時は昼休み。  
大半の学生にとって、貴重な栄養補給の時間である。中には早弁等で済ませている者もあるだろうが。  
「ん……。ぁむ……んちゅっ。はぁ……ん」  
それが終われば、真面目な者は次の科目の予習に取り掛かるだろうし、友人と戯れる者や校舎を抜け出して午後の授業をサボタージュする者だっているだろう。  
「ちゅむっ……。ん。ん。ん。……ぱはぁ」  
まぁそれでも。  
「ぅむっ。……ちゅ……ちゅっ」  
屋上、それも昇降口と貯水タンクの間と言う、いかにも隠れてますーと言った感じで人目を気にしながらこんな事をしているのは自分たち位なものだろうが。  
 
「?どうかした?溜め息なんて吐いて」  
今の今まで咥えていたものから口を離し、姫神秋沙はたった今小さく溜め息をついた上条当麻に問いかけた。  
「ひょっとして。私。下手?」  
「違います。上条さんは流されてる自分が不甲斐無く思えてきただけなのです」  
そう言って上条当麻は、跪いた体勢でこちらの顔を見上げている姫神秋沙の顔を見る。  
先程までの行為で溢れ出た涎が、口元はおろか胸のあたりまで汚していて、仄かに頬を紅潮させたその表情は上条の中に更なる劣情を掻き立てる。  
その鼻先には、これでもかとばかりに己の存在を主張した自身の肉茎が姫神の右手に擦りあげられながらそそり立っている。  
先程まで何をしていたかと言えば、言わずもがな。いわゆる『お口でご奉仕』と言うヤツである。  
「よく分からないけど。やっぱり嫌だったかな」  
と、少し目を伏せながら姫神は言う。右手の動きは止めずに。  
「あぁ〜と、嫌じゃない。嫌ではないんだけれど……」  
弁解しながら上条は、この間に交わしたやりとりを思い出す。  
 
『考えたんだけど。あそこでされていた事を全部君にして貰えれば。もう魘されなくてすむかも知れない』  
『はい?……姫神さん、もう少し分かりやすく言っていただけると助かります』  
『端的に言うと。あの時体験した事を出来るだけ当麻にされたい。そうすれば。思い出すのは君の事だけ』  
『……えぇと、経験に乏しい上条さんはあまり激しいのはノーサンキューと言うか』  
『大丈夫。痛いのは私も嫌だから。それに。そんなに変な人は居なかったし』  
 
以来、昼休みになるとこうして屋上にやってきて逢瀬を繰り返している。  
「何と言うか、こうやって屋上で隠れてしていると言う現状が……」  
「背徳感を掻き立てて堪らない。と」  
「違うっ!何かこう目的と手段が入れ替わっているような気がしてくるというかなんと言うか」  
「……」  
「?姫神?」  
唐突に黙り込んだ姫神をいぶかしむ上条であったが、  
「かぷ」  
「おわぁ!?」  
前触れもなく口淫を再開した姫神に不意をつかれ、素っ頓狂な声を上げてしまう。  
同年代の男子から見れば小柄な方に分類される上条の体だが、それとは不釣合いな大きさの剛直を、姫神は何の躊躇いもなく頬張る。まぁここ毎日繰り返して行っているので躊躇うも何もないのだが。  
 
「んっ。んっ。んっ」  
姫神の頭部がリズミカルな前後運動を見せる。  
その度に上条の肉棒を、唇が扱き、舌が絡まり、喉が締め付けてくる。  
その直接送られてくる快感は言うに及ばず、眼下で繰り広げられるその痴態や、耳に飛び込んでくるじゅぶじゅぶという粘着音だけでも、上条を昇り詰めさせるに値する威力を発揮している。  
「くっ……、姫神……」  
上条が思わず洩らした言葉に込められた意味を察したか、姫神は一旦口を離す。  
急に訪れた開放感に、上条は8割安心2割残念と言った風に一息付く。  
「今度は。こっち」  
そう言って姫神は、自らの長い黒髪を一房手に取り、それを幹の部分に軽く巻き付けた。  
そしてそのままゆっくりと擦り始める。  
先程までのねっとりとした触感とはまた違った、複雑な感触が上条の一物を攻め立てる。  
「こ、これはこれで、くるものが……」  
未体験の快感に背筋を震わせる上条。  
「おまけ」  
と言って、姫神は髪では触れてないむき出しの先端部分を舐め回す。  
幹と亀頭。二箇所を異なる快感で攻められ、上条の中の射精感がまたぞろ盛り上がってくる。  
「だ、駄目だ姫神、もう、でるっ……!」  
「ぱく」  
上条の宣告を聞き、姫神は亀頭を口に含み、先端の切れ込みを舌で穿る。  
それが引き金となった。  
「っ〜〜〜〜っ!」  
ビクビクッ、と上条の体が震え、姫神の口内に白濁液が間断無く吐き出される。  
姫神はそれを身動ぎ無く受け止め、それを躊躇い無く嚥下する。  
「んくっんくっ」  
射精が終わった後も、管の中に残留している精液を勿体無いとばかりに吸い上げ、飲み込む。  
更に、幹や雁などにこびり付いている残りカスも丹念に舌で舐め取り、仕上げに根元から先端まで一気に舐め上げた。  
「うふふ。君の味。覚えたよ」  
陶然とした顔で上条を見上げ、姫神はゆっくりと立ち上がる。  
「今度は。私の番」  
言って、上条に背を向けて貯水タンクに手をつき、腰を突き出してきた。右手でスカートを捲り上げ、そこから現れた光景に上条は言葉を失う。  
端的に言うと、はいてない。  
突如目前に出てきたキレイなお尻にショックを受けた上条は、姫神に疑問を投げかける。  
「ヒメガミサン、コレハイッタイ……?」  
何故か片言だ。  
「さっきの中休みに。ちょっと前準備。ついでだから。そのままでいてみたり」  
そう言って、ちらりと上条の顔を見て、  
「どう?」  
悪戯っぽく問いかけてきた。  
 
