―上条視点―  
少し話を戻そう。  
御坂が脱衣所へ入ると、上条はゆっくり、深くソファーへともたれかかり、そのままこの横になる。  
今日一日、上条は朝の御坂の顔を見てから自分の気持ちに気づいていた。  
横になった状態で天井を見上げ、電球を見つめながら考える。  
(もう泣いてる顔は見たくないよな…。でも、インデックスは…。)  
逡巡。煮え切らない自分に少しイライラする。  
(だぁっ! インデックスが好きなのは俺じゃない、記憶を失う前の“上条当麻”なんだ。だから、今の俺は…。)  
再びの逡巡。  
(いいんだよな…。これで。)  
三度目の逡巡は無く上条は決心する。  
――これから先誰を一番に守るか。誰を泣かせないか。誰が大切か。  
よし、伝えよう。  
と起き上がり、浴室に行こうと足を踏み出す。  
ポチっと、テレビのスイッチがつく。  
どうやらリモコンを踏んだらしい。  
ふとテレビを見ると、今度は先ほどのゴールドフィンガーのイかせ講座。  
上条は自分が出せる最大の速度でスイッチを掴むとテレビの音量を消音ボタンを使って消す。  
幸い、御坂には聞こえてないらしく、浴室からは鼻歌が聞こえる。  
「あぶなかった。」  
テレビ画面に目を向けると、まだ講座が続いている。  
その画面にリモコンを向けながら操作をして、何とか普通の映像に切り替え、一息つく。  
音声も消音から普通に戻す。  
そこで目的を思い出し、浴室へ顔を向ける。  
そこには御坂が裸でこちらを見ながらポーズを少ずつ変えている。  
「みっみことさん!」  
小声で叫びながら、気づく。  
御坂にこちらが見えていないことを。  
上条は理由を考えながら、スイッチを探すため部屋をドタバタと駆け回る。  
アレでもない、コレでもないとあたふたしていると。  
「とうまー? 大丈夫?」  
「だっだいじょうぶですよ。カミジョーさんはだいじょーぶです。」  
いきなり浴室から聞こえてきた声に思わずドキッとする。  
事故とはいえ、コレがばれてるんじゃないかと。  
「? ならいいんだけど…。」  
と聞き、気づいてないとわかると、少し安心するが、御坂が出てくる前にどうにかしようとまた部屋の中をスイッチを探して歩き回る。  
 
一通り、探して。  
やはりコレだよな。  
とソファーに座りながら先ほど踏んだリモコンを手でいじる。  
「数打てばあたるもんよ。」  
いろいろと押していると、湯船に使ってる御坂が消え、ただの壁になる。  
ふぅ。と一息つく。  
その瞬間、浴室と脱衣所を仕切るドアが開く音がする。  
何事も無いことを装うため、テレビのほうを向いて、耳だけで様子を掴む。  
少しして、ガチャと扉が開く音とともに  
「あれ? 普通のも映るんだ。」  
御坂の声が聞こえてい来る。  
平静を装いながら。  
「おっおう、いろいろ、いっいじってたら映った。」  
決して御坂の方に顔を向けない。顔が赤いのがばれないようにテレビのほうだけ見る。  
それが功をそうしたのか、御坂は気がつかないまま。  
「そっか。あ、とうまもお風呂入るんでしょ?」  
と聞いてくる。  
ビクッと体を反応させ、必死に出てきた言葉が。  
「ソウデスネ、カミジョウサンモハイッテキマス。」  
となぜか片言な日本語。  
それがばれる前にっと全速力で脱衣所へと消えていく。  
「どうしたんだろ?」  
という声を背中に受けて。  
 
ふぅ。  
今日何度目のため息だろうか。  
上条は脱衣所で服を脱いで、それをいつもの要領で洗濯機へと無意識に放り込む。  
幸い、パンツだけは放り込むのをやめると、洗濯機をまわす。  
さて、と浴室へと入っていく。  
シャワーをとって体を流しながら考える。  
(ここって、さっきまで美琴が居たんだよな…。)  
鼓動が早くなるのを感じ、自分の一点に血が集まるのがわかる。  
 
