティを脱いだ。  
「ああああっ」  
 大輔の腰が激しく躍った。みさきは脱ぎ捨てたばかりのパンティで亀頭を覆った。手のなかで肉棒が一気に膨張し、跳ねた直後に、パンティはまるで水でも注がれたようにぐっしょりと濡れた。  
 パンティの薄い布地に染みこんだ精液が、生温かさを手のひらに伝えた。みさきは急速に萎えていく肉棒を、いかにも不思議そうな表情でいつまでも眺めた。  
 
 それからみさきはパンティをベッドの下に置き、代わりにパジャマのズボンで、まだ未練げにひくつきながら白いスペルマをタラタラと流しつづけている亀頭を、何遍も丁寧に繰りかえし拭き清めた。  
 そうしながら、何度も太腿の付け根をもごもごと擦り合わせた。女の秘園は生々しい現実を見たことで興奮し、燃えるほど疼き、そして濡れそぼっていた。  
 大きくなったり、小さくなったり……とても可愛い……。  
 そんな思いが、執拗な拭き方となって表われた。当然、肉茎は刺激を受ける。それに、みさきのいじらしいほど感情のこもったやり方や表情を見ていたことで、大輔の気持ちの高ぶりも大きかった。  
 心身両面の刺激は、ほんの少し前に吐射したばかりの分身を甦らせるのに充分な役割りを果たした。  
「ああ……」  
 みさきの感嘆の声と、復活しつつある肉棒に注がれた目を見ていると、大輔の内部に荒々しい風が吹きはじめた。  
「みさき、おいで」  
 その呼びかけにみさきが反発すれば、潔く引きさがるつもりだった。なのにみさきは、ちょっとはにかんだ表情をすると、すぐに大輔の横に身を横たえた。まるで新婚の夫に呼び寄せられた初々しい新妻のようだった。  
 大輔は激しい射出のあとなので気持ちには少しゆとりがあったが、あえて手順を踏まず、いきなり妹の下腹部に手を伸ばし、内腿を割るようにして亀裂周辺をまさぐった。  
「ああン……」  
 両腿がきつく閉じられたのもほんの一瞬で、大輔の指先が蠢くと、みさきはフーッと熱い吐息をついて、だらしなく両腿から力を抜いてしまった。  
「お前、こんなに濡らして……」  
 大輔の驚きには、男としての喜びが含まれていた。  
「だって……自然と濡れるんだもん」  
 しがみついてくる妹を抱きしめながらも、下腹部に這わせた指先には自分の意志をこめて終始、動かしつづけた。  
 
 年端もいかない美少女にも快感はある。腰が妖しく躍った。大輔の指先はともすると柔軟な粘膜に絡みつかれそうになる。  
「お兄ちゃん、気持ちいい」  
「もっとよくなっていいよ」  
「あああーン……お兄ちゃん」  
 しかし指先は、ほとんど膣の入口あたりで強い抵抗に出会った。小さな窪みのようなものが感じられるが、遮る力が強くてそれ以上の侵入はいかんせん無理だった。仕方なくふくらみに向かって亀裂を逆撫でることにした。  
 中指の腹が偶然にも包皮をめくり、肉芽を刺激する結果となった。少女の腰の躍動が、一段と顕著になり、愛汁が奥から溶けだした。大輔の指先ははっきりとそれを感じ取った。  
 可愛い妹が興奮しているという事実に、大輔は狂喜した。兄という立場を忘れ、自分が独り占めしたいと思った。他の男に妹のこういう女らしさを知られたくないと思った。  
 それが道徳的観念や倫理的な考え方を彼から奪い去った。現実的な一人の男になっていた。  
 もう言葉は必要ない。行動だけが残されていた。  
 みさきがいやがればやめるつもりだったが、実際そうなってみれば、狂暴になって自分の欲望だけを先行させていたかもしれない。しかし、みさきは無抵抗だった。大輔の望んでいることを無言のまま受け入れたのである。  
 大輔がみさきの下半身へ移動しつつある時、本人が望まないならすぐに意思表示するはずだ。それがまったくないばかりか、ずりさがるにつれて、みさきの両脚も少しずつ開いていった。  
 おれに奉仕するつもりなんだろうか? それともみさき本人も望んでいることなのだろうか?……  
 考えてみたが大輔にはわからない。ただ、女の子といえども性的欲望があることは理解できる。  
 細くくびれたウエストや、可愛らしいヘソを見ていると、溌剌とした若さを感じた。  
 
