失う痛み Only_One  
 
 
「うっだー」  
ものすごい疲労感と脱力感に、上条当麻は溜め息をつく。  
結論から先に言ってしまえば、彼は不幸だった。  
何が不幸かって?  
全部だよ全部、all of things.  
どれくらい不幸だったかというと、  
 
朝:朝食を作り眠っていたインデックス(注:上条当麻宅の居候シスター。ここでは妹でないもの、黒い修道服を着ていないもの、禁書目録であ  
るもの、近代文化がわからないものを指す)を起こそうと思ったら寝ぼけたインデックス(注:上条当麻宅で飼育している(?)猛獣外国人偽名  
少女。ここでは噛み付くもの、大食らいのもの、鋭い歯を持っているものを指す)に襲撃される。  
登校途中〜:校則違反を承知で乗るつもりだった電車が故障で遅れ仕方なく徒歩で登校中に御坂美琴に出会って色々話してるうちに触れちゃいけ  
ない逆鱗に触れちゃって逃走兼登校しやっと学校に着いたー、と歓喜してたら実は遅刻でしたお説教です上条ちゃーん、ってことになっちゃった次第。  
昼:午前中の死闘をくぐり抜けやっと昼休みだよー、と伸びをして弁当を取ろうとカバンを漁ったらアッレーワタクシノオベントーハドコニイッ  
タノデセウ?という事態になり愛のお弁当提供イベントを求めても誰も一口もくれずに昼休み終了。  
 
午後〜:うわー空腹状態で午後の授業を乗り切るんですか体育とかあったら死亡確定ですよ?と落胆しながら授業予定  
表を見ると幸いにも体育はなくておっラッキー、とか思っていたが六時限目のLHRで大変嫌な予感がしたが案の定持久走大会に向けて特訓ですー、とか言いやがった嗚呼もう死んだわインデックス(注:上条当麻宅の純白碧眼のシスター。ここでは料理も何もできない非家庭的なものを指す)俺がいなくても元気でやってけよ、と死を覚悟したが何とか耐え抜き下校時に一時幽体離脱しても誰にも声を掛けてもらえなかったものの気力とど根性と精神力で動きコンビニで食料品を調達し魂の帰ってくる場所を確保して現在に至る。  
 
とまあ、こんな感じである。  
(あーもういやだ。不幸だー、とか言うのも飽きたし。っつーか不幸人生そのものにも飽きたし)  
テンションが下がりに下がった上条は、口から魂が出そうな雰囲気で今まで挙げてきたシスターの待つ学生寮に向かう。  
と、彼は何か思いついたように足を止めた。  
その視線の先には一件のコンビニがある。  
いや、コンビニだけなら無問題。  
問題はコンビニの中の雑誌コーナー辺りにいる、一人の少女だ。  
(えっ……?)  
肩まである茶髪、半袖の白いブラウスにサマーセーター、灰色のプリーツスカートという格好の少女。  
知人ならばその少女のことを御坂美琴と呼ぶだろう。  
しかし彼女の頭には、暗視(NV)ゴーグルが付いていた。  
(御坂妹?何でこんなとこに?)  
上条は腕を組んで首を傾げる。  
彼の知り得る限り、御坂妹は入院中であるはずだ。  
 
