※闇黒系。上条さんと誰も結ばれません。オリキャラレイプ。  
※上条さんが原作崩壊。むしろ悪役。最後に一応言い訳がありますが・・・。  
※それでも良い方のみどうぞ。  
 
 
 
涙を啜る音がずるずると聞こえる。  
 
狂ったような笑みを浮かべる男が、一人そこで泣いていた。  
男の周りには闇がある。  
それは単純に男が暗闇――午前2時のガードレール下。しかも微妙な管理体制のスキマにあるという、余り真っ当では無い方々が集まる場所に身を置いているからである。  
男はレベル0。  
取り立てて頭も顔も運動神経も良くないが、悪すぎる程では無い。  
よく言えば、中流。悪く言えば、凡人。  
決して悪人とも言えない男が何故こんな深夜に学園都市のガードレール下なぞに身を潜めているのか?  
 
「へっ、へへ・・・」  
 
それは、男にとっての復讐の為だ。  
これは正しい復讐なんだ。アイツこそが、罰せられるべきなんだ。  
 
男の頭の中に浮かんでいるのは、ぐちゃぐちゃな感情と噴き出す様な涙、そして復讐だけである。  
パカパカと携帯を弄びながら、男は先日の事に――自分の心に深い深い傷を刻み込んだ男に瞳を滾らせていた。  
 
 
 
 
▼半年前/学園都市/裏路地  
 
 
 
 
「それじゃ、打ち合わせ通りにやるぞ、いいな?」  
「あ、ああ」  
 
男は、目の前で真剣に打ち合わせをしてくる友人に相槌を打った。  
彼らは――いや、男は、男にとって重大な使命を背負っていた。  
 
告白。  
 
男は一目惚れしたとある女性に、自分の思いを伝えようとしていたのだ。  
彼の胸は心臓の動悸で破裂寸前。いつも通りならば、もうすぐ彼女が此処を通る時間である。  
人目につかないこの場所は、名門高校に通うお嬢様に唯一告白なんてものが出来る場所だろう。  
 
――最初は男とて、告白なぞ考えてもいなかった。  
 
男の住む寮と彼女の住んでいる寮への最短ルートが偶然交差するその裏路地で、彼は彼女に一目惚れした。  
その事を友人についこぼしてしまったのが事の始まり。  
友人はいつも引っ込み思案な男を気遣い、『お前の告白をプロデュースしてやるよ!』と、彼女とたまにすれ違う事で満足していた男に告白をけしかけたのだ。  
それから一ヶ月。長いようで短い月日を男は友人との綿密な打ち合わせに費やし――今日、この日を迎えていた。  
 
『――来たっ!』  
 
友人と最後に『計画』の打ち合わせを終えた男は歓喜した。  
いつ見ても、やはり彼女は可愛いのだ。  
横では友人がそこまで美人、可愛いという人では無いなと言っていたが、自分にとって彼女は天使にも勝る人だった。  
 
「それじゃ、行ってくるからいいタイミングで駆けだして来いよ?」  
「お、おう。――悪い」  
「ははっ、成功したら卒業まで昼飯奢りで勘弁してやるよっ!」  
「ちょ、おまえ――!?」  
 
男は突然提示された条件に不満を漏らしながらも、口元が緩むのを抑えられなかった。  
友人が男に提案した『計画』――それはいわゆる『泣いた赤鬼』だった。  
友人が彼女を軽く脅し、そこに自分が駆けつけ、友人を追っ払う。  
そうしたら少なくとも彼女とこの道で交差するだけの人間から、知り合いに・・・あわよくば、こ、恋人にだってなれるかもしれない。  
 
友人を悪人にしてしまうのには気が引けていたが、  
『ちょっと絡むだけだし、それに俺はそんな人とこれから関わりなんて、ねーだろうしなー』  
と、最終的には逆に友人が男を気遣いだした事でこの『計画』は決行に決定したのだ。  
 
「――っおい姉ちゃん、何――してん――」  
 
少し離れた所から友人の声が聞こえてくる。  
すぐ出るとご都合主義すぎてばれるかもしれないから、心の中でゆっくり三分数えたら出てこいと友人に言われていた男は、深呼吸混じりに数字を数えだした。  
百八十、百七十九、百七十八、百七十七――・・・  
数えつつ、もう良いんじゃないかなと路地を覗き込んだ男は驚いて心臓が止まるかと思った。  
そこでは  
 
