マンションを出るとミサカ10032号が立っていて上条のだるさは吹き飛んだ。まさか、敵襲かな  
にかか? 彼は慌てて彼女の元に走った。  
「どうした! なにかあったのか?」  
「いえ、そんなことはありません、とミサカは若干照れながら答えます」  
 無表情にちょっと、てぐらいでそんなに変わってない。しかし、前よりは感情表現がうまくなったな  
と上条は思った。  
 でも、いつまでもここにいられない。授業に遅れると小萌先生に付き合わされてしまう。だから  
さっさと会釈して学校に向かうことにした。  
「ああ、そうか。気をつけろよ。んじゃな!」  
「待ってください、とミサカは慌てて手を握ります」  
「まさか、やっぱり緊急事態なのか?」  
「いいえ、そうではありません、とミサカはもどかしく答えます」  
 困ってミサカを見る。もぞもぞとしたような微妙な動作を御坂妹がしたかと思うと、彼女は言った。  
「見つめられると困ります、とミサカは顔を赤くしながら言います。それで、学校へは一緒に  
行きませんか? とミサカは恐る恐る聞いてみます」  
 一緒に登校? 学校の方向がまるっきり違うのに。  
「いいえ、その点は大丈夫です、なんとか間に合いますから、とミサカは率直に言って次を促します」  
「そうなら良いんだが。……じゃあ行くか?」  
「はい、とミサカは嬉しく答えます」  
 上条は彼女の手をしっかり握って急いだ。もしも、ミサカが遅れたなら大変である。あとで美琴にな  
にをやられるか分かったもんじゃない。だから離れないように彼女の手を強く握った。  
「上条さん、とミサカは落ち着きながら聞きます」  
「どうかしたか?」  
「彼女とか今居ますか? とミサカは微妙な駄洒落を混ぜ込みながら確信を聞きます」  
 上条は率直な質問に肩を落とした。そんな質問、考えるものでもない。  
「いない」  
「ほんとですか? とミサカは半信半疑でさらに促します」  
「嘘なんてついてもこちらが悲しくなるだけだよ」  
 ああ、悲しき日々、と上条は回想する。トラブルばっかで胸躍る出会いはまったくない。上条はいつか  
こそ、と天に祈る気持ちになった。  
「ミサカ、ミサカは。とミサカは言いたいことが喉に出掛かってます」  
 なにを言うのだろう、と彼は彼女をじっと見つめる。もしや、なにかをおごらせるのではないのか。  
彼は助けを求めて空想に走った。そには土御門いた――なぜか蹴りで吹っ飛ばされた。  
「ミサカは、ミサカは上条さんのことカッコイイと思いますよ、とミサカは勢いにまかして話します」  
「カッコイイ?」  
「はい、とミサカは答えます」  
 上条は嬉しくて仕方ない。まさか、御坂妹に言われるなんて思っても居なかったのだった。嬉しい不足  
の事態に、彼を立ち止まってそっぽを向いた。  
「あの……、とミサカは不安になって言います」  
「あ、いや。そうじゃなくてだな。ありがとう」  
 上条は振り向いて笑った。ミサカも笑ったように思えた。  
 なんとも言えない雰囲気に二人は浸っていく。  
 
 
 そこで突然――  
「後ろへジャンプ、とミサカは言います」  
 二人はとっさに後ろにとんだ。さきほどまでのところにぶっとい針が刺さってる。  
「んな!?」  
 真正面に白井黒子がすごい形相で立っている。  
「意外な人物ですね、とミサカは驚きを隠しつつ戦闘態勢を整えます」  
「戦闘態勢?」  
「あなたがたはなにやってるんですの!」  
 黒子はすぐ近くにワープしてきた言った。彼にゆびを刺して叫んでいる。  
「敵襲。邪魔をするつもりですか? せっかく良い雰囲気なのにとミサカは怒って言います」  
 見事にスルーされた上条はがっくりとうなだれた。なんだか、ものすごいさびしい。  
「排除開始、とミサカは叫びます」  
 ミサカは思いっきり電撃を放った。  
「ふん、こんなもの――きゃああああああ!」  
 二弾目がヒット。黒子は遠くに吹っ飛んで行った。  
 御坂妹の本気の目に上条は一瞬びびった。  
「……あっというまだったな」  
「さあ、行きましょう、とミサカは上条さんをリードします」  
 他愛もない話を続けるうちにいつのまにか校門についていた。  
 でも、御坂妹は手を離さない。  
「ここで提案があります、とミサカは深呼吸して言います」  
「提案?」  
「いってらっしゃいのキスが欲しいです、とミサカは勢いで叫びます」  
「ちょ、ちょっと!?」  
 だが、これがキスの最後のチャンスかもしれない。上条は迷う。だが、男たるもの、即決める。  
「……ああ、いいぜ。……せーの」  
 わき腹に痛みが走り、体が浮いたのを感じた。  
「土御門キーーーーーーック!」  
「うぎゃああああああああああああああああ」  
「いってらっしゃい! とミサカは叫びます」  
 ――不幸だ。                        END  
 

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