『とりあえず俺のいるところまで来てくれ。説明はそこでする。場所は地下街の……』
携帯を拾ってなおかつ姫神の追跡を振り切った上条は、土御門の言葉に従い地下街への入り口を目指していた。
ズボンがベタベタして気持ち悪かったが、向こうに行けば服の用意はしてあるのらしいので我慢する。
ここまできて、上条にも事態の深刻さが分かってきた。原因は不明だが、おそらくは知り合いの少女すべてがあのような状態になっているのだろう。土御門も、知り合いの女を見たら逃げろと言っていた。
理性を取り払われた、本能むき出しの雌。
「笑えねぇ……」
そもそも何故ターゲットが俺なんだ? と彼の知人が聞いたら大激怒しそうなことを考えつつ走り続ける。
しばらく走って、地下への階段にたどり着いた。
よしと呟いて早速階段に足をかけたら
「待ちなさいっ!」
そんな叫びと共に、背後でコンクリートが爆散した。
「うっし行くか!」
上条はこれをスルー。日頃から不幸慣れしている彼にとって、コンクリートの自然爆発なんぞ屁でもないのだ。
だが後ろのスルーされる率ナンバー1の少女、御坂美琴はそれがいたく気に入らなかったらしく。
「まてっつてんだろうがぁぁ!!」
再び雷撃をぶちかました。
「おふぁ!?」
とっさに右手でガードする。だが奇しくもそれは携帯を握っていた手で、すっぽぬけたそれは雷へダイブ。
ビバチィ! という音、そして黒煙。
上条携帯、永眠。
「ああぁぁぁ!!? マイテレフォンがぁぁぁ!」
ちょっと不幸にもほどがないか? と泣き崩れる上条に、美琴はそっと近づいた。
「あ、ごめん、やりすぎちゃった?」
「いくらなんでもひどいだろ! 俺が何したって言うんだよ……」
「じゃあ、お詫びしなきゃね………」
いつの間にか上条の隣まで接近していた美琴は、地面に膝をついていた上条に背後から抱きついた。
「え? え!? なんですか御坂サン!?」
戸惑った声を出す上条。だが美琴はそれに応えず、上条を巻き込んでえいと回った。
地面に背中を預け、寝そべる美琴。上条はそんな美琴の上に、空を仰ぎながら横になっていた。
美琴ベッド。完成。
「…………どゆこと?」
事態を飲み込めない上条は、身体を回し美琴の顔を見た。至近距離から見るそれは、明らかに上気している。というか近い。さらには上条が動いたせいで、まるで彼が押し倒したような姿勢になっていた
「だから、あたしがお詫び」