ここから病院までそう遠くないが、出歩いて大丈夫なんだろうか?  
と上条は考えたが、とりあえずそのコンビニに入ることにした。  
入店すると涼しい冷気が上条の体を包んだ。  
店内の人はそう多くなかった。  
上条は真っ直ぐ、御坂妹のいる窓際の雑誌コーナーに向かう。  
と、今気付いたが彼女は何かの雑誌を両手で広げ、立ち読みしていた。  
「おっす、久しぶり」  
上条が歩み寄りながら声を掛けると、御坂妹は首だけで振り向く。  
一瞬、その無表情な顔に笑みが浮かんだ。  
「お久しぶりです、とミサカは笑顔で挨拶を返します」  
すぐにまた無表情になり、小さく手を振る御坂妹に、上条は小さく笑う。  
「もう、出歩いて大丈夫なのか?お前身体の調整がどうとかで入院中じゃなかったっけ?」  
「はい、まだ調整は終わっていませんが担当医に外出許可を貰い、気分転換に読書をしていた次第です、とミサカは懇切丁寧に説明します」  
「……、(コンビニじゃなくてもいいのにな)」  
「はい?何か言いましたか?とミサカは確認します」  
「いや、何でも。っつーかお前読書とかするんだな、何読んでたんだ?」  
「学習装置(テスタメント)で入力されなかった情報を収集する為でもあります、とミサカは付け加えます。ちなみに読んでいたのはこれです、とミサカは雑誌を差し出します」  
御坂妹は両手で持っていた雑誌を見せる。  
どうも、学園都市の全体的な状況を載せている情報誌らしい。  
「……、こんなの読まなくても大画面(エキシビジョン)とかテレビがあると思う」  
「……、人の読む本にケチつけるような人間だったのですか、とミサカは深く溜め息をつきます」  
 
御坂妹は本当に、心底本当につまらなそうな深い溜め息をついた。  
何だか彼女の周囲の温度が二、三度下がったような錯覚がする。  
いつも無表情な御坂妹がこんなところを見せるなんて新鮮だなぁ、と思いながら上条は慌てて、  
「い、いや別にケチつけようと言った訳じゃありませんのことよただ俺の周りには非常識っつーかツッコミどころ満載な奴らが多い環  
境から分かるとおりつい無自覚に本心を暴露してしまう体質になってしまった訳であってそこまで何かがっかりしなくてもいいんじゃ  
ないかなと上条さんは考えているのですがそこの所御理解してください!」  
「無駄に長い説明では逆に分かりかねます、とミサカは呆れ顔で言います。というか、句切りのないあっさりし過ぎな言い方はどうか  
と思うのですが、とミサカは注」  
「あーっ!お前だって人の事言えねえじゃん!っつか周りの人々の視線が集まっているようなので一時退却!」  
コンビニ内の、店員さんを含む多数の人達の視線にようやく気付いた上条は、早歩きで店を出て行く。  
しかし、不幸は上条を見放さなかった。  
ガラス張りの自動ドアの向こうには、  
 
土御門元春と青髪ピアスのコンビがいた。  
 
「……」  
自動ドアが開く。  
彼らは既に、上条の存在に気付いていたようだった。  
「おう、カミやん。午後は大変だったにゃー、只今補給完了ってとこぜよ?」  
「いやー、食料補給なら学校の前のコンビニで間に合うはずやろ。……そやね、エロ本の立ち読みとちゃいますか?」  
明らかに他人事な二人の言葉に、上条は俯いて口の端を歪める。  
「……、野郎共?よく私の前に顔を出しましたね。昼休みにチミタチが何をやったか覚えていないのかな?」  
「弁当のことまだ根に持ってるのかにゃー?土御門さんも余裕がなかったんですたい。それと、カミやんを救おうとした勇気あるオンナノコの件はカミやんの為を思っての行動だぜい」  
 
