−*−  
 
 いつの間にやら向かい合って正座をしていた二人がいま、何をしているかと言えば。  
 何故だろう、上条当麻は向き合った少女の胸のふくらみを両手に掴んでいた。上条自身、制止で  
きない身体の震えが手のひらにも伝わって、触れている薄くなった古いシャツの向こう側、インデッ  
クスの柔らかな双丘を刺激する。  
「ひいん、ふあ、あう……ううん」  
 大きさがどう、とかそんな話はとっくに意識下にはない。もっと奥のほうから上条を操る何かが、  
衝動的に、目の前の少女の、長い銀髪を乱して碧の瞳を潤ませ、白い肌を震わせる少女の乳房を  
揉みしだかせる。  
 手のひらの中央を、シャツ越しに堅く隆起した何かが突き上げてきた。目の前で荒い呼吸を繰り  
返す少女も、抗えない性の衝動が身体を走っているのだ。  
 そんな、思考とは言えない、むしろ野性的な直感が、脊椎反射のように上条の身体を巡って、や  
はり自分をきちんと制御している、とは言えないままに、手のひらが突き上げる少女の衝動を押し  
返す。  
「きゅふっ……うん…、ひあ、あ、ああ………」  
 半ば身をよじらせて、もう上条には喜悦の声としか聞こえない喘ぎをインデックスが上げた。  
 いつかのピンク色どころの騒ぎでは無い――ふんわかなどしていない、自らに欠けたる性への衝  
動の――色が、頭の中を染める。このピンク色は前のピンク色とは違う。でも、そんなことが判った  
からと言ってどうだというのだろうか?  
 その、衝動のピンク色に染まりきってしまった上条の頭の中で確たる姿を保つのは、手に伝わる  
感触、瞳を潤ませたインデックスの表情、張り詰めて痛みさえ覚える体の一部分、それくらいしか無い。  
 
 そうしてそれは、インデックス自身にも当てはまることだったのだろう。が、荒げた息を無理に整え  
ようとしながら、少女は上条に尋ねた。  
「……ねえ、ほら、ちゃんと…育ってるんだよ……?」  
 インデックスの少しかすれた声に、堅くなりすぎた分身が激しく自己主張した。腰の奥がうずいて、  
震えが背骨を伝って身体を昇る。かはっ、と掠れた息が口から漏れても、それは声にはなってくれ  
ない。  
 少女の乳房を掴んだその体勢のまま、戸惑うことしかできない上条の表情を見て、相対する少女  
が潤んだ瞳を細めた。  
 困惑の表情なのか、悲しいのか、そう言ったこともよく判らない。少女の柔らかな感触と生の喘ぎ  
声が、何度も言うが、上条の思考能力など、とうの昔に奪い去っているのだから。  
 だが、眼前の銀髪碧眼の少女は、上条からの返事の声がないことに不満を覚えたのだろうか。  
それとも、それ以上の思惑があったのか。あるいは、上条以上に理性を失いかけていたのかもしれ  
ない。  
 インデックスの言葉は、さらに上条の理性をもぎ取ることになる。  
 
「……どうして返事、して……くれないの? ……そっか、おなか周りの時みたいに、直接じゃ、ない  
から? その……前だって、……と、とうまは、ちょ、直接、見てるんだもん」  
 
 呟きながらインデックスが次に取った行動は、上条の手のひらを自分の胸の上に置いたまま、シャ  
ツのボタンを外すことだった。  
「――――――――っ、え……」  
 
 上条の声が聞こえても(きっと聞こえたはずだ)、インデックスの手は止まらない。一番下のボタン  
に手を掛けてそれを外すと、手はそのまま上へ、二つめのボタン、そして三つめと昇っていく。  
 シャツの裾が開いて、少女の太股とその付け根が露わになると、そのさらに奥を隠す真っ白な三  
角形がちらりと覗いた。  
 三角形が次第に大きくなっていくと、表面にあしらわれたレースが、小さな編み目を数えることが  
できるのではないか、というほどに鮮明に上条の目に映りこむ。布地の人工的な白さが、インデッ  
クスのやや紅潮した肌とのコントラストをお互いに強調しあって眩しい。  
 目を逸らせないままにインデックスの手は動いて、火照った肌の上の小さな臍の窪みが上条の  
視界に飛び込んでくる。  
 柔らかなふくらみを掴んだ手は、何故か離すことが出来ない―――いや、離したくないのだ。そう、  
ここから手を離したくないのだろう、と、上条がまるで人事のようにぼんやりと考えている間にも、や  
はり少女の手は止まらず、自らの胸を柔らかく包む手のひらの隙間を縫うように、インデックスの小  
さな手が最後のボタンを外した。  
 そうして、全てのボタンが外れてしまったシャツの端を、握り込むようにインデックスが掴む。そう  
することで、一直線に、少女の鎖骨の窪みから、上条が掴んでいるふたつのふくらみの微かな谷間、  
小さな臍までの真っ白な、しかし上気してややピンクがかった肌が上条の眼前に晒される。  
 