――――諸事情により割愛。  
――――男の入浴シーンのどこが面白い。  
 
―元に戻る―  
少しして、出てきた上条はバスローブを着ていた。  
一つの決心をして出てきた上条を待っていたのは小さく寝息を立てる御坂だった。  
「…美琴さん?」  
その御坂に後ろから近づき、額へと手を乗っける。反応が無い。  
上条は次に前に回りこむと、御坂をお姫様抱っこで抱き上げる。  
少し不自然に御坂の顔が上条の胸に埋まるが、上条は気づかずにベッドに行く。  
ぽふ。と柔らかい音を立てて、御坂をふかふかのベッドに寝かせる。  
御坂は二度三度寝返りをうつと、上条のほうに向いた形でとまる。  
寝返りのせいで、御坂のバスローブの胸元は少しは抱け、上条に小さな胸の谷間を見せている。  
それに気づいた上条は少し見つめ、何かに気づいたかのように視線を外す。  
「いくら好きでも、流石に襲うのはな…。」  
上条はそういうと、御坂の顔に自分の顔を近づけ、額にキスをする。  
「…コレぐらいならいいだろ?」  
誰も聞いていない問いかけ。  
…のはずだった。  
「…意気地なし。」  
寝ているはずの御坂がこちらをさっきまでの同じ体制のまま見つめている。  
「…え? えぇぇぇぇ!!」  
上条は驚いて後ろに下がる。  
「いっいつから起きてたんですか?」  
「…頭に手を置かれたぐらいから。」  
御坂は少し頬を赤らめながら言う。  
「えーとじゃあ…さっきのは?」  
「さっきって?」  
御坂は更に顔を赤くしながら、聞き返す。  
「その…えっと。」  
「なに?」  
「…好きって言うのは聞いてたのか?」  
上条は御坂の目を見ながら言う。  
「…うん。」  
「あー…。なんでこうなるかな…不幸だ。」  
「っえ! なんでよ!」  
御坂は寝ている状態から起き上が、座る。その目は少し潤んでいて今にも泣きそうになっている。  
「わ、私はうれしかったのに…。ふっ不幸とか…いわないでよ…。やっと…わたしの、きっ気持ちがっ通じたとおもったのに…。」  
そういいながら、御坂は目から一つ二つ涙を流す。  
「わーっちっ違うんですよ美琴さん! 不本意な言い方だったからで…」  
「なっ何よいまさら…。べっっべつにいいわよ。」  
と流れてくる涙を御坂は拭う様子も無く言う。  
「ちゃんと聞いてくれ。」  
上条は小さく震えている御坂の肩をつかむと真面目な声を出しながら言う。  
「あー…。俺は、美琴が好きだ。この気持ちに今日気がついてな…。ごめんな…。だから泣かないでくれ。」  
そういいながら、右手で御坂の涙を拭う。  
「……ホント?」  
「あぁ! 上条さんが嘘言った事あるか?」  
「…だってあんたの周りには、お…女の子いっぱい居るし。」  
「アレは不可抗力というか偶然というか。ってか皆さんタダの知り合いですよ。」  
「…ホントでしょうね?」  
あふれてくる涙を今度は自分で拭いながら言う。  
「ホントです。」  
「じゃっっじゃあ、きっキスして。」  
と目を閉じて顎を上げる。  
上条は右手で一度頭をかくと、意を決したように再び御坂の肩に手を置き、唇を重ねる。  
そのとき御坂の肩が震えている事に気づきながら…。  
 
「ふ…んっ。」  
御坂の口から小さな声が漏れる。  
「ふぅ…。これで信じてもらえましたか?」  
上条はそう聞きながら肩から手を離す。  
「…まだ。」  
そう呟くと、御坂は離れていった手を掴み、引っ張る。  
いきなりのことに上条は抵抗もできず、御坂を押し倒す形でベッドに横たわる。  
「みっみことさん!?」  
「ホントなら…その…しっしてくれる、よね。」  
「…美琴さん? いったい何を?」  
「ばっばかっ。ここまで言ってもわからないの!?」  
御坂は顔を真っ赤にしながらいう。  
「…いいんだな?」  
上条は真剣なまなざしを御坂に向ける。  
「…うん。」  
それを聞いて上条は御坂のバスローブに手をかけ、ゆっくりと解く。  
完全にはだけたそれは服の意味をなさない。  
「ねぇ…、電気、消さない?」  
御坂は裸を見られて恥ずかしいのか、そういいながら頬を赤らめる。  
「…やだ、美琴のこともっと見たい。」  
そう言って上条は御坂の首筋にキスをする。  
「ふぁぁ…、やぁっ。」  
御坂のその声を聞きながら上条は少しずつ下へと下がっていく。  
 
