上条当麻の口癖は「不幸だー!」である。  
何を今更、と思うだろうが、事実上条当麻はそこまで『不幸』なのだろうか?  
例えばその天然フラグ体質は彼にとって不幸以外の何物でも無い、らしい。  
しかしそれはあくまで彼からすれば、の話である。  
ならば巻き込まれる第二者でも無い、第三者なんかの反応はどうだろう。  
彼が上条当麻の如く……例えば吹寄制利の着替えに『偶然』遭遇したとしよう。  
無論。  
そんな事は注意していれば人生の中でも一度有れば多いい部類に入るだろうが、  
とにかく偶然出くわしたとしよう。  
上条当麻ならばコンマ一秒の間も置かず魂の土下座をする事は想像するに難くは無い。  
しかし健全な男子高校生ならば思わずそれを、あくまで『偶然』だから不可抗力だ、と言って見てしまうだろう。  
 
先程から何が言いたいのかを中間を幻想殺しで消し飛ばしたかの如く結論のみを言えば、  
 
『あれ?上条ってむしろメチャメチャ運が良くね?』  
 
という結論に達する。  
最早運命の悪戯としか言い様の無い奇跡的イベントを日常的に起こして居るのだから。  
以下はそんな上条当麻の奇跡的なストーリーのみを集めたモノである。  
 
『このシリーズは本編とは関係ない、という事をミサカは先に断っておきます』  
 
 
「ふ、不幸だ……」  
学校帰りの青年、面倒なので描写は省いて、  
上条当麻は今日も口癖の様に「不幸だ」と呟きながら学校からの帰路を行く。  
ただしその不幸は、テスト前日だからと徹夜の勉強を敢行するも、上条に配付されたプリントのみ前回の範囲の告知であり、  
実際は何もしていなかったと同じという疲労感と絶望によりテストは散々な結果に終わった上  
採点が凄まじい速度で済んだ結果テスト当日でありながら追試、及び補習へと突入(無論徹夜の疲労は消えていない)し、しかもそれが自分一人だったと言う恥ずかしい状況に陥った上に  
何か飲み物を探して見れば有るのは『ドロリ特濃大豆』『アクアネックレス』『エクスタシー』等と明らかに飲む意欲を損なう物、危険な香りのするモノしか残って無く  
、悩んだ結果エクスタシーにするも急に意識が飛び、いつの間にか頬を淡く染めた女の子を抱えたまま明らかに危険な匂いのする集団に囲まれており、そこからなんとか逃亡して今に至る。  
ただし第三者の観点から見れば『確かにテストの結果は同情するが、テメェその結果小萌先生とマンツーマンのドキドキレッスンなんつー嬉し恥かしイベントを体験した挙句に見知らぬ女の子に対してもフラグ立ててるんじゃねぇよ。  
あぁ今日は良い流れ弾日和だなぁ』  
と言ったところだ。  
とはいえ。  
彼とて人間なので不眠不休で夕方まで全力を尽くしていれば勿論ぐったりとしてしまう。  
ましてや昨夜寝ていないとなれば尚更だ。  
よって回りに対する集中は切れ、誰かが声を掛けてもなかなか反応できない。  
気付いても対応するのが億劫なのだ。  
なのでスルー伝説を更新し続けて居る少女に気付かないのも当然であり、  
勿論いつもどおりスルーされた少女はその怒りのボルテージを上げていくのもまた当然の流れだった。  
しかし上条は未だに気付かない。  
今正に背後から超電磁砲が放たれようとしていても(至近距離)その歩みは鈍く、勿論覇気は無い。  
今彼の思考を埋め尽くして居るのは食欲や眠欲等の欲求のみである。  
(腹減った……でも眠い……先ずは飯食って……いや、その前にインデックスを宥めないと……)  
でないと噛み付かれる。  
そう結論に達した辺りで、ようやく上条は身の危険を察知する。  
回りの人々が口々に携帯が壊れたと言っているのだ。  
これに似た事がいつだかにも有った気がする、と上条はゆるゆると思考を巡らせ  
 
……答えに行き着いた。  
 
疲れも何処かへ飛び、嫌な汗がダラダラと流れる。  
ゆっくりとバチバチという音の方へと振り向く。  
 
雷 帝 降 臨  
 
今なら一方通行だって瞬殺出来そうな雷の悪魔が居た。  
その紫電は竜巻の様にとある一点から放出され、とある悪魔の姿を覆い隠し、その雷鳴は悪魔の代わりにその怒りを叫んで居た。  
その悪魔の名は……  
「み……御坂サンー!?一体何が……ッ!?」  
より正確に言うならば殺意の波動に目覚めた美琴がその場に君臨して居た。  
「アンタはいつもいつもいつも…………」  
今この場面。  
ジョジョならば『ドドドドドド』という擬音が踊って居る場面だ。  
流石に夏休みの前(推定)から新学期に入ってもスルーされ続けて居るのだ。  
これはキレても仕方が無い。  
……が、仕方が無いのと上条当麻の生命が維持出来るかは別物である。  
確かに御坂は上条に対して敗北を続けて居る。  
当たり前だ。  
上条その右手、幻想殺し相手には相性があまりにも悪過ぎる。  
仮にそれが異能の力で有れば、摂氏三千度の炎であろうが易く鎮め、核弾頭をも無効化出来る反射であろうが右フックの一撃で捩じ伏せる。  
それは御坂の雷撃にも適用できる。  
一瞬上条の頭の中でライフカード宜しく、  
戦う  
謝る  
逃げる  
の三枚のカードが揺れたが、謝っても許してくれそうには無い。  
ましてや雷撃――光の速度で飛来する攻撃、或いは音速の三倍の速度で激突してくるコインから逃げ切る事も不可能。  
仕方無く上条は戦う事を決めた……が……  
(か、勝てるのかコレー!?)  
明らかに規格外だ。  
アウレオルスの黄金練成よりも反則な気がする。  
(いやいや、それが異能の力だったら無効化できる……よな?)  
流石に自分の右手に疑問を持ってしまうレベルだ。  
もしも右手以外に当たれば即死。  
上条はその右手を突出し……ゆっくりと握り拳に変えようとする。  
 
