「あぁ……ッ!!」  
美琴は出掛かった悲鳴を必死に押し止める。  
指とは違い、彼女の秘壺に挿入ってきた上条の肉茎は快感と同時に痛みも撃ち付けてきた。  
みちり、みちりと、彼が腰を進める度に鈍痛が走る。  
気を抜けば意思に関係なく声を上げそうだった。  
「……、大丈夫か?」  
痛みに耐える美琴の顔を上条は心配そうに覗き込む。  
だが、美琴はそんな彼の言葉と表情が気に食わなかった。  
如何にも『止める』と言ってきそうな。  
美琴の身を案じて『止める』と言ってきそうな、そんな表情が気に食わなかった。  
「……ッ、平気、よ。だから、絶対に、止めないで……」  
そう言うと、彼女は上条の顔を引き寄せて触れるだけのキスをした。  
彼が抱いている戸惑い(げんそう)を殺す為に。  
案の定、上条は一瞬翳りのある表情を浮かべたものの、  
「……、分かった」  
と返事をしてくれた。  
「痛いのは同じだろうから、一気に入れるぞ」  
再び美琴の腰をしっかりと抱えると、彼は美琴に話し掛ける。  
言葉の意味を悟った彼女は多少力を抜き、返答する。  
「……、ぅん」  
それを確認すると上条は下腹部に力を込め、一気に突き入れた。  
「う、ぁあ――――――ッ!?」  
ぶちぶちぶち、と美琴の体内を鈍痛が駆け巡った直後、喉元で押さえ付けていた喘ぎ声が漏れる。  
しかし、その痛みも暫く経つと、それをすっかり忘れるくらいの快楽に呑まれていった。  
上条の陰茎が子宮口に届いたからだ。  
それでもまだ、彼のソレは完全に埋まり切っていない。  
「く、ぅ……。おっ、きい、わぁ……」  
美琴は息を吐くように、膣を押し広げる欲塊の感想を告げる。  
対して上条も深く息を吐きながら、  
「ああ……。御坂の中も、気持ちいいぜ……」  
 
「……、御坂、じゃあ」  
「あん、どうした?」  
「う、ううん。何でも、ないわ……。動かして、よ」  
彼女は目をごしごしと擦りながら言った。  
あまり深く言及する必要はないと思った上条は、言われたとおり前後のストロークを開始した。  
ずちゅ、ずちゅっと、腰を動かす度に淫猥な水音が響く。  
「やぁっ、はぅん、ひゃあっ!?」  
押し込む度に先端が子宮口に当たるので、美琴は早くも高みに昇っていく。  
それに合わせて膣壁の動きも激しさを増していく。  
「……くっ」  
上条の方も油断できない状態だった。  
先程美琴を愛撫した時に彼の性感度は存分に高まっていたので、その刺激でも十分に引き上げられてしまう。  
下手に力を抜けば一気に崩壊までいってしまうだろう。  
(うっ……、ヤバ。そろそろ……)  
限界を感じ取った彼は最後の一撃とばかりに、強めに美琴の奥に叩き込んで引き抜こうとした、が。  
がしっ!と、彼女の脚と腕が上条の動きを止めた。  
「い、なっ!?」  
ぐらりと、反動で彼は美琴にもたれかかる。  
その拍子に上条の肉棒は完全に挿入り、先端が子宮口を突破してしまった。  
「あ、ぁあああああああああ――――――ッ!!」  
彼女の全身が強張る。  
秘壺が急激に締まる。  
「く、ぁ……っ!?」  
上条もついに限界点を迎えた。  
堤防が崩壊しかける。  
と、次の瞬間。  
パチン、と美琴の膣内に電気が流れた。  
(……ッ!!)  
当然それは挿入されていた彼のペニスにも襲い掛かる。  
その刺激で上条の蓋は跡形も無く崩れ落ちた。  
 
