冗談でかすみにかけさせた伊達眼鏡。
それが俺を興奮させた。これまで感じたことがないほど性の衝動が高まる。
キスは何度もしている。胸だって直接揉んだことがある。
……だけどそれ以上の関係には進めていない。
そんな焦りが心のどこかにあったのかもしれない。
「かすみが欲しい!」
かすみを強く抱きしめながら耳元でささやく。
股間はズボンを突き破らんばかりに、固く、大きく、痛いほど勃起している。
若い性欲は限界を迎えようとしていた。
「……ごめんね、今日…女の子の日なんだ……」
かすみが上目遣いに俺を見て済まなそうに謝る。
「そっか……」
失望が広がる。
だけど一度火が着いてしまった欲望はそうやすやすと消え去りはしない。
息苦しいような、そして胸が締めつけられるような感覚が全身に広がっていく。
黙ってしまった俺にかすみが恥ずかしそうに言った。
「男子って出さないと苦しいんでしょ? だから……手でしてあげる」
そうして俺の股間に手を伸ばしてくる。
「私が……雅人クンを感じさせてあげる」
ズボンのふくらみを撫でながらかすみが続けた。
ぎこちない手つきでベルトが外される。金属音が鳴る。
ここは俺の部屋だ。隣の部屋には君子がいる。
聞こえるはずなんてないのに、とっさに俺は音を立てないようにバックルを握った。
続いてファスナーが下ろされる。
すでに興奮しきった俺のモノがズボンの前を押し上げている。
そのせいか、かなりてこずる様子のかすみが俺の顔を見た。
「うん」
うなずくと、俺は自分の手で前を開ける。そのままズボンをひざまで下ろす。
そこには鈍感なかすみでもはっきり分かるほど前がふくれたトランクスが姿をあらわした。
「……こんなになるの?」
そう言って、かすみが布地越しに勃起を撫でる。
「うぅっ!」
思わず快楽のうめきが上がる。
衣擦れの音とともに俺の荒い息が響く。
「雅人クン……感じるの?」
「うん……すごくいい」
「……もっと……こすってあげるね」
そう言うとかすみがトランクスの中に手をすべり込ませた。
勃起が直接握られる。そのままゆっくりとかすみの手が上下する。
「熱い……それにすごく固いよ」
さわさわとした感触が心地いい。
俺は念のため全神経を隣室に集中するが、股間から湧き上がる快感に意識が持っていかれる。
「うっ……んっ! んっ……あぁ……」
歯を食いしばり、声を立てないように試みるが、それでも性の愉悦が口から漏れる。
「ヌルヌルが出てきた……」
先走りがかすみの手を汚す。
欲望に衝き動かされた俺は次の行為を求めた。
「か、かすみ……パンツ脱がせて」
「あ、うん……」
腰を浮かせてかすみが脱がせやすいように協力する。
そうして足先から抜き去ると、俺は再びベッドに腰をおろした。
すぐにかすみの指が勃起にからんでくる。
真剣な表情で剛直をなでさするかすみ。
更なる刺激を求めた俺は、かすみの髪に置いていた手を押し下げ、勃起に近づけていった。
「……あ」
俺のしようとしていることを理解したのか、かすみが一瞬動きを止めた。
だけどそれは本当に一瞬のことだった。
今度は自分の意志でかすみは顔を近づけ、そのまま亀頭を口に含んだ。
唇をすぼませ、竿の根元を締め付けるように圧迫したまま上下する。
同時に中で舌を回し、亀頭全体を刺激する。
とくに裏筋のあたりから尿道口にかけてが重点的に攻められた。
カリの出っ張りを唇で引っかけるようにはさんでしごきあげる。
どうしてかすみはこんなに上手なんだ? そう思ってしまうほどの技巧だった。
かすみは髪を何度も耳にかけ直し、口で俺を刺激してくれる。動きも速くなる。
射精感がどんどん高まっていく。精液がもう根元まで来ているのを感じる。
「かすみ……出そう……」
このままではかすみの口でイッてしまう。そう思い、限界が近いことを伝える。
「いいよ……受け止めるね……」
そう言って一層の速さで肉棒がしごかれる。
その言葉と手の動きに我慢のたがが外れた。
「かす…みッ……くっ! 出るッ!」
どくんっ! びゅくっ! びゅっっ!………
かすみの口の中に白濁が激しくほとばしる。
「んんっ、むぐぅ!」
苦しそうな声を上げてかすみの動きが止まる。そして苦しさのあまりか顔を上げてしまった。
だが射精は止まらない。
どぴゅっ! びゅるっ! ずぴゅっ!………
先端の小さな裂け目から、白い糸を引いて粘液が射出される。
そのまま俺は精を吐き出しつづけた。
「あっ……」
射精を続ける肉棒に、このままではあたりを汚すと判断したのかかすみが再び口を寄せた。
「んっ、む…んんっ……」
のどの奥でくぐもった声を出すかすみ。
小さな口を目いっぱい開けて俺の性器をほおばるかすみの横顔を見下ろす。
酔いしれたようなその目。上気した頬。鼻を鳴らすような声。
いやらしいと思い、同時に可愛いと思った。
俺は残りの精液をかすみの口内に吐き出し、長かった射精を終えた。
かすみが口を離す。
だがそれでは終わらず、かすみの手は淫茎に残る精液をしぼり取るようにしごいた。
その快感で亀頭がビクンッと脈打ち、もう出ないと思っていた精液がにじみ出た。
完全に射精が終わる。
大きく息をついて放出の余韻を楽しんでいた俺の目の前にかすみが顔を上げる。
飛び散った粘液だろう、白濁がかすみの眼鏡のレンズをとろりと伝った。
唇の端に指を添え、少し垂れた精液を押さえる仕草も妖艶な印象を与える。
「かすみ……」
かすみはそれに答えず、しばらく俺を見つめていたが、目を閉じると
こくん
音を立てて嚥下する。
「……え?」
「けほっこほっ……」
「か、かすみ……」
「雅人クンの精子……飲んじゃった。けほっ……変な味……ちょっと、苦いかな?」
そう言ってかすみはにっこりと笑った。
おわり