○月×日
土御門からチケットを貰ったのでインデックスと水族館に行った。記憶を失う以前に
行った事があったかどうかはわからないが、さすがは学園都市、奇天烈な魚が泳いでいる水槽が
いくつかあって驚いた。
とはいえ、殆どはきれいな魚やでかい鮫なんかが泳いでいて満足のいくものだった。
インデックスが、
「これ、いけすって言うんだよね?」
と、かなり面白い勘違いをしていたが、恥をかかせる事も無いと指摘せずそのままにしておいた。
お土産にいかのぬいぐるみを買ってやり、上機嫌なインデックスと一緒に家まで帰った。
「いけすのことを舞夏に話してあげなくちゃ」
楽しい事は皆で共有する、そうすればきっと小さな不幸なんかどうでも良くなるだろう。
○月□日
下校途中に偶然御坂のやつと遭遇する。
偶然近くのコンビニへ行こうとしたところ偶然俺が通りがかって偶然水族館のチケットを
2枚持っているので、一緒に連れて行ってやってもいい、といわれた。
嬉しい申し出ではあったがさすがに昨日の今日で、再び水族館へ行く気にはなれなかったので
丁重にお断りしておいた。
白井黒子あたりを誘ってやれば大いに喜んでくれるだろう。
そう言ったところ凄まじい勢いで罵詈雑言を浴びせかけ、一目散に掛け去ってしまった。
上条さんは何か間違いましたか? 不幸だ。
話は代わるが外で遠雷がなっている、「怖い」とのたまうインデックスをなだめすかして
紳士な上条さんは今ユニットバスの中でこの日記を書いている。
ちなみに、インデックスの勘違いは継続中のようだ。舞夏はなかなか侮れない。
○月△日
昨夜は落雷のせいで急な停電になった。雷様の虫の居所でも悪かったのだろうか。
○月●日
不幸だ、お金を入れた自動販売機が突如爆発するなんてありえん。
まあ、今日の目立った出来事といったらこれくらいなのだがもうひとつ書き加えるとするなら来週の水曜日に
学園都市にオルソラが所要でやってくるらしい。その人選はミスだろうと思わないでもないが土御門あたりがフォローに……
って思ったそばから道案内をお願いしますと、手紙に書き添えてあった。たぶん神裂あたりが書いたんだろう。
しかし、久しぶりに会うとなると来週の水曜日が楽しみになってきた。
○月☆日
今日も今日とて居残り補修。いくらがんばったところで上条さんにスケスケ見る見るは無理なのですよ、小萌先生。
とはいえ、手取り足取り、何とかこの上条当麻という劣等生にがんばって欲しいらしい先生に対して
諦めてかかることは失礼に当たる。と言うか、なんだか出来そうな気にさせられる。
まあ、結局上条さんの右手に掛かればそんな幻想は消えてなくなるのだが、一生懸命な小萌先生は
その手足の短さの性もあってかなりの密着状態での指導も多い。
上条さんはロリコンじゃないので微笑ましい気分にはなっても変な気分にはなりませんけどねー。
○月▲日
突然御坂に、
「いい加減あたしを無視すんのやめなさいよ!!」
と、呼び止められた。
身に覚えが無い、と言うとどうやら昨日も一昨日もその前の日もスルーしていたらしい。
それは悪いことをした、そういって一通り謝辞を述べて立ち去ろうとすると再び呼び止められる。
来週の水曜日にあるイベントに一緒に参加せよとの事だった。まあ、別にかまわないと思ったので承諾したのだが
この日記を書いている途中でその日はオルソラを案内しなければならなかったことを思い出した。
今から御坂に断りの電話を入れようと思う。
○月★日
…………気をつけろ、やつの電流は電話越しでも届くぞ。
まあ、なんだ。気が付いたらお詫びに好きなものをおごることになっていた。
○月↓日
姫神にお弁当をご馳走になる。
やつのお弁当には魔法が掛かっているとしか思えない。
○月↑日
今日はオルソラがやってくる日だった。
彼女の用事が何だったのか結局わからなかったが、来週にはアニェーゼが来るらしい。
晩御飯を外でご馳走になった後、ホテルに向かう途中で御坂が言っていたイベントとやらに遭遇した。
小規模な野外コンサートのようなものでオルソラと一緒に聞き入っていたのだが、急に後ろからぶん殴られた。
皆まで言うことも無く我らがチャンプ御坂さんだった。結局美鈴さんと来たのか。
その後も御坂がぎゃあぎゃあとわめいたのだが、大人な上条さんは相手にせず適当に聞き流していた。
しかし、演奏会が終わって「じゃあそろそろホテルに行こうか」と、上条さんがオルソラに言ったときが
ボルテージ最高潮だったのは何故だろうか。
雑然とした雰囲気だったとはいえ、演奏会の間中騒ぎ続けるなんて常盤台のお嬢様もたかが知れていますのねー、
と言ってやったところ雷撃を飛ばしてきた。
その後オルソラをホテルに送った後のことは秘密です。
………そういえば美鈴さんが終始静かだったのだが「負けた」と言うのはそういう意味だったのだろう。
○月→日
オルソラ謹製のお弁当を持って学校へ。
先日のお返しに姫神におすそ分けしたところ露骨にぴりぴりした雰囲気になってしまう。
よくわからないままよくわからない言い訳をしていたら、明日は吹寄のお弁当をご馳走になる事になっていた。
微妙に不幸じゃない?