その瞬間。  
御坂の挙動が一瞬おかしくなった。  
残像を残しながら上条へと滑る様に近付く。  
その動きはさながら……  
 
『阿修羅閃空』  
 
そして上条の目の前へと滑り――――  
 
とあるコマンドが頭をよぎる。  
『弱P 弱P 6 弱K 強K』  
途端、画面が暗転した。  
殺意の波動に目覚めた者が使える必殺技――――  
 
瞬 獄 殺  
 
直後に上条の体を十五の破壊が襲う。  
そう。  
瞬獄殺の特製は『ガード不能』  
とても元の様には動けない、一般人上条当麻は悲鳴を残し、ボロ屑の様に空を舞った。  
そして御坂の背には一文字。  
 
『姉』  
 
御坂の連敗記録がストップした瞬間だった。  
 
「やれやれ。今日は何があったんだい?ハッキリ言って今までの中で一番酷い傷だよ?」  
例の如くカエル顔の医者の元に運ばれた上条は、ベッドの上で横になっていた。  
純白の入院着を纏っては居るが、その服の内側はギブスと包帯で埋め尽くされて居る。  
……御坂の瞬獄殺は黄金練成や一方通行の風、聖ジョージのドラゴンブレスよりも強力らしい。  
「……色々有りまして」  
アレは本当に御坂だったのだろうか?  
最早アレは豪  
「とうま!今度は何をして来たのか知りたいかも!!」  
いつの間にか病室内に侵入したらしい純白シスターはいきなりそう叫ぶ。  
「何をって……補習か?」  
間違っては居ない。  
「ただの補習でそうなる訳無いでしょ!?嘘は吐かないで欲しいかも!!」  
「いやいや、本当なんだって。家に向かってたら急に御坂に襲われてな。まさかアイツが瞬獄殺を習得してるなんて」  
「しゅんごくさつ……?」  
「そうそう。豪鬼の瞬間的に十五のガード不能打撃を叩き込む正に必殺技だ」  
「ふぅん……ってそんな口から出任せには騙されないかもっ!」  
「いやいや!?本当なんだって!!信じてくれよ!!」  
「だってそんな必殺の一撃私の一万三千冊の中にもないもん!」  
「当たり前だド阿呆!!元ネタはゲームだっ!」  
知って居たら逆に驚愕するが。  
「賑やかだね?だけど病院では静かにしてくれるかな?」  
不意に割って入ったその声に上条とインデックスは風切り音を立てる程の速度でそちらを振り返った。  
その先にはやはりというか何というか、カエル顔の医者が居た。  
ちなみに今更ながらここは合計八人が詰め込まれる相部屋である。  
流石にあれだけの大声で騒げば回りに迷惑だ。  
 
隣りから、  
『うるせェ!こンの馬鹿が!!』  
『突然の暴挙にミサカはミサカはきゃーってベッドの中に隠れてみる』  
『邪魔だ!!人様のベッドに侵入してンじゃねェ!!』  
とか言いながら壁を叩く音が聞こえる程だ。  
「うー……とりあえず私はお昼を食べに一回帰るかも」  
「たまには胃袋以外から指令だせ」  
病室内で新型ミサイルインデックスが上条へと発射された!  
かみじょう は 470 のダメージ を うけた ! !  
かみじょう は しんでしまった ! !  
「って違うっ!」  
かみじょう は いきかえった ! !  
「やかましいわっ!!」  
上条の右手が虚空を切ると、妙なナレーションはピタリと止んだ。  
「…とうま?何をしてるの?」  
「あ、いや。何でもない。まぁ夕飯は……また暫く戻れないから小萌先生にでも頼んどけ」  
「とうまは?」  
「また暫く不味い病院食だ」  
「うん、アレは不味かったね」  
インデックスに不味いと言わせ占める病院食。  
恐るべし。  
じゃあねー、また来るよー、と手を振りながら病室を出て行くインデックスを苦笑いで見送った上条は、そのドアが閉まると同時に溜め息を吐く。  
「ところでそこの病院の関係者が居るのに遠慮無く不味いって言うのはどうなんだろうね?」  
「不味いのは本当だろ」  
「それは最近バイトで入った欅ちゃんに言って欲しいね?」  
「誰だよそいつ!?それと病院食をアルバイトに作らせて良いのか!?」  
「大丈夫。ちゃんと栄養がある事と毒が無い事は確認してるから」  
「テメェらの判断基準はそれだけかー!!」  
上条当麻の魂の叫びが病院全体に木霊した。  
 
