5巻 P.50より
「おかげで女か男か分かンねェ体型になっちまうしよォ」
「ていうか、どっちなの? ってミサカはミサカは白黒ハッキリさせてみる」
「見て分かンねェのかオマエ」
「うーん」
打ち止めはその言葉に応えずに一方通行の正面に回り込むと、おもむろに股間の辺りを触り始めた。
「んー、なんだかよく分かんないなってミサカはミサカは首を傾げてみる」
「…………」
わさわさ、と触る。
(…なにしてんだ、コイツ)
股間周辺をわさわさ触診している打ち止めを、一方通行はなんだかもやもやした心境で眺めていた。
『反射』が作用しているため特に刺激は感じないが、幼い少女が自分のそれを触っていると思うと、なんか、こう。
一方通行も不健康であるとはいえ男子高校生である。ここ数日はぼんやりしていて自慰をしていなかったためちょっとだけ溜まっていた。
(……他人にさせるってのも、悪くねェかもなァ?)
首を傾げながら触診を続ける打ち止めを前に、凶悪な考えが頭に浮かぶ。
一方通行は別に幼女趣味があるわけではない。さらに言えばこれといった好みもなく、ぶっちゃけ発散さえできればいいのでこの幼女に手を出すことにも抵抗はなかった。
さらに、他人に奉仕を強要させた上で壊れるまで責め立てる。元々サディストの気がある一方通行にとって、それはたまらなく楽しそうに思えた。
(……っと、まずはどンくらいのもンなのか、確認でもすっかな)
いい加減直に刺激が欲しくなってきた一方通行は、睡眠中でさえも行っている『反射』を切った。
切って、しまった。
ついでに言えば夏休み最終日で人気の少ないこの町の、さらに人気の少なそうな路地裏を探して視線をさまよわせていたため、
「むー、確かここは男の人の弱点だったから殴れば分かるかなってミサカはミサカは拳を握ってドーン!!」
打ち止めの右拳による渾身のストレートパンチを、文字通り急所に喰らってしまった。
一方通行は歯を食いしばった。体の芯がひどく痛んだ。操車場で無能力者に殴られたのとは違う痛みだった。比べ物にもならなかった。
…………本当に、比べ物にもならなかった。
「なるほどー、アナタは男の子だったのねってミサカはミサカは発見した真実に満足して頷いてみる」
「くそったれがああああああ!!……あああぁぁ…!??」
オシマイ。