「…んっ……ぅ…」  
日が暮れ、生徒達の部活も終わり、教師達もほとんどが帰宅し、ひっそりと佇校舎。  
「…ぁふ……んはぁ…」  
ほとんどの部屋の明かりは消え、職員室と宿直室に残っているのみである。  
「…っ……はぁん…」  
しかし、そんな真っ暗な教室の一つから、女性の艶っぽい声が微かに漏れている。  
「…っく……ひぁ……」  
そこでは月詠小萌が自らの秘部を机に擦り付け、一人痴態を働いていた。  
「…上条ちゃんが……、…っ……、わるいんですよー……」  
一人、自らの秘部を机に擦り付けるという変態的な行為に耽りながら呟く。  
そもそもここでこんなことをするつもりなど、欠けらもなかったのだ。あのとき、上条のことを思い出さなければ。  
 
 
 
ないしょの小萌  
 
 
 
教室に忘れ物をしていることに気が付いた小萌は、一人、暗い校舎の中を自分の教室に向かって進む。  
鍵を開け中に入り、教卓の上に目的の物を見付け、職員室へ戻ろうとしたとき、うっかり躓いてしまった。  
よろめき、しかし転ぶまいとして何歩かたたらを踏むが、バランスを取り戻せずに顔から机にぶつかってしまった。  
机にキスした小萌はぶつけた唇を押さえて立ち上がり、自らの唇を奪った机を睨み付け、そして気付く。  
そこは上条当麻の机だった。  
そういえば、今日の授業も机に突っ伏し寝ていたことを思い出す。  
明日はきちんと授業を受けさせるですーと意気込んだところで、先ほど自分机にぶつかってしまった時に間接キスをしていたことに気付いてしまった。  
息を呑み、徐々に頬を赤らめていく小萌。  
うわー上条ちゃんと間接キスですよーと体をくねらせて悶え、そのまま妄想の世界に引きずり込まれる。  
愛していると言ってもらって上条ちゃんと情熱的な大人のキスを交わす……そんな妄想に辿り着く。  
 
体が奥が熱い。  
本能が肉体の慰めを求める。  
小萌はその本能に逆らうことができずに、自らの小さな胸へと両の手を伸ばす。  
いつものピンクのワンピースの中、ほとんど役に立っていないブラの内側へと手を入れゆっくりと撫で回す。  
もちろん頭のなかでは上条の手によってやさしく愛撫されている様を想像して。  
最初はやさしく撫でるように。段々と動きを大きく、激しく。時折硬くなり始めた頂点を刺激して。  
「…ぁ…、…ふ…」  
小さな喘ぎが漏れる。  
下腹部が熱を帯び始め、じんじんと痺れる。  
右手を胸から大事なところへと伸ばしそっと触れる。  
「……はぁぅ……」  
心地よい快感。しかし、本能はさらなる快感を求める。  
小萌は目の前にある上条の机を見つめる。そこに上条がいればという考えが一瞬浮かぶが、即座に否定する。こんな格好を見せられるわけがない、と。  
その背徳的な考えは小萌の欲求をさらに大きくするだけであったが、一つの閃きを与えた。  
上条ちゃんの机に擦り付け気持ち良くなるというアイデアを。  
治まらない本能の求めのままに、自らの秘部を机の角に擦り付け快感を貪る。  
「…はぅん……、…っひぅ……」  
小さく漏れる声も既に気にならなくなってきている。「……上、条……、…ちゃぁん……」  
自らの本能に従い、秘部を上条の机に擦り付け痴態を演じ続ける小萌。  
秘所は濡れ、愛液を垂らし始めていた。  
小萌がひたすら快楽を貪っていると、廊下を近づいてくる足音が聞こえてきた。  
 