「………ふう……」  
 インデックスの口から溜まった呼気が漏れた。  
 真っ赤に染まった顔の、やや心許なげに震える唇が、上条にはどうにも艶めかしく見えて眩しい。  
眩しいのだが、目を離すことは出来ないのだ。  
 目を離すことが出来ないまま(さらに言えば、両手も離せないまま)、上条は半ば硬直状態に陥る。  
 そんな上条の状態が判っているのかいないのか、インデックスがシャツの裾をぐい、と強引に引  
き下ろした。シャツがはだけて白い肩が出てきた、と思う間もなく、脱げ落ちる布地に引きずられて  
上条の手が離れる。離れると、引かれるがままになったシャツは完全に少女の上半身から落ちて  
しまった。  
 瞬間、インデックスが羞恥に顔を真っ赤に染めて俯く。自分がぐぎゅ、と唾を飲み込む音が、やけ  
に大きく上条の耳に響いた。  
 
 少女の双丘を隠すものは、もはや何もない。ピンク色に火照った二つのふくらみが、荒くなった呼  
吸に併せて上下する。きめ細かな肌は艶めいて、しっとりと浮かんだ汗に光っているかのようだ。  
「ねえ、とうま」  
 碧色の瞳を震えるように潤ませ、顔を真っ赤に染めた少女が、小さな声を上げて上を向く。  
 それと同時に、小さくても形の良い隆起――要するに、乳房――がぷるん、と揺れて、その頂上  
に輝いていた薄桃色の蕾が震えた。  
 その小さな声に、やはり上条は言葉を返せない。  
 しかし、上条の目は、シャツ越しにも自分の手にはっきりと伝わってきた、少女の、インデックス自  
身の性の疼きが、天井の灯りを反射して輝く双丘の上で堅く虚空を突き上げているのをしっかと捉  
えて離さない。  
 もっと、舐め回すように見たいと直感的に思い、しかしさらに意識の奥、さっきからずっと上条を支  
配している本能的な部分が手を動かす。そう、これに触りたい。これに触って良いのは自分だけだ  
―――。  
「や………っ、ひあ、あんっ」  
 乳房を鷲掴みにされ、インデックスが悲鳴にも似た声を上げる。しかし抵抗は、しない。  
 上条の手のひらの中で、小さな――本人は『成長している』とは言っていても、やはり小さい(が、  
そんなことはもはやどうでも良い)胸がふにゅ、と形を変え、それでいてしっかりと伝わってくる肌の  
張りが握るその手を押し返す。何もかも弾いてしまいそうな張りと艶なのに、それでいてきめ細か  
な肌は上条の皮膚に吸い付くようにしっとりとしてさえいる。プリンとか、マシュマロとかそういった  
感覚を最初は覚えたけれども。  
 違うのだ。  
 
 これは、他の何かなどではありえない。これが、『インデックスのおっぱいの感触』、なのだ。他の  
何と比べようというのか。比べようなど無いではないか。  
 そう思うと、さらに手はインデックスの感触を求めてふくらみの上を這い回る。押さえることなども  
はや不可能な興奮で息が荒くなる。その荒くなった息が、少女のそれと重なった。  
「ふあ、あ、あ、あ、あ、あ、と、とうま―――」  
 ついさっきよりも、もっと艶めいた喘ぎをインデックスが漏らす。震える少女の腕が、上条の袖を掴  
んだ。  
「………っ?」  
 袖を引かれて一瞬、理性のようなものが舞い戻る。舞い戻った理性が、本当にこのまま触り続け  
て良いものか、という思考に変わって脳裏を掠めて、しかしそれでも触感として伝わる少女の乳房  
の感触に、手は触ることを止めようとしない。むしろ行動はエスカレートしていくばかりだ。  
 両手の手のひらを回すようにしてふくらみの稜線を撫でさする。  
 さらに自分の息が荒くなっていくのが、上条自身にもよく判った。  
 なぜ、判るのだろう? いや、強烈な興奮が、逆に頭の中のどこかに冷静すぎる自分を作り上げ  
ているのだ。しかし、そんな自分が居ても、行動を止めてはくれない。ただ見守るばかりだ。そうし  
て、その客観的すぎるもう一つの視点が、さらに上条を興奮の渦へと押しやるのだ。  
 頬を染め、碧眼を潤ませた銀髪の少女が自ら上条の前にさらけ出した、その二つの小さな白い  
峰を包み込むように押し当てられていた手のひらを動かす――いや、勝手に動いてしまう。  
 