ただいま現在時刻。  
推定で一八時。  
上条は辺りのカーテンを閉めて、とりあえず昼寝でも……と思ってベッドの中に潜り込んで居た。  
昨夜の徹夜も手伝ってかなり深く眠った……はずだったのだが、何故か予定よりも早めに目が覚めた。  
仕方無い、起きるか、と上条が思考を纏めてゆっくりと目を開けると  
「ひぁっ!?」  
そこには(超至近距離の)御坂美琴の顔が有った。  
そして唇には柔らかい感覚。  
二人とも思考が完全にフリーズした。  
…………  
………  
……  
…  
「はぁああぁあ!?!?」「〜〜〜〜〜〜!!!!」  
とりあえず二人共絶叫した。  
 
ちなみに勿論カーテンは締め切って有るが、回りの患者さんからはきっと怪訝がられているに違いない。  
「……みさっ……!?!?」  
「〜〜ッ!!!」  
御坂の顔がみるみる朱に染まる。  
上条も顔に段々赤みが刺して行く。  
しかし言葉は喉からは出て来ない。  
今の二人の脳内にはキスの一単語で埋め尽くされて居る。  
そして二分後。  
いい加減二人の思考が回復して、上条がどんな罠が有るのかと疑い始めた頃。  
「な、何か感想は無いのっ!?」  
照れ隠しだろうか。  
御坂がそう上擦った声で訊くと、上条の思考は更に混乱を極めて行く。  
(ぇー!?何ですか!?罠じゃないんですか縄ですかなんなんですか俺の人生  
こんなハッピーなイベントが有っていいんですかでも相手は中学生だぞ上条当麻でもきょうび三つ四つの年の差なんて関係ないのかコンチクショーが!?!?)  
上条当麻。  
混乱の絶頂である。  
「……そう、よね。私なんかにキスされても、嬉しくないわよね。……さっきのは忘れて」  
御坂が悲しげにカーテンに手を掛けながら言う。  
それを見て焦った上条は――――  
「い、いや!?そうじゃないって!ただ……そう、その……そう。ただ目が覚めた瞬間に離れたからわかんなかったんだって!!」  
苦しい言い訳である。  
「だから、そう、その……もう一回、しようぜ?」  
上条当麻、あるまじき暴挙。  
だけど恋は盲目、Love blindとは良く言ったもの。  
冷静な……というよりは通常の判断力を失って居る御坂は顔を朱色だった顔を赤色に染めながら、小さく頷いた。  
ゆっくりと歩を進めて行き、最後はベッドに上体を乗り出す。  
二人の距離、七cm。  
上条の瞳が美琴の潤んだ瞳に埋め尽くされた。  
傍から見ると、絶対安静の重傷患者を少女が押し倒して居るようにも見える。  
「……御坂?」  
「〜!分かってるわよ……!」  
とは言うもののお互いの唇は五センチの所で止まったまま。  
上条は御坂の瞬獄殺で動けないので、キスは御坂からになる訳だが……  
御坂の動悸はどんどん高まって、明らかに照れて居るのがわかる。  
それを見て、上条のS属性が鎌首を擡げた。  
「御坂はもしかしてキスもろくにできないのか?」  
ふぇ?と一瞬呆気に取られた御坂だが、その意味を理解するや否や、赤い顔を困った様に眉を寄せて、  
「そ、そんな事無いわよっ!?」  
と反論する。  
「そんな上擦った声で言われても説得力が無いって。証明してみたかったら、な?」  
この言葉で美琴は羞恥によるためらいと、プライドの板挟みとなる。  
その板挟みで美琴は今にも泣きそうになるが、最後は意を決して自らの唇を上条のそれに押し当てる。  
「……んっ」  
そのまま二秒程静止。  
後に顔を放すと、動悸を治める為に深呼吸をする。  
「……どう、だった?」  
借りて来た猫の様にビクビクと美琴が尋ねると、上条は優しく言い聞かせる様に、  
「良かった」  
と答えた。  
だがいつもいつも一言余計な上条の事。  
それだけで終わる筈も無く――  
「できればもっとしたいくらいだ」  
と続ける。  
その言葉に美琴は一瞬大きく目を見開いて、驚きながらもその言葉の意味を咀嚼する。  
そしてその言葉を頭の中で十分に反芻して――もう一度キスをした。  
今度は二秒じゃ飽きたら無い、永遠とも知れない程長いキス。  
たまに唇を放しては、息継ぎをして更に長いキスを重ねる。  
そして三度程息継ぎをした辺りで、美琴にとある考えが浮かんで来た。  
 
