「ふむぅー…」  
「さっきから何を難しい声を出してるんですか」  
暖かく穏やかな午後。そんな中、なにやら考えているのか眉間に皺を寄せているのが、イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会』最大主教のローラ=スチュアートである。  
「ちょっと疑問に思いし事がありけるのよ」  
それに答えるのは、世界に二十人と存在しない『聖人』である神裂火織だ。  
「疑問とは?」  
彼女が紅茶を淹れながら尋ねると、  
「『幻想殺し』について」と答えを返してきた。  
神裂がローラの手元を見ると、あの少年についてまとめた資料が置いてある。  
全てまとめたはずだが、と心配になった神裂は彼女が気になっていると思われる事柄に触れた。  
「…彼の能力についてですか?」  
そう言いながら神裂も思い返してみた。  
他人の為なら命を賭けることも厭わないとある少年の右手に宿る力。  
聖ジョージの聖域どころか、『神の右席』の強大な一撃すらも消し去った、魔術には無いもの。一体どういうものなのか本人にも分かってない節がある。  
それについて、実際に見た者の意見を聞きたいのだろうか。そんなことを漠然と考えていた彼女に、ローラは全く違うことを尋ねてきた。  
「いや、彼のこの性格面が気になりて仕方が無しなのよ」  
性格?と目を点にした神裂が資料を見やるとそこには、「性格:損得勘定を無しに飛び込んでいく性格。他人の為なら右手一本で立ち向かっていく」と書き記されていた。  
神裂は彼の勇敢さを思い出しながら、  
「この文章の通り、むちゃくちゃですが誰に対しても壁を作らず平等に接し、誰にでも立ち向かえる強さを持った者ですよ」と何故か誇らしげに言う。  
ローラは彼女の賛辞を聞きしばし考えた後、爆弾発言を投下した。  
「ふむ、ではこの少年に会いにいざ学園都市に赴かんなのよ」  
……………は?  
「ななな何を言ってるんですか!?」  
「だからかの者に会わねばと」  
「何故そうなるのですッ!!」  
「これだけの強き心を持ちける者に会いたきと思うのは当然のことにありけるのよ」  
「あ…貴女はイギリス清教の最大主教でしょう!?なのに学園都市に入れるわけがありません!!彼をこちらに呼び寄せるなら構いませんが!!」  
神裂は言った瞬間、自分が何を言ったか分からなかった。  
だがローラのしてやったりと言う顔に、まずいことを言ったことだけは理解出来た。  
ローラは突然携帯電話を取り出すと尋ねた。  
 
「アレイスター、今の話聞きけりかしら?」  
すると携帯電話から男の声で「承知した」とだけ聞こえ、通話が終了した。  
神裂が呆然としたように呟く。  
「今のは………?」  
するとローラは嬉しそうに「これであの少年を……」などと言いながら部屋を出ていってしまった。  
残された神裂は5分かかって現状を理解し、その場に崩れ落ちた。  
 
それから3日後。  
「あのー……なんで上条さんはこんな所にいるんでせう?」  
不幸な駄フラグボーイ=上条当麻は最大主教宅のランベス宮にいた。  
「こちらとしても本当に申し訳無いんですが……最大主教が貴方に会いたいと」  
面目ない、とでも言うように肩を縮める神裂。  
大きなドアの前で二人は止まった。  
「最大主教は一人で貴方に会いたいそうなので…お願いします」  
「おう、分かった神裂」  
では、と言い去っていく神裂。  
一人残された上条は少しながら緊張していた。  
当然だ。これから会うのはイギリス清教トップ、インデックスに『首輪』をつけたあの最大主教なのだから。  
覚悟を決め、ノックをして扉を開けた上条の目に飛び込んできたのはーーー  
下着姿のローラだった。  
予想外の事態に戸惑う上条。当然だ。  
「どうなってんだこりゃぁあ!!」  
「うむ、やはり私の肢体は興奮必死みたいやね」  
満足顔で頷くローラ。しかも何故か口調が関西弁。  
「……………」  
あまりの不測の事態についていけない上条だったが、とりあえずツッこむ。  
「なんで関西弁?」  
「む?これは土御門元春から習ったものやけど……まさかまた間違いだといいけるの!?」  
もう何が何だか分からない。  
とりあえず自己紹介ということを思いついた上条は  
「あー…はじめまして。俺は…知ってると思うけど、上条当麻だ」  
「私はイギリス清教最大主教、ローラ=スチュアートといふ者よ。気軽にローラと呼んでやー」  
…喋り方を統一してほしいと思ったが、今はそれより聞きたいことがある。  
「俺に……何の用だ?」  
その、最も重要な問いにローラは笑って答えた。  
「貴方を気に入ってしまったの」  
また口調が変わっ………ん?  
「え?今何て?」  
「貴方のその生き方や性格が気に入ってしまって………さっきから貴方と話している間も…ほら」  
と自分の股間をまさぐると粘っこい水音を響かせた。  
「だから当麻……私を抱いて?」  
 