 その手のひらを押し返してくるふくらみを押し上げ、寄せ、離し、押し下げて、そのリズムを変えて  
繰り返し、ときおりきゅう、とかすかに力を強めて白い肌に指を埋める。  
 少女の峰の頂上にある小さな蕾が少しずつ堅くなっていくのが、シャツの布地を隔てていても判っ  
 ていた。が、それで終わりではなかったようだ。  
 直接、上条の手に触れられて、蕾はさらに堅く大きく膨らむ。  
 膨らんだ蕾が上条の手のひらを押し上げた。その快感を伴う微妙なくすぐったさに耐えられず、ご  
ぎゅ、と音を立てて唾を飲み込みながら、親指付け根と手のひらの間で、上条はその蕾――インデッ  
クスの乳首――を挟み込んだ。  
 くりん、と硬くなった乳首が手の中で横を向く。  
「ひゃひいっ」  
 上条の袖を掴んでいたインデックスが、悲鳴を、しかし喜悦の喘ぎに埋もれた悲鳴を上げる。  
 こりこりと親指の根本に感じる乳首の硬さが、どこかたまらない。この、少女の性の疼きに堅くなっ  
た乳首をもっと虐めてやりたくなる。両手の人差し指と親指で、片方ずつをつまみ上げた。  
「きゅふっ、うあ、あ、ああ…………」  
 自分自身には触ってもいないのに、耳を突き抜けるインデックスの喘ぎ声と、指に、そして手のひ  
らに伝わる感触が屹立する上条の分身をも刺激する。突き上げて擦れて、少し漏れ出したような  
感触を覚えた。その感触が、上条をさらにエスカレートさせる。  
 中指と親指で、先端の小粒をつまみあげる。残った指で、その周りのピンク色を撫でさすった。  
「やあ、あん、あっ、あっ、あ、ひあ、あ、ひう、」  
(先っちょだけじゃなくって、周りも膨らんで堅くなるのか)  
 などと、あえぐ少女の声を聞きながらも冷静なままの部分が勝手に分析をして、またもやさらに煽  
られる。  
 もう一度、手のひら全体でインデックスの乳房を掴んだ。手の中で形を変えるその感触を、押し返  
してくるその張りを、突き上げて擦れる堅くなった乳頭が転がるのを、その感覚を一瞬たりとも逃す  
まいと揉み上げる。  
 少女が掴んだ袖の、その指がぎゅう、と固く絞られ、引っ張る力が強くなった。  
「い、インデックス……」  
 快感に耐えかねるように下を向いていたインデックスが、名前を呼ばれて上条を見上げる。  
 焦点を合わせるのも難しそうに、その碧眼が上条の目をのぞき込む。そしてやはり力の入りかねると言った感のその唇が、一つの単語を紡いで投げつけてきた。  
「とうま、とうま、とうま、とうま―――――――――」  
 そうして少女はひときわ大きく身体を震わせると、かくん、と糸が切れたように力を失って前方に  
倒れる。倒れて、インデックスは上条の太腿に頭を埋めた。しかしてそこには、耐えきれぬほどに  
震える分身がいきり立っているのだが。  
 少女の荒い息がズボン越しに上条を煽る。ズボンを掴んだ手に、どうにか力を込めて少女が上を  
向く。  
 その整った顔に浮かぶ、淫靡に崩れた表情を見た瞬間、上条の頭の中のどこかに残っていた最  
後の一本の線が、音を立てて、切れた。  
 