それは今のキスよりも、もっと大人のキス。  
お互いの舌を絡め合う様なモノで、とても気持ち良いらしい。  
人が話して居るのを小耳に挟んだだけなので信憑性は低い。  
が、その時にふと頭をよぎった、気になるアイツ……今自分が唇を合わせて居る相手とそれをする光景が、頭から離れない。  
(……実際にしたら、どうなるんだろう……)  
その事を考えると無性にしたくなる。  
その考えは願望になり、そしてその願望は衝動へと変わって行く。  
その衝動は美琴の理性を押し出し、ついには――――  
(――!?みさっ!?)  
息苦しそうな少女の声が上条の耳に届いた。  
そして自分の口内に熱を持った何かが侵入してくる感触。  
それはいわゆる、ディープキスと言うモノで、上条はそれが美琴から行われるとは予想だにしなかった。  
上条はディープキスを知識で知って居ても、実践した事は無い。  
勿論キスすらも先程が初めてだったのだが――  
上条の頭が次第に落ち着いて行くに連れて、美琴の舌が自分のそれを求めて居る事に気が付いた。  
一瞬様々な考えが頭の中を逡巡し――  
「んっ……」  
上条の舌が急に動いた事に驚いたのか、美琴は一瞬驚いた様な声をあげる。  
が、それも一瞬。  
あっという間にそれを享受し、自らも貪る様に、一心不乱に唇を求める。  
病室のカーテンに囲われた一角で、互いの唇を求め合う上条と美琴。  
一度ぴちゃりと水音が鳴る度、その音は頭の中で反響し、二人の理性を蕩けさせ、欲望を育てて行く。  
そして肥大した欲望に衝き動かされた二人が行う行動は一つ。  
美琴が自らの内の欲望に逆らい切れず、一度二人のキスは中断を迎える事となった。  
美琴は名残惜しそうに溜め息を吐くと、それに答える様に銀の糸が二人の唇を伝った。  
そして美琴は上条の体を顔から胸、腹と下って行った先に、とある部分に行き着く。  
スルリとズボンを下ろすと出て来たそれは上条の分身で……それは美琴との濃厚なキスに刺激されていたのか、痛みを伴う程に膨れ上がって居た。  
それは最近上条の家に純白シスターが住み着き、それを処理する事もままならなくなったからである訳だが、勿論美琴はそんな事は知らない。  
本で読んだよりも大きく、グロテスクなそれ。  
男性特有の汗と何かが混ざった匂いに一瞬息を詰まらせる。  
それは尻込みしたのか驚いたのか、嫌悪感を覚えたのかはたまた――  
 
まずは軽い口付け。  
そして次は全体を濡らす様に唇を這わせる。  
時には舌で舐めたり、時にはむしゃぶりつく様に。  
つぅ……と裏筋をなぞり上げると上条がピクリと分かりやすい反応をした。  
(こうするのが気持ち良いんだ……)  
美琴はそう思いながらも、上条のソレに舌を這わせ続ける。  
そこが感じる事に気付きながら、別の部分に舌を這わせて居たのは飽きが来ない為と知って居たのか、或いはただ単にほんの少しの悪戯心か。  
まぁそれは結果的に意中の彼をより悦ばせる事と成ったのだからまぁ良いだろう。  
元より頭の良い美琴の事。  
直ぐにカリ裏の性感帯の事も感付き、探し当てる。  
そして上条が後一息で放出する、という場面。  
上条のそれが生暖かい何かに覆われた。  
(〜〜ッ!?)  
予想以上の快感(と美琴のテクニック)に驚きながらもそれを隠し通す。  
あまりうろたえないのが男だと思って居るらしい。  
(とは、言ってもこれはちょっと……な)  
自慰でばかり性欲を処理して来た上条には刺激が強過ぎる。  
じゅぷっ、じゅぷ、という水音に、美琴の荒い息。  
そして未知の快感。  
少年が精を放つのに抵抗出来る筈も無かった。  
美琴は自らの口内で急激に膨れ上がる、上条のソレに一瞬驚く。  
……、直後。  
「ん……ぐぅ……っん……」  
口の中、というより最早喉に直接注ぎ込まれて居るに近い。  
その噎せ返りたくなる衝動と同時に、それとは真逆。  
もっとこれで汚して欲しい。  
もっと喉に注いで欲しいという欲望がふつふつと沸き上がる。  
美琴は一瞬考えて、  
「ぅぉっ!?」  
もう一度それを口に含んだ。  
奇しくもそれは射精後の精力回復を兼ねて居たのだが、流石の美琴もそれは無自覚である。  
ちなみに上条はといえば、射精直後に咥え込まれ、先程とは比べ物に成らない快感に戸惑って居た。  
「……っ……ぅ…みさ……かっ……」  
「……………ぁ」  
上条のそれは最早声と言うよりも音に近い。  
喉を震わせて辛うじて音を出して居る様だった。  
よって。  
美琴が自分を呼ばれて居る事に気付くのには僅かだが、時間を要した。  
それからようやく口を離す。  
「……みこと」  
銀の糸が伝う唇で、美琴はそう呟いた。  
「お願い……美琴、って呼んで……」  
その目は虚ろだが、その視線の先は一点。  
上条に固定されて居る。  
ブラウンの髪はくしゃくしゃになり、髪飾りに絡み付いて居て。  
その息は荒く、内には焼け付く様な愛欲と、その熱によってドロドロ溶かされた理性とが渦巻いて居る。  
美琴と目を合わせた瞬間、上条は一瞬息を飲まずには居られなかった。  
確かに体や、年齢は子供かも知れないが、その目に宿る熱はまさに大人の、しかも雌のそれだった。  
「……。美琴」  
上条が息を整えて名を呼ぶと、美琴は嬉しそうに目を細める。  
そして猫の様に飛び付いてキスをする。  
「……、良い?」  
美琴のそれは質問と言うよりは確認であり、上条もそれを知って居るため、迷う様な素振りは一切見せない。  
ただほんの一動作。  
優しい目をして頷くだけ。  
その動作が美琴は何故だかとても嬉しくて、もう一度キスをした。  
 