「そうそう、カミやんはただでさえ大量のフラグを抱えてるんよ?ここらへんは僕らの親切な心遣いに感謝して貰わへんと」  
バブチン、と上条の額から愉快な音が炸裂した。  
ちなみに一日の工程表にそのイベントを載せなかったのは、ど忘れです、すみません。  
「ふ、ふふ。うふふぇへへぁはあはははブチコロス。チキュウジンフゼイガワタクシヲコケニシヤガッテユルサンゾォォォオオオオオオオオオオオオ!!」  
思考回路が完全にイカれた上条は、動物の咆哮に似た叫び声を放ち、犬歯をむき出しにして青髪ピアス達(エモノ)を睨みつける。  
というか、完全に獣。  
「おおお!?カミ、カミやんが宇宙の帝王にー!!」  
「こうなったカミやんは誰にも止められないぜい!逃げる打算をしとかなきゃにゃー!」  
何か言ってるようですが、音声波長が合わないので聞こえません。  
両腕をだらりとぶら下げ、襲撃せんとしたところで、  
「何をしているのですか、とミサカは質問します」  
御坂妹の声が聞こえてきた。  
その平淡な声に上条は頭を冷やす。  
「(ぷしゅー)……、ああ、ごめん忘れてた」  
「……、あなたの記憶力は鶏以下ですか、とミサカはツッコミを入れてみます」  
と、青髪ピアス達も御坂妹の存在に気付いた。  
「……っ!カミやんの彼女!?カミやん、フラグの成長スピード早過ぎだぜよ!」  
「……、いや、ちゃうな」  
は?と上条と土御門は青髪ピアスの方に向く。  
ついでに言うと、御坂妹は上条以外の人達にあまり興味を示していなかった。  
 
上条は青髪ピアスに聞く。  
「違うって、何が?」  
「ん?何がって、その子カミやんの彼女の妹か何かやろ?……、ハッ!まさかカミやん、姉妹セットで攻略しようとしてへんやろうな!?キサマァ、それだけは絶対に許さんぞっ!」  
上条と土御門は唖然とした。  
ちなみに御坂妹はボウ、と突っ立っている。  
「うん?何で分かんの、って顔やな。ハッ、あらゆる女性に対する包容力を持つ上で双子ちゃんを見分けるくらいわけないんですよ?」  
「っって何だその無駄スキルは!?超能力に目覚めずにそっちに目覚めてどうする!」  
「む、無駄スキルとは何や!それとこれは目覚めたんじゃなく元々持ってたんよ!」  
「能力名言い当ててやろうかにゃー。……ズバリ、百発百中(オリジナルプレイス)ってとこぜよ!」  
「っつか土御門も無駄なとこで頭回してんな!問題点そこじゃねえだろ!」  
「そのネーミング気に入った!いいねえ、百発百中」  
「何か納得してるし!」  
「……、何だかややこしい話をしているみたいですね、とミサカは中途半端なところから口を挟んでみます」  
「あーもう御坂妹!こいつらと付き合うと日が暮れちまう!」  
ぐぎゃあ!と上条は叫ぶと、御坂妹の手を掴んで猛ダッシュ。  
「逃げたぜい」  
「あ、て、カミやん!やっぱりその子をををををををを!!」  
青髪ピアスはムキになって腕をぶんぶんと振り回す。  
「なぁ、カミやんを追いかけな、奴ぁ絶対よからぬことを考え――――――、ってありゃ?」  
青髪ピアスは振り返ったが、そこに土御門の姿はなかった。  
「あっりゃー、帰っちまったか?しゃあない、僕一人でカミやん狩りを開始しますよおおおおおお!」  
そう言うと、青髪ピアスは猛スピードで上条が去った方へ走っていった。  
 
 
土御門は上条達がいたコンビニの隣の脇道にいた。  
コンクリートの壁に背を預け、電話をしている。  
その相手は、学園都市統括理事長、『人間』アレイスター。  
『君はまだ知らないだろうから、伝えておこう』  
「どうしたんだ。また何か問題でも発生したのか?」  
男にも女にも、大人にも子供にも、聖人にも囚人にも聞こえる声は、静かに告げる。  
 
『学園都市内に魔術師が侵入していた』  
 
その言葉に土御門はチッ、と舌打ちした。  
「まったく何処の馬鹿だ?平日にまで乗り込んでくるなんて気違いとしか思えない。それに今、『侵入していた』と言ったな。さっきまで気付けなかったわけか」  
言葉こそ冷静だが、土御門は内心絶句していた。  
無数の警備ロボットや監視カメラ、衛星からの目を全て逃れ、気付かれずに侵入をするなど並大抵の人間ができる芸当ではない。  
かなりやり手の魔術師なのだろう。  
『第七学区の病院付近の警備ロボットのカメラが発見した。そちらに画像を送るから、一旦通話を切れ』  
画像、というのはその侵入者のものだろう。  
土御門は言われたとおりに通話を切る。  
すると、二秒も経たない内に画像付きメールを受信した。  
彼はすぐさま画像の確認をする。  
そこに移っていたのは一人の少年だった。  
 
