(これは好機です、とミサカは結論付けます。)
とある病院に入院していたミサカは考えていた。今、ここには自分たちの命を救ってくれた少年が入院しているらしい。
(今こそ恩を返さねば、とミサカは人道的意見を述べます。)
右腕一本を握り締め超能力者(レベル5)と闘い、ミサカ達の命を救ってくれた少年。
(でも………、とミサカは問題点を検証します。あの人なら礼を拒否するでしょう。)
(結局、私一人では決めかねます、とミサカ一〇〇三二号は皆に協力を求めます)
と、ミサカは全世界のミサカとのネットワークをつないだ。ミサカに世界中からの声が流れ込む。
(やっぱりお礼はしといたほうがいいと思う〜、ってミサカはミサカは真っ先に意見を述べてみる)
(わたしも二〇〇〇一号に賛成です、とミサカ一〇〇四四号も首を縦に振ります)
皆意見は同じだった。
(とりあえず、とミサカ一〇〇三二号は意見をまとめます。あの少年に恩返しをするということは決定します)
(となると次はその方法ですね?とミサカ一六七七〇号は新たに問題提起をします)
それが問題だった。みなが全うな意見を述べるが、どれもしっくりこないように思えた。
数時間がたち、皆かなり煮詰まってきたところで、特異な意見を出したのはやはり二〇〇〇一号だった。
(そういえば〜、ってミサカはミサカは皆の注意を促してみたり。恩返しの方法に『体で返す』っていうのがあるらしい〜)
とんでもない意見である。だが、妹達(シスターズ)の中で最も通常に近い(テレビのある)生活をしているのは二〇〇〇一号なので、ある意味当然とも取れる。
(私はその方法を知りえません、とミサカ一〇〇三二号は私的意見を述べ、説明を求めます)
(う〜〜ん、説明しにくいから直接そっちに送る〜、ってミサカはミサカは電気信号を発してみる)
とたんにミサカの頭に『体で返す』の具体的内容が流れ込んできた。劣化能力(レディオノイズ)とはいえ、電撃使いのミサカにとっては電気信号の送受信などはたやすいことである。
(とりあえず理解しました、とミサカは顔を赤らめながら返答します。しかし、この情報を見る限りミサカ一〇〇三二号に彼を満足させる技術があるとは思えません、とミサカは大きな問題点を指摘します)
(その点は問題ないかも、ってミサカはミサカは職業(プロ)の人の技術データをダウンロードして送ってみる)
その瞬間、ミサカは最強の技術を手に入れた。
(では、これからあの人の病室に向かいます、とミサカは高らかと宣言します)
上条当麻の長い夜が始まった。
「んが………」
上条当麻は耳元でささやく声で目が覚めた。
………
ミサカ妹の顔があった。
「おわっ!!お、お、おまえどっから入ってきたっ!!」
ドアには寝る前に施錠したはずである。
「ドアから、とミサカは正直に答えます」
「ド、ドアからって………カギは?」
「電撃使いにとって、電子錠はなんら抵抗とはなりえません。仮にもミサカはお姉様(みさかみこと)のクローンです。とミサカは大威張りで答えます」
まったく表情を変えないミサカにようやく落ち着きを取り戻した上条は頭をかきながら、
「で、そのミサカさんが何で俺の部屋にいるの?って『俺の部屋』とか言ったら相当この病室になじんできたみたいでいやになってきたー!!」
「あいかわらず支離滅裂な言動ですが、とミサカは困惑顔を作り質問に答えます。ミサカがここにいるのはあなたに恩返しするためです、とミサカは答えます」
………恩返し?
(…って、この状況で恩返しといったらあれしかありませんよ!)
「いや待てミサカ妹!それはさすがにまずい!中学生はいろいろとまずい!」
さすがに『すごい人』の称号を得たくはない上条は内心「もったいね〜」とか思いながらも自制心をフル稼働する。
「予想道理の反応ですね、とミサカはため息をつきます。ならば、こうするしかありません」
と上条の後頭部に触れ、
―ピリッ!!!―
「どわっ!なにを………!?」
「あなたの脳に微弱な電気信号を流しました、それをもっておそらくあなたが拒絶する最も大きな理由であろう倫理に関する反応を鈍らせました、とミサカは丁寧に説明します」
確かに、上条はミサカを抱きたくなっていた。
「これでようやく目的を達成できます、とミサカはバスローブに手をかけます」
するり、とミサカは扇情的に(プロのうごきで)バスローブを脱ぐと上条に覆いかぶさった。
「ミサカ………」
まずは軽いキス。
唇をついばむようにしながら徐々に下を絡ませていく。
「ん……んぐ……ちゅ」
そのあいだにも手は上条の上着を脱がせて、意外とある胸板をさらけ出す。
たがが外れた上条は体を反転し、ミサカに覆いかぶさる形になった。