 さらにさがってふくらみをまともに見ると、急にみさきがなにもかも承知している熟女のように見えてきた。しかしふくらみを覆う茂みの少なさに、なぜかホッとするものを感じた。  
 いつだったか大須賀が、女の多毛はホルモン過多で淫乱と教えてくれたことがある。すべてがそうとは言いきれないが、一応の理屈としては理解できる。  
 みさきの鼠蹊部の切れこんだ奥からは、明らかに女を意識させる匂いが立ち昇っていた。鼻先で擦るようにして恥毛をそよがせると、両脚が震え、そして揺れた末にまた大きく開いた。  
 指先で亀裂を覆っている陰唇をめくりあげた。露わになった割れ目が小刻みに痙攣し、奥から露がスーッと垂れて会陰部のほうへ消えた。  
 大輔はいろいろの方法を考えた。なによりも苦痛や恥ずかしさを与えないで愉しみたい。  
 下半身は剥きだしでも、まだパジャマの上は着ている。全裸にして若い肉体をすべて網膜に灼きつけたかったから、座り直して上衣のボタンをはずした。  
 みさきはどういうわけか大輔を見ている。今、自分がされていることに無関心というか、気がつかないというか、そんな感じだった。ただ、目には少女らしからぬ光が宿っていた。  
 非難されていると思ったが、そうではなかった。上衣から腕を抜く時、みさきは協力するように自ら両手をくぐらせたからである。それだけではない。上衣をベッドの足もとへ投げてしまった。  
 シーツに横たわっているのは、まぎれもなく16歳の女体だった。  
 大輔は何年も前、いつもみさきと一緒に入浴していた頃を思いだした。洗い椅子の上に座り、大輔が体の隅々まで洗ってくれるのを待っている。あの頃とよく似たみさきの態度だった。  
 大輔の心に、罪悪感がかすめた。だが彼自身、もう歯止めがきかないことはわかっていた。  
 みさきだって、ここまできた以上は、望んでいるのかも……。  
 そんな都合のいいことを何度も自らに言い聞かせ、乳房を手のひらにくるんだ。  
 深い溜め息がみさきの口からもれた。  
 
 女の生臭い匂いを、大輔は敏感に嗅ぎ取った。  
 軽く揉みながら、もう一方に舌先を向けた。ピクンッと動いたきり、静かになった。だが両方の乳首が急速に硬くしこってくるのを手と舌が感じ取った。  
 すると、それまで静かだった女体にうねりが押し寄せた。顔を左右に振りながら、みさきは両手を宙に泳がせる。胸が大きく反りかえる。  
 大輔は再びずりさがると、すぐに潤いを増している秘唇をめくり、唇を押しつけた。  
「あ、そんな……」  
 舐められるという行為は、まだ16歳の少女にとってはショッキングなもののようだ。あわてて頭を下腹部から引き剥がそうとしたが、その力は急速に失われた。曖昧に後頭部を撫でまわすだけである。  
 ところが、腰はせりあがる。下半身を兄の舌に押しつけた。  
 それにつれて、曖昧だった手の動きに、はっきりと意志が表われた。後頭部をまさぐっていた手が、今度はかかえこんで引きつけた。  
「ああン……」  
 自分の行動や、声を出していることも、みさきには自覚がないようだ。快楽を得たいという女の本能が、知らぬ間に行動や声に表われたのだろう。  
 大輔は欣喜雀躍し、丹念に舌を使った。陰唇をめくっては愛汁をすすり、時には鼻の先端でクリトリスらしき肉の突起を摩擦した。  
 本当に処女だろうか……。  
 そんな心配をしたのは、あまりにも愛液の湧出が激しかったからだ。  
 舌を膣口にくぐらせた。少しだけ内部のぬるついたあたりを小突くのだが、どうしてもそれ以上は壁のようなものに遮られて前に進めない。なのに溢れでる愛液はすさまじい。  
 妙な矛盾を感じつつ、指先も動員することにした。ツルツルの愛液の助けを借りて粘膜を掃くと、ついにヒップが躍った。  
「クッ……クッ……」  
 喉の奥で鳩が啼くような声を出す。おそらく必死に歓びの声が出そうになるのを耐えているのだろう。  
 