顕になった姫神の秘所は、先程までの口淫ですっかり出来上がってしまったのか少し綻びかけていて、じんわりと滲み出た愛液が太ももをつたって滴り落ちている。  
先程大量に出した筈なのに、ムクムクと頭を擡げて来た節操ない自分の息子を心の中で叱りつけて、右手を添えて熱を放っている秘裂に宛がう。  
しかし。  
「今日は。違う所で」  
姫神から制止の声が飛ぶ。意味がわからない、と目で問う上条。  
「……今日は。こっちで。……して。欲しい」  
やや俯きながら、姫神は両手で自分の尻を押し開いた。そこにあるのは鳶色の小さな窄まり。  
ここまで言われて意味が分からない程、上条は初心ではない。  
「え、と。つまりは、こっち……か?」  
右手を伸ばして確認する上条。手の平で尻たぶを持ち上げ、親指の腹でそこを撫でる。  
ピクッ、と姫神の体が震えて、申し訳なさ気に静かに頷く。  
「大丈夫。綺麗にしてきたから……」  
なんだかんだ言ってもやはり恥ずかしいのか、消え入りそうな声で告げてくる。つまりはそれが前準備だったのだろう。  
興味が無い、と言えば嘘になる。  
しかし気にかかるのは、この行為が示すその意味。  
姫神が三沢塾で受けていた仕打ちを考えると、これは……。  
そこまで考えて上条は首を振った。  
(確かに姫神は言ってたよ。あの時体験した事を出来るだけ俺にされたいって)  
彼女自身が望んだ事、と開き直る訳ではない。  
彼女の為、と誤魔化す訳でもない。  
ただ。  
「分かった。こっちは初めてだから加減が分からないけど」  
「大丈夫だよ……。……慣れてる。から」  
こんなにもいとおしく感じる彼女を未だ縛り付けている記憶が、許せなかった。  
 
ピトリ、と亀頭をヒクついている窄まりに押し当てる。  
「……行くぞ」  
「うん」  
短いやり取りを交わし、覚悟完了。  
上条当麻、突貫します。  
つぷりと、まず先端が潜り込んだ。そのまま力を入れ、ずぶずぶと突き入れる。  
入り口はキツイが、そこを通り過ぎるとそこには柔らかな腸壁が待っていた。  
「くっ……。は。ぁ」  
姫神の口から吐気が漏れる。しかしそこに苦痛の色はない。むしろ艶やかささえ感じる。  
結合部を見れば、裂けそうなほどに皺が伸ばされているが、実際には裂けるどころか貪欲なまでに肉茎を締め付けてきている。  
根元まで挿入し、一息入れる。  
「く、これは」  
何と言うか、癖になりそうな刺激だ。根元をきゅうきゅうと締め付けられ、そこから先はじんわりと纏わり付いてくる、膣とはまた違った快感を与えてくれる器官。  
本来の用途とはかけ離れていると言うのが背徳感を更に掻き立ててくれる。  
こんな人目につきそうな場所でしていると言う現状と相まって、いつもよりも興奮している事を自覚する。  
もう止まれない。  
突き出された腰を両手で掴み、抽挿を開始する。  
最初っからアクセル全開フルスロットルだ。  
「くっ。あっ。はっ。ぁん」  
ぱちぱちと肉同士がぶつかる音を立て、上条はこれでもか、と言うくらいの大きなグラインドで姫神の肉蕾に己の剛直を突き刺す。  
そんな容赦ない動きにも、姫神の体は歓喜を覚え、口からは押さえきれない喘ぎが漏れてくる。  
突き入れれば沈み込み、引き出せば捲れ上がる。  
その締め付けからは想像できないほど柔軟に姿を変える窄まりを力任せに攻め立てる。  
気分は短距離走。  
全力を持って相手の体にぶつかっていく。  
「やっ。あぁっ。ぁはっ。あん」  
姫神の声に甘いものが混ざり始める。自分の中の高まりを感じて、上条は更にスパートをかけた。  
臨界点は間近だ。  
「くぅっ、はっ、姫神!出すぞ!」  
「うん。そのまま。中に。来て!」  
びゅくっ、どくっ、どくどくどく……。  
先程と遜色ない量の白濁液を姫神の体内に吐き出す。  
それを感じながら、姫神は糸が切れたように膝を付いた。  
ぬぽん、と音を立ててペニスが抜ける。  
「お、おい、姫神?」  
心配そうに声を掛ける上条を振り向きながら見上げ、悦びに震えながら、  
「い。いっちゃった……」  
と、笑顔で言った。  
それを見て、三度、上条の中のケダモノが鎌首を擡げ上げる。  
目前で力を漲らせて来る『それ』を見て、姫神の笑顔が引きつる。  
「え。ちょっと?君。待」  
最後まで言わせず、上条はそのまま姫神へと圧し掛かった。  
「あん♪」  
余裕がありそうな悲鳴を上げ押し倒される姫神。  
 
この日、二人は午後の授業を丸々サボった。  
 

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