 
「だから当麻……私を抱いて?」  
そう言われた時、自分の中で何かが切れるのを感じた。  
部屋の中には濃厚な雌の匂いが充満し、目の前には下着姿で自分を誘う少女がいる。  
据え膳食わぬは男の恥。  
理性が消えた上条はローラをベッドへ押し倒したのだった。  
 
 
「ふ……んぁ…はぷっ……うぅん…」  
室内に響くは粘ついた水音。  
それを聞きながら上条は目の前の光景をぼんやりと見つめる。  
自分のナニを執拗に舐め、しゃぶり続ける金髪碧眼の少女。  
「あむっ…ぺちょ……このように硬くなりけるとは……」  
最大主教のローラ・ステュアートである。  
このような行為に及ぶに至った経緯を上条は思い出す。  
 
ローラが妖艶に誘ってきた瞬間、理性が切れた上条はローラを抱き締めキスをした。  
彼女も積極的に舌を絡めてきて、5分くらいそうやってキスした後ベッドに倒れこみーーー今に至る。  
そう考えるとなし崩しだよなー、などと思っていた上条に対し、  
「私のテクはたらにけりかしら?」  
とローラが心配そうに声をかけてきた。  
どうやら上条が上の空なので気持ち良く無いのかと思ったらしい。  
そう思った上条は急に彼女に対する愛しさがこみ上げてきて、ローラを押し倒した。  
「ローラが気持ちよすぎてぼんやりしてたんだよ」  
上条が耳元で囁くと、彼女は嬉しそうに目をとろんとさせ、強く抱きついてきた。  
上条は抱き締め返しながら、手にちょうど良い大きさの彼女の胸を揉みほぐし始めた。  
「く……ん…ぅあ……」  
優しく揉んでやると溜め息をつくローラ。  
急に悪戯心が首をもたげた上条は、勃起している乳首を強くつまんだ。  
「んぁああぁ!!」  
悶えるローラにもっと感じさせようと、上条は彼女の咲き誇る蕾を口に含み、しゃぶった。  
「あっあぁあああぁ!気持ち良きなのぉお!!」  
もっと吸って、とでも言うように上条の頭を胸に押し付ける。  
ちゅうちゅぷぺちょ……  
淫靡に響く音に更に高まっていっているのか、ローラが叫ぶ。  
「も、もうイクっ!イっちゃうぅぅうぅ!!」  
止めとばかりに上条は彼女の乳首を甘噛みした、その瞬間。  
「んぁああぁあぁあああぁ!!!」  
絶叫と共に体を強ばらせ、弓なりにひきつらせる。  
「どうしたローラ?イっちゃったのか?」  
そう胸を揉みながら尋ねる上条に、  
「あ…貴方のテクが良すぎにけりなのよぉ……」  
息も絶え絶えに呟くローラ。  
そこには最大主教の面影は無く、ただ雄の精子に狂う雌がいるだけだった。  
「さて、ローラ……そろそろ…」  
当然こんな所で終わる気は無い。やはり最後までいき、中に出してもらわねば満足出来ない。ローラは自分から獣のように四つん這いになって性器をさらしたのだった。  
 
「じゃあ………挿れるよ?」  
「早く……いれて……」  
誘うように尻を揺らすローラに薄く笑って、上条は一気に子宮まで貫いた。  
「ふぁああぁっ!!」  
嬉しそうに体を仰け反らせるローラ。  
彼女の淫唇はこの上なく潤っていた。更には、  
(うっ……挿れただけでイキそうになっちまった)  
と上条が危機感を覚えるほどの名器だった。  
ずぷっずりゅっぐぷっ!!  
卑猥な水音を立てて何度も上条のナニがローラの淫唇に飲み込まれていく。  
「はっあっあんっんぁあっ!!」  
歓喜を満面に表しながら絶頂へと上り詰めていくローラ。  
「くっ………ローラっそろそろもう……っ!!」  
上条が息を荒げながら告げると、  
「中に出してぇぇっ!!」と中出し許可が。  
こうなってしまえば抑えるものは何も無い。上条は最後のラストスパートをかけた。そして、  
「あっイクっイクよぉ!!イっちゃうぅぅうぅん!!」  
「くっ……!!」  
ローラと上条は同時にイった。  
上条の精液はローラの子宮をパンパンに満たしたのだった。  
 
「………はっ!?」  
と目を覚ましたローラ。そこにはいつも通りの光景が広がっていた。  
「………本当は呼びけることなど出来はせぬなのよ……」  
と寂しげに呟いたのだった。  
 
 
 
