冷たい風が体に突き刺さるのを感じた当麻は、自分の目が覚めたことに気がつく。  
(あれ?俺いつの間に寝たんだ?・・・)  
と思った昨夜何やったか思いだそうと瞬間  
茶髪の少女の声が脳裏に浮かび上がる。  
ビリビリが奥さんで彼女に似ている子供がいる記憶が鮮明に浮かび上がる。  
悪夢を見た当麻は体を起してちゃんと存在しないことを確認したい衝動に駆られる。  
まるで、クローゼットに悪魔がいる夢を見た子供のようだが、当麻は真剣そのものだ。だが、寝  
起きの頭故に当麻は気がつかなかった、。彼の目の前には日本式の庭が広がっていたことと、  
彼が枕にしていたのは膝枕の上だということに。  
 
 
 
起き上がろうとした当麻は足の痺れでバランスを崩す。  
勢いよく立ちあがろうとした当麻は勢いよく落ちる。悲鳴をあげる間もなく地面と激突する当麻  
だが、頭は柔らかくぷよぷよしている物に受け止められたが、肘は床に直撃する。  
「!!!!!」  
打ち所が悪かった肘からはとてつもない痛みが上条を襲う。  
悶え苦しむ当麻は肘をさすろうと自然に空いた手を動かすが、当麻の手が肘を触れる前に柔らか  
い感触を感じる。驚いて肘を見てみるとそこには白い女性らしき手が肘を包んでいた。驚く当麻  
をよそに当麻の肘を触れている手はすりすりと肘をさする。柔らかく、ふわふわな手は当麻の心  
臓は鼓動を速める。しばらくすると手の動きが止まり、見たことがある女性の顔が当麻の視界に  
入る。  
「当麻さん、大丈夫ですか?」  
 
和服を身に着けている女性は当麻に向かって微笑む。年上好きの当麻としてはこんな綺麗な女性  
と知り合えたのなら絶対に覚えているはずだ。見覚えがあるの顔のような気がするのだが、当麻  
には誰だか解らない。少し視線を左に移せば当麻には見たことのある長すぎな刃物の存在を知れ  
ばおのずとわかるはずなのだが、残念ながら当麻の視界には入らない。  
もし、目の前の女性の名前が解っていたら当麻は違うリアクションをしただろう。しかし、無知  
な当麻は年上美女の前で緊張して彼女の問いかけに答えようとして声をかけようとしたとき長身  
の男性が当麻たちに近づいてきた。  
「旦那さんなんか大きい音がしやしたが、大丈夫ですかい?」  
現れたのは微妙に変な格好の庭師だった。ちゃんとした和風の庭師っぽい格好なのだが、所々違  
うのは別に≪個性的≫で済ませられる格好だ。しかしその庭師が建宮斎字だと話は違ってくる。  
唖然とする上条は、建宮の顔をマジマジと見てしまう。当麻の視線に建宮は気がつかなく、膝枕  
の美女と話す。  
「ええ、少し夢見が悪かったみたいですわ」  
「それはそうでしょう。昨日までゲーティアの若旦那と一緒にダーククルセイド相手に闘ってい  
たんでしょう?」  
「ええ、なんでもあのアバンドンと戦ったらしいですわ」  
「へぇーあのアバンドンと・・・。旦那さん、よく死にませんでしたねぇ。これもプリエステス  
様が手取り足取り天草式戦闘術を教えてくださったおかげですねぇ」  
会話についていけない当麻はそんな建宮の言葉にひきつった笑みを当麻の頭の中ではプリエステ  
スという言葉が駆け巡っていた。  
 
プリエステス。  
英語で女教皇という意味の言葉。  
差別が大きいキリスト教内でめずらしい、じゃなくて。  
イスラム教、ユダヤ教、キリスト教は同じ神様を信仰しているんだよ〜、じゃなくて!  
天草式の女恐慌といえば・・・。  
当麻は、自分の頭が乗っている膝枕の持ち主を見た。  
当麻が知る限り建宮斎字が、プリエステスと呼ぶのは神裂火織だけなのだが、当麻はイマイチ信  
じられなかった。当麻の知る神裂火織は、お堅い人ずつであり滅多に笑わないと言う印象があっ  
た。もちろん、彼女がとても優しい人物だと当麻は知っている。しかし、先ほどの建宮の発言で  
頬を赤く染めて上品に照れ笑いしている女性がどうにも神裂に見えない。  
思わずまじまじと見つめてしまう当麻。  
そんな中、少し遠くから少年の声が、聞こえる。  
「ただいまぁー」  
だるそうな声は、なんとなく自分自身を思い越す当麻。その声を聞いた神裂は、立ち上がる。膝の  
上の当麻のことを忘れて。  
一瞬にして膝枕を失った当麻はニュートンの法則により落下し、床に頭が激突する。当麻は、自分  
が意識を失ったことを気づかないまま、意識を失った。  
 
 

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