「うにゃー、土御門さんともあろうものがまさか風邪をひいちまうとはにゃー……げほっげほっ」
自室で一人咳き込む土御門。その光景はどこかもの悲しい。
「うおーい、兄貴ー。生きてるかー?」
と、玄関先から聞こえてきたのは愛すべき義妹の舞夏の声。
「おぉー舞夏ー、お見舞いに来てくれたのか。お兄ちゃんは嬉しいですたい」
「うーん、まだ余裕有り気だなー」
「おぉい、そりゃ無いぜよ」
兄妹の心温まる会話が交わされる。
「で兄貴ー。何か食べれそうかー?」
「うーん、そうだにゃー。まだ固形物は無理っぽいかにゃー?」
「そうかー」
と言って舞夏がメイド服のエプロンから取り出したのは。
「おー、バナナかぁ。それなら食べられそう」
と言いかけて絶句する。何故かと言うと、舞夏はそのバナナを自分の口に運んだからだ。
「って俺にくれるんじゃねーのかよっ……げほげほげほっ」
思わず大声でツッコミをいれてしまい激しく咳き込む土御門。その口元へ。
「!!!?」
舞夏が唇を合わせてきた。突然の展開に完全に動きが固まる。
そのまま止まっていると、口に中に何か甘いものが流し込まれてくる。
数秒後、粘ついた唾液交じりの糸を伸ばしながら舞夏の頭が離れる。
「どうだー兄貴ー」
「いいいいいいや、どどどどどうと言われても」
「ふむー、この兄をして思考状態をここまで崩壊させるとは口移しとはなかなかに有効な手段なのだなー」
何かを掴んだか、一人頷く舞夏。
「よし、次は上条当麻で本番なんだなー。それじゃーお大事になんだなー兄貴ー」
「待て待て待てー!何か今聞き捨てなら無い事を言わなかったかー!?ぅげふぉっげほ!」
そんな一幕。