「アレイスター…お願いがありけるのだけど…」  
『なんだ?』  
「……上条当麻を少しだけ貸していただきたくなのよ」  
『幻想殺しを?』  
彼はしばらく考えたが『駄目だ』とにべもない答えを返してきた。  
『アレは今重要だ。そちらで何があるか分からないからな』  
「…………………」  
そんなことは分かっている。だからこそ必死に頼んでいるのに。  
プチッっと回線を切ると、ローラは近くにあった椅子に崩れ落ちるように座った。そして呟く。  
「……とうま……………」  
最近はいつも彼のことを考えてしまう。彼が戦っている姿をアレイスターから送ってもらったが、それをオカズに自慰をするくらいだ。  
だが、立場的に彼に会うのは絶望的だ。こちら‘魔術’イギリス清教最大主教、片や‘科学’の超能力者。彼を呼び寄せることも出来るがたった今その可能性は潰されてしまった。  
改めて現実を思い知らされたローラは会えぬ想い人のことを考え、すすり泣いた。  
(今日も最大主教は泣いてますね………何があったんでしょうか)  
(あの方が泣くとはよっぽどのことでございましょう)  
(でも案外下らないことだったりとかするんじゃねぇですか?)  
(例えば……甘い物が食べたいとか!)  
(アンジェレネ!そんな低劣な事を考えるのはあなただけです!)  
最大主教執務室前でそんなひそひそ話をする5人組。誰かはおのずと分かるだろう。  
(やはりここは直接聞いてみるべきです)  
(そうでございますね。救えるにこしたことはございませんよ)  
意見が一致した彼女達は執務室をノックし部屋の中に足を踏み入れた。  
 
コンコン、とノックの音がした時にはもう涙は拭き取ってあったので、少し慌てたがすぐに落ち着いた。  
「失礼します」と入ってきたのは神裂・オルソラ・アニェーゼ・ルチア・アンジェレネの5人。  
「何ぞ問題でもありしかしら?」  
ただならぬ雰囲気だったので尋ねてみた。  
最も、この雰囲気を作ったのは彼女だったが。  
ローラの問いに真っ先に答えたのがオルソラ。  
「ローラ様は何を悩んでいらっしゃるのでございますか?」  
逆に笑顔で尋ねられた。  
「え………?」  
確信を衝く質問。虚を疲れたローラは答えることが出来なかった。  
「私たちで出来ることなら手助け致しますよ」  
神裂も力強く言う。他の三人も頷いている。そういえば彼女達は様々な方法で彼に会っているのだ。良い方法を思い付くかもしれない。  
「実は…………」  
彼女は思いの丈を話し始めた。  
 
「……………ということなりなのよ」  
彼女が説明し終えた頃には5人とも一つの思いを抱いていた。  
またかあの野郎。  
「何か良い手は…………」  
悲しそうに呟くローラに神裂は真剣に考え出す。  
だがそんな彼女を尻目に  
「そんなの気にしなくて良いでございますよ」  
朗らかにオルソラは笑いかけた。  
「……………え?」  
呆けるローラにオルソラは自信を持って告げる。  
「あの方は小さい理由など気にせずに、見返りなど気にせずに。助けてと言えば助けてくれ、会いたいと言えば会ってくれる…そんな方でございますから」  
少年に対して絶大な信頼を寄せて。  
「だから、心の底から彼に願えば立場なんて枝葉は取っ払って、『会えない』なんて幻想は彼がぶち殺してくれるでございますよ」  
そう言ってにっこりと笑った。  
その言葉を聞いて残りの4人も思い浮かべた。方法は違えど、つまらない幻想を殺してくれた彼を。  
「では私が彼に伝えに行きます」  
神裂が決意を持ってそう言うが、ローラの一言で打ち消されてしまう。  
「………私が学園都市に行きけるわ」  
「「「「なっ!!!!????」」」」  
4人の驚き声が重なる。一人驚かなかったオルソラは「それは良い案でございます」と笑っている。だが神裂はそこまで甘くない。  
「な…何を言っているんです!?出来るわけ……」  
「出来けるわ。いえ、やってみせなければ彼に申し訳たたぬなのよ!!」  
ローラの顔は恋する少女のそれだ。  
しばらく彼女の顔を見つめていた神裂は溜め息をつくと、  
「…なら私もついて行きます。あくまでも護衛として」  
彼女がそういうとアニェーゼ達三人も同じく、と言うように頷いた。  
オルソラはというと「旅の支度をしてくるでございます」と行く気マンマンだ。  
「………方法に良きなの?」  
「言っても聞かないでしょう?出来る限りサポートしますよ」  
神裂の笑顔を見て、ローラは改めて思った。  
部下に恵まれたな、と。  
かくして学園都市はある意味最強の訪問者を迎えようとしているのだった。  
 
 

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