土御門は上条が力を求める理由が分かる  
[妹達]の時も、事前に疲弊し傷ついていたとはいえ彼女達の助けがなければどうなっていたか  
[御使堕とし]の時も、結局最後に上条は土御門を止められなかった  
[風斬氷華]の時も、上条があの時に敵を早く倒せていたら彼女は自分のことに気づかずに一緒に居られたのではないか?  
[大覇星祭]の時も、自分がもっと強かったら吹寄と姫神は倒れずにすんだかもしれない  
そんな、全て自分のせいだと思い  
過ぎてしまった事は仕方のないことだと言い切れない上条だから  
なれば  
なればこそ  
「頼む・・・」  
上条当麻は力を求める  
しかし  
それを  
それを知るからこそ  
「だめだ、カミやん」  
土御門元春は協力できない  
「なんでだ!?」  
「カミやん、お前は誰かの急所をついて問答無用で倒したいのか?」  
「なっ!?ちがーーーー」  
違うだろう?俺の技はそういうものだ」  
上条は黙り込む  
確かに土御門の技は人体急所を攻める技だ  
一歩間違えばなんてこともある  
「でも・・・俺は・・・」  
俯いて呟く上条  
土御門はため息をついて上条をみて  
「なら、カミやん賭をしよう」  
「え?」  
突然の申し出にまぬけな声をだす上条  
 
「カミやん、ゲームセンターに最近入った最新のゲーム、分かるな?」  
「あ、ああ・・・」  
「それで俺の技を使って、そうだな・・・十連勝くらいするんだ。ただし」  
「・・・ただし?」  
「十連勝できなかったり、最後まで技がぎこちなかったらだめだ。いいな?」  
「分かった・・・絶対に守れよ!!」  
二人は上条の部屋を出た  
上条は駆け出して行った  
それを見届けると土御門は自分の家のドアを開けて呟く  
「守る必要はないんだにゃーカミやん」  
おどけたように言ってるが目が全く笑っていなかった  
「この賭は絶対に俺の勝ちだから」  
 
 
一通りの説明を終えて途中で買ったジュースを自販機コーナーで飲む上条と黒子  
「やってみて分かったよ」  
「なにがですの?」  
首を傾げる黒子を見て苦笑して答える  
「俺は勝ち目のない賭をさせられたんだなってこと」  
「どういうことなんですの?」  
「ためらっちまうんだよ、相手に技をやんのを」  
「あ・・・」  
先程のゲームと話を聞く限りでは彼は優しすぎる  
そんな人体急所を狙う攻撃  
彼が躊躇わないなんてことがありえない  
「まったく、あいつはこれが分かっててやらせたんだな」  
上条さんの完敗ですよーと降参のジェスチャーをする  
 
「優しいんですのねその方は」  
「へ?」  
白井の言葉に驚く上条  
「その方はきっとあなたに使ってほしくなかったんですの」  
「白井・・・」  
「優しいあなたに、自分が使うようなそんな技を使って欲しくなかったのですわ」  
優しい笑顔で、そんな慈愛に満ちた目を向けてくる黒子  
周囲の喧噪が遠くに聞こえる  
「そっか・・・そうかもな」  
「ええ、きっとそうですわ」  
「サンキュ、白井」  
黒子は彼にうれしそうな笑顔を向けた  
 
「お、話し込んでたらいつのまに四時になってら」  
何気なく携帯の画面を見たらすでに夕方だった  
地下のここでは外の様子を窺い知ることはできないが、きっと綺麗な夕日だろう  
そう、黒子は思った  
「帰りましょうか」  
「そうだな」  
二人は出口に向けて歩きだす  
突然、足を止める黒子  
「?どうした、白井」  
黒子の視線を追ってみるとUFOキャッチャーがあった  
厳密にはUFOキャッチャーの中のくまのぬいぐるみに  
「欲しいのか?」  
「ええ・・・はっ!い、いえ!欲しくなんてないですの!」  
そんな白井を無視してUFOキャッチャーを始めている  
「そんなのとれるわけ・・・」  
「とったー」  
「はやー!?」  
黒子の叫びはエコーつけて周囲に響いた  
 
あり得ない速度と正確さでぬいぐるみをとった上条は、今日は調子がいいと言ってまだとっている  
黒子は自分が抱いているぬいぐるみに視線を落としす  
ふわふわとしてかわいい  
そして、大きい  
1メートルはあるそのぬいぐるみをUFOキャッチャーに置くゲームセンターがある辺り、さすがだ学園都市  
そんなことを考えている間に上条が、とったどーと言っていた  
ぶっちゃけた話、一発だった  
(あの人はその筋では有名だったりするんですの?)  
ぬいぐるみを抱えた黒子は上条が戻ってくるのかと思ったが彼は続けてやっていた  
傍らにはうさぎのぬいぐるみがあった  
耳がなければ同じ1メートルくらいだった  
「とったー、ダブルで」  
「ダブル!?」  
実際にそういう技術があると美琴に聞いていた黒子だったが実際には初めて見た  
「白井、くまとうさぎの普通サイズ手に入れたからやるよ」  
「あ、ありがとうございますですの・・・」  
インフレ的ぬいぐるみキャッチに呆れつつもお礼を言う黒子  
「ところで・・・」  
「ん?なんだ?」  
「さっき十一回あの格闘ゲームをしたんですのよね?」  
「ああ」  
「UFOキャッチャーを三回」  
「うん」  
「お金は大丈夫ですの?」  
 
