そして、運命の日がやってきた。  
と言っても自身の迂闊さが招いた事ではあるが。  
 
(そういえば御坂妹と会うのは久しぶりだな)  
上条は、事件が起こるたびにお世話になっている病院のロビーでそんな事を考えながら長椅子に腰を下ろしていた。  
既に時刻は十二時を大きく回っている。  
授業が終わった後、即、教室を飛び出してここまで飛んできたのだが、そんなに急がなくても良かったようである。  
到着してから待つ事三十分弱。  
「あ、ゴメン。待たせてたみたいね」  
自動ドアをくぐり、やはり学校から直接来たのだろう、いつもの制服姿で美琴が入ってきた。  
「いや、気にすんな。どうせ面会時間は一時からだしな」  
立ち上がりながら上条は美琴を迎える。  
「ホントゴメンねー。黒子のやつがなかなか離れてくれなくってさー」  
いやー参ったわ、と続けながら上条方へ歩み寄る。  
「ん?白井も御坂妹の見舞いに来たがっていたのか?」  
「そうじゃないわよ。そもそも黒子にあの子の事は教えてないし」  
『あー疲れたー』とアピールするように首をクリクリ回しながら続ける。  
「そうじゃなくて、私の用事が何であれついて来ようとしてたのよ。タイミング良くお仲間の風紀委員から連絡が入ってこなかったら、ついて来たでしょうね」  
「……ついて来るとなんかマズイのか?」  
「私の第六感が『妹達の事を知られちゃマズイ』って告げてくるのよ」  
美琴の答えを聞いて、上条の脳裏に、とあるヴィジョンが浮かんだ。  
『お、お姉様がいっぱい!?なんて言う事ですの、こうなったらもう何人でもまとめてコイですわ!うふげへ(以下略)』  
「……うわぁ」  
「アンタが今、何を思い浮かべたのかは、聞かないでおいてあげるわ……」  
お互いにげんなりとした表情を浮かべる。  
「あー、と。ちょっと早いけど、行くか?病室の番号とかは分かってるんだろ?」  
「ええ、勿論。それじゃ行きましょ」  
 
ナースセンターに行き、見舞いの許可を貰ってから病室へと向かう。  
病室は個室らしく、ドアの脇には『御坂妹』と書かれたプレートが掛かっていた。  
「……良いのか、これ?」  
「あの子がそう名乗ったらしいから、私からは何とも言えないわよ」  
まあ、『ミサカ一〇〇三二号』と書かれている方が倫理上問題アリのような気がしないでもない。  
上条がそんな事を考えているうちに、美琴がドアをノックした。  
「私よ。入るわよ」  
答えを待たず、ドアノブを捻って部屋の中へと入っていく。数秒遅れて、上条も続いて中に入った。  
病室の中はそれほど狭くも無く、壁際に置かれたベッドが部屋の四分の一ほどを占めており、御坂妹はそのベッドの上で上半身を起こして二人の事を迎えてくれていた。  
薄桃色のパジャマに身を包むその姿は、この前に家に訪れた時とは違った、活き活きとした印象を上条に抱かせた。  
くるりと視線を回すと、ベッドから程離れた壁際に小さなケージがあり、その中には黒い子猫がちんまりと蹲っていた。と言うか、良いのか、動物がいて。  
「態々来て下さいましてありがとうございます、とミサカは心からの謝辞を申し上げます」  
二人の姿を確認してから、御坂妹は深々と頭を下げた。  
「頭を下げるなよ。こっちが来たくて来た訳だしな。それより体の方はもう大丈夫なのか?」  
ベッドの傍まで寄ってから、上条は声を掛ける。  
「はい、とミサカは率直に答えます。これからは普通の成長速度で暮らせて行けると先生に言われました、とミサカは補足します」  
上条の問いに、淡々と答える。そんな口ぶりに、上条は思わず笑みを零した。それを見て、御坂妹が、  
「?受け答えがどこかおかしかったでしょうか、とミサカは疑問を口にします」  
「いや、相変わらすで何よりだ、って思っただけだよ。なぁ、御坂?」  
と言って、上条は美琴の方へと顔を向けた。いきなり話題を振られて、  
「え?ええ、そうね」  
と、返してから、美琴は持っていたバッグから小さな紙袋を取り出した。  
 