コツ、コツ、と廊下に響く足音。  
快楽に捕われていた小萌も足音が近づいてきていることに気付く。  
「…っはぁ…、…こんなところ…っ…、…誰かに見られ、たらぁ…、…大変なことになるですぅ……」  
大変なことになるのは判っているのだが、火照った肉体は言うことをきかない。ひたすら、自らの秘部に刺激を与えるべく腰を動かし続けている。  
コツ、コツ、コツ、コッ、この教室のドアの前で足音が止まる。  
通り過ぎてくれるのではないかという淡い期待は打ち破られ、さすがに見つかるわけにはいかないため、隠れられる場所を探す。  
前の教卓の下か、後ろの清掃用具入れの中。  
鍵穴に鍵が入る音。  
一瞬の逡巡。  
ドアのある前ではなく、後ろの清掃用具入れの方を選択。  
錠が廻りガチャンと音がする。  
肉体の疼きを堪えて机から離れ、清掃用具入れに向かうが、圧倒的に時間が足りない。  
鍵穴から鍵が抜かれ、ドアがガタンと音を立てる。  
一秒ほど間があり、もう一度ガタンと音を立て、再び鍵穴に鍵が入る音がする。  
小萌が鍵を開けていたため、外の人物は鍵を締めてしまっていたのだ。  
間に合わず、見つかってしまうことを覚悟していた小萌だったが、思わぬ幸運に感謝し、清掃用具入れに滑り込む。  
用具入れの扉と教室のドアが閉まるのはほぼ同時だった。  
教室の明かりが点けられる。  
いったい誰が入って来たのだろうかと丁度目の高さにある通気孔の隙間から覗く小萌。  
そこにいたのは、上条当麻であった。  
 
上条の姿を見、先程までの自分の痴態を思い出した小萌は用具入れの中で赤くなる。  
一方上条は、なんでこうやって何度も宿題を忘れるんだーッ! と一人で叫んでいる。  
忘れ物の宿題のプリントをとるためにだろう、上条は自らの机に向かう。先程まで小萌が自慰行為に使っていた机に。  
そう思った途端、再び小萌の肉体が疼き始める。  
熱がぶり返す。自然と右手が秘所へと延びる。  
小萌が自慰行為を始める時に置いてしまった出席簿に対して一瞬怪訝な表情を浮かべた上条だったが、目的の物を探して机の中を調べ始める。  
自分の生徒であり、想い人でもある上条の、目と鼻の先で隠れながらの自慰行為。  
今現在自分が清掃用具入れの中にいるという状況さえもが小萌を興奮させる要素となる。  
左手は胸の、硬く尖った頂点を弄り、右手は中指を濡れた花芯に突き立てる。  
快感に思わず漏れそうになる声を、唇を噛んで必死に押し止める。  
小萌は上条の姿を見ながら浅ましく快楽を貪る。愛液が溢れだす。  
上条はまだプリントを探している。小萌は初めて上条の不幸さに感謝した。  
中指一本では足りず、人差し指も加え二本指で膣中をかき回す。左手で乳首をつねり上げる。  
「……ッ! ……〜ッ!」  
指の動きが激しくなる。右手を出したり入れたり折り曲げたりかき回したり、快楽を貪る。  
そろそろ絶頂が近い。小萌はスパートをかける。  
左手を胸からクリトリスへと移し、触れる。  
「……ふぅッ! ……ぅん……、……ぁぁ……ッ!」  
押し殺した声が小さく漏れる。上条に聞かれないかとヒヤヒヤしながら、しかし手の動きを加速させる。  
そしてついに最後の瞬間が来る。  
目は上条の姿を離さぬまま、大きな快楽の波が訪れ、背を反らせながら小萌は昇天した。  
そのまま快楽の中で意識を手放してしまう寸前、上条がこちらを振り返ったような気がした。  
 
 
 
翌朝、小萌は清掃用具入れの中で目を覚ました。  
体中が痛い。こんなところで寝たのだから当たり前だが。  
ふと、教室が騒がしいことに気付く。痛む体に鞭を打って立ち上がり教室を覗くと既に生徒達は登校しているようだ。  
このままでは出ていくことが出来ない。小萌には冷や汗を流すことしか出来なかった。  
 

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