その一瞬、二人の時間が止まる。
アニェーゼは膣を埋め尽くすような大きさと熱さに。上条はその膣襞の締め付けと蠢きに。お互いの性器から伝わってくる快感で、頭がオーバーフローを起こす。
「っはぁっ!」
「っあ!」
そして二人はタイミングを計ったかのように息をつく。そんなことにお互い小さく微笑みあった。
「どう、ですか…私の中…」
「熱くて、ぬるぬるで、いやらしい…」
「カミジョウのも、熱くて、お腹いっぱいです…」
膣襞の蠢きは、指でピストンしたとき以上だ。ただ入れているだけでまとわり付き、陰茎を擦りあげてくる。
“う、うわ、これってもしかして名器って奴か!?”
冷や汗をかきながらも、腰を動かし、陰茎を引き出す。隙間無く陰茎全体に吸い付く感触に、上条は背筋を震わせた。
そして再び挿入。
「あん…」
強い締め付けを掻き分けて、再びアニェーゼの中を陰茎で満たす。そのゆっくりしたピストン一回だけで、すでに上条は歯を食いしばらないと耐えられない。
「凄いよ、アニェーゼ…」
「ふう、ああ…嬉しいです…」
喘ぎながらアニェーゼは言う。肉の快感に加え、上条が自分で感じてくれているという事実が、精神の快感を呼び起こす。
喘ぐアニェーゼに、自分だけ先に漏らすわけには行かないという思いを強くする。
「一緒に、気持ちよくなろうな」
軽く口付け、上条は腰の律動を本格的に始める。
「あうっ、ああっ、んっ」
腰を軽く前後に動かすピストン。
「ふああああうっ!」
そしてその間に、陰茎を抜けかけるほどぬき、一気に子宮口まで撫で上げる長いストローク。
「ひうっ、ひあっ、あんっ」
さらに、亀頭でGスポットだけを小刻みに擦りあげるバイブレーション。
多彩に腰を運動させ、上条はアニェーゼの小さな膣を蹂躙する。
動かすのは腰だけでは無い。手指も舌も活発に動かし、全身でアニェーゼを貪る。
「ふあ、ふううん…」
アニェーゼの腰を片手で抱き、空いた片手を胸に這わす。敏感になったアニェーゼには、さわさわとした軽めのタッチでも充分な快感を呼び起こしてしまう。
「ひうっ、はうっ、んんっ」
指が乳首をこねくり回す。潰し、押し込み、摘みあげれば、痛みにも似た鋭い快感が脳を焼く。
指がいじるのと反対の胸に、口を押し付ける。小ぶりなカップ全体にむしゃぶりつき、吸い上げる。
『ああっ、変、なんかこれ変っ』
カップ全体を唇が這う。胸全体が乳首になってしまったかのような、未知の快感。
その上に、敏感な乳首に舌を這わせ、絡ませる。起き上がったそこをヤスリのように舌で擦り上げられ、アニェーゼは悲鳴を漏らす。
「ひいっ、ひっ、ふあっ」
舌は胸に置いたまま、上条を指を下に滑らせる。そして、秘所の敏感な突起に触れた。
「ふああっ!?」
アニェーゼの身体が跳ねる。膣とクリトリスの快感が相乗しあい、アニェーゼを更なる高みへと押し上げる。
上条の指がそこを押しつぶし、つまみ上げる。
「あうっ、あんっ、はうっ」
高音の嬌声。
そこで上条の頭にふとした思い付きが浮かぶ。
“これ、できるよな?”
上条は、つまみあげたクリトリスを、まるで陰茎をしごくように擦りあげる。
効果は絶大。
「やああっ、やんっ、ひいいいっ」
さらに、腰の律動と同調させれば、もうアニェーゼは声も出せない。ただ上条の背中に強くしがみつく。
「っつ」
アニェーゼが上条の背中に爪を立てると、血がにじむ。しかし、その痛みは上条の欲望に油を注いだだけだった。
両腕でがっちりとアニェーゼを捕まえ、腰を強く大きく突き上げる。
「ふんっ、んっ、んっ」
「カミジョウ、激しすぎっ…!」
何度も子宮口を抉られたアニェーゼが、悲鳴のような嬌声を漏らす。
「ふ、うあ、すご…」
アニェーゼの快感を示すように、アニェーゼの膣襞は活発にカミジョウの陰茎に絡みつき、射精を促すようにしごきたててくる。
「ふっ、ふっ、カミジョウ…」
そこで、上条は唐突に腰を止める。
「え、あ、カミジョウ?」
戸惑うアニェーゼ。きょとんとした表情で、根元まで埋まった陰茎に視線をやった。
しかし、それも数瞬。内臓の奥からわきあがる快感に、アニェーゼは溶かされていく。
それに追い討ちをかけるように、上条は腰を動かさないまま、指と舌を存分に運動させた。
背に回した右腕。その手で左胸を揉みしだき、乳首をつねる。
反対の右胸は唇と舌の領分だ。乳首に吸い付き、ポンプのように吸い上げる。
そして左手は秘所へ。はみ出した花びらを指で撫で、突起をさする。
「はうっーーーっ!」
両の乳首とクリトリスを同時に刺激され、アニェーゼは飛びそうになった。頭が白くなる。しかし、
「あうっ、ふうっ、ううっ」
陰茎の律動がもたらす、体の中をかき回される快感。その不在は、アニェーゼのストレスを高め、感覚をさらに鋭敏にしていく。
一方の上条も余裕を演じてはいるが、気を抜いた瞬間限界に達してしまう。そんな確信があるくらい、切羽詰っていた。
ストレスをためたアニェーゼの膣襞の動きが激しさを増した。
一部の隙も無くぴっちりと上条の陰茎を包み込んで離さない。そのくせ、活発に蠕動し、上条をしごきたててくる。滴る愛液の感触さえ感じ取れそうだ。さらに、
“なんて表情するんだよ”
快感に泣くアニェーゼ。その表情が上条の男を刺激し続けていた。
我慢できず、アニェーゼが抱きつき、その小さな腰をくねらせる。陰茎の先が子宮口で擦られる快感に、上条はうめいた。
「ふっ、ふううんっ、あふっ」
アニェーゼが腰を動かすが、小柄なアニェーゼは地面につま先しか付いていないため、本格的な律動は出来ない。それがさらにアニェーゼの欲求を昂ぶらせていく。
上条にはそのもどかしい動きが逆に新鮮だ。こみ上げる射精感を全力で押さえ込む。
“上条さんレッドゾーン突入ですよー!?そ、そうだ、こういうときは関係ないことを考えるといいって話だったな!”
