「中里さん…」  
 紅に染まった誰もいない教室の中。開け放した窓からは、文化祭の締めくくりのイベント、フォークダンスの軽やかな曲が聞こえてくる。  
 不要となった飾り付けを燃やす、暖かな炎に彩られ、周囲を踊る級友達の顔には、祭り独特の高揚感の中にあっても、一抹の寂しさが垣間見える。  
 後片付けを済ませた僕らは、二人並んでその情景を眺めていた。  
「終わっちゃったね」  
 呟いた彼女の横顔が、とてもさびしく見えて、僕は後ろからそっと彼女を抱きしめた。  
 初めて触れた彼女の身体は、とても小さかった。腕の中にすっぽりと収まってしまった彼女は、少し身を固くしていたけれども、ふっと息を吐いて身体を預けてきた。そして、彼女を包む僕の手に、ためらいがちに自らの手を重ねた。  
「……」  
「……」  
 暖かくも無言の時が過ぎる。  
 外からは後夜祭の喧騒と熱気が伝わってくる。  
 そして、僕のお腹辺りにある彼女の背中からは、熱いほどに響く、彼女の鼓動が伝わってきていた。  
 表情は見えないけれども、見下ろした彼女の耳が真っ赤になっているのは、夕日の紅のせいではないだろう。  
 
 彼、小笠原雅人の胸に身を委ねてみれば、ちょうど耳の後ろから、彼の命のリズムが聞こえてくる。そして、それはどんどん力強く、早くなってきていた。  
 佳織がこれまで意識したどんな男子よりも、彼の事が好きだった。どうしようもなく、好きになってしまった。  
 ごく普通の男子生徒、文化祭を手伝ってくれたとても親切な男子。クラスの男子が苦手だった佳織にとって、彼は特別だった。小さい頃から、チビと言われてきた。中学生になっても、高校生になっても、佳織は背の順で並べば常に一番前だった。  
 当然、男子には相手にされなかった。恋愛対象として見られない佳織は、想像の世界で恋愛をした。ああだったらいいな、こうだったらいいな。理想の相手を描き、形にし、文章の中で多くの男子と恋愛をした。  
 そして、恋に恋した佳織は、ごく普通の生徒・小笠原雅人に恋をした。  
 
 最初は同情だったかもしれない。可愛いなと思った事もある。小動物の様な可愛らしさだ。妹の君子よりも小さくて、いつも全身で頑張っている彼女を守ってあげたい、この子の力になってあげたいと思うようになっていた。  
 そして今、その気持ちは彼女自身に向けられていた。彼女がとても愛しい。この気持ちを伝えたい。彼女を包む腕の力が徐々に強くなっていく。  
「中里さん」  
「…うん」  
「好きだ」  
 ぴくりと肩が震える。  
「わたしも、大好き」  
 ためらいがちに、でもしっかりと意志のこもった言葉。思わず彼女を包む腕に、力が入る。  
 胸に頬を寄せていた彼女が振り仰いで、目と目が合った時、自然と彼女との距離が縮まっていった。  
 
 佳織との距離がゼロになるその瞬間、ガラリと扉が開いた。  
「あれ、小笠原君だけ?」  
「沢田さん……」  
 入ってきたのは佳織の友人、沢田璃未だった。  
「中里さん見なかった?」  
「い、いや別に。見なかったけど」  
「そう」  
 彼女は教室をぐるりと見回すと、佳織ったらどこに行ったのかしらねと言いながら出て行った。  
 
 その足音が聞こえなくなるまで、佳織は雅人の背中に隠れていた。大好きな彼の背中に寄り添いながら。  
「行った?」  
「多分。いいの? 沢田さん、探していたみたいだよ」  
「いいの、親友の璃未ちゃんにもヒミツ」  
 わたしは恋に生きるのだ〜。くふふと笑って、いたずらっぽく言う。  
「でも……見られちゃったかも?」  
「いや、大丈夫だと思うよ。たぶん」  
 開け放った窓に手をついて、中里さんに合わせようと屈んでいた僕の陰になっているから、見えなかったと思う。  
「小さいって、こういう時には便利ね」  
 ふわりと微笑んだ佳織の顔がまともに見られなくて、雅人は視線を泳がせる。佳織は照れている雅人がとても愛しくて、彼の胸の中へ飛び込んだ。彼の背に手を回す。大きくて、厚い胸板が、彼の『男』を感じさせた。  
 
