「はぁ……っんぁ…!」
儚い喘ぎ声が思わず漏れる。
吐息はその心を映すように荒く、衣服の乱れはそのもどかしさを表す。
そして更に激しく快楽を、と求める心と多少の怯えの心が反映された指先の片割れは未だ曖昧にそのクレヴァスをなぞり、残るもう一方は彼女自身の口内で彼女自身を蹂躙する。
その様はさながら愛しの彼に深く求められ、蹂躙され支配され、そして愛される事を夢見るかの様に。
乙女の様に可憐であり、それとは対照的に娼婦の様に淫美であった。
「ね……ぇ、はぅっ!アンタは、さ。私のこんな姿を…っぅ、見て、どう想う、の?」
彼女の語りかける先には誰も居ない。
同室の少女は当たり前の事、彼女が恋する彼も勿論ここには居ない。
それでも聞かずには居られない。
もしもその言葉が聞けたのならば自分は泣いてしまうかもしれない。
そのたった一言で自分はそれほどまでに幸福になれるであろう。
だが――もしもアイツが他の――
そこまで考えて途中で無理矢理思考を押し止める。
今、そんなもしもは要らない。
欲しいのは夢。
欲しいのは――快楽。
クチュ……と小さく鳴った水音に彼女は思わず息を飲む。
(私……こんなに濡れちゃってる)
息を二、三回吸い意を決したようにその指に力を込める。
彼女は更なる快楽の深みを求め、その細く白い指先を若干のためらい。
そして多大な欲望を込めて自分自身の胎内へと侵入させる――