今日はクリスマスイブ、恋人達が愛を語らう記念日と言う名目の元、恋人達が公認で  
いちゃつくことができたりする日であったりする。  
 
「賑やかですね」  
「ああ、そうだな」  
 
 そんなクリスマスの悪しき風習にここにいる二人、上条当麻と神裂火織も侵されたのか  
イルミネーションに飾られた街中を二人で歩いている。  
だれもこの二人がこうして仲良くでかけたり、時には肌を重ねあっている関係であること  
しらない。  
 今思えばいつからこのような関係になったのだろうか。神裂火織はインデックスのこと  
はもちろん、なんども事件に巻き込こまれても自分の足で自分の道を進む当麻に惹かれた  
のかもしれない。上条当麻は何度も気にするなと言っているのに責任を感じて、なんとか  
借りを返そうと一生懸命な様子に何時の間にか心奪われていたのかもしれない。  
 
 まあいろいろな紆余曲折がありながら二人が恋人同士になったのは当然のことなのかも  
しれない。  
 当麻は今日ぐらいは不幸なことが起きませんようにと願いながらも緑・白・赤に彩られた  
町並みを見ながらデートを楽しんでいるようであった。  
 一方、神裂の方はというと、まわりのカップルを一瞥して。  
 
「(こういう時は女性のほうから手を繋ぐものなのでしょうか……でも、しかし……)」  
 前を進む当麻の手を見ながらもう何度もデートをしてやることもやっているのにまだま  
だ乙女チックなことを考えている神裂だった。  
「(大体、彼もどんどん先に行かずにもう少しゆったりと今を楽しんでもいいんじゃない  
でしょうか、まったく)」  
 
 前を行く当麻に非難の視線を送るが、それに気づかない当麻はどんどん進んでいく。し  
かし当麻の方もいつもと様子が違い、興奮しているというより、少し緊張しているようだ。  
このあと二人はもう少し町の雰囲気を楽しみながら予約しているレストランへと歩みを進  
める。ちなみに今日のデートの資金のために少しの間食事の量が減ったりして、インデック  
スの機嫌が少し悪くなっていた時期があったのは内緒だ。食事を済ませたあとも町を歩き二  
人は大きなツリーの前に立つ。  
 
「凄く大きなツリーですね」  
「それにきれいだな」  
 
目の前にそびえたちきれいな飾りつけと色とりどりのイルミネーションで輝く大きなクリス  
マスツリーを見て二人は各々の感想を述べる。  
 
「はっくしょん!! 」  
「寒いですか? 実はですねあの……あっ!」  
 
 寒くなってきたのか当麻がくしゃみをした時、恋人達を祝福するかのように、空からふわ  
ふわと雪が舞い落ちてくる。そして瞬く間に町を白く染めていく。そびえ立つツリーも雪化  
粧され白く染まっていく。  
 
「本当にきれいですね……」  
「……………………」  
                                                 
 この幻想的な風景を見ながら神裂は感嘆の声をあげる。しかし当麻はなにも答えずに本当  
に楽しそうにツリーを眺める神裂を、ただ見つめている。いつもクールで年上な印象を受け  
る彼女だが、今のように時々見せるあどけない少女のような笑顔に見惚れているのか白い雪  
が映えるほどに頬を真っ赤にしている。また彼女のこのような笑顔を独り占めしていること  
に優越感を覚える。  
 
「ずっと私の方見て、どうかしましたか?」  
「いっいや、別になんでも! それより大分寒くなってきたな」  
「あっああ、そっそれでですね! クリスマスプレゼントと言いますか、あの初めて編んだ  
ものであんまりうまく出来てないかもしれませんが……」  
 
 神裂に顔を眺めていたことを指摘され、誤魔化すようにいった当麻の一言に反応して神裂  
が少し恥ずかしそうに紙袋から取り出したのは手編みのマフラーだった。  
「なんなんだーこのイベントは! CGゲットですかー!? と感激のあまりトウマは夢で  
はないかと自分の頬を抓ります」  
 突然の漫画のような展開に興奮してるのか、混乱しているのか支離滅裂なことを叫びなが  
らどっかの妹の口調が移っている。  
 
「どうですか? 暖かいでしょうか」  
「すっげぇーあったけぇ、今まさに上条さんは幸せの絶頂と確信してますよー!!」  
 
 神裂は混乱気味の当麻を華麗にスルーして首にマフラーをかけると、当麻は正気を取り戻  
したのか、至福の顔をしながら自分の素直な感想を述べる。それを聞いた神裂は頬を薄く染  
めたまま、ほっとした表情みせる。  
 しばらくしてはっと気づいたように当麻は口を開く。  
 