スカートは脱がずに、下着のみ。  
下着をびしょびしょにする程に愛液が溢れて居る美琴に前戯は最早不要だった。  
何度か上条のそそり立つそれに秘部を当てがい、確認。  
間も無く来るであろう、繋がる快楽と、処女膜が破れる苦痛に息を飲む。  
そして同じく緊張した様にこちらを見て居る上条と目を合わせてゆっくり入れるか、一気に入れるかを一瞬迷って――――  
一気に腰を落とした。  
上条のそれが自分のナカに入って来るのが痛い程分かった。  
「っうっ……あっ……」喘ぐ、というよりは呻く。  
苦痛は確かに一瞬だったが、また力を入れる勇気がなかなか沸かない。  
じんじんする痛みを、涙目になりながら堪える。  
「大丈夫か?」  
心配そうに訊いて来るその優しさが、今ばっかりは憎たらしかった。  
まさかここで止めるとか言うのでは無いだろうか。  
それを考えて、美琴は急に怖くなる。  
――だけど、次に聞こえた言葉はその逆だった。  
「辛いなら俺に任せて良いんだぞ?」  
息絶え絶えの美琴は、ぽろぽろと涙を零しながらうん、と返した。  
上条は本来動かしては成らない筈の両手を美琴の腰に添える。  
動かして大丈夫かと疑いたくなるが、それは日頃過酷な日常を送って居る上条の事。  
この程度のダメージなら動いても問題ないらしい。  
最初はゆっくりとしたグラインド。  
美琴の辛そうな反応が、段々薄くなり、全身の強張りが消えてゆくのを感じ取ると、上条は段々と突き上げを強く。  
「んっ……ひゃ……ぁん」  
嬌声が上がり、美琴も段々と行為を享受し始めたらしく、弱々しくだが腰が動いて居る。  
「美琴、あんま声出すと回りの人に感づかれるぞ?」  
実際にはもうバレて居ると上条は踏んで居るのだが、美琴はそれを知らずか、自分の口に手を当てて、回りに聞こえない様に必死になって居た。  
そして上条の悪戯心に段々と火が点き、その突き上げは徐々にエスカレートしていった。  
コツコツと何かが当たる感触。  
それは最奥部の子宮に上条のそれが届いた感触。  
愛しい人のモノが自分の一番奥を何度も突き上げる快感と、幸せに軽い浮遊感に襲われる。  
そして背筋を今までに味わった事の無い感覚が這い上がり――――  
「――――ぁぅっ!」  
我慢していた声はギリギリの所で漏れた。  
しかし、躰を弓なりに反らし、絶頂の快感に襲われて美琴にはそんな事は関係なかった。  
(あふぁ……しあ……わせ)  
そして美琴がイッた事により、収縮した腟は上条にも多大な快楽をもたらす。  
 
「…ッ!美琴……抜かないと……」  
「あ……ぅんっ……だめぇっ……!!」  
抜こうと腰を上げる度に腟内に擦れ、美琴はその快楽に全身の力を逃がされる。  
詰まる所、腰を振って居るのと変わりない。  
ずちゅずちゅと響く水音。  
「……駄目だ、美琴………出る」  
「ふぇ!?だっ……中はだめぇっ!」  
「―――――ッ」  
「きゃっ……あ……ついぃ……中で、ぴくぴく動いてる……」  
痙攣する様に吐き出された精液は美琴の中へと注がれる。  
しかしあまりにも溜まって居た上条の精液は美琴の中を満たしただけでは飽き足らず、接合部からも溢れ、流れ出た。  
しばしその空間は荒い息で満たされることとなる。  
 
美琴は今上条の横でくったりとしている。  
初体験からアレは確かになかなか辛いモノが有った筈である。  
…でも、と上条は横になったまま思考を続ける。  
(お互いが初体験の場合、処女がイクのは難しいって聞いてたんだけどな……)  
とはいえ、現に美琴は本来上条が寝て居る筈のベッドをちゃっかりと占領しながら眠って居る。  
その顔はとても幸せそうで、なにやら枕によりくぐもった声で何か寝言を言って居るらしいが、それを上条に分析するのは少し難しい。  
実際には、  
「ふふー、にゃかに出した責任はとってもらうんだからねー。これからもいっぱいしてもらうんだからー」  
である。  
(……。何だ?美琴が何て言ってるかは分からないけどかなり不穏な事を言ってる気がする?)  
悪い予感だけは妙に当たる上条当麻。  
随分贅沢な不幸だとは思うが。  
一つ息を吐いて美琴の髪を撫でる。  
美琴の髪は乱れ、よく見れば唇の辺りには精液と思しきモノが付着して居て、下半身は最早いわずもがな。  
それを見て自分のムスコはまた元気を取り戻して来る始末。  
やれやれ、と苦笑して、何とかして始末しないとな、と上条が思考した辺りで―  
――――――――不幸来襲。  
 
「とうまっ!回りに人払いのま…じゅ……つ………が…………」  
 
ザァッ!と唐突にカーテンを開けたのはピンまみれの純白シスター。  
禁書目録、インデックスだった。  
まず見えたのはベッドの背もたれに身体を預けて居る上条。  
次にそそり立つ上条のモノ。  
そしてその横で、下着を穿かずに、秘部から朱色の液体を漏れさせて居る短髪。  
インデックスは時が止まった様に硬直し、上条はダラダラと冷や汗を流しながらこの後の惨劇への心の準備をして居る。  
正直。  
上条は手足を動かすレベルの運動は可能だが、抜群の精度を誇るインデックスの噛み付きに対して抵抗出来る程の活動は不可能である。  
段々とインデックスの硬直がほぐれ、が再び時を刻み始める。  
今の上条の精神を邪悪の化身的に言えば、くっ……時が動き出す……と言った所なのだが、生憎と今の上条にそんな余裕は無い。  
しかしインデックスとしても急にこんな光景を見て、どうしたら良いのか分かる筈も無い。  
「……とうま、これは何事?」  
インデックスが、その幼い外見に似つかわしくない、低く押し殺した声で問う。  
その質問に上条が答え兼ねて居ると、さほど間を置かずに、  
「何で私にはしてくれないのに、短髪とはするの?」  
上条はインデックスの質問を理解するのに、僅かだが時間を要した。  
そしてそれの意味を吟味するための間すら置かずに、  
「私とは寝る時毎回距離取ってるのに」  
インデックスは言葉を続ける。  
「前にも言ったよね?」  
 
