顔が床に直撃する直前、上条はベッドから飛び起きた。  
「ゆ、夢だったのか?」  
荒い息を整えて額に浮かぶ汗を腕で拭う。  
とんでもない夢を見た。  
吹寄と結婚して子供までいるなんて普通の夢じゃない。  
いや、それとも・・・  
「内なる願望が夢になったてか?くだらねぇ」  
軽く頭を振りながら汗びっしょりとなった体をシャワーで流そうとしたとき、当麻は気づいてしまった。  
彼の寝ているベッドがダブルベッドだということに。  
当麻は一度止まった汗が再び汗が噴き出すのを感じた。  
鼓動が速くなり、首が油を点していない自転車のチェーンのように首がうこかない。  
そして恐る恐る振り返るとそこには見覚えのある茶色い髪と顔の一部がふとんからのぞいていた。  
ふとんのふくらみがその茶髪の持ち主はそんなに大きくないことを悟る。  
「こ、こいつ、あのラストオーダーって奴か?」  
そういったが最後、当麻の頭には一つの言葉が浮かぶ。  
ロリコン。  
「ち、違う!上条さんはロリコンなんかではさありません!」  
大きな声で否定するが頭の中にはロリコン、という言葉が無限にループする。  
そしてどこからか青髪ピアスと土御門の声が聞こえてくる。  
(にゃーカミやん、我らの世界にようこそですたい)  
(ボクはカミやんがやっと理解してくれてうれしいでー)  
(ちがう!ちがうんだ!俺は!)  
(言い訳なんて見苦しいにゃー)  
(認めたほうが楽になるで、カミやん?)  
(そうだにゃー!この俺、土御門元春がロリは偉大だといっているのでだにゃーカミやん!)  
(ロリが他の萌属性に対して優れているなどと!)  
(人類(男たちには)他の萌属性だけでは満足できていないのや!)  
(だからといってロリ(犯罪が)いいというわけではない!)  
(なら今すぐ人類にロリ以上に偉大な萌属性をみせてみい、カミやん!)  
(貴様らの幻想をやってからそうさせてもらう!)  
 
とイマジンブレイカー(右手)を土御門と青髪ピアスの声がする方向にふるおうとした時、  
ドアが大きな音をたてながら空くと同時にど怒鳴り声が聞こえてくる。  
「あんた、パパ起こすのにどんだけかかってるのよ!」  
ものすごい剣幕で入ってきた女性を当麻は過去みたことがある。  
忘れもしない、御坂美鈴は詩菜と同じ能力(若作り)をもっていてとても一児の母には見えない人、美鈴さん。  
「パパ?」  
確かに彼女はそういったはずだ。  
美鈴が自分のことをパパと呼ぶにはこの部屋にはパパがいなくてはならない・・・ま、まさか!  
(上条さんは人妻とにゃんにゃんしたという意味ですか!!)  
美鈴らしき人物が大声で叫んでもベッドで寝ている女の子を見た。  
額に青筋浮かべる女性には話しかけられるような雰囲気ではない。  
しかし、前見た時は美鈴さんはもっとのんびりしていたような気がするなー、とか思っている当麻は  
目の前の美鈴がとなりの子供の首根っこ掴んで部屋から引っ張っていく。  
こんな状況でも起きていない女の子は将来大物になるなとくだらないことを考えながら、  
その後ろ姿を見つめていた。  
もうなにがなんだかわからなくなってきた当麻はぽっつんとベッドの上に座り、何気なく部屋を見回す。  
いかにも夫婦の寝室という感じの部屋は普通の部屋だ。  
すぐ横にあるベッドサイドテーブルには見たこともないような携帯電話が置いてあり、そのすぐ近くには写真立て。  
当麻が居る位置からは写真が見えないのでなんとなくその写真を手を伸ばす。  
写真に写っていたのは美鈴らしき人と先ほど部屋を引きずり出された少女。  
なんとなく写真の裏を見ているとそこには自分の字でこう書いてあった。  
『愛しのハニー美琴とマイラブチャイルド美○』  
(つまりさっきの美鈴さんは美琴で今の女の子は俺の娘(?)・・・)  
オーバーフロウした頭が本能的にシャットダウンする。  
司令塔(脳)のコントロールを失った当麻の身体はゆっくりと倒れる。  
ベッドの上で倒れるのだから柔らかいベッドの上で倒れるはずなのだが不幸にも彼はベッドを越え、床に向かって突っ込む。  
「と、当麻?」  
「パパ!?」  
そんな声を聞きながら当麻はもう一度床とキスをした。  
 

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