「じ、実はだな…俺もプレゼントがあるんだけど…」  
 そう言い当麻はポケットから小箱を取り出し、そのフタを開く。  
「こっ、これは!?」  
「その、あの…なんだ…」  
」」」  
 その中身は光輝くシルバーリングだった。おそらく大して高価ではないだろうし、ただのプ  
レゼントとして受け取ることも出来るだろうが、当麻のしどろもどろした様子を見るに、それ  
以上の意味を持つ指輪なのだろう。というより、それはまだまだ早すぎるような気がするが、  
意外と上条当麻という男は、恋愛も一度決めると突き進むタイプなのかもしれない。  
 
「………………どうぞ」  
 
 当麻の様子を見て神裂はただ一言だけ言い、左手を広げて当麻の前に出す。それを見て当麻  
も決心したのか、その左手の薬指に指輪をはめようと――――  
 
「とうまー! おなかすいたー!!」  
「彼女をほったらかしにして、デートとは…いいご身分だね君は」  
「まったくなんだニャー! カミやん 」  
「アンタ達、何やってるのよ!?」  
「あらあら、楽しそうでございますね。」  
「許せんのよな」  
 
 もう出るわ出るわ、修道女、ヘビースモーカー、金髪グラサン、ビリビリした少女、日常  
に溶け込めてない人、etc.etc…中には面白がっている者もいるが、そのほとんどは不のオーラ  
がでている。  
 
「異議あり! じゃなくて、なんで勢ぞろいなの? この急展開は何!? つーか、普通この  
極限クライマックスな状況で現れますか、あんたらって人達はー!! どこのKYちゃんです  
か!? ああ、もう不幸だーーーー!!!!」  
 
「ふふふ、まさかこのタイミングで邪魔が入るとは思いませんでしたね、それよりステイルど  
っちかと言うと、こっちの味方なのではないのですか? クスクス…まあ、そんなことは構わ  
ないですね、今から何が起ころうと、私でも救うことは出来ませんよ。」  
 
当麻は突然現れた知り合いを非難しながら、自分の不幸を呪う。神裂のほうは、もう色々と  
やばい。ブツブツと呟きながら、眼は逝っちゃってるし、全身からなんか澱んだものが噴出し  
ていて、殺る気マンマンのご様子。今なら天使にも勝てそうだ。  
 
「転進、転進、退却にあらず!!」  
「あっ…」  
 
 その神裂の様子を知らず、右手で神裂の手をとり駆け出す。すると神裂の様子もいつもの調  
子に戻る。そして神裂が思うのは当麻の右手、この右手は幻想殺しの能力を除けば、なんてこ  
とはない平凡な手である。しかし神裂はこの右手がとても逞しく感じる。そしてこの右手は様  
々なものを抱え込んでいるのだろう、そしてこれからも。一緒に抱えることは出来ないかもし  
れない、しかしその代わりに支えたいと神裂は思う。  
 
「行くぞ! 火織」  
「はい……どこまででも」  
 
 神裂が抱えて逃げたほうが速いだろうが、今はこの寒空の中、当麻の右手から伝わる確かな  
ぬくもりを感じていたいと思う神裂火織であった。  
 
 
 上条当麻と神裂火織は力の限り走っていた。迫りくる魔の手から逃れるために、人混み  
を掻き分け、ビルとビルとの間を飛んだり、跳ねたり…時には路地裏でダンボールを被っ  
たりしながら二人は何とか神裂が滞在しているホテルにたどり着く。この場所はまだ誰に  
もばれてないはず……多分。  
 
「はぁ、はぁ、そう易々と捕まるほど上条さんはノロマじゃありませんよー!」  
「なんとか撒いたようですね」  
 
 部屋のベッドに腰を下ろす二人。当麻は青息吐息と言った感じだが、神裂の方は息ひと  
つ乱れていない……流石だ。  
 
「あっ! そうだ…忘れるといけないからな、アッ、アレ!?」  
「どうかしたのですか?」  
 
 思い出したかの様に、当麻はポケットから指輪の入っている小箱を取り出し、ふたを開  
くと驚きの声を上げる。その当麻の様子に気づき神裂は「どうしたのか?」と尋ねるが、  
当麻はその声が耳に入ってないのか、ポケットや自分の服のありとあらゆる部分を探って  
いる。その当麻の顔は見る見るうちに青ざめていく。そして――――  
 