                     −*−  
 
 部屋に差し込む朝日の光が頬を撫でて、上条は目を覚ました。  
「……………??」  
 どうして自分はベッドで寝ているのだろう、と言う疑問が上条の寝ぼけた頭の中に浮かび上がり、  
続けて昨夜起こった『あること』へと思考が繋がる。  
 がば、と跳ね起きた。そうしようと思ったのではない。身体が勝手に跳ねたのだ。  
 頭を振り回すように左右を見回し、思い出されたそのことが夢や幻などではなく、事実だと知る。  
 しかし、やってしまった、と言うよりもむしろ『来るべき時が来てしまった』、という感覚が先に立つ  
のは何故なのだろうか。  
 
「とうまに、食べられちゃったんだよ……」  
 
 傍らで上条を見上げる銀髪の少女が、はにかむようにその頬を染めて、跳ね除けられてしまった  
毛布を引き寄せる。毛布に顔を半分埋めるその間にも、一糸もまとわぬ少女の、まぶしいほどに白  
い肌の色が目に入った。  
「うあ、あうあ、そ、そのだな、インデックス、」  
 目に入った裸の肌にまず顔が火照り、昨夜の記憶が心臓を踊らせる。まともに言葉が出てこない。  
「へへへ」  
 慌てる上条の腕に、頬を染めたインデックスが身を寄せてきた。ぴた、とその頬を添え――  
「え? おい、すごい熱――――」  
 上条の手に触れたインデックスの頬が異常に熱い。慌ててその手を額へと回した。やはり、熱い。  
 慌てる上条を見上げて、インデックスが呟いた。  
「なんでだろ。わかんないんだよ……? なんで、熱、出たのかな?」  
 へへ、と力なく笑うインデックスを見て、ピンと来る。そういうことか、つまり。  
「う、は、初めてだったもんな、無理させて、熱、出ちゃったんだな………。す、すまん」  
 いったん言葉を切って大きく息を吸い込み、言葉を続ける。  
「どお、どっちにしたって俺のせいだもんな、とにかく今日はゆっくり休まなきゃ。そ、そうだ、今日は俺が付いててやるよ、な、学校は休むから」  
 聞いて、少しだけ驚いたような顔をしたインデックスだが、すぐに照れたように微笑んで上条の腕  
に捉まった。そこに浮かび上がった表情が、昨夜、初めて繋がった瞬間と同じ表情であることには  
気づいたものの、それが幸福感を満たした表情だ、と言うことにまで上条が思い至るのには、あと  
数時間を要する。とまれ、このことはまた別の話だ。  
「と、とりあえずは、だ、熱、あるんだから、服着てちゃんと暖かくしないとな」  
「………とうまが着せてくれるの?」  
 少女の甘えた声に、少年は派手に赤面した。  
 
                     −*−  
 
「熱が出たのでお休みさせてください小萌先生」  
「セリフが棒読みなのですよ上条ちゃん? 電話でそんなことを言ってまで学校をサボるのは、先  
生は許さないのですよ?」  
「………………………あー、その、」  
 適当に誤魔化すことは出来ないようだ。熱があるのは事実なのだから――上条ではなくインデッ  
クスが、なのだが――、曖昧に出来れば良かったのだが。  
 それでも、小萌は上条とインデックスが一緒に暮らしていることを知っているワケだから――、さら  
には、インデックスが(上条の記憶に残る限りは)これまで体調を崩したことがないことも知っている  
だろうから、はっきりと言ってしまう方が上策なのかもしれない、と上条は思い直す。  
「実はインデックスが熱を出しちゃって。詳しいことはよく判りません。看病したいのです小萌先生」  
「それならそうと最初から………ん? まさか、上条ちゃ――」  
 
ぶつ。ぷーーーーーーーー。  
 
 上条が携帯を切ってしまった。無機質な電子音がスピーカーの奥から聞こえて、ここで名前を呼  
んでももう切れているから無駄、と小萌は携帯電話を耳から離した。  
 その携帯電話をじっ、と見つめる。  
(シスターちゃんが熱を出したと言うのは本当のことみたいですけど、上条ちゃんがどうしてあんな  
に焦って電話をしてくるのでしょう?)  
 月詠小萌の心中の疑問、というかなにか上条に対しての疑いめいたものは、アパートを出ても、  
朝礼、さらには職員周知が終わっても消えてはくれなかった。ぶつぶつと呟きながら、いつの間に  
やら自分の担当するクラスに辿り着く。  
 扉を開けると、数カ所に固まっていた生徒たちが慌てて自分の席へと帰って行った。  
 クラス委員の青髪ピアスが手を挙げて発言する。  
「せんせー、カミやんが来てへんのです。電話にも出えへんし、土御門も見てへんって言うとって」  
 上条が居ない、というその発言に返答しようとする。  
 しかし、考え事に集中力を奪われていたためだろうか。小萌の口から漏れたのは、用意していた、  
というか、おそらく上条が期待しているであろう、と自身考えていたものとは違うセリフだった。  
 