「これ、口に合うかどうか判らないけれど」  
そう言って袋から出したのは黒蜜堂のフルーツあんみつ(大きめで高価な方)。  
「と言うか、もう経口で食事は取れるのかしら?」  
「はい、大丈夫です、とミサカは喜びを隠さずに感謝します。備え付けの冷蔵庫がありますのでそちらに入れます、とミサカは受け取る為にお姉様の方へ手を伸ばします」  
「あぁいいわよ。私が入れておくから」  
御坂妹の手を押し戻して、美琴はベッドの脇にある小さな冷蔵庫にフルーツあんみつを仕舞い込む。  
「で、アンタは何か持ってきたの?」  
美琴からの質問に、上条は自分の鞄へ手を入れて、  
「…………………………、スマン、忘れた」  
たっぷり十秒ほど硬直してから答えた。  
「アンタねぇ、お見舞いなんだから、普通何か持ってくるってのが礼儀でしょ?」  
「いや、鞄に入れたつもりだったんだが……」  
 
ちなみに上条が御坂妹の為に買った品は、ただいま留守番二人(一人と一匹)に美味しくいただかれております。  
 
「すまん、御坂妹」  
上体を折り曲げ謝罪する上条に、御坂妹は、  
「頭を上げてください、とミサカは困惑しながら要請します。あなたに謝られる理由はありません、とミサカは更に言葉を重ねます」  
と、上条に頭を上げるように言葉をかける。  
「いや、こんな義理に欠けるような真似は俺の信条に反するよ」  
御坂妹の言葉に、上条はそう返し、  
「……こう言っちゃ何だけど、かわりに何か一つ言う事を聞くって言うのはどうだ?」  
「アンタってその条件が好きなの?」  
出てきた上条の台詞に、大覇星祭絡みでの出来事を思い出しながら美琴が突っ込む。  
「……それは、どのような用件でもよろしいのでしょうか?とミサカは確認を取ります」  
そんな美琴の突っ込みをスルーして、御坂妹は上条に確認を取る。  
「ああ、俺に出来る事なら何でもするけど」  
「それは本当ですか?とミサカは更に念を押します」  
御坂妹の再確認に、  
「お、おう」  
「コイツ、嘘だけは吐かないから信じても良いわよ」  
上条と美琴、二人が是と唱える。  
「………………でしたら」  
少し逡巡するように俯いた後、御坂妹が言った言葉は、  
「ミサカの初めての人になってもらえませんか?とミサカは恥らいながら本心を告げます」  
病室の時間を止めるには十分すぎる破壊力を持っていた。  
 