膣襞が強制的に与えてくる快感を紛らわせるために、上条は頭を捻る。
しかし、記憶喪失の上条に、早々都合よく萎えさせる様な記憶があるわけも無く。それどころか、余計にアニェーゼの襞の感触を意識してしまう羽目になった。我慢が削り取られていく。
アニェーゼの表情を見れば、こちらもストレスの極致のようだ。もどかしさに顔をくしゃくしゃにして、腰をぎこちなくくねらせている。
そのいじましい様子に、
“アニェーゼもいいみたいだな…こっちももう限界だし、一気に行くか”
上条は腰を再び動かす。長いストロークでアニェーゼを突き上げた。
「ひあああああっ!」
ストレスで敏感になっていたところに一気に強い快感を加えられ、アニェーゼは背中をのけぞらせて軽く達してしまう。
じゅっじゅっじゅっじゅっじゅぷっ…
しかし、上条は止まらない。ズンズンと、深いストロークを連続させる。少しずつそのスピードを上げながら。
「あふああっ、はうっ、あああっ、ひうううううっ!」
アニェーゼの口から出るのは、もう言葉にならない。上条の一突きごとに軽い絶頂を連続で味わう。その快感で頭は真っ白だ。
上条も、連続で絶頂を迎えうねりまくる膣襞になぶられ、こちらも快感で意識が飛びそうになりながらも、腰の動きは止まらない。
『あはあうっ、こ、怖い…』
母国語での叫び。連続した絶頂が、アニェーゼを感じたことも無い快感の高みへと押し上げていく。その感覚に、アニェーゼは怯え、上条にしがみつく力を強くする。
上条は、そのアニェーゼの頭を優しく撫で、口付ける。安心させるように。
そして、渾身のラストスパート。上条のうめきと、アニェーゼの嬌声がシンクロする。
「ふっふっふっふっ…!」
「ふあっはっあんっひうっ…!」
「アニェーゼ、も、駄目っ、行く、ぞ…!」
『トウマ、来て、来て、私も、もうっ…!』
そして、上条が一際腰を強く打ちつけた瞬間。
アニェーゼは、頭に中で白い爆発が起きたような感覚と共に、深い絶頂の渦に引きずりこまれた。
「っっっっはあああああああああああああーーーーっ!!」
大絶頂と共にアニェーゼの体がピンと張る。
筋肉の硬直に引っ張られ、アニェーゼの膣襞もこれまでに無いほど急激に締まり、うねって上条に射精を促す。
さすがに上条もこれには抗しきれない。慌てて引き抜こうとするが、
「ア、アニェーゼ!?」
アニェーゼは上条の腰を抱え込むように脚を絡めてくる。振りほどく暇は、無かった。
「うあああああっ!」
上条も叫び、アニェーゼの胎内に深く己を埋めたまま、白濁をぶちまけた。止まらない、止まらない。先ほどの射精よりも、量も勢いも上かもしれない。
ほぼ零距離で何度も勢い良く子宮口を直撃され、アニェーゼもダメ押しの快感を味わう。快感の最後の大波に襲われ、意識は完全にホワイトアウト。
「あ、ふああ、うあ、うふあ…」
硬直した体を弛緩させ、アニェーゼは意味を成さないうめきを漏らす。しかし目を閉じたその表情は穏やかだ。
そんなアニェーゼをしっかりと上条は抱きしめる。
穏やかな顔を飽きずに眺めていると、アニェーゼの胎内に埋まったままの分身が、再びむくむくと自己主張を始めだす。
“うわー、オレってここまで絶倫だったっけ!?”
どうしたものかと内心頭を抱える。
と、胎内で起き上がる感触を感じたのか、アニェーゼが薄く目を開いた。
「凄かった、ですよ、カミジョウ…」
その言葉に赤面すると同時に、素直に達成感を感じる。喜んでもらえたのはやはり嬉しい。
「下の名前でいいさ」
その言葉に、アニェーゼも少し照れた様子で、上条を上目遣いに見上げ、
「じゃあ…トウマ。素敵でした」
その表情に、上条は心臓を射抜かれそうになる。
「でも、トウマは、まだ元気ですね…」
「いや、その、これは…」
「良いんですよ、トウマ。あなたが感じてくれれば、私もうれしいですから」
だから、と続ける。しかし今度は少し間があった。顔を伏せて、しばしの逡巡。
「あの、その…」
「?アニェーゼ?」
「…今度は、その…後ろで…」
「え?」
意を決した様子で、アニェーゼは顔を上げて、言う。
「後ろで、してくれませんか…」
言った後でアニェーゼは真っ赤になって、再び俯いてしまった。