「ああ、上条ちゃんのことなら聞いているのですよー。シスターちゃんが訳ありで熱を出してしまった  
ので、看病するから休ませて…………あ、」  
 
 
 
 
 
 小萌が口を塞いだと同時に、ガタガタッ! と、派手に音を立てながら数人が立ち上がった。  
 
 
 
 
 
 
 誰もが上の空のまま、それでも時間が過ぎて放課後。  
 
「どういうことかきっちり説明して貰わないとね」  
 長い黒髪を額で二つに分けた少女が、頬を引き攣らせながら言った。言って、ドアの前にしゃが  
み込む、サングラスを掛けた男子生徒に命令口調で吐き捨てる。  
「鍵、無くしたときにこうやって開けたって言ってたわね? そのやり口はともかく、出来るって言うな  
ら早くしなさい」  
 続くのは、同じく長い黒髪の和風な雰囲気の少女。  
「小萌が。しっかり監視していないから」  
「ひ、姫神ちゃん? いきなり何を?」  
 背後に立ち尽くす青い髪の巨漢は、少女たちからは完全に置いてきぼりだ。何か言おうと手を挙  
げかけ、張り詰めた空気に出しかけた手を引っ込め、それを繰り返し、そしてため息をつく。  
 次の瞬間、カチャリと音がしてドアに張り付いていた男子生徒が振り返り、  
「開いた、んだにゃっ!!!!!」  
 喋ろうとして、ドアの前から慌てて飛び退いた。………蹴り退けられる前に。  
 
 
 
 
 
                     −*−  
 
 
「ちょっとはマシか? なんか、さっきよりしっかりした物食べれそうか?」  
 洗濯物を取り入れて、ベッドサイドに上条が歩み寄る。上条の声を聞いた少女は、声の主を見つ  
め返しながら、ベッドの上で半身を起こした。  
 その碧眼を微かに細めて呟く。  
「わたし、とうまにあげられて、よかった」  
「ね、熱、出てるのに、そ、そんなこと言ってる状況かよ……い、今は、早く熱、下がるようにしなきゃ」  
 頬が紅潮しているのは熱が出たせいなのか、それでもついさっきより赤い顔をしている気がする  
碧眼を潤ませた少女に、気恥ずかしさからか少しだけ乱暴に声が出る。しかしそれでも微笑むそ  
の表情を変えないインデックスに、慌てながら、絞り出すようにして言葉を継ぎ足した。  
「す、好きな女の子としたんだ、って、まだ、も、ものすごくドキドキしてる……。せ、責任、取らなきゃ  
な」  
 インデックスは額に添えられていた上条の手のひらを掴むと、それを頬に添えさせる。触れた手  
のひらで頬を包むように上条が少し手の力を抜くと、インデックスはそれが嬉しいのか心地よいの  
か、潤む碧色のその目を細めた。  
「……嬉しい、とうま……。大好きだよ、誰よりも、何よりも、本当に、大好き」  
 上条は、本当に幸せそうにそう言った少女を見つめ返す。  
「また、先に言われちまったじゃないか……。なんか、情けなくなってきたぞ」  
「これから、いっぱい、いっぱい言ってくれるんでしょ? それなら、いいかも」  
 上条の呟きに返答したインデックスはくす、と微笑むと、少し上向き加減に顔を上げて瞳を閉じた。  
「あ、あう……」  
 今日何度目の要求だろうか。何度目でも、二人きりでも、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。しかし、そうして求められることもまた、快感なのは何故だろう。  
 身体を折って、覆い被さるように少女の顔に自分の顔を近づける。自分も目を閉じた。  
 自分の唇が、インデックスの唇と触れあう。何とも言えず幸せな感触――――  
 
 を、堪能するのもつかの間。  
 
 
 鍵がかかっているはずの玄関ドアが、大きな音を立てて乱暴に開け放たれた。  
 
 
 
                                             ("you" belong to......."me"?)  
 

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