 
フリーズから先に立ち直ったのは、美琴の方だった。  
「あああ、アンタ、何言ってんの!?」  
ボスッ、とベッドに両掌を叩き付けて御坂妹に食って掛かる。  
「何、と言われましても、言葉通りですお姉様、とミサカは端的に返答します」  
「言葉通りって」  
御坂妹の返答に、更に言葉を重ねようとする美琴を上条が押し留める。  
「ま、待て御坂。御坂妹は『初めての人』と言ったんだ。何の初めてかはまだ分からないぞ」  
「そ、それもそうね。ちょっと先走りすぎたみたいね、私」  
あはは、と乾いた笑いを零して、美琴は息を整えてから、御坂妹に発言の真意を問うた。  
「で、アンタはコイツにどんな『初めての人』になって欲しいのかしら?」  
「それは勿論、性的交渉の相手です、とミサカは即答します」  
歯に衣着せぬ御坂妹の物言いに、再度時間が止まる。  
「ちょ、ちょっと待て御坂妹。どうしていきなりそんな話になるんだ?」  
今度は上条が先に復活した。  
「実は、状況が思わしくないのです、とミサカは心配事を打ち明けます」  
少し表情を翳らせて、御坂妹は上条の疑問に答える。  
「今、『妹達』の内の一人がある特定の人物と同居をしているらしいのです、とミサカは恐らく初耳であろう事実を告げます。  
 その『妹達』はその人に並々ならぬ好意を寄せているらしく毎日のように何かしかのアプローチを試みているのです、とミサカは懸念も交えて伝えます。  
 ご存知かもしれませんが、私たち『妹達』はミサカネットワークを解して経験を共有する事が出来ます、とミサカはミサカたちの能力を簡潔に教授します。  
 ですから、もし、その『妹達』がその相手に抱かれるような事になれば、それがミサカの初めてになってしまいます、とミサカは抱いている不安を明かします」  
ここまで一気に話しきり、一旦一息ついてから御坂妹は再び言葉を紡いだ。  
「それはミサカの望むところではありません、とミサカはミサカらしからぬ事を言います。そんなのがミサカの初体験になるなんて認めません、とミサカは強く言い放ちます。ミサカは、たとえ他の『妹達』に反対されようとも……」  
御坂妹の眼は上条を真っ直ぐ見つめている。  
「ミサカは、貴方と契りたいのです、とミサカは包み隠さず本音を吐露します」  
御坂妹は本気で言っている、と上条には感じられた。  
無論、その横にいる彼女(『妹達』)の姉(オリジナル)にも。  
「ダ、ダメよ、ダメダメ!!そんなの認められないわ!」  
二人を遮る様に、美琴が体を割り込ませて異論を唱えた。  
「何故ですかお姉様、とミサカは強く反駁します」  
「そ、それは……とにかく!ダメなものはダメ!ぜーったいにダメ!」  
「いくらお姉様の意見でもそれだけは聞けません、とミサカは聞く耳を持たない事を告げます」  
う〜、と姉妹の空気は睨み合いにまで達している。  
上条は、美琴と御坂妹の間に火花が見えたような気がした。実際に飛んだのかもしれない。  
「ちょっと、少し落ち着けよ二人とも」  
「アンタは黙ってて!」  
制止に入ろうとした上条に、美琴は能力を暴発させた。美琴から発せられた電撃を、反射的に右手で受け止め、散らす。その流れで美琴の肩に手を置き、  
「落ち着けって!御坂妹も、そんな事を軽々しく言わないでくれ」  
と二人に言った。この上条の言葉に、御坂妹が反応する。  
「軽々しく、言ったのでは、ありません」  
唇が震える、言葉がすんなり出てこない。  
この感情は何なのだろうか。  
「ミサカは、ミサカなりに考えて、結論を出しました、と、ミサカは感情を、抑えきれずに、言います」  
切れ切れに訴える。  
その姿は、涙を流さずに泣いている様に上条の目に写った。  
 
はっきり言ってしまうと、この時点で上条の中から、断る、と言う選択肢が無くなってしまった。  
以前、他の誰かに請われ、それに応じたのなら。  
次に、同じように頼んできた相手を断る、など。  
上条当麻の選択肢には存在しない。  
ただ、そうなるとこの場の問題は。  
肩に置かれた上条の右手を両手で握り締めるこの少女をどうするか、と言う事になる。  
 
「ダメよ、そんなの。絶対に、ダメ」  
先程までの強い口調とは裏腹のか細い声で、それでもなお美琴は非を訴える。  
その手はいまだ、上条の右手を握り締めている。  
見ようによっては縋り付いている様にも、見える。  
「何故なのですかお姉様、とミサカは問いかけます」  
「ダメ、コイツはダメなのよ。……の女となんて、ぜったいに、ダメ」  
ボソボソと反対意見を訴え続ける美琴。その彼女が最後に零した言葉を、御坂妹は聞き逃さなかった。  
ちなみにこの時上条はというと。  
(あー、どうするかなー。今すぐって訳には絶対いかないけど御坂妹は待ってくれそうも無いし。かといって美琴を追い出す訳にもいかないし)  
どうやってこの場を収めるか、と言う事に腐心していた。相変わらず要所要所で美琴スルー技能を発揮する男である。  
「分かりました、ではこうしましょうお姉様、とミサカは新たな提案を述べてみます」  
御坂妹の発言に、二人は(恐らく違った意味合いで)安堵の表情を作る。  
「三人で致しましょう、とミサカはこれで万事解決と一息つきます」  
三度、時間が止まった。  
 
「いや待て御坂妹、それはどうかと上条さんは思うのですよ?」  
「何故ですか?とミサカは疑問を口にします」  
これでいけませんか?と問い掛けるように御坂妹が首を傾ける。  
「何故、ってなぁ。ほら、御坂もなんか言えって……」  
と、上条は美琴の方へと視線を向ける。するとそこには、  
「…………」  
茹で上がったように顔を真っ赤にした美琴の顔があった。  
「ほら、お姉様も満更でもないようですし、とミサカは期待を隠さずに言います」  
「いやちょっと美琴さん!?何故にそんな熱い眼差しで見つめてきますか!?そうじゃないでしょう、俺たちの間柄って!」  
「………………まぁ、確かにこんな切っ掛けでもないとコイツの懐には飛び込めそうもないし、今ならあの邪魔っけな小娘はいないし、何より妹に先を越されたままじゃ姉の沽券に関わるし」  
ぶつぶつと何やら(上条にとっては)危ない事を呟きながら、上条の右手をかっちりとかき擁く。  
「ちょっとー、美琴さーん!?正気に戻りましょう!と言うか、事態がここまで来ると上条さんの処理速度はオーバーヒートを起こしてしまいそうです!!」  
「安心してください、とミサカは優しく囁きます」  
いつの間にかベッドから降りていた御坂妹が、上条の背中から抱きつく。  
「男の人の悦ばせ方なら、知識としては持ってますから」  
殆どは末の妹から流れてきた知識ですけど。  
 
