「CyclingLagoon」  
   
その夏、久夏にとびきりエロい奴がいた。  
そいつは一夏限りの性春を、5速全開で抜けてったんだ。  
一緒に帰ってた奴ら、口を揃えてこう言ったね。  
『あいつは、セクハラトーカー……。恥知らずの大馬鹿野郎だ』ってね……  
   
世間話は終わりさ……。  
私たちの下校は、始まったばかりなんだ……。  
   
「桐屋さんって、足がキュッと引き締まってるね」  
「冗談じゃねえ……」  
「エッチな夢って見たことある?」  
「PASSさ……」  
「桐屋さんの感じる所ってどこかな?」  
「SPEEDの向こう側……」  
「東京特許許可局って言ってみてよ」  
「横浜最速伝説……」  
「好きな男のタイプとかある?」  
「遅い奴に、ドラマは追えない」  
「桐屋さん、好きだ」  
   
嘘みたいだった……。  
私の手が震えてるんだ。パンツの中が汗ばんでる。  
パンツを脱いで、アレを入れる。  
 
熱くなった子宮をかき回さなきゃ、どうにかなっちまいそうだった。  
聞こえてくるのは湿ったピストン音と、風に混じった黄色い歓声……。  
ギャラリーしてた奴らが、口々に……ざわめいてやがる。  
   
「路上でヤッてるのは誘うレベル1の桐屋だ!」  
「告白されたその場でファックなんて、どうなってるの?」  
「これで開始何日目じゃ!? サマデ最エロ神話も生きとるのう!」  
「たしかに、九年前の天野よりも早いかもね」  
「久夏最速の女……桐屋里未。新たな伝説の始まりだなッ!!」  
   
熱い風に、溶けてく……  
伝説の始まりを告げる……夏を讃える声の群れが……  
   
「凄い凄い! 速い速い! さすが男の子〜〜ッ!!」  
   
〈The Summer Completed>  
 

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