上条当麻は呻き声をあげた。
先程買い物に行き、そのレシートを見ているのだ。
「あぁ、また数字が偉い事に……」
と、切ない溜息をついた。
「おー上条当麻、どーしたんだぁ、不景気そうな顔してー」
舞夏だった。当麻はどんよりした空気を纏いながら言う。
「よぉ…、そう、じゃなくて本当に不景気なんですよ……、上条さんは……」
その後、当麻は同居人がエンゲル係数を著しく上げていることを語った。
そんな当麻に舞夏は安くて手軽に出来るレシピを教えた。
「いやー、実に耳おりな情報だった、上条さんは明日への希望が持てそうです」
「大したことしてないけどなー、じゃあ私は買い物あるから、またなー」
「おう、ありがとな」
買い物に行く舞夏を見送る、きっと勇者を見送る村人はこんな気持ちだったんだなぁ
と、舞夏の後姿がとても頼もしく見えた当麻だった。
「妹かぁ、あんな妹いたらいいよなぁ……」
楽できそうで、と当麻は頭の中で付け加える。
当麻が呟いた瞬間、当麻の気付かない所で、ザッと四つの影が動いたのだった。
「ただいま~」
「おなかすいたー」
「そこは、おかえりーだろっ!どう考えてもっ!」
突っ込みを入れる当麻。
「目が回ってきたんだよぉ……」
インデックスは床に寝そべりながら言った。
「はぁ…、あれ?五和はどこ『ピンポーン』、ってなんだ?」
突然のチャイムに頭を掻きつつ玄関に向かう当麻。するとそこには――
「お、おにいちゃん、た、ただいまです……」
顔を真っ赤にした五和がメイド服で立っていた。
「―――――」
当麻はあまりの衝撃に真っ白になった。そこに――
「か、かみじょっ、い、いえ、ぉ、ぉお、おにいちゃんっあそびにきたよっ!」
五和の後ろからものすごい勢いでやって来た神裂火織が、俯いたまま一息に言い切った。
よく見れば神裂は、何時ぞやの堕天使エロメイド姿であった。
「ひぃっ―――」
当麻は、ミーシャとも風斬とも違う、第三の天使に怯えた。そこに――
「お兄様?如何したのですか?とミサカはさり気なく妹ぶりをアピールします」
御坂妹が立っていた。そして、両手で当麻の手を握っている。
「……妹ぶりというか、お前『妹』だろ、ってお兄様!?」
当麻は驚愕した。そこに――
「ぉ、ぉ、お、おに、おにいちゃんっ!わた「「御使堕し!!」」――ふぇ?」
御坂美琴だ。美琴が言い終わる前に当麻と神裂が遮った。
「クソっ!なんてこった!!御坂が大変なことにっ!!神裂!!」
「――はい、はい、わかりました――。上条当麻、どうやら『御使堕し』は確認されていないようです」
携帯をしまいながら言う神裂。
「なに?するとコイツは乙姫じゃなくて御坂なのか?」
「ええ、そのようです。……しかし、上条当麻、その乙姫と言うのは誰ですか?」
と当麻の口から乙姫の名前が出た途端、神裂の目が鋭くなった。
「誰って言うか、お前知ってん「私も是非聞きたいです!」い、五和?」
当麻は慌てて答えようとするが、五和がそれを遮った。さらに、
「ミサカも説明を求めます、とミサカはあなたを睨みます」
すると――
「あ~ん~た~ねぇぇえっ!なんで誰かと間違えられた私をスルーしてんよっ!!」
バチバチする美琴、当麻はそれを右手で打ち消しなが叫ぶ。
「お、おい!ちょっと待て!待ってください!!」
そして当麻の背後に、
「とうま、なにしてるの……?」
黒いオーラを纏った純白のシスターがいた。
「いつもの不幸なのか!?不幸なんだな!?」
ヤケクソにそう叫ぶ当麻。
「やっぱり!今日もとうまがとうまなんだよっ!!」
と、インデックスは当麻の頭に襲い掛かった。
「不幸だぁあああああっ!!」
今日も、学園都市にいつもの悲鳴があがったのだった。
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