「てめぇ!女の子に何してやがる!!」  
 
自分が注意して退けるはずだった友人が、見知らぬ少年に殴り倒されていた。  
 
「・・・え?」  
 
脳味噌に理解が及ぶ前に殴り飛ばされた友人の身体が、まるで河に投げた小石の様にアスファルトの地面をバウンドしながらこちらへ吹き飛んできた。  
 
「う あ?」  
 
友人の顔面は恐らく鼻が――頬骨ももしかしたら折れてしまったのかもしれない。  
血をまき散らしながら死にかけの魚類の様にピクピクと痙攣している。  
 
「っ、仲間がいたのか!?」  
 
男が状況を理解しないままに、状況は収束する。  
数メートル離れた位置にいたはずの見知らぬ少年の拳が、既に鳩尾に食い込んでいたからだ。  
 
「――ぐっオ ァ」  
 
胃の中身が赤熱感を伴いながらぐるぐると喉を迫り上がってくる感覚。  
あくまで凡人の男にとって、その拳は重すぎた。壁を背にしていた事もあり、内臓へ拳がめり込む音が聞こえた。  
ぼとぼとぼとと言う口から漏れる音をどこか遠くへ感じる。  
意識が半分途切れた状態で、男は前のめりに自身の吐瀉物の海へと倒れ込んだ。  
――なんで、どうして、こんな。こと、――  
 
男の思考が途切れる寸前。  
 
「この人、いつもすれ違ってた人なんですけど・・・私の事をこんな風に狙ってたなんて――助けてくれて、ありがとうございます!」  
「はは、良いって良いって。それじゃ俺はもう行くな?これからは気をつけろよー」  
「あ、待ってください!貴方の、お名前は・・・」  
「当麻。上条、当麻だ」  
 
「――上条さん、かぁ。ふふ、今度機会があったらお茶でもしたいなぁ」  
 
 
 
 
 
「上条・・・とう、ま」  
男の意識に、その名前は刻み込まれた。  
 
 
 
 
 
▼現在/学園都市/ガードレール下  
 
 
 
 
あれ以来友人は流動食を啜っている。  
顎の骨がやられてしまったあとに受け持ってくれた医者が悪かったらしく、依然会話する事もできない。  
そして男はあの後一度だけあの道で彼女に出会ったのだが――  
 
『あ、あのこの前の事は――』  
『ご、誤解なんだよっ、本当は僕は君の事が――!』  
 
『近寄らないでください、風紀委員を呼びます』  
 
『――あ』  
『金輪際、私の側に近寄らないで』  
 
 
――以来、あの道に。男の前に彼女は、現れることはなかった。  
男は泣いて、罵って、喚いて、そして。  
 
壊れた。  
 
壊れた思考が導き出したのは、彼女を陥れることだった。  
それはひょっとしたら男がまだ、彼女を愛していたからだったのかもしれない。  
男が考えたのは彼女に『彼女の憧れる上条当麻』なんて『セイギノミカタ』が毎回来てくれる事なんてことは。  
そんな事なんてあり得ないと。知らしめたいという憎悪だった。  
 
それから彼は安全認可がとれてない『開発』も受け、自ら実験体となり一つの能力を得る。  
レベル3――水をある程度操れる能力。  
皮肉なことに、壊れてしまった脳味噌こそがパーソナルリアリティの発現に一役買ったこともあるのだろう。  
 
男は、その時最も欲しかった能力に近いモノを手に入れた。  
 
そしてそれから男は彼女を尾行し、つけ回し、知りたかった情報を突き止めた。  
あの時は名前も知らなかった彼女。  
その名前――『鈴川 綾』というらしい――も知り、身長体重スリーサイズ成績性格交友関係そして――彼女の秘密も、突き止めた。  
恐るべきはその執念か。  
男は彼女の秘密――彼女はかつて親に性的な虐待を受けていた事を掴んだのだ。  
 
そして今夜、彼女は此処にやってくる。  
男は携帯をパカパカと弄ぶ。  
バンクから得た情報をアドレスに乗せて送信したのはつい数時間前。  
曰く『これを友人達にばらされたくなかったら午前2時にガードレール下へ来い』との一文を添えて、だが。  
 