「インデックスは、とうまの事が好きなんだよ?」  
 
自分が、今の上条の記憶の始まり。  
真っ白の自分が、初めてインデックスと会った時に聞いたその言葉。  
インデックスはそう告げてからフラフラと誘われる様にベッドへと昇る。  
 
「イン、デッ「不公平だよ。何でたまにしか会わない、恋人でも無い短髪とはしたくせに私とはしてくれないの?私のこと、嫌い?」  
「……違う。だけど……」  
「もういいかも。とうまが抵抗しても、私は無理にでもするから。私は、とうまが欲しいから」  
上条はまだズボンを穿いて居ない。  
そして上条のソレは未だにいきり立って居る。  
そうなればインデックスが行為を始めるにはさして時間は掛からなかった。  
上条のそれを、小さな手で力を入れ過ぎない様に、優しくしごく。  
その小さな手の感覚すらもくすぐったく、ソレを興味深そうに見上げるインデックスの瞳は不覚だが可愛らしかった。  
しかし、快楽としてはやや……  
「とうま。物足りない?」  
それを察したのか、インデックスがそう言うと、上条はうっ、と目を逸らした。  
バレバレである。  
えへへ、とインデックスは笑うと、  
「安心してね。もっと気持ち良くしてあげるから」  
と言い聞かせる様に囁いた。  
つぅっ、と舌が上条のソレを這い回る。  
時には優しく、時には強く責めるインデックスのテクニックは、上条の想像に反して達者だった。  
「驚いた?……、あのね。とうまの部屋にある、あの本。あれに詳しく書いてあったから……」  
「読んだのかよっ!?そして覚えたのか!?」  
そうらしい。  
「あれに色んな食べ物で練習すると上手くなる、って有ったから、いっぱい練習したの。いつこうなっても良い様に」  
それはいつか、自分の好意が上条に受け入れて貰えた時の為の準備だったのかもしれない。  
――それは皮肉な形で役に立つ事と成った。  
受け入れてもらった時の為では無く、受け入れさせる為に。  
じゅぷ、と卑猥な音を立てながらインデックスの口は上条のそれを飲み込んだ。  
「――ッ!」  
美琴のフェラチオとは比べ物にならない快感が背筋を登る。  
じゅぶじゅぶと音が辺りに響く都度、上条は呻く様にしてその快楽を吐露する。  
インデックスはその様を見て、目を細めて喜び、そして。  
「……そろそろ、良いかな」  
と言って口を放し、自らの下着を下ろす。  
何故修道服を脱がないのは謎だが。  
「とうま、私の初めて。受け取って欲しいかも」  
かも、と言ってはいるが、その言葉の裏腹には否定を許さない語調の強さと思いが潜む。  
そしてさして間を置かず、上条の返事も待たずにインデックスは上条の上へと跨がる。  
そして唾液と精液、先走りで濡れ、ぬらぬらと光り、脈を打ちながら天へと向かうそれに狙いを定めて。  
「――――はぅっ!」  
一気に腰を落とす。  
 
とはいえインデックスの小さな腟では上条のソレを全て受け入れるのは不可能だった。  
三分の二程が挿入された辺りで静止して居る。  
インデックスは小さな涙をぽろぽろと零しながらその痛みを堪えて居た。  
「……はぁっ……っう……ふ……ぅっ」  
懸命に息を吐き出そうとするが、それも虚しく荒い息は息を吸い続け、正面な呼吸もままならない。  
当たり前だ。  
繋がる事を焦る余り前戯を怠り、濡れても居ないのに無理矢理捩じ込んだのだから。  
「ふぅっ…はあぁっ…ぅ……」  
インデックスはぼろぼろと涙を零しながらも決して行為を止めようとはしない。  
「インデックス……もう止めろ。そうじゃないと……」  
上条はそこまで詳しくは無いが、腟に傷が付いて二度と性行為が行えなくなる。  
そんな噂も聞いた事がある。  
自分なんかのために、そんな…  
「嫌。私は、とうまとしたいの。私は短髪なんかに負けたくないの!とうまは私としたくないの?私が嫌い!?それともただの同情?同情なんか、嬉しくない、かも」  
そう。  
上条の今の気持ちはもっとも近しい表現は同情だ。  
痛そうだから、辛そうだから。  
そんな事を思ったばかりに、人の覚悟はあっという間に踏み躙られる。  
あまりにも儚く霞み、消える。  
「………、違う、の?、なら、私…と、してよ」  
痛みのあまり、言葉が途切れ途切れになっている。  
そうやってボロボロの状態で、インデックスは言った。  
「そういえば、あの時は有耶無耶になっちゃったから、もう一回言うね」  
 
「イ、ンデックスは、とうまの事が大好きなんだよ」  
 
当麻は自分を見上げながら何を想ったかはわからない。  
だけど、最初に詰まった事を除けばちゃんと想いは伝えられたはず。  
インデックスはそう確信して再び行為を再開する。  
「俺も、インデックスの事は好きだよ」  
「っ……ぇ?」  
「だけど、インデックスの事だけは愛せない。もうコイツの想いにも答えちまったからな」  
インデックスは美琴を見やる当麻に嫉妬を覚えるよりも先に、何処か安心にも似た感覚に包まれる。  
―――うん、そうだよね―――とうまはこうでなくちゃ―――  
 