ビシッ!  
周囲の空気が凍る  
笑顔のまま上条が固まる  
格闘ゲームは一回300円  
UFOキャッチャーは200円  
300×11+200×3=3900  
「きゃー!?上条さん家の食生活に暗雲が!!」  
ムンクの叫びよろしく叫ぶ上条  
「だ、大丈夫ですの!人間もやしご飯でも暫く生きられますの!」  
「うう・・・ありがとう白井」  
ガシッ!と黒子の手を握る  
「へ?」  
突然の出来事に驚いて心臓の鼓動が速まる、きっと顔は赤くなり始めているだろう  
が、それもすぐに止まった  
上条の手には、うっすらと無数の傷跡があった  
何かで軽く切ったとかそんなレベルではない、もっと深い傷  
きっと怪我をした時は血がたくさん出て  
きっと凄く痛かったんだろう  
そんなことを考えた  
「うわ!もう夜だ!?」  
「あ、あらもうそんな時間ですの?」  
時刻は18時、辺りはすっかり暗くなっている  
「帰りましょうか?」  
「そうだな」  
二人は歩きだして出口の前にきたところで  
「・・・」  
「な、なんで笑って立ち止まるんですの?」  
「この扉を開けたら上条さんは不幸になるからです」  
汗をだらだら流しながら笑顔のまま言う  
黒子は笑いながら扉を開けようとする  
「そんなわけ・・・」  
 
ガチャと音をたてて扉が開いて  
瞬間、二人はそのまま固まり  
そっと扉を閉めた  
扉を開けたらなんかいた、そんな感じだった  
「・・・ほかに出口なかったっけ?」  
「ないですの」  
はあ、と諦めるようなため息をつく上条  
そして、扉をあけると  
バチバチとビリビリを出してる美琴がいた  
その指はコインを持って上条に向けられていた  
「遺言は?」  
「いきなり!?」  
(なんですか!?この浮気をした夫に妻が包丁向けて言い訳は?とか言ってるような状況!?)  
「み、美琴さーん!上条さんは白井にぬいぐるみを二つあげただけでーす!」  
美琴は黒子を見て大小の二つのぬいぐるみ確認して  
「ふーん、ぬいぐるみねー」  
明らかに不機嫌だ  
なんでこいつは不機嫌なんだろうと上条は考えてもしかしてと声を出す  
「おまえぬいぐるみが欲しいのか?」  
「は?」  
当たらずとも遠からずといった答えに驚く美琴  
「このうさぎ二つともやるよ」  
ほら、とぬいぐるを渡す上条と受け取る美琴  
「あ、ありがと・・・」  
顔を朱に染める美琴  
黒子はその時  
チクリと痛みを感じた  
が、気にせず美琴に話しかける  
「大小のぬいぐるみでおそろいですの♪」  
「名前はきるぐまー二世?」  
 
上条は笑いながら言う  
「そこまで詳しく見たの?」  
上条は笑いながら  
(上条さん墓穴ほったー!?)  
と嘆く  
「弁解は?」  
「い、いや違いますよ美琴さん上条さんはベットの下のぬいぐるみの首輪のきるぐまーとあの紙を見ただけで決して香水っぽい小さなビンを見たりとかしたわけではないですよだからそのあれだつまり色々とごめんなさいでしたーっ!!」  
「よし、遺言はそれだけね」  
「弁解って言ったじゃん!?」  
「そうだっけ?」  
「うわーん!助けて白井!こいつそうだっけ?で人殺そうとしてるー!?」  
泣きながら黒子の方を向く、すると  
「・・・」  
黒子は悲しそうな顔で俯いていた  
「白井?」  
上条は心配そうに白井を見る  
その視線に気づいて顔を上げる黒子  
「あ、あの私用事があるので帰りますわ・・・」  
「そ、そうか。またな」  
「ええ、では」  
そう言ってまるで逃げるように空間移動していった  
「白井・・・?」  
 
 
黒子は数分後にはもう寮の近くに着いていた  
二人が話しているのを見ていたら  
胸の中が痛みだして  
とにかく逃げたくなった  
(痛い・・・)  
黒子は胸を押さえる  
(どうしたんですの・・・私?)  
寮の前に着いて空間移動で直接部屋に移動する  
 
突如、文字どおり黒子の目と鼻の先に壁があった  
「ひっ!・・・は・・・あ・・・」  
精神的に揺らいでいた黒子は計算式を間違えたのだ  
恐怖でその場にへたり込む  
計算式の間違いが致命的でなくてよかった  
あと数センチもずれていれば壁に埋まって呼吸ができず計算式も組めずに死んでいた  
下手をすれば結標淡希のようになっていたかもしれない  
ふるえる足で黒子はシャワーを浴びてベッドに入って眠った  
 
 
上条は歩きながら考えていた  
黒子のことだった  
「なんか変だったな白井の奴」  
前に助けたこともあり何か悩んでいるのか気になってしょうがなかった  
できることなら力になってやれないかと  
もっとも能力関連だったら無能力の自分は力になれないし知り合いにも空間移動などいない  
「とりあえず今度聞いてみよう」  
そのまま家に帰る気になれなかったのでほんの少し夜遊びをすることにして  
上条は歩き出す  
星が綺麗だった  
 

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