 
「――来ました」  
 
 
過去を反芻していると、暗闇に彼女の――綾の声が響き渡った。  
凛とした、懐かしい声。彼女の声を最後に聞いたのはあの拒絶の言葉だったが、その声だけで男の股間は熱くなり始めていた。  
 
――もう、いいだろう。  
 
男は先程までありとあらゆる事を考えていた。  
どうやって彼女の中の上条をおとしめるか。  
自分たちがあの日彼女が考えるほどの悪意を持っていなかったか分かって貰えるか――まあ今更だが、彼女にとってはそんなことなんて関係無いだろうな。  
理由はどうあれ襲われたのだ。当然である。  
 
だからもういい。  
もういいんだ。  
これからする事は悪意だけの行為で構わない。  
俺が弱いんだろう。俺が悪いんだろう。俺が駄目なんだろう。  
――俺が、悪なんだろう。  
 
 
でも、そんな場所にセイギノミカタは現れない。あんなものは偶然だ。それだけは、分からせる。  
都合の良い奇跡なんて存在しない。好きになった天使なんて居なかった。  
後味の悪い現実で、あんな過去は塗りつぶしてやる。  
 
 
「縛れ」  
 
 
俺の口から出た意志によって、あたりにばらまかれていた水が浮かび上がり、鞭となり縄となった。  
それは綾を縛り上げ、同時に彼女の口膣を埋めつくす。  
これで悲鳴は漏れないし、動けない。  
 
「俺の事、覚えてる?」  
 
綾は無言。  
当然答えなんて期待していないし、答えられたら困る。  
 
「覚えて無くてもいいし、覚えててもいいんだけど」  
 
ビリビリと彼女の制服を破り捨てる。  
縛り上げた水の隙間を縫って彼女の制服を脱がすのは面倒だからだ。  
 
「俺、昔君の事が好きだったんだ。だから――」  
 
恐怖に塗れた彼女の瞳が俺を映す。  
ああ、最高だ。やっぱり綾はオレノテンシダッタ――  
 
「――君を犯す、ね。そして、そのあと殺してあげるから」  
 
「―――!」  
 
声にならない綾の叫びが聞こえた気がするが、実際は荒々しい綾の鼻息がスハースハーと響くだけだ。  
息苦しいのはわかるけどもっと色っぽくして貰いたいなぁ。  
スカートを捲り上げて一気に彼女のパンツを脱がすと、そこには淡い黒の陰毛が彼女のピンク色の秘所を薄く飾っていた。  
くちゅりと言う音を聞きつつ手を当てると、生暖かい液体がプシャッと噴き出してきた。  
慌てて液体を操る能力でそれらを球体にして空中に浮かべる。  
やれやれ、失禁なんて汚いなぁ。  
まあ俺はあの時ゲロ吐いたんだけど。  
 
「あ、良いこと思いついた」  
 
俺は綾の口に詰まっている水の代わりに黄金色に透けるその球体を詰め込んだ。  
声にならない悲鳴もずっと聞いているとやっぱり只のBGMだ。  
 
「さて――」  
 
最初はクンニやらオモチャやらで遊んでからにしようと思っていたのだけれど、どうにも失禁を見てからテンションは下降の一途である。  
面倒くさいので俺は水流で綾の身体を人形の様に動かし、お尻をつき出す格好で宙に浮かせた。  
 
「面倒くさいから入れるねっと」  
 
ブチン、という感触が挿入した肉棒から感じられる。  
綾は性的な悪戯を親から受けて以来そういった関係は持ったことが無い。  
閲覧した情報にそう書いてあったから処女かどうかはその悪戯の内容によるなと思っていたのだが、どうやら綾の親は処女は奪っていなかったようだ。  
ポタポタと地面に落ちる破瓜の血を見つつ、痛みでギュウギュウに締め付ける綾の膣へ腰を打ち付ける。  
 