ベッドへ三人纏めて倒れこむ。  
前から美琴、後ろから御坂妹に抱きつかれていて、上条はまともに動けない。  
「ちょっ」  
まだ何かを言おうとする上条の口を、美琴の唇が塞ぐ。  
それは、ただ重ねるだけの口付けだったが、美琴の意思を伝えるには十分な行為だった。  
「ぷはっ、私にここまでさせておいて今更止めるなんて言わないでよ?」  
口付けを一方的に終わらせてから、美琴は上条にそう告げた。  
「言った所で止めはしませんけれども、とミサカはミサカにもして欲しいと思いながら言います」  
背中にささやかなふくらみを押し付けながら、御坂妹も追随する。感触から察するに、恐らくノーブラだろう。  
「……………………」  
どーしてこのお嬢さん方は、こんな急に積極的になったのでせう?と心のなかで自問しつつ、今更ながら覚悟を決める。  
「あーもう、後悔するなよ?お前ら」  
言って、返事を待たず、今度は自分から美琴の唇を奪う。  
「ア、んっ!?」  
上条の台詞に何か返答を返そうとしていたのか、軽く口を開いた所で口を塞がれてしまった。反射的に歯を食い縛る。  
そんな美琴の反応にも意に介さず、上条は美琴の口内へと舌を侵入させる。  
「んぐっ!?」  
未知の感触に、美琴は体まで硬直してしまった。  
何かと物騒な事を口走るルームメイトのお陰で性的な方面での知識も年相応に蓄えていた美琴だが、聞いていた事と実際にされる事の違いに大きく戸惑ってしまう。  
一方、上条のほうも未知の感覚に酔いしれていた。  
(うっわ、何だこれ?)  
美琴が無意識に流しているのか、上条の舌を微細な電流が刺激してくる。  
何となく、幼い時に舐めた乾電池の味を思い出す。  
あの時の味よりも鉄っぽさが無く、その代わりに美琴の唾液の甘さが際立って感じられると上条はそう感じた。  
もっと味わいたい。  
上条はその欲求に抗う事無く従った。  
しっかりと閉じられた美琴の歯の表側を丹念に舐っていく。  
「んむっ、ん、ふっ」  
短いながらも今までの人生の中で受けた事の無い刺激を執拗に与えられて、美琴は次第にされるがままになっていった。  
力が抜けて、食い縛っていた歯も少しずつ隙間を広げていく。  
その隙間を、上条は見逃さなかった。  
強引に自分の舌を割り込ませて、咥内を掻き回す。  
じゅぶじゅぶ、と美琴の頭の中に水音が響き渡る。  
いつの間にか、上条は美琴の体の上に圧し掛かっていた。御坂妹からの拘束はとっくに解け、美琴の抱擁には既に力が無かった。  
で、御坂妹はと言えば、二人の脇でその熱烈なキスシーンを備に観察していた。その顔はうっすらと紅く染まっていて、常の彼女の無感情っぷりはすっかり鳴りを潜めている。  
美琴の味を堪能しつくしたのか、上条は唇を離した。美琴の口元から、自分と上条、二人分の唾液がたらりと零れ落ちる。  
どこか惚けた様に緩んだ姉の顔を見て、御坂妹の胸が期待で高鳴る。  
その御坂妹の期待に応える様に、上条は御坂妹の方へと体を向けた。  
「次はお前の番だぞ、御坂妹」  
かけられた上条の言葉に、御坂妹は以前から胸に秘めていた言葉を舌に乗せる。  
「ミサカの事はミサカと呼んで下さい、とミサカは常々思っていた事を告白します」  
「ってもなぁ、ごちゃ混ぜになっちゃわないか?」  
この上条の懸念も、御坂妹は一蹴する。  
「お姉様の事は美琴とお呼びになれば良いのです、とミサカは提案します。そもそも、先程にも美琴と呼んでいたではないですか、とミサカは指摘します」  
「……そうだったか?」  
「はい、とミサカは肯定します」  
上条は一頻り首を捻った後、まぁ言いか、と言った風情で一息つき、  
「じゃあ、……行くぞ、ミサカ」  
御坂妹と唇を重ねた。  
 