(こいつは……!?)  
土御門は魔術師の顔を見るなり驚愕した。  
すぐさまアレイスターにリダイヤルする。  
「アレイスター、よく聞け。奴には手を出すんじゃない。奴はどこぞの流れ魔術師ではないんだ、ここは俺が食い止める」  
『と、言うことはイギリス清教絡みか。実に愉快な仕事場だな』  
直接見なくても、電話の向こうでアレイスターが笑っているのが分かる。  
『念のため第二級警戒体制(コードオレンジ)を布いておいた。君は手を出さないでいてくれ』  
「何だと……?まさかまた上条当麻にぶつける気か!?奴は今まで学園都市に入ってきた魔術師とは次元が違うんだ!」  
『だからこそ、だろう。幻想殺しの少年の成長を促進するのに良い薬だ』  
「……、最悪、奴に殺されることも分かっているのか」  
『それは今までと一緒だろう?侵入方法から彼は無駄なことはしないようだ。こちら側の人間を殺したら面倒なことになるのは承知のはずだ』  
土御門は奥歯を噛み締める。  
「……、分かった。ここはお前を信じようか。ただし、やばくなったらすぐに行くからな」  
『君をこちらに呼び寄せるべきだったかな。まあ、いい。出来る限り手を出さないでおけ』  
ブツリ、と通話が途絶えた。  
ツー、ツー、という音が耳に入る。  
土御門は携帯を閉じてポケットにしまった。  
(カミやん、気をつけろよ)  
考えながら、上条達が走り去った方へ向く。  
(守りながら戦うのは、そう簡単じゃないぜい)  
 
 
上条と御坂妹は、狭い裏路地で一息ついていた。  
「ち、チクショー。青髪ピアスの野郎、執拗に追い回しやがって……。大丈夫か、御坂妹。なんか前、過激な運動は体に障るとか言ってたけど」  
未だに呼吸が荒い御坂妹は、  
「いえ、当時は体調が不健全だったこともあり、必要以上の運動が体に影響を与えたのです、とミサカは疑問に答えます。本日の体調はまだまだいい方ですし、さっきまでの運動はまだまだ許容範囲内です、とミサカは説明します」  
そうは言っているものの、どこか苦しそうに見える。  
「本当にゴメンな。調子悪かったら病院まで付き添うからさ、無理すんなよ」  
「御心配をお掛けしてすみません、とミサカは謝罪します」  
無表情でペコリと頭を下げる御坂妹。  
(うっ……、真面目に謝られると正直キツい)  
面食らった上条は慌てて言う。  
「そ、そんな謝ることはないだろ。逆にこっちが無理に走らせちまったんだから」  
「あなたに責任はありません。ミサカの体はミサカ自身が知っていますから、とミサカは――――――、ごふっ!」  
と、御坂妹は突然手で口を押さえて咳き込んだ。  
「お、おい御坂妹!大丈夫か!?」  
とっさに上条は彼女を抱えようとする。  
「だ、いじょうぶ、です。胸に違和感を覚えた途端に、咳が出てしまっただけです、とミサカは状況を説明します。心配には及びません」  
御坂妹は平然を保とうとしているみたいだが、表情には少し苦痛の色が浮かんでいた。  
「全然大丈夫そうには見えねえよ!やっぱ病院に戻った方がいい。おぶっていくから背中に――――――」  
 