その電流が彼女の電撃である事は後で気付いた事だったが。  
ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクン、ドクン……と、白濁した欲情の結晶体が美琴の胎内になみなみと注がれる。  
「ぐ……。はぁ、ハァ……っ!」  
「……、」  
上条は射精後の疲労感で荒い息を吐く。  
対して美琴は目を閉じて静かに、ゆっくりと胸を上下させていた。  
まぁ、無理もないだろう、と彼はぼんやりと考える。  
何せ初体験で二回もイッたのだ。  
いくら学園都市の超能力者(レベル5)と言えど、体の方は発達途中の中学生である。  
かく言う上条も初めてだったのだが、彼は高校生でしかも記憶喪失だ。  
七月以前の記憶が全く無いので、目の前の少女が実の初めての相手とは限らない。  
居候のインデックス辺りが怪しいが、今の自分に染み付いていた性格とインデックスとの日常行動を考える限り、おそらく前の上条当麻は彼女には手を出していないだろう。  
インデックスでないとしても、自分の周囲にはそういう関係の人間は見当たらなかった。  
(……ま、そんなに気にしてもしょうがないか。“今の俺には”関係ない(?)事だし)  
前向きに思考を中断した上条は上体を起こし、結合部から若干力抜けした己の海綿体を引き抜く。  
ずぶり、と。  
粘り気のある音を立ててお互いの性器が離れた。  
「ん……」  
裂華を押し広げる感覚がなくなったのに気付き、美琴は薄らと目を開ける。  
見れば、上条は下ろしていた下着と制服のズボンを引き上げ、衣服に汚れがないか確認しているようだった。  
やがて彼は美琴の視線に気付き、  
「あー、まだ寝ててもいいぞ。相当疲れてるだろうし、何なら学生寮まで送っていくからさ。……そういや、白井には何つっとけばいいんだろ?」  
「……、大丈夫、よ。そんなに、疲れてないから。黒子には、私から説明しておくわ」  
微妙に途切れながら言い、彼女はむくりと上体を起こす。  
と、美琴は突然ピタリと動きを止めると、高速で衣服を装着していった。  
時々辺りをちらちらと見ている所から、偶々ここを通り掛った人に裸体を目撃されるのを避けたいようだ。  
「は、はい。これ」  
約一五秒で着衣を終えた美琴は上条にYシャツを渡す。  
彼はそれを受け取り、  
「……………………………………………………………………………………………………、うわー」  
思わず声が出た。  
美琴の下に敷かれていたYシャツは、ぐっしょりと濡れていたのだ。  
今までの性行為で彼女から分泌された、汗やら涙やら涎やら血液やらその他様々な液体が染み込んだソレは、独特な異臭を漂わせている。  
流石にこれを着て帰り道を歩くのはマズいだろう。  
しかし、かと言ってこれを収納できるカバンなどを持ち合わせている訳でもない。  
結局上条は、いつもの展開に向かう事になった。  
「くぁー、不幸だ……」  
思いっ切り項垂れる彼は、当然美琴がぐしょぐしょになったYシャツに気付いた時、高速で顔を反らした事には気付いていない。  
 
 
時刻は二二時〇〇分。  
昼間と比べ、人がかなり少なくなった表通りを、上条当麻と御坂美琴は並んで歩いていた。  
Yシャツはたまたま見つけた清掃ロボットに処分させておいたので、おそらくバレるような事は無いだろう。  
Tシャツに制服のズボンという格好は違和感ないのか、周囲の人達の視線が上条に集中する事はなかった。  
「――――――それで、アンタ今度の土日って空いてるの?」  
「あん?別に暇だけど」  
「じゃさ、どっちかの日に、でっ、デートでも……する?」  
「……あ、ああ。別にいいぞ」  
普段とは違い、あまり騒がずに二人は話し合う。  
周囲の喧騒が、やけに大きく聞こえる。  
「じゃあ、日曜日で。場所はそこのデパートの前。時間は……、朝の九時ごろでいいわよね。もし予定の変更とかあったら、さっき教えた私の携帯の電話番号に掛けなさいよ」  
「分かった、日曜の九時な。特に持ってくもんとかないよな?」  
「んー。まぁ、無いわね。……あ、」  
と、美琴は何かを思い出したように上条の方に向いて、  
「そういえばさ、私アンタんちって行った事あるっけ?」  
「……、無いけど。何、もしかして、その日、来るのか……?」  
「何よその嫌そうな顔。べ、別にいいじゃない、アンタだって私の家にあがったんでしょ?黒子が居たとはいえ、あそこは元々私の部屋だし」  
頬を若干赤らめながら言う美琴に、上条は愕然とする。  
現在、上条宅ではインデックスが居候中である。  
そんな事が彼女に知れたら、確実に道を踏み外す。  
仮に嘘をついたとしても、何かしら不幸な弊害があってバレるに決まっている。  
そんな展開(オチ)は見切っている。  
いや、よくない、と彼は言おうとしたがここは敢えて、  
「あー、悪ぃ。その日は午後から寮監が部屋の点検しに来るからさ。水道管とかガス管とか電線とか全部済ませるには大体半日くらいかかるんじゃないかなー。その間は隣の人の部屋に避難って事になるから多分俺んちは無理かも」  
「それって業者の方が得意じゃないの?……ま、無理ならしょうがないんだけど」  
美琴は若干疑いの目を向けてきたが、どうやらこれ以上言及するつもりはないらしい。  
よかったー、と上条は心の中で胸を撫で下ろした、が。  
「じゃあ、土曜日ならどう?どうせ二日とも空いてんでしょ」  
 