自分は何で自らの下に寝る彼を好きになったのだろうか。  
それは自分を助けてくれたから、なんてお姫様みたいな理由でも、ましてや一目惚れなんていうドラマティックな理由でもない。  
ただ、いつの間にか惹かれて居ただけ、だと思う。  
彼は誰にでも優しくて、特別扱いをしない。  
知り合って間もない自分にご飯をくれて、自分を助ける為に敵の魔術師と戦って、挙句の果てには病院に運ばれる様な大怪我を負って、それでも決して他人のせいにはせずに、今までと同じようにと接してくれた。  
たぶんその優しさに惹かれたんだろう、とインデックスは結論付ける。  
くすりと喉を小さく鳴らすとそれだけで痛みが緩くなった気がした。  
大きく息を吸って力を抜く。  
「インデックス、、ちょっとでいいから慣らさないと……」  
「んーん、大丈夫。こんな痛みなんて、大丈夫」  
そうは言われても、と当麻は思う。  
さすがに相手に痛みを伴わせながら自分だけ気持ち良くなんてなれる訳無い。  
そう思う当麻のモノがだんだん萎縮していくのを自分のモノで感じるインデックスは途端に表情が暗くなっていく。  
 
「……とうま」  
「焦り過ぎだ、馬鹿」  
一旦抜け、という当麻の言葉にインデックスは露骨な不満そうな顔をしながら腰を上げる。  
「よっと」  
ぐっと当麻が体を起こすとインデックスは当麻に組み倒される形となる。  
ちなみに当麻はその際の体の痛みに思わず叫びそうになるが、そこは根性でカバーする男上条。  
少女の笑顔のために必死である。  
だがそれは解釈を間違えると凄まじいまでの幼女性愛者となるのが悲しいところだ。  
まずは軽く唇を合わせる。  
そこからだんだんと深く。  
美琴としたように脳髄が蕩けそうなほどに深く、淫靡に。  
むしろ上条のそれは美琴との時とは違い、二度目だったため、更に深くなっていた。  
とぎれとぎれの荒い息に、ほんの些細な水音。  
それに毒された当麻の理性はゆるゆると融解しいき、果てにはその手をインデックスのつぎはぎの修道服の下へと伸ばす。  
「ぁ……とうま」  
インデックスがダメ、と続けるよりも早くインデックスの乳首を擦り上げる。  
「ひ…ゃあっ……らめ……」  
「ん…………?インデックスは感じやすいんだな」  
「そんなこ……と、言わないで……」  
インデックスは必死に声を押し殺すも、それが逆に愛らしい。  
その感情はだんだんと悪戯心に変わり、その愛撫を過激にしてゆく。  
最初は擦り上げるだけだったが、次につまみ、ひねり、指で転がす。  
潰したり引っ張るとインデックスは殊更大きな声をあげて体を震わせる。  
舌でザラリと乳首をなめた時には「ふぁぁぁっ!」と体を跳ねさせたほどだ。  
嬌声はだんだんとエスカレートしていき、周りを憚る事を知らないようだった。  
して、当麻の傍らで果てていた少女の耳にもその嬌声は届くわけで―――――――――――  
「……なぁにしてるのかしらね?」  
 
雷帝再び。  
 
当麻の思考はその瞬間完全に停止した。  
「いや、あの美琴!?これは、その!?」  
「言い訳なんか聞かないわ」  
じゃあ俺は死刑確定ですかー!?  
と上条が半ば死を覚悟し、美琴がその髪の毛を角の様にして紫電の稲妻を集める。  
「うー。ここで邪魔されるのは困るかも」  
と、インデックスの声が辺りに響く。  
 
そのほんの直後にはもう美琴の視界は天井に埋め尽くされ、唇にはやわらかな感触。  
え?  
と美琴が状況を認識するよりも早く、上条の理解不能な声が辺りに響いた。  
たっぷり時間をかけて五秒。  
この時点でようやく美琴は自分が純白シスターに押し倒されていることに気がついた。  
「えっえぇぇんぐっ!?」  
美琴が驚きの声を上げるよりも早く、インデックスの二度目のキスが美琴の唇を塞ぐ。  
そこから更に派生してディープキス。  
最初はじたばたと暴れていた美琴の手足が徐々に落ち着いてくる。  
そしてインデックスの小さな手と絡み合い、その唇からはまだまだ幼い少女達の荒い吐息と艶やかな声が漏れる。  
当麻は思わず目を背ける。  
もちろんこの光景が見苦しいわけでも、嫌な訳でも無い。  
ただ単にソレを見続けていると、自分の歯止めが間違いなく効かなくなるであろうことが簡単に予想できたからだ。  
目の前の(美)少女達が事もあろうか手を絡めあい、唇を重ね、その肌を合わせているのだ。  
この光景を見て理性の箍が飛ばない人間は男じゃない。  
当麻はよくわからないが助かった、ということだけ記憶に留め、目を逸らしながら精神集中をする。  
(こ、こういう時は時はえええええっと!?どうすんだっけ!?そうだ、とりあえず素数を数えて落ち着くんだ!1、2、3、5、7……って違うッ!)  
……全然集中できていないらしかった。  
そんな当麻の耳からは何の遠慮もなく二人の嬌声が脳へと送られる。  
「ふぅ……ぁんっ。やぁ…そこは……」  
当麻の理性の防衛壁、残り四枚。  
「えへへ、きもちいいんでしょ?だめだよ。もっともっと………」  
残り三枚。  
「い……やっあん……とうまぁっ」  
三枚飛んで一気に理性の防衛壁は瓦解した。  
重なり合う二人を力づくで引き離し、まずはインデックスに。  
次に美琴へとキスを落とす。  
それぞれの潤み、蕩けた瞳と目を合わせながら存分に舌を絡ませあい、重力に従って滴下される唾液を飲ませると、二人の体を嬲り始める。  
まずは首に耳。  
そこから下に降りて胸を犯す。  
そして腹を辿り、その肢体を存分に堪能し、秘部へ。  
「――――――――――うわ」  
「やだ……恥ずかしい……」  
「こんなにした責任、取ってほしいかも」  
二人ともそこを洪水のように愛液で濡らし、ぴくぴくと動いていた。  
「これならすぐにでも入れて平気そうだな」  
「……ぁぅ」  
顔を真っ赤にする美琴とは対照的に、インデックスはどこか不満そうに、  
「そうはいかないかもっ」  
とほとんど息だけで、声になっていない声を出す。  
それと同時に今度は当麻の体がベッドへと倒された。  
「ぐぅっあ!?インデック「ふふん。とうまにされてばっかじゃないんだから」  
体中に響く痛みは次の瞬間に塗りつぶされる。  
腰にはささやかな重み。  
それは馬乗りになり、今まさに腰を落とそうかというインデックスの重み。  
インデックスは勝ち誇ったように小さく笑う。  
 