「すまないが、君は病院まで付き添えないよ。上条当麻くん」  
 
と、不意に声が掛かってきた。  
「!?」  
上条は声のした方―――彼らが走ってきた方へ振り向く。  
そこには、二十代前半くらいの青年が立っていた。  
身長は上条より頭一つ分くらい高く、体型はどちらかというと細身だ。  
髪は濃い茶色で、瞳も同じ色だった。  
服装は紺色のジャケットの上に褐色のコートを羽織り、同色のジーンズを履いている。  
肩からは布で包まれた、棒のようなものが出ていた。  
上条が何か思う前に、その青年は優しい声で言う。  
「ああ、申し遅れたね。私の名前は宮本静武(みやもとしずたけ)、魔術師だ。所属部署までは言わなくていいね」  
その言葉に、上条はビクリと肩を震わせた。  
魔術師。  
ここにいるということは、おそらくインデックス絡みだろう。  
しかし、上条は同時に違和感を覚えた。  
宮本静武と名乗った魔術師は、今まで敵として会ってきた魔術師とは違う雰囲気を持っていた。  
攻撃的なものが何一つ無い。  
目的に躍起にならず、常に先を考えて行動する冷静さを含んでいるように見えた。  
上条は隣を見る。  
少し落ち着いた御坂妹が訝しげに宮本を見ていた。  
思考を巡らす上条に宮本は少し笑って、  
 
「先に言うとね、禁書目録(インデックス)さんを狙って来た訳じゃないよ。直接君に用があってきた」  
「……、俺に?」  
上条は眉を顰める。  
インデックス狙いでない事と、インデックスを『道具名』でなく名前で呼んだことの二つの意味でだ。  
「上からは二人とも、と言われたけどね。あの命令は受けられない」  
ふ、と宮本はつまらなさそうな短い溜め息を吐き、  
 
「とりあえず、いつも通り病院送りになって貰おうか。上条当麻」  
 
直後、宮本と上条との距離がゼロに縮まった。  
彼らの距離は十メートル程離れていたはずなのに。  
まるで瞬間移動のような速さで、上条の懐深くまで踏み込んでいた。  
身を低く屈め、拳を握り締めている。  
「……!?」  
上条は反射的に身構えるが、遅すぎた。  
ゴン!!という音と共に、彼の体が真後ろに吹っ飛ぶ。  
「ぐ……、ぁ……!」  
宮本の放った拳は、無防備な上条の胸板に直撃した。  
嫌な音が打撃を受けた部分から響く。  
そのまま無着地で五メートル程宙を飛び、地面を転がった。  
 
 
「……!」  
一瞬の出来事に動けなかった御坂妹だが、彼女は漸く迎撃態勢に入る。  
といっても、何か特別な予備動作をするわけではない。  
雷撃の槍はどこからでも放てる。  
パチンと、御坂妹の前髪から青白い火花が飛び散った。  
それを横目で見た宮本は、  
次の瞬間には彼女の真横にいた。  
「っ!や―――」  
―――、めろ!と、上条は慌てて叫ぼうとすたが、声が出ない。  
先の一撃で肺の中の空気が絞り出されてしまったのだ。  
ギョッとする御坂妹の頬に、宮本の岩のような拳が飛来した。  
「が……ぶ……!?」  
足が地面から離れ、彼女の体が竹とんぼのように回転する。  
「み、さかァああああああ!!」  
上条は震える腕と脚に力を込め、駆け出そうとするが、上体を起こすのが精一杯だった。  
御坂妹の体は地面に叩き付けられると真横に跳ね、コンクリートの壁に背中から激突する。  
「ぁぐ……っ!」  
ずるずると、地面に崩れ落ちて行く彼女の口の端から、赤い液体が垂れる。  
宮本はぐったりと手を投げ出して横たわる御坂妹を確認して、それから視線を上条へと移した。  
「……一応、加減はつもりだ。それにしても上条当麻くん、君もなかなかやるね。私は本気で君の肋骨の二本や三本は砕こうと思ってやったのに、とっさに後ろに動いてダメージを軽減するとは」  
 

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