 見上げれば、暖かい笑顔があった。  
 佳織は目をつむって、精一杯背伸びする。  
 彼女が背伸びをしたところで、彼の首あたりにも届かない。  
 でも、少しでもその距離を縮めたかった。  
 
 暖かい彼の息遣いがした。そして、熱く柔らかくも力強い彼の唇を感じた時、佳織の背中を痺れる様な感覚が突き抜けていった。  
 キス…しちゃった。ぼぅっと放心状態の佳織は、彼の目が自分を見ていることに、半ば夢見心地で見つめ返す。想像していたよりも、ずっとずっとすごかった。もっともっと、何も考えられないほどに気持ちよかった。  
 
 ――これが、好きな人とするキスなんだ。  
 
 キスしながら、彼の手が私の髪をやさしく撫でてくれる。覆い被さるように腰に回ったもうひとつの手は、彼のもどかしさを伝える様に、背中を撫でさする。  
 身体中の感覚が、私のすべてが彼を欲していた。  
 
 何分経ったのだろうか。もしかすると10秒にも満たなかったかもしれない。  
 唇を離して、見詰め合う。  
「好きだよ、佳織ちゃん」  
「私も大好きだよ、雅人くん」  
 ふたりで見詰め合うって、とても恥ずかしいけど、でもとても暖かい。ふたりとも、自然な笑顔でいられる、これが幸せな気持ちなのだろうか。  
 
「キス」  
「え?」  
「もっともっと、キスしたいな」  
 普段の佳織からは想像も出来ない様な言葉に、驚きつつも考えている事は同じだった。  
「うん」  
「きゃっ!」  
 腰に手を回して、膝の下に手を入れて彼女を抱き上げる。背を屈めて、腰を落としてようやく彼女と同じ高さになれる、小さな、でも愛しい彼女。だから、今はこうしたい。  
「ほら、こうすれば一緒だ」  
「うん。こんなに近くで見たのって、初めてかも」  
 雅人君の首に手を回して、こんどは私から唇を重ねていく。  
 胸の奥がきゅーんと音をたてて縮んでいくような感覚。それでいて暖かい気持ちが次から次へと湧いてくる。心臓が破裂しそうで、それでも安らいでいる私のこころ。  
 
 好き、好き、大好き!  
 どんどん興奮してくる私の身体。求めても、求めてもまだ足りない。もっと繋がりたいと願う私の口腔を割って、彼の舌がするりと入ってきた。  
 彼女と唇と唇で、舌と舌で、もっと深く繋がりたかった。  
 
 一度触れてしまえば、あとは決壊したダムの様に、強烈な衝動が僕自身を突き動かす。触れれば触れるほどに興奮が沸きあがってくる。上から噛み付く様にして、彼女の唇を、歯茎を、口腔内を貪る。  
「ん、んっ…ううっ」  
「はぁ、はぁ、はぁ」  
 息をするのももどかしく、彼女の舌が、触れては離れ、追いかけた僕の舌に絡まってくる。もっと近くへ、少しでも奥へ、彼女の両腕が僕の首を抱き寄せる。  
 歯と歯がかち、かちとぶつかり合う。それでも醒める事は無い興奮に包まれて、僕と彼女はひたすらに抱き合い、貪りあい、舐めあい、絡まりあって、互いが互いの繋がりをひたすら求める。  
 半眼の彼女の頬は熟れたトマトもかくやという如く、真っ赤に染まっていた。熱に浮かされた彼女の表情は、とても淫靡で、僕は尽きる事無い興奮の渦の中へ落ちていく。  
 腕の中の彼女の体温が、熱いくらいに感じられ、僕は激しく勃起した逸物を、発情したオス犬の様に、彼女の腰に擦りつけている事に気付いた。  
 
「ぷぁっ…ん、じゅる…」  
 上から私に噛み付く様にして、唇を蹂躙する愛しい彼。彼が舌を絡ませるたび、彼の口腔から、熱い唾液がトロリと落ちてくる。それに吸い付き、嚥下すると、咽の奥がカーッと熱くなり、その熱さは胸の中からお腹へと降りていく。  
 彼の体液をお腹に感じた時、下腹部がきゅぅっと奮えた。尾底骨から湧き上がるさざなみの様な感覚が、じわりと下肢まで広がっていく。  
 口腔に向けられていた意識のうちいくらかが下半身に向けられ、興奮し切った自分の陰部の状態を伝えてきた。  
「(わたし……すごく、濡れてる)」  
 好奇心から自分で触った時も、雅人を想像して触ってみた時にも、こんなに濡れる事はなかった。  
「(キスだけで、こんなに濡れちゃうんだ)」  
 口内に溜まった彼の唾液をねぶるようにかき混ぜる。彼のニオイ、彼の味、彼の体液が私の口腔で立てる音。とてつもなく、いやらしい粘膜の音。  
 