笑顔と共に衝撃のセカンドブレイク。  
何でそうなるー!と心の中で頭を抱える純情不幸少年上条当麻。  
(ちくしょう、こうなったら玉砕覚悟でインデックスに外出してもらうしかない。もう噛み付かれるのなんて慣れっこですから!痛くなんかないですからー!!)  
彼は密かに御坂美琴>インデックスの不等式を脳内で組み上げた。  
こういう無駄な時だけ打算を働かせている所から、流石は無能力(レベル0)といったところか。  
「???何泣きそうな顔してんの?」  
美琴は下から上条の顔を覗き込む。  
当然、彼女には彼の置かれている環境の不便さなど知る由も無い。  
「あっ、そろそろ別れ道ね。……じゃ、また土曜日」  
上条の苦悩などお構いなしに、美琴はそう言うと手を振って立ち去ろうとする。  
上条は戦慄の未来予想図を脳内から取っ払い、彼女を見送ろうとして、  
「――――――、いや。寮前まで送ってくよ」  
彼女に聞こえるように大声で告げると、『え?』と立ち止まり、振り返った美琴の許へと歩いて行った。  
 
「……、それで。付いて来て何がしたい訳?アンタ」  
「……、いやですね。やっぱ彼氏となれば家まで送ってくのが礼儀かなー、と思った訳でございまして」  
表通りを抜け、人気の無くなった道を上条当麻と御坂美琴は歩く。  
周囲には多少明かりの点いている学生寮や風力発電のプロペラしかなく、二人の声だけが清閑な宵闇に響いている。  
「そ、そうなの。へえ、アンタも気が利くようになったじゃない。……(か、かれし……)」  
「あ?何か言ったか?」  
「いっ、いや何でもない!別に何も言ってないわよ!」  
「痛ってぇ!何でいきなり殴ってくんだよ!?しかもビリビリ入りで!!」  
「別にいいじゃない、どうせノーダメージなんだし」  
「いや痛ってぇっつったじゃんあとそれ右手のみ能力限定!その他の場所の能力攻撃及び打撃は許容量超過する事もありますので用法用量守って正しくお使い下さい!!」  
ぎゃあぎゃあと、いつもの如く騒ぎながら彼らは夜道を歩いていった。  
この音量だと結構周りに迷惑だったりするのだが、今の二人はそこまで頭が回っていない。  
「はいはい分かりました、謝ればいいんでしょ。ごっめんなさ〜い♪」  
「くっ、コイツ全然反省してねえ。態度がもう既に不貞腐れてやがる!それに今の一撃で上条さんの額は少々熱を帯びてジンジンなんですよ!?そういえば股間にも電撃喰らったし!!」  
「そんなに元気なら無問題無問題。大体アンタも人の事言える立場な訳?拒否らなかったとは言え、一方的に私を……、だっ、抱いて、くれちゃってさ……。中にも、出されたし……」  
………………………………………………………………………………………………、ん?  
途中からぽそぽそと言っていたので聞こえ辛かったが、上条は最後の部分に妙な違和感を感じ取った。  
「何だって?最後の方、何て言った?」  
「……、いじわる」  
「い、いや変な風に受け取らないで下さいまし!ただ単に不確定要素に違和感を覚えただけであってだから原因の解明にご協力して下さい!」  
ズシャーッ!!と本気で土下座モードに移行する上条。  
そこまでして聞きたいのだろうか、と美琴は疑問に思いながらも、顔を真っ赤にして俯くと、  
 
「……な、中に……アンタのを…………出された、って……」  
 
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!」  
直後、ゴスッゴスッ!と土下座状態のまま上条はアスファルトの道路に頭を打ち付けた。  
「!? ど、どうしたの、アン」  
「本っっっ当に申し訳ありませんでした愚かなるワタクシ上条当麻の愚かなる行為によってあなた様にご迷惑をお掛けしてしまって手術代及び慰謝料などは  
責任持って払わさせて頂きますのでどうか殺生だけはご勘弁をってかどうして今までその事に対して一度も謝罪しなかったんだああああああ!!」  
 

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