見慣れた自分の部屋(浴室)で目を覚ました上条当麻は、何故か自分が、安堵しているこ
とに気がついた。
なんだか、自分の見た夢が、原因のような気がするが、あんまりよく思い出せない。なん
となく、吹寄や、神裂を見た様な気がするが、よく思い出せなかった。漠然と徳したよう
な気がするのだが、肝心の夢が思い出せない。思いだそうとするたびに頭が痛くなる事に
疑問を感じる当麻だったが、なんとなく気にしたら修羅場のような気がしたのであまり気
にしないことにした。
何はともあれ、身体を起こした当麻は、身体にこびりつく寝汗を濡れたタオルで体を拭く。
シャワーじゃなくて濡れタオルを使うのは、インデックスが過去に『お約束』をしてしまっ
たからのだが。
(あの時は、なぜか噛まれなかったよなー。しかも顔赤くしてしばらく放心したように俺
のことを見てたしなー)
と感傷にふけっていた当麻に強烈な眩暈を覚えた。
とてつもない殺気が、部屋の外から放たれていた。
思わず吐きそうになるぐらいの強烈な殺気が、誰から放たれているのか当麻は、悟ってし
まった。自分が、これからどうなるかを。恐怖心が、当麻に心を支配する。冷静に状況を
分析すればするほど当麻自身にこれから何が起こるか解ってしまう。
自分の身に何があるかを悟った当麻は、不思議と心が落ち着くのを感じた。死刑台に立っ
ているはずなのにこう心がおだやかなのは、おかしいなっと当麻は、思った。
一歩づつドアに近づく。しっかりとした足取りでドアに近づく当麻は、自分の顔が濡れて
いるのに気がつく。拭っても、拭っても溢れ続ける水が、涙だと当麻は、気づかなかった。
否、気づけなかった。一歩一歩、ドアへと足を進める度に当麻の頭には、色々な知り合
いの顔が、フラッシュバックする。
「みんな、俺がいなくなっても大丈夫だよな」
泣きながら笑顔を浮かべる当麻は、ドアの取っ手を取り、ハンドルを回し、心の中で呟く。
(ごめん)
そして、ドアを開けた当麻が最後に見たものは、自分に向かって飛びかかる居候の腹ぺこ
シスターだった。