「指輪落としたーーーー!!!!!」  
 
 当麻、大絶叫。逃走中に落としてしまったのだろう。確かに激しい動きで逃げていたが、  
本当に落としてしまうとは……その不幸体質に天晴である。  
 
「不幸だ……ごめん、火織」  
「そっ、そんなに落ち込まないでください。私は気にしてないですから」  
「でも、男としてのケジメが……」  
「安心してください! 私は何時まででも待ちますから」  
 
 本当は神裂も残念なんだろうが、当麻のいつもと比べられないくらいの落ち込みように  
思わず、優しく当麻の頬に手をあてながら慰めの言葉をかける。  
 
「今夜はそのことは忘れて、しましょう……」  
 
 神裂の情熱的な視線、吐息が感じられるくらいに近づいてくる顔に思わずドキッとする  
当麻。そしてお互いの顔が徐々に近づき、二人の唇が触れる。  
 
「ふ……ん、ちゅ………んむ……」  
「ん、ふっ……火織……」  
 
 初めは触れるだけのキスが次第に激しく、情熱的なものに変わっていく。互いに強く抱  
きしめ合いながら、二人とも積極的に舌を進ませ互いの口内を蹂躙する。  
 
「んんっ……ちゅぷ、ふぅっ……ん、んん、ちゅるる……。当麻……当麻ぁ……!」  
 
 長い間、夢中になってキスを繰り返して、息が苦しくなったのか、ようやく離れる二人。  
その時、二人の唇に唾液の糸が引いているが、そんなことは気にせず見つめ合うと、互い  
慌てて『準備』を進めていく。お互いの服を脱がし合い、当麻がベッドに押し倒そうとす  
ると……くるんと神裂に体を入れ替えられた。  
 
「あれっ! 何故に俺が下に」  
「ふふっ、私の上を取ろうなんて十年早いですよ」  
「なんか男としてショック!? つーか、今日はやけにアグレッシブ?」  
「今日は私も色々と不完全燃焼でしたからね。私がシテあげます」  
 
 いつの間にかに上下が入れ替わっていることに驚く当麻、しかも神裂の返しに軽くショック  
を受ける。神裂はデート中に邪魔が入ったり、さっきのキスのことがあってか、色っぽく、  
積極的になっている。そして恍惚とした様子で当麻のズボンとトランクス降ろし、その中  
で硬さを増してきたものを取り出す。  
 
「こんなに大きくして……仕方ないですね」  
 
 そういって神裂は当麻の硬くなったものの先端を焦らすように弄ぶ。そして髪をかき上  
げると亀頭に軽くキスをする。茎部への愛撫を続けながら、先端部分を口に含む。徐々に  
その唇を進めていき、根元まで滑らした所で、舌を使い裏筋全体を舐めながらゆっくりと、  
亀頭まで唇を戻し、そこでゆるいペースのストロークを開始する。  
 
「んちゅ……んん、ふっ、ん……もう先っぽから何か出てきましたよ……」  
「っは! ……仕方ないだろ、久しぶりな上に……寮にはインデックスが居るんだから」  
 
 自分が音を立てて吸い上げる度に反応するのが面白いのか挑発的に言葉を放つ神裂に対  
し、快楽の渦にのまれながらも反論する。確かに二人は頻繁に会える間柄ではない。さら  
に寮にはインデックスがいるのだから、当麻は溜まっていく一方だろう。しかも、それだ  
けではなく……神裂は久しぶりにも関わらず、まるで当麻が何処をどうして欲しいかが、  
わかっているかのように、そのしなやかで美しい背をくねらせながら巧みに愛撫するから  
だ。  
 
「くっ、あっ! か、おり……そろそろ頼む」  
 
 あまりの快楽に当麻は神裂に次の行為を懇願する。  
 
「大丈夫ですよ、私にまかせてください。」  
 
 妖艶に微笑みながら、耳元に顔を寄せ、艶っぽい声で囁く。そして神裂は当麻に身を擦  
り付けるようにして、愛撫をしている内に自分も感じていたのか、すっかり準備の整った  
それを誘導する。  
 
「んっ! あぁあ、ぁん……あっ、熱い! く……んんんっ!!」  
   
 神裂は身をくねらせるようにして、当麻のペニスをもぐらせていく。神裂のその暖かい  
内側に当麻の熱いそれをしっかりと包み込む。そして当麻のツンツンした特長的な髪をひ  
としきり撫でると、腰を小刻みに動かし始める。それに刺激されてか、当麻の剛直も徐々  
に奥に奥にと突き進んでいく。  
 