○月←日
吹寄さんのお弁当は凄かった。中身が牛丼だったことも驚きだが、それがまだ暖かいなんて。
魔法瓶のお弁当箱はどこに行ったら買えますか?
○月←↓日
吹寄と姫神と一緒にお弁当箱を買いに行く。
青髪ピアスと土御門のやつがいなかったらもっと幸せだったと思う。
○月→↑日
御坂と一緒にデパートへ。
プライドを捨てて一日お嬢様御付の人になる。
ゲコタだかギョロッピィだか言うストラップを買った。
ギョロッピィの真っ黒な瞳を見ているとなんだか吸い込まれそうな気がする、なんかコイツ可愛いってよりも怖い。
そう言ったところ美坂さんに可哀想なものを見るような目を向けられた。
腹が立ったのではらいせにデパートの中で置き去りにして迷子のお知らせで呼び出してやった。
○月α日
突然のステイル来訪。インデックスにあれこれと買い与えようとしていたが途中で小萌先生に遭遇したことで
有耶無耶に。どこからか現れたらラストオーダーも加えて晩御飯を食べに行こうと言う話になったのだが、上条さんは
逸れてしまいました。今、この日記は部屋でさびしくカップ麺を
○月α日
カップ麺をひっくり返すなんて………不幸だ。日記が一ページおしゃかになった。
ところで黄泉川先生からインデックスたちを保護したとか言う電話があったのだが、一体何をやったんだ、ステイル?
○月β日
ステイル・マヌグス14歳。
ロリコンの容疑で誤認逮捕。これは土御門から聞いた情報だ。
身元引受人としてわざわざ神裂がやってきたらしい。
あれ、でも神裂も上条さんとそんなに変らない年齢だった気が………
○月γ日
聖人神裂滞在中。土御門にからかわれながらも、家の家事全般を請け負ってくれている。
料理もうまいし、普段はそんな暴力的でもないし上条さんとしてもいいこと尽くめなのだが、
一つだけ、調子に乗って料理にあれこれ口を出すと最初はいろいろと対応してくれるのだが、しつこいと最終的に
「黙れこのど素人がっ!!」
と一喝される。一喝されたインデックスは部屋の隅で小さくなり、上条さんはこれを聞くとなんか右手の古傷が痛む。
○月θ日
アニェーゼがやって来た。インデックスとのつーショットは色違いの類似品みたいな感じで纏まりがいいのだが、
神裂とのつーショットはなんかちぐはぐと言うか、凸凹コンビってレベルじゃない。
アニェーゼがしばらく泊めて欲しいとのこと。いろいろとまずいのでお断りしようとしたのだがインデックスの事を盾に
押し切られてしまった。神裂も半分住んでいるようなものだし、我が家の人口密度がえらいことに。
○月ζ日
お隣の怪しい義兄妹が珍しく喧嘩したらしい。土御門が家出した舞夏を必死に探している。
魔術まで使おうとしたのはさすがに泊めておいたが、あろう事か上条さんが匿っているのではないかと疑ってきた。
とりあえず今我が家にそんな隙間はないことを説明しておいたが………
全く、今この部屋を見回しても、シスター、シスター、メイド、ねーちん、ピンク教師、クラスメート二人組み、おっぱいめがね。
もはや人口爆発だ。
○月ε日
昨夜日記を書き終わった後、何かに躓いた上条さんの右手が風斬に触れそうになると言う恐ろしいニアミスが発生。
とっさに両手を引っ込めたところ柔らかい何かに顔からダイブしてしまった。
まあ、その柔らかさを堪能するまもなく地獄にダイブする羽目になりましたがねー
○月ν日
珍しく御坂妹の方と遭遇。上条さんの後ろの女の子軍団に驚いていたようだが、皆で喫茶店に入って少し世間話。
聞くところによるとオリジナルが近頃荒れているらしい。夜な夜なスキルアウトを狩っている能力者を手ひどく痛めつけているらしい。
いいことじゃないか、と言ったところどうやら明らかにオーバーキルな八つ当たりらしい。
一体何があったんだ。