深夜の学園都市。
まっとうに生きている昼型人間なら、とうに寝息を立てている時間帯。
ある煤けた一件のアパートでも、既に消灯は済んでいた。
ただし。灯りが無いことは、住人が寝ていることの証明にはならない。
「……っ、んっ」
暗闇に閉ざされた一室の、布団の上に蠢く二つの影。
淫らな水音が漏れるたび、仰向けに横たわる少女が僅かに身を震わせる。
「ふふっ、よく堪えますねー」
少女の腰にしがみつくような体勢の小さな女性が、彼女の肌を舐めていた舌を止めて、淫靡な唾液まみれの唇で笑う。
対して、寝転がった少女は息を荒げながら、憎らしげに腰の上の女性を睨み上げた。
「何の、つもり?」
少女には、今の状況のワケが全く分からない。
居候先の主であるこの女性に勧められるまま、いつものように食事を済ませ、軽く家事を手伝って眠ろうとした後。
『仕事』の疲れだろうと特に気に留めなかった体の重みが、他に言いようのない『体の痺れ』として体を蝕んでいたことに気付いた時には遅かった。
「何って……これはれっきとした教育なのですよ? いつも露出の激しい結標ちゃんへの、ね」
「食事に一服盛る人間に教えられたくは……いっ!?」
嫌みは、最後まで言い切れなかった。
またも小さな女性の小さな舌が蠢き、臍の穴に差し込むように舐めまわし始めたからだ。
全身に回りこんだ甘い毒は、少女の皮膚の感度を倍以上に過敏にしている。
これにまして、普段から敏感な箇所への集中責め。
(ふふ、結標ちゃんはオヘソが弱いんですねー?)
反応の機微から、早くもそれを正しく分析しているのは教師の性か。
修羅場をくぐり抜けてきた者であろうと、この過剰で的確な責めに己の鉄面皮をはがさずいられるわけがない。
「ちょっ………小萌、これっ、洒落に、なって、なっ……ひっ」
「ぺろ……だったら、どうしていつもオヘソを出してるんですかー? そんなに、誰かに舐めてもらいたかったですか? こんなふうに……」
「ちが、ふっ、うあっ!」
「本当、えっちでいけない子ですねー」