 彼の舌が私の歯に触れる、それを追って、私の舌が彼のしたにチョンと触れると、一緒に身体がぴくりと震える。彼も私と同じく感じている。その事実に私の興奮は、収まる気配も見せずに、ひたすら彼を欲していた。  
 存分に撹拌(かくはん)され、熱くたぎった私と彼の体液を飲み下すと、まるでその体液がそのまま出てきたかの如く、女陰からはとめどなく粘液を吐き出していく。愛液は尻へと流れ、下着の中から溢れて下肢を濡らす。  
 どこもかしこもドロドロのグチャグチャだ。熱病に浮かされ、興奮に白く煙る視界の中で、佳織はそんなことを思った。  
 …でも、すごく気持ちいい。  
 
 彼女を抱える腕が、彼女の興奮を伝えてくる。佳織は断続的に身体を震わせ、絶頂に至る大きな波に乗ろうとその感覚に身を委ねていく。  
「もっと…」  
 顔を離して、頬を舐め、吸い付き、耳をねぶる。髪から彼女の匂いが立ち上り、その匂いにくらくらする。彼女の愛らしい額にキスをして。抱きしめる。  
 お返しとばかりに首筋にキスをする佳織。そしてまた見詰め合っては唇を重ねあう。  
 ん、んぅ…ぺちゃ、じゅるっ。  
 二人が奏でる淫靡な音が、更に二人を高めていく。  
 彼のワイシャツの下、筋肉質な胸に、自分の胸を擦りつけていく。ブラの下の乳頭は固くしこり、生地と擦れるたびに、今の佳織には強過ぎる刺激が走る。  
 そして、身体中敏感になった小ぶりの尻肉に、本能に突き動かされた雅人の、熱くたぎったペニスが突き刺さる。  
 その熱い男を感じた瞬間、頭の中が白くチカチカと瞬き、身体中を掻き回されるような衝撃が駆け巡った。  
「〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」  
 無言の悲鳴ともつかない叫び声を上げて、中里佳織は生まれて初めての絶頂の中にあった。  
 
 首に回った佳織の手が、凄い力で締め付けられ、そしてふっと力が抜ける。  
「…ぁ……」  
「……中里さん?」  
 腕の中で、がくがくと身体が若魚の如く跳ねた後、力を無くした佳織が、ずるりと落ちそうになる。あわてて抱え直した雅人の腕に、熱い何かが当たっていた。  
 それは彼女の白い太股、ふくらはぎを伝い、靴下と上履きを濡らしながら、リノリウムの床へと広がっていく、金色の液体。  
 
 腕の中の佳織を見れば、真っ赤な頬を寄せたまま、荒い吐息を繰り返す彼女は、瞳を半開きにしていたが、何も見えていない、何も気付いていない様だった。  
「イッちゃったんだね、佳織ちゃん」  
 その事実が逆に、熱に浮かされた頭を正常に働かせた。彼女をこのままにしておくことはできない。またこの教室に、誰かが来るとも限らないのだ。  
「中里さん、中里さん!」  
「……」  
 駄目だ。眼は半分開いているけど、意識が飛んでいる。逡巡している間にも、スカートの沁みが黒く広がっていく。意を決すると、彼女を床に寝かせて、スカートのホックに手を掛ける。  
「ごめん、脱がすよ」  
 聞いていないと思いつつ、ひとこと断ってから、するりとスカートを脱がす。薄暗くなった床の上に、どこまでも白い佳織の下肢が、浮かび上がるように現れる。  
 
