とある男子学生寮の一室。
時刻はそろそろ明日が始まろうかとしている頃。
夜中真っ最中の時間にも関わらず、この一室はおかしかった。
別にこの時間に電気が煌々と着けられているのとか、普段ならいてしかるべきの純白シスターがいないのとか、そんなことは置いておくとして。
いつもの彼の行動や、その周りの様子をよく知っていれば異常なのかどうか甚だ疑問を持つところなのだが、今回は何分勝手が違いすぎた。
「ねぇージュースどこ〜」
と、さっき飲み干したばかりのコップを持って冷蔵庫を漁る御坂美琴嬢。
来た時間も早かったし遅くまでいるのもいかがなものかと思ったが、門限が過ぎた今となってはさっさと帰ろうが明日になろうが同じことだ。
そういわれて思わず納得してしまった部屋の主。
「…何で片付けても片付けても片付かないのよ…貴様も手伝いなさい!」
個人的にはしっかり片付けていた部屋を、バシバシ自分好みに片付けていく吹寄制理。
突然具材を持って押しかけ(その時仲良くジュースを飲んでいた美琴を見て眉をひそめたが)夕食を一緒に食べることになった。
なし崩し的にこうなったが、無理矢理納得させる。
しかし。
しかし、だ。
どう考えても『彼女』がこの部屋に居るのは絶対におかしいはずだ。
警備とかいろいろ、本当にいろいろなものを突破しなければここにいるはずのない、
「…まだ起きているのですか?」
黒衣の(これが普通なのだろうが)シスター、ルチア。
やれやれ、といった様子で呟いているのだが、こっちとしては気が気でない。
「皆さん…そろそろお帰りになったほうが…」
引き攣ったような愛想笑いで、上条当麻は切にそう願った。