少し下がると、小さな二つのふくらみにたどり着く。  
「硬くなってるな。」  
「っな、何いってん、んんっ。」  
御坂が言ってる途中で、上条は硬くなっているそれを口に含むと、甘噛みし、下で転がす。  
「んっ、だっだめ。」  
御坂が感じているのがわかった上条は、もう片方のそれを左手で遊び始める。  
「ダメだって、ば。んっ。」  
そういいながらも御坂の口から少しずつ喘ぎ声がもれ始める。  
御坂のあえぎ声がもれ始め、上条の右手がゆっくりと、御坂の大切な場所へと降りていく。  
たどり着いたそこは、すでに濡れており、受け入れる準備はできている。  
上条は一度御坂から離れると、自身のバスローブを脱いで裸になる。  
「あ…。」  
手と口が離れ、快楽がなくなったのを少し寂しそうな声で鳴く。  
「御坂、いいか?」  
上条はもう一度御坂に覆いかぶさると、大きくなったモノを御坂のそれへとあてがう。  
「ま、まって。わっ私、初めてだから…。」  
「わかった、優しくする。力抜けよ。」  
上条はそういうとゆっくりと腰を静めていく。  
ギチギチと御坂の中を広げながら上条のそれは中へと進入していく。  
少し行くと、強い抵抗にあう。  
「大丈夫か?」  
「んっ、あぁっ。だ、だいじょっぶだから。」  
必死に右手をかみながら声を抑える御坂のその言葉を聞いて、上条は頭をなでながら、腰を一気に沈める。  
「かっは…。」  
一番奥まで上条のそれが入る。  
「っく、きついな。」  
御坂はそれに答えることもなく、いくつかの涙を流しながら痛みに耐えている。  
「大丈夫か?」  
「う、うん。ゆっくり、うっうごいて。」  
「わかった。」  
ゆっくりと腰を前後に動かす。  
数回つくと、痛みよりも快楽が上回ったのか、御坂の口から再び喘ぎ声が漏れ始める。  
「ふぁぁ、っん、へっへんなっかんじぃ。」  
更に数回。  
御坂は声を抑えるのをやめて、喘ぎ始める。  
「いぃ、とうま、とうま。」  
上条の背中に手を回し、抱きつきながら喘ぐ。  
「美琴、締め付けすぎだっ。」  
「なにかっくるっくるぅ。」  
ギチギチだったそれを更に締め付け―イき、御坂は痙攣を起こしたかのように震える。  
「美琴、でるっ。」  
言うよりも先に上条のモノから白いものが御坂の中に注ぎ込まれる。  
御坂はイった拍子に気を失ったらしくそのまま小さく寝息を立てている。、上条がもぞもぞと動きながらモノを抜き取ると、そのまま御坂の横に寝転がる。  
「どうしたもんか…。」  
そう呟き、上条は御坂の体に手を回すと、抱きしめ、寝に入る。  
 
――翌朝  
「っん。」  
朝、御坂が目を覚ますと、目の前には上条の寝顔がアップであった。  
「っえ?」  
そのまま視線を下に向け、二人とも裸な事に気がつく。  
「…あ、そっか…。したんだ。」  
そう呟きながら顔を真っ赤にし、上条の寝顔に視線を向ける。  
上条は大事そうに御坂を抱きしめながら寝息をたてており、時折指をもぞもぞと動かす。  
まるで、御坂が腕の中に居ることを確認するためのように。  
「とうま。」  
そう言って、御坂は上条の胸元に顔を埋めると二度寝をはじめる。  
 
このあと、上条が何を買ったかは皆の想像にお任せしよう。  
ただ、数週間後の新学期で土御門と青髪ピアスに上条が左手の薬指に指輪を着けている事でからかわれ、御坂はルームメイトの白井黒子から同じく左手の薬指の指輪で質問攻めにされるのはまた別のお話。  
 

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