 バッグの中にあったスポーツタオルを手に取りながら、ごくりと唾を飲む雅人の視線は、細かな刺繍のされた下着に釘付けになった。  
 濡れて貼り付いた白い下着は、密やかな下叢も露わに、彼女の慎ましい筋を浮き彫りにしている。ゆっくりとした呼吸に合わせて、快感に奮える下腹部からは、また違った粘性の高い液体がべっとりと濡らし、蒸せるような彼女の匂いが立ち上ってきた。  
 その甘く匂いに反応したのは、未だ衰えぬ興奮の中にある男根だった。  
 しかしその衝動を無理やり押さえつけ、彼女の濡れた下肢を、タオルで丁寧に拭いていく。初めて触れた彼女の白い下半身は、薄暗くなった教室の中、どうしようもなく美しく、また興奮を誘った。  
「…あ」  
「大丈夫?」  
「わたし…すごく気持ちよくって、それで…えと…」  
 ぼぅっとした彼女の言葉のひとつひとつが、彼の下半身に響いていく。まるでそこに心臓があるかの様に、どくん、どくんと脈打っていく。今すぐにでも、彼女の幼くも花開きつつある肢体を貪りたい。その衝動を押さえ、言葉を早く継いでいく。  
「もうすぐ終わるから、ちょっと待っててね。すぐだから、だから待ってて」  
 その言葉に、何か感じるものがあったのか、佳織の表情が素に戻っていく。  
「や、やだ、なんで? あ、私っ!!」  
 顔を覆って、雅人の視線から逃れようとする佳織。だが下半身に力が入らないのか、思うように動けない。  
「腰が…抜けちゃった」  
 
「できるだけ見ないでするから。すぐすむから」  
 雅人は佳織に言いつつも、自分に言い聞かせる。その言葉に佳織は微笑んで言う。  
「…うん、お願い。それとね」  
「なに?」  
「下着、気持ち悪いから…」  
 
 彼女の腰骨の出っ張りにかかった下着の横に指を入れ、腰に力の入らない彼女の尻の下に手を入れ、濡れて貼り付いた白いショーツを、ずるりと脱がせていく。  
 濃厚な彼女の匂いが、雅人の頭に血を上らせ、極度の興奮が、視界を赤で染めていく。  
 まだ成熟し切っていない少女の身体、しかしふっくらとした恥丘には薄めの陰毛が濡れて張り付いている。その下の筋間には、赤く充血した女陰が呼吸と共にゆるやかに蠢いていた。  
 そして、吐き出した愛蜜は名残を惜しむ様に、下着のクロッチと女陰の間に、銀色の橋を渡していた。  
「(見てる、私の…を、雅人君が、すごく興奮してる)」  
 膝を着いている雅人の股間は、激しく勃起した男根が、ズボンを突き破ってくる様に屹立していた。  
 雅人は、佳織の濡れた下着を、どうにか足首から抜き、手持ちの手ぬぐいの間に包んで置いた。そして、佳織を見ないようにして、タオルを渡す。  
「はい、これで拭いて。終わったら着替えよう、体操服とかある?」  
「うん……」  
 渡されたタオルを持って、でも佳織は動かない。  
「……ねぇ」  
「なに?」  
「力、入らないみたい。だから、お願い」  
 
「ごめんね、こんなこと…」  
「いいよ、大丈夫。中里さんのお願いなら」  
 一度は醒めたと思っていた興奮は、佳織の一言で再燃する。佳織の格好は、まるでおむつを替えられるのを待っている赤ちゃんの様だ。  
 しかし、顔を腕で覆い、表情を見られないように恥じらっている姿は、まさしくクラスメートの彼女そのものだ。全ての仕草、言葉の一言一言が、雅人を興奮させる。  
 腰に手を入れて、形のいい小振りの尻肉を丁寧に拭いていく。  
「……ん…んっ……ぁ……」  
 声を出さない様にしているのだろう。しかし佳織の白い肌が、雅人が触た部分が興奮に赤く染まっていくのを見れば、一目瞭然である。  
「…やだ…」  
 佳織の小さな呟きの意味を、雅人は手に感じていた。  
 花弁から溢れた白く濁った粘液が、再び彼女の陰部からトロリと尻へ伝い落ちていった。  
 
 雅人が丹念に、赤く充血した粘膜の上を流れる愛液をふき取っていく。そのソフトな刺激がしかし、強い快感に慣れていない佳織の身体の中に吹き荒れ、彼女を翻弄する。  
 手の隙間から見れば、何かを堪える様にして、しかし彼女の襞に自分の存在を刻み付ける様に、雅人は佳織の女陰を一心に拭っている。  
「雅人くん」  
「あ…な、なに?」  
「雅人くんのそこ、苦しそう。だから…」  
「佳織ちゃん!?」  
 はじめて手で触れた雅人の逸物は、ひたすらに熱かった。  
 