「ああっ、凄い! 私の中で……と、とうまのがどんどん大きくなって……ああ、いい…  
…ああっ、あああっ!!」  
「うわっ、火織……凄い……締め付けだ」  
 
 徐々に大きくなる当麻の分身に、今まで以上の刺激に肉襞に反応して急激な収縮が起こ  
る。当麻もこれまで以上に興奮し、さらなる刺激を求めて神裂のムチムチした太腿に手を  
回して、熱く起立したそれを激しく、垂直に打ち込んでいく。  
 
「んっ、んんんっ……んぅ……ふぁ、はふ、はふ、はふ……」  
 
 神裂も肉襞に擦り付けるような動きから、体を起こして腰を激しく上下にストロークさ  
せる。ベッドの上で激しく交わる二人は遠めに見ても凄まじく、それに応じて結合部から  
くちゅくちゅといやらしい音を立てて、愛液が滴り落ちてくる。そして神裂はさらなる快  
楽を求めて自分の豊かな胸を揉みしだき始める。  
 
「はあっ、はあっ、あっ、ああっ……とうま、当麻ぁ……」  
「かっ、かおり、火織……火織ぃ、もう……イキそうだ……」  
 
 パンパンと激しく腰を打つ音が部屋中に響き渡る中、二人は呪文のように互いの名前を  
叫びあう。まるで互いに傍に居るのを確かめるかのように……。互いの名前を聞くと、そ  
れ酔いしれるかのように、ストロークの速さが爆発的に加速していく。二人の様子を見る  
に互いに限界が近づいているのだろう。二人は手を握り締めて、最後の抽挿を繰り出して  
いく。  
 
「はっ、くっ! もうでっ……出るぞ!」  
「あ、ああっ、いい……イク……ああ、そのまま……あああああああっ!!!!!!」  
 
 当麻のものが神裂の深奥……子宮口をコツンと叩くと、当麻は限界の声を上げると、そ  
の欲望を神裂の体奥へと注ぎ込んだ。それもこれまで溜まっていたものを全て吐き出すか  
のようだった。神裂もほぼ同時に達し、膣口は精気をすべて搾り取ろうとするかのごとく、  
限界まで締まる。それに反応し、当麻も射精を繰り返す。すると二人は尚も快感が高まっ  
ていった。  
 
「はぁ、中で出しちまって……大丈夫だったのか?」  
「たぶん大丈夫でしょう……それにしても……まだ元気ですね……」  
 
 あれだけの量を吐き出した当麻のものは神裂の中に収まったまま、高ぶりを失ってない。  
神裂も快楽を捕まえて逃がさないのごとく自分の奥を蠢かせている。そして神裂は艶かし  
い微笑浮かべて言う。  
 
「では、もう一度……」  
 
 二人の夜はまだまだ続くのであった。ちなみに幻想殺しは、以前に肌を重ねたときより  
も数段レベルアップしていた聖人に手も足もでなかったとか。  
 
 
 穏やかな光が朝を告げる。  
 
「ん、朝か……」  
 
 当麻が目を覚ます。少し倦怠感を感じていて、腰も痛そうだ。そして一糸纏わぬ姿で隣  
で寝ている神裂を見つめる。その寝顔はとても無邪気な様子で昨夜のベッドでの出来事が  
嘘のようだ。  
 
「こうして見ると、なんか俺より年下みたいだな」  
「んんー、うーん」  
 
 当麻は神裂の頬をツンツンと突きながら、その寝顔を見ていつもとは逆の印象を受ける。  
神裂がくすぐったそうな声を上げると、その突く手を止める。そして当麻は昨日のことを  
考える。邪魔が入ったり、指輪を落としたりと、その不幸体質のおかげで散々だった気が  
する。しかしこの体質がなければ彼女と出会うことは決してなかったのだろうと思うと胸  
中も複雑のようだ。  
 上条当麻にとって幸福と不幸とはコインの裏表に似たものなのかもしれない。彼の行動や  
受け取り方ひとつで簡単に裏返るものなのかもしれない。そうなら、これからどんな不幸が  
訪れても神裂火織が隣に居てくれれば、ひっくり返せる気がする。当麻そんなことを考えな  
がら、隣で可愛い寝息を立てている愛しい女性をしっかりと離さない様に抱きしめながら、  
再び深い眠りに落ちていった。  
 側に居て欲しいという当麻の気持ち、支えたいという神裂の気持ち、二人の想いは確か  
に繋がっていた。二人は互いの想いの繋がりに気づいていない様だが、そんなことは些細  
なことだろう、二人は仲睦まじく幸せそうに寝ているのだから……  
 
 
 数ヵ月後、学園都市内で育児や出産についての本を読んでいる上条当麻がよく目撃され  
るようになったとか……  
 

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