するとじゅっ、ささやかなという水音が辺りに響いた。  
当麻のモノがインデックスに呑まれた音だった。  
今度は先程のように引っかかるような感触は全く無い。  
ずぷずぷと水音を立て、インデックスの腰が振り下ろされたびに膣の最奥部まで届き、ゴリゴリとインデックスの未成熟な膣を押し広げ、擦り上げ、貫く。  
その快感にびくびくと震えながらインデックスは激しく腰を打ち付ける。  
コツコツと膣の最奥を突かれる快感にインデックスは震えながらも、腰を振りながら軸をずらし、当麻のモノの裏側をひときわ強く擦り上げる。  
当麻としても今までの性的興奮や、インデックスの想像以上に締り、気持ちのいい膣に挿入し、今にもイキそうな程だったのを堪えていたのだが、インデックスのアクションによって一気に高みへと近づく。  
あわやそろそろ白濁を放出する、というところでもう一人。  
「私も………っ!」  
と美琴が消え入りそうな声で言ったかと思えば直後。  
当麻の視界はピンク色の何かで覆われた。  
それは美琴の秘唇。  
雌特有の匂いが当麻の頭をくらくらさせる。  
して、何を考えるでもなくその秘唇へと舌を這わせる。  
「はぁ……ぁんっ!ぃぃ…!もっと……あはぁっ吸っちゃらめぇっ!」  
「くぅ…ん……短髪、すごいイヤラシイ顔してる……っ!あぅっ!」  
「それ、アンタも言えな…あぁぁ……そこぉ……すごい良いのぉ……」  
「あ…あ、あ、あ、あ……!!くぅっ……く…る―――――――!」「いあっいぁっふっくぅっ―――――――!」  
二人の最早言葉にならない叫び声とともに当麻からは精が放たれ、同時に当麻の顔は愛液以外の液体でも汚れることとなった。  
当麻も一言何かモノ申してやろうと二人を見れば、二人とも涙と唾液、そして愛液に汚れながらも幸せそうに失神をしていた。  
その光景に一瞬でその気は失せ、逆に愛しさが湧いて、溢れてくる。  
二人の少女に小さくキスを与えると、上条も同時に意識を手放した。  
 
 
―――――後日談―――――  
「ぐぅ……腰痛ぇ……」  
あの後。  
頑張り過ぎた上条はどうやら腰の酷使をしたらしい。  
退院はしたものの、低いうなり声を上げながらお爺さんのように体をくの字に曲げて歩く。  
普段は軽々と持ち上がるはずの学生鞄すら妙に重く感じる。  
して、電車に乗るべく駅に着いた上条はようやく妙な状況に気付く。  
周りに一切人がいない。  
はて、どこかで見た光景だな?  
と上条が思考するのが早いか、目の前に怪しげな大男が現れた。  
2メートルを超す長身に赤い(略)魔術師ステイル・マグヌスだった。  
上条がこの状況はお前がやったのかと問うよりも早く、ステイルがぶつぶつと何かを呟く声が耳に届いた。  
「まったく……あの君はあの子にまで手を出すなんて。いや、許せないなんて思ってないよ?ただ腹が立ってどうしようもないだけで、それをどうやって発散しようかと考えてるだけだからね」  
どうやら少し壊れ気味らしい。  
その不気味な一人言は決して止まらず、機関銃のように彼の口から発せられ続けている。  
いい加減上条が止めようかと思い、ステイルの近くにだるい体を引きずるように歩いて行くと、「うん、やっぱりこれしか無いね。ちょうど本人も来たみたいだし、コイツを焼いてあの子を取り戻すとしようか」と耳に入った。  
ステイルがルーンのカードを取り出す。  
上条は昨日の疲労が抜けきっておらず、病み上がりなのもあって右手をふるうのが一瞬遅れる。  
 
某月某日。  
七時四十三分。  
学園都市内のとある駅で大規模なテロがあったとニュースが流れることとなった。  
 
 

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