「――、―――、―!」  
 
綾の瞳から腰のリズムに合わせてボロボロと流れる涙を緩慢に眺めつつ、次は尻の穴に水流でも流し込んで腸内洗浄かなぁ、等と考えていると。  
 
「ん」  
「!」  
 
何時の間にやら俺は絶頂に達していたようだ。  
どくどくと綾の膣へ射精する。  
最後の一滴までびゅるり、と出した一物を俺は綾の膣から引き抜いた。  
綾の秘所からは血と精子がまざった薄ピンク色の液体がゴボリと漏れて落ちていく。  
 
――おかしい話だが、俺はなぜだか急速に自分の意識が冷めていくのを感じていた。  
なんだろうか、この虚無感は。  
 
俺は一体――。  
 
 
 
 
「お前、何やってるんだ!?」  
 
 
 
 
そこに彼の少年の声が響き渡ったとき、『僕』は一つの解を得た。  
そうだ、僕は何を勘違いしていたのだろうか。  
セイギノミカタなんていないなんて言いながらも、僕は期待していたのだ。  
 
「――やあ、ようこそ正義の味方さん」  
「お前、あの時の――?」  
 
他の誰でも無い、自分を救ってくれる正義の味方を。  
 
「あは、覚えてるんだ。なら今度こそ助けれるのかな?」  
 
自分を。ここで息絶え絶えに縛られている綾じゃなくて、自分を。  
 
「――助けられないよね。だって君は」  
 
綾の身辺を調べる過程でついでに調べたこと。彼の少年の正体――  
 
「正義の味方じゃ、なかったもんね。そんなのは僕の勘違いだった」  
 
学園都市の意味。  
裏で回る絡繰り。  
あるいは全ての一端にすぎなくてもソレを知ってしまった自分に言えるのは。  
 
「みんなピエロだった。道化だった。いや、ピエロになっていくのかな。泣いた赤鬼なんて意味もないほどに」  
 
きっとこの少年は僕の言ったことなんて分からないだろう。  
でもソレで良いのだろう。良いのだろうか。  
文字通り壊れた――度重なる無茶な開発で脳細胞の死滅が加速度的に進んでいる脳味噌だ。先程まで考えていたことすらわからなくなっていく。  
 
「ねえ上条当麻。上条当麻くん、上条当麻くん」  
 
だから最後に言いたいことを言おう。  
よく分からないけどこれが最後だ。  
友人への伝言でも頼むのか?  
いや、何でもいいだろう。どうせ僕はもう――  
 
「僕は君に――助けて、貰いたかった」  
 
――もう、死んでるんだから。  
 
 
 
 
▼一週間後/学園都市/病院  
 
 
 
 
俺こと上条当麻はあの日の事を思い出していた。  
学校に忘れた宿題を柄にもなく「よーしひさびさに勉強しちゃうぞー」と深夜に取りにひとっ走りしていた所。  
ショートカットの為のガードレール下で、半年ほど前に不良に絡まれていた女の子が強姦されているのを見つけたのだ。  
だが、助けに入った俺にその犯人――よく見れば、その絡んでいた不良の片割れが突如ぐるぐるとよく分からないことを喋り、死んでしまったのだ。  
 
勿論俺は何もしていなかったが、女の子のアフターケアの為にとアンチスキルやジャッジメントに度重なる『調査協力』を今日この日までしていたのだ。  
だが、あの犯人。  
勿論俺はアイツに何一つ同情なんてしていなかった。  
 
 
だが――  
 
 
「アイツ、泣いてた。よな」  
 
それだけが、上条にとっての気がかりだった。  
なにより目の前で人が死んだのだ。心が揺れないわけがなかった。  
 
「・・・あんた」  
「お前は、」  
 
病院のロビーであの女の子の退院を待っていた俺――アンチスキルからのお達しである――は、なんとあの不良のもう片割れに出会った。  
 
「久しぶり、っていう訳にもいかないな・・・アンチスキルと話したのか?」  
「ああ、そうだな――俺の知っている事は全部話したよ」  
「そうか・・・」  
「なあ、あんたにもできれば聞いておいて貰いたいんだ。アイツが――惣島と、俺のあの日の事を」  
 
「――ああ、わかった」  
 
 
 
 
そして全てを知った上条は、とある禁書目録の少女に出会うその日まで、『偽善使い』を名乗る事になる。  
それは今は忘れ去られた過去の記憶。  
だが、確実に現在を作る、過去の残骸。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
BADEND?  
 

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