「と、言うわけでさ、インデックスのやつが噛み付くのは別に日本独自のとか伝統のとかのコミュ  
ニケーションなんかじゃないんだけどな」  
 例によって例のごとく不機嫌を爆発させたインデックスの噛み付き攻撃からようやく立ち直って、  
なんだか説明しなければならないような使命感を覚えた上条は、心配そうに自分の顔を覗き込  
んでいた修道女――顔以外に肌の露出がないのに、その身体の凹凸が逆にくっきりしてしまっ  
て何故か背徳的なお色気を振りまいている――オルソラ=アクィナスにそんなことを話していた。  
 まだ痛む頭をさすりつつ、言葉を続ける。  
「しっかし、なんでいちいち噛み付くかな? 実は何人か噛み殺してるんじゃないのかあいつ」  
 それを聞いて、オルソラが笑いつつ答える。  
「噛み殺すだなんてそんな。それに、禁書目録の修道女さまが噛み付いているのはあなた様だけ  
のように見受けられるのですけれど」  
 オルソラの返答に、上条ががっくりと肩を落とす。  
「被害者が他にいないのは良いんだけどさ、なんて言うか……不幸だ…。でもなんで俺だけ?」  
 溜息をつきつつ、顔を上げた。  
 顔を上げてみて、オルソラがぴったりと寄り添うように上条に近づいていることに気が付いた。  
近づくのみならず、さらには顔も寄せてくる。  
 息がかかりそうな位置にオルソラの顔が迫り、焦って赤面してしまう。  
「あなた様は本当に不幸だなどとだけ思っていらっしゃるのですか? 何故自分だけなのか深く  
考えたりはなさらないのですか?」  
 
「へ?」  
 さっきまではごく普通ににこにこしていただけのように見えたオルソラの顔が、心なしか不機嫌  
そうになった――ように上条の目に映る。  
 が、とりあえずはあまりに近い顔と顔の距離を離そうとして後ろに躙り、元々壁にもたれていた  
ので逃げ場がないことを発見したに終わった。  
「噛むと言うことは食べることに繋がるのだと思うのですよ。食べるということはさらに……、いえ、  
あの、禁書目録の修道女さまもシスターでございますから、はっきりと伝えられないことも、でご  
ざいますから――」  
 何故だろうか、オルソラの顔が赤面しつつもさらに(とても微妙ではあるのだが)不機嫌の色を  
増し、いつもならのんびりと、それでいてはっきりと物を言うこのお色気シスターさんの語調が鈍  
る。  
 
「なんか、よく判らないんだけどさ、オルソラ? とりあえずは……」  
 近づきすぎてドギマギする上に、なんだか不機嫌そうな表情になってきたオルソラに対して逃  
げの一手をうとうとした上条だったが、  
 オルソラが突然上条の手を取って、その顔の前に持ち上げた。  
「あなた様に頼って戴いて、わたくしになら話してもと思って戴いたのでしょう、それはとても光栄  
なのではございますけれど」  
 いつになく真剣な目つきで――いや、オルソラがいつもふざけているとかそう言った意味では  
なく、なにかその真剣の意味が違うような、そんな雰囲気を漂わせつつ――上条の目を覗き込  
む。  
「そう言ったお話の内容は、わたくしも聞いていて辛いところがあるのですよ」  
 その言葉の意味を咀嚼しきれない、というか、全く理解できない上条の内心をよそに、オルソラ  
は言葉を続ける。  
「わたくしも修行中の身、そうできる禁書目録の修道女さまが羨ましくもあり、いけないとは思うの  
ですけれども、それでもずるいと思ってしまうのです。気付かないあなた様には……」  
 
 瞬間、オルソラ=アクィナスは瞳を閉じると軽く顔を左右に振って、再び上条の目を見据えると、  
「わたくしも、このモヤモヤを禁書目録の修道女さまに倣って払うことにさせていただくのでござ  
いますよ」  
 そう言って、顔の近くに持ち上げていた上条の手の指に、突然噛み付いた。  
 
 噛み付いたと言っても甘噛みで、痛みはない。むしろくすぐったいくらいだ。しかし、オルソラの突  
然の行為に上条の心臓が跳ね上がる。  
「ちょ、お、オルソラ――」  
 言葉がもつれる。そんな上条を、その指に咥えついたオルソラが上目遣いで見つめる。  
「れふはは、わはふひもあなははまはへにはみふいへ、わはふひのほほうほほほほははわひへ  
ひへふおでほはいはふよ」  
「ちょ、何言ってるのかわかんないしって、兎に角だな」  
 甘噛みされた指から、ゾクゾクと背中に刺激が走る。これはやばい、と上条が考え始めると、今  
度は噛み付いたその唇を指の根本に寄せて行き、上条の指を呑む。同時に唇に隠れて見えな  
いオルソラの舌が、チロチロと指を細かく舐めた。  
 
 フードが落ちる。そこで始めて、今日は何故かオルソラがウィンプルを付けていないことに気が  
 いた。少女のきめ細かな金髪がさらりと流れる。  
 唇が――薄桃色で、艶のある小さなオルソラの唇が、今度は指をはき出すように登ると、指先  
付近で薄くその薄桃色を開いたまま、再びその舌が上条の指を丹念に舐める。  
 上目遣いのオルソラの顔の端にある薄桃色の唇と赤みの強い舌が、ちらちらと視界に入る。  
 甘噛みされ、舐められているのは指なのに背中にゾクゾクと電流が走り、その行為が別のとこ  
ろを対象にされているような気になって、一部分が硬い布地に押さえられて痛みすら覚えた。  
「はむっ、ふっ、あふう、はっ、はあ……」  
 一心不乱に上条の指を噛み、舐め、吸い上げていたオルソラの口がその指を離した。  
 頬を紅潮させ、瞳を潤ませたオルソラが上条の目を覗き込む。  
「まだ、まだ足りないのでございますよ――」  
 いつの間にか、上条のジップアップTシャツのジッパーが下ろされていた。その胸元に、オルソ  
ラの繊細な指が這う。  
 そして、はだけさせられた肩にオルソラの顔が近づき、  
「我慢、は、しないのでございますよ……?」  
 襟元に軽くオルソラの歯が立った。  
「――うっ――」  
 その感触に、上条の意識が一瞬遠くなる。  
 そこでも舌の蠢く感触が感じられ、さらに気が遠くなりそうになってきたその瞬間、オルソラの手  
が上条のジーンズの真ん中にするりと降りてきた。  
 視界に電気が走る。上条の口から荒く息が漏れると、オルソラも歯を当てたその肩で艶めかし  
い吐息を肌に当ててくる。  
「ふっ、あふっ、か、かみじょう、とうま、さま……」  
 さらに身体が密着してきた。  
 オルソラの豊満な胸が、上条の胸から鳩尾を押す――  
 

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