「すごい、こんなにおっきいの?」  
 窮屈なトランクスから開放されたペニスが、先走りを溢れさせながら、びくん、びくんと脈打っている。恐る恐る触れると、ぴんと張り詰め、反応する。  
「(これが…雅人くんのオ○ンチン)」  
 触れては離し、触れては離しを何度か繰り返し、思い切って真中あたりを握ってみる。その瞬間、手の中のペニスが凄い勢いで脈動した。  
「…ぅっ!」  
「きゃっ!!」  
 張り詰めた亀頭から飛び出す白濁は、彼女の顔に、髪へと降りかかっていく。  
 極度の興奮状態を抑え続けた彼の状態は、溢れる寸前の状態だった。そして佳織の小さな手が自分の赤黒い肉棒を握った途端、呆気なく精を放出してしまっていた。  
 佳織は初めて目の当たりにした男の生理現象に、最初は驚いたものの、血走っていた雅人の表情が、射精と共に気持ち良さそうなものに変わっていくのを見て、胸の奥に暖かい気持ちがじわりと広がっていくのを感じていた。  
 そして、精液の強烈な匂いに反応したのか、膣内から愛液が溢れて太股に伝い、落ちた。  
 
 駄目だ、全然収まらない。  
 放出を終えた雅人は、動けないまま精液を浴びてしまった佳織の惨状を見て、大いに慌てた。近づけていた顔には勿論、おさげにした髪から制服の胸元まで、これでもかという量の体液がかかっている。  
 しかしびっくりした表情のまま固まっている佳織の手は、雅人の肉棒を握ったままだ。  
 しかもその屹立は、あれだけ放出した後だというのに、一向に収まる気配が無い。  
「佳織ちゃん…手を離し…っ!」  
 ペニスを握る手が、彼自身の精液を潤滑剤にして、ゆっくりと上下に動く。  
「もっと…」  
 佳織の精液が口元を伝って落ちる。それをぺろりと舐め上げ、佳織は興奮に濡れた瞳を雅人に向ける。  
「私のアソコ、綺麗にして」  
 
 雅人の肉棒を、未だ下半身に力が入らない佳織の右手が握り、上下に擦る。  
 佳織の花弁を、雅人の右手が、その形を確かめるように、刺激していく。  
「あっ…」  
 亀頭に指を這わせると、びくりと奮える雅人。佳織が雅人の感じるポイントを刺激すれば。  
「やっ、そこ…し…げき、強い…っ!」  
 小陰唇をなぞり、谷間の上部でつんと主張しているクリトリスを、雅人は指で軽くつまんでみる。  
 性感を、快感を与えつつも貪り合う二人は既にどろどろだった。雅人の2度目、3度目の放出はすぐに訪れ、ペニスから手を離そうとしない佳織の全身にぶちまけられていった。  
 佳織も精液が浴びせ掛けられ、恍惚の表情を浮かべる雅人に触発されるように、小さな絶頂に何度も達していた。  
 そして、佳織の感じるポイント、強弱を覚えてきた雅人の指が、彼女の花弁を割り開き、尿道口を刺激した時に、力の入らない彼女の腰が跳ね上がる。  
「や、そこ、ダメ……ん…」  
 佳織の興奮が、肉棒を握る手にダイレクトに伝わってくる。雅人の腰が無意識に前後し、快感に翻弄され続ける佳織の手に擦りつける様にして、佳織をイかせるために、人差し指と中指を、興奮を煽る様に、跳ね上がる腰の動きに合わせて刺激していく。  
「…ん……ン……ッ……!!!」  
 佳織の身体が弓なりにしなる。つま先を立てる様にして、腰が浮き上がる。  
 そして、ドロドロに濡れた佳織の股間から、また金色の飛沫がアーチを描いた。  
 
 何度目か判らない射精を終えた後、くたりと落ちた佳織の身体を抱えて、洪水の範囲から逃げた雅人が目にしたものは、普段の教室からはあり得ない光景だった。  
「……とりあえず、掃除しないとな」  
 
 
 教室の掃除を終えた雅人を、ジャージの上下に着替えた佳織が待っていた。  
 部室棟の隅にあるシャワールームで身体中を洗い流し、さっぱりとした表情になっている彼女は、いつもの通りの彼女に見えた。  
 時間が無かったのか、いつもは三つ編みに結っている横髪を下ろし、ヘアバンドで留めている。  
「中里さん」  
「なあに、小笠原君」  
「一緒に帰ろう」  
「うんっ!」  
 微笑んだ彼女は、僕の隣にいる。いつもよりもずっと近くにいる。  
 それがとても嬉しい。僕の肩よりも下にある彼女を見下ろすと、振り仰いだ彼女はふわりと微笑んだ。  
「ね、雅人くん」  
 名前で呼び合うのは、二人だけに通ずる、何かのサイン。  
「なに?」  
「これからさ、もっともっと、いっぱいいっぱい気持ちイイ事しようね!」  
 
<fin>  

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