美琴と違って、御坂妹は積極的だった。  
唇を合わせて直に上条のこちへと舌を差し込んできた。上条もそれに応じ、お互いの舌を絡ませ合う。  
やはり同じ能力ゆえか、御坂妹の舌も先程の美琴と同じような味がした。  
比べてみると、御坂妹の方がやや薄味のような気がする。  
そんな事を思いながら上条は、御坂妹のパジャマの下へと右手を差し入れた。  
目的地は先程背中に押し当てられたそのささやかな胸、のその先端。  
さっきの接触で判明可能なほどにその場所がしっかり自己主張していたのを、上条は忘れていなかった。  
すべすべしたお腹を擦り上げながら、右手を上へと走らせる。  
ふわふわした手触りの小さめの膨らみを手の平に収め、親指と人差し指でその頂点を軽く摘んだ。  
「ん……」  
ピクン、と御坂妹の体が震える。  
その反応に構わず、上条はその小突起をクリクリと弄び始めた。  
今まで触れた事も無い場所から送られてくる未体験の刺激に、御坂妹の体は過敏な反応を見せる。  
「んはぁ!」  
口付けを中断し、思わず声を上げて仰け反る御坂妹。  
その御坂妹の動きを利用して、そのまま押し倒し、右手の愛撫は続けたまま左手一本で御坂妹のパジャマのボタンを外していく。結構器用だ。と言うか手馴れている?  
ボタンを全て外し終え、胸元を肌蹴させる。眼下に御坂妹のほっそりとした裸体が現われた。  
「あ、あまりまじまじと見られると、恥ずかしいです、とミサカは正直な意見を洩らします……」  
御坂妹の告白に、上条は反応らしい反応を見せず、無言でその可愛らしい胸へとむしゃぶりついた。  
「あぁっ!?」  
上条の前触れの無い攻撃に、御坂妹は再度、あられも無い声を上げてしまう。  
自分しか触れていないであろう未踏の先端部を、舌で転がし、音を吸い立て、歯を当てていく。  
次々に与えられる刺激に、御坂妹はいやいやとするように首を振る。  
そのまま一息に最後まで突っ走りそうになったその時。  
上条は下半身に違和感を覚えた。  
 
美琴は霞掛かった頭で、妹の嬌声を聞いていた。  
どうやらあの男は自分を放ったからかしにして妹といちゃついているようだ。  
どうしてアイツは私の事をいつもいつもスルーしてくれるんだろうか。  
あの時も、あの時も、あの時も――――。  
美琴の中で、今まで上条にされた所業が蘇えってくる。  
ふと、視線を二人の方へと向ければ、妹に圧し掛かっている上条の下半身が飛び込んできた。制服の上からでも判るほどに、一部分が大きく盛り上がっている。  
それを見て、美琴の中である一つの考えが浮かんだ。  
相手が自分の事を無視するならば――。  
ようは、こっちの方へ振り向かせれば良いのだ。  
そう思った時、既に体は動いていた。  
 
違和感の正体を探るべく、上条は視線を下半身の方へと向けた。  
するとそこには。  
「うわ、硬……。しかもおっきい……。こ、こんなのホントに入るのかしら?」  
後ろから制服越しに上条のイチモツを擦り上げる美琴の姿があった。その表情は、熱にうなされてるかの如くぼんやりとしたものになっている。  
「み、美琴!?」  
「あ、やっとこっち向いたわね」  
二人の視線がぶつかる。  
「いつもいつも私の事スルーしてくれちゃってさ……。私って眼中に無い訳?」  
「いやあの美琴さん?いきなりそんなこと言われましても上条さんはどうすればよいのでせう?」  
困惑したように上条が尋ねる。  
「そんなの決まってるじゃない」  
上条の男根から手を離し、美琴はその背中に飛びついた。  
「私から、先に……………………してよ」  
最後の言葉はかろうじて聞こえるほど小さかった。  
 

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