 可憐さと小妖精の悪魔的魅力が同居しているその姿が、17歳の若者にどれだけのエネルギーを注ぎこんだことか。  
 とうとうみさきは半ば泣きだした。感きわまった涙であることは疑う余地がない。  
 どれほどの歓びが妹の体を包みこんでいるのか、大輔は知りたかった。男の呆気ない放出の瞬間の歓喜よりも何倍、いや何十倍も素晴らしい感覚が訪れているに違いない。  
 そうしてやっているのが自分だと思うと、そのこと自体も男の喜びとなる。  
 男は射精だけを目的にするなんて、愚の骨頂だな……。  
 大輔は今、もっとも基本的な性的技巧のひとつを学んだのだ。疲れなど微塵も感じなかった。  
 可愛いみさきを、もっともっといい状態に高めてあげたい。もっと気持ちよくさせたい。昨夜や先ほどのみさきの健気な奉仕の返礼とばかりに、舌と指を駆使した。  
 気持ちはストレートにみさきに伝わり、それが具体的な形となって表われた。  
 洪水さながらの愛液。うねる女体。嗚咽しているかのような歓びの声。すべてが大輔にはたまらなく刺激的であったし、うれしかった。  
 顔も手も、みさきの女体から溢れでた愛液で濡れた。部屋には、いかにも甘ったるい少女の匂いを駆逐した強烈な性臭が生々しく充満した。  
 おっ!?……  
 ふと視線をあげた大輔は、胸の内で驚きの声をあげた。  
 切なくてたまらないといった感じで、みさきの手が乳房を握りしめていた。しかも両方の乳首が人差し指と中指の股の部分から頭を出している。ピンク色の美しい乳輪の中央に埋もれていたものだ。  
 無意識にそうやっているのか、もっと強い快感を求めて意識的にやっているのか定かではないが、いずれにしても煽情的な光景であった。  
 大輔は陰茎の痛みに気づいた。大袈裟ではなく、今にも張り裂ける感じである。  
 
 カウパー腺液が亀頭だけでなく、幹からさらに睾丸をくるんだ袋にまで垂れて、ぐしょぐしょに濡らしていた。それを見ると、やはり限界が近いことを知った。  
 こんなに膨らんでしまったものが、挿入できるんだろうか?……  
 みさきの秘密の花園があまりにも狭小なために、その心配は兄として当然だった。  
 痛ましい気がする。しかし女の身として必ず経験しなければならない関門である。他人には任せたくない。みさきだってそのつもりになっているから、こうしてすべてをさらけだして横たわっているのではないか。  
「みさき、そっとするからね。力を抜いて」  
 しかし大輔のほうが緊張していた。  
 中腰になった。力の限界を示すかのように屹立している肉棒は、ヘソに向かって下腹にほとんど張りついている。それを引き剥がすようにして、やっと膣口に当てがった。  
 ヌメッとした生温かい感触が伝わると、ゆっくり押した。  
「あっ……」  
 小さく叫んだみさきが上にずりあがって逃げた。だが両手は宙に泳いでいる。  
「みさき、やめてもいいんだよ」  
 果たしてその時「やめて」という返事がかえってきても、やめられたかどうか。いや、絶対できない相談である。  
 みさきはかすれた声で「いいの、きて」とだけ言った。  
「ごめん」  
 また押した。みさきは逃げないで、しっかりと大輔の腕を取った。  
 押した。みさきの顔がのけ反った。メリッと音でもたてそうにして、亀頭部分が肉襞のなかに沈んだ。  
「ああっ、みさき!」  
 火照った肉壷がこわばりを絞りあげた。  
 歯を食いしばって堪えているみさきに、これ以上長い苦痛を与えたくない。大輔はもう一度「ごめんよ」と小さく叫ぶと、思いきって腰を沈めた。  
 
 それまで壁にぶち当たっていたようになにかが遮っていたのだが、それが一気に取り除かれた。  
 入った!……  
 肉茎はほとんど根元近くまで赤い肉の裂け目の奥に姿を消していた。  
 夢中でしがみついてくるみさきがいじらしい。可愛くてならない。しがみつくという行為で、股間に生じている苦痛を忘れようとしているのだろうか。  
 おっ!?……  
 肉棒にじっとりまつわる粘液を感じた。  
 ひょっとすると!?……  
 それは、今までのヌルヌルしたものとはどこかが違っていた。大輔はゆっくりと胸を重ねた。そして少し上体を揉んだ。そうすることでひしゃげた乳房を刺激し、乳首を揉んだ。  
 みさきの体は時折り震えた。それが苦痛からくるものか快感がもたらすものか、大輔には見当がつかなかった。  
 脚が大輔の重みによってさらに開いた。  
「まだ痛いかい?」  
 おそらくみさきは処女だったという確信に近い気持ちが、彼を優しくいたわりのある人間にさせた。  
 みさきはきつくしがみついたままうなずいた。  
 苦痛に馴れてくると、大好きな兄とひとつになったという充足感に酔った。それが陶酔となり、恍惚感となった。  
 実質的な快感とはほど遠いものであったにもかかわらず、大いに満足した。  
「ああ、みさき……おれ、もう……」  
 兄のうわずった声が耳に心地よい。そしてその声がなにを意味しているのかがおぼろげながらわかった。  
 ぎごちなく大輔は腰を遣い、何度か抽送らしきことをした。しかし、もはや迫りくる快楽の波に打ち克つことはできなかった。  
「みさき、出る! 出るよ」  
 異様に興奮した声と同時に、肉棒が胎内で強烈に打ち震えた。  
 16歳の美少女の奥深いところで熱いスペルマが放たれた時、みさきは至福のなかにいて、男の歓びの精をしっかりと受けとめた。  
 
終  
 

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