〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  
 
 
 その後、無事、吹寄の魔の手を逃れて『お内裏様セット』に着替えた上条は、  
 
「あっはっはっは、か、上条当、ぶほっ! あははははははは」  
「くっ。キミ。それ。反。そ。くぅ……」  
 と姫神と吹寄に散々笑われた。  
 
 上条は内心、衣装を脱ぎ捨ててこの場から逃げたかったが、それでは姫神との約束――上条は姫神だけコスプレさせるつもりだったのだが――を破る事になってしまう。それに、  
(ここを逃げおうせたとしても、むしろその後の方が怖い)  
 のだそうだ。  
 そんな半ば諦め気分な上条に、吹寄は涙を拭いながら、  
 
「――あはは、ふぅー、危うく笑いこ、ふふふ、もぉー、いいから貴様はプリクラ撮りに行きなさいよ」  
 と吹寄は笑いを堪えながら上条の背中を押した。  
 背中を押された上条の方も、  
「何だよ、散々笑っておいて……。判った、判ったから押すなって!」  
 いやいやながら『撮影室』と書かれた扉を開けて中に入っていった。  
 それを追うように姫神も後に続く。  
 そんな姫神に向かって吹寄は親指を立ててウインクして見せるた。  
 すると姫神もちょっと口の端を持ち上げ、親指を立てて合図を送ると、扉の中に消えていった。  
 
 
 姫神は中に入ってまず感じたのは、  
「広い」  
 と言う事だった。  
 内装は全てが青一色に統一されていて、光源は何処にあるのか、部屋全体が明るく足元に影が出来ないのだ。  
 中に入ってきてキョトンとしている姫神を見て上条は、  
 
「ああ、このタイプは全身も撮れる様に出来てるんだ。カメラの方も色んな角度から取れるようになってる。そっちがカメラと」  
 と天井から出ているクレーンのようなものを指差した。  
 確かに上条が言うように、その先にカメラのようなものと液晶画面がセットになって付いている。  
 
「今スイッチ入れた。カメラの横、俺たちが写ってるだろ? あれで確認するんだ。で、このリモコンを使って――」  
 上条がそう言いながら手に下リモコンを操作すると、カメラの付いたアームがぐいっと動き出し、天井から丁度目の高さ辺りまで降りてきた。  
 
「――こんな感じに調節する。ヨシ、姫神ちょっとこっち寄って」  
 上条に呼ばれて姫神は、訳も判らず上条の側に行く。  
 すると、ひょいと手を引かれて、上条とくっつくような感じの立ち位置になる。  
 上条が近いので照れたのか、姫神は頬を少し赤く染める。  
 そんな姫神をちらりと見た上条は、今度はカメラの方を指差して、  
 
「カメラ見て、撮るぞ……、カウント出るから、3、2……」  
 
 液晶画面に、『1』の文字。そして、次の瞬間、「カシャ」っと電子音で再現されたシャッター音がして液晶画面に、緊張した姫神と、ちょっとカッコウ付けた上条の全身が映し出される。  
 
「ほら、撮れたぞ姫神」  
「わぁ」  
 上条はリモコンを操作して自分達の方に液晶画面を引き寄せてみせる。  
 姫神は、目の前に写った自分と上条の姿を確かめるように手を伸ばして触れてみた。  
 確かに存在する上条と自分の写真に、姫神の心は幸せに埋め尽くされる。  
 
「こんな感じで何枚か撮って後で好きなヤツを選ぶんだ。だから、ほら、折角だからいっぱい撮ってみようぜ」  
「ええ」  
 姫神が、珍しく顔をほころばせるのを見て、上条は、今日初めて姫神をここに連れて来て良かったと実感した。  
 
 それから上条と姫神は色々なプリクラ用の写真を撮った。  
 例えばそれは、上条と姫神の2ショットだったり、姫神1人だったり、何故か上条も1人で写真に写ったモノもあった。  
 その間の姫神は本当に楽しそうだったし、連れて来た上条もその姿に満足感を覚えていた。  
 結局10分ちょっとで結構な枚数を撮影した所で上条が、  
 
「さってと、もういいかな? じゃ、次はプリクラにする写し――」  
 と言いながら壁際に移動しようとした。すると背後から姫神が「待って」と呼びかけてきた。  
 背を向けていた上条は「え?」と言いながら振り返ると、そこには先程とは打って変わって真剣な表情の姫神が居た。  
 上条は、先程とがらりと雰囲気の変わった姫神に声を掛けることが出来ず黙ったまま姫神を見つめた。  
 すると姫神は、  
 
「ちょっと待って。後。一枚だけ」  
 と言うと、姫神は帯を解いた。  
 その動作に上条は何が起こるのか判らず  
 
「はぁ?」  
 と間抜けな顔で姫神のしている事をただ眺めた。  
 その間も姫神は、躊躇することなくコスプレの十二単を脱いでゆく。  
 元々、脱ぎ着しやすいように作られていたのだろうそれは、あっと言う間に姫神の足元にうず高く積まれて行き、  
 
「はぁぁぁああああああああああ!!?」  
 
 上条が素っ頓狂な叫び声を上げたのも無理は無い。  
 そこには、その身に十字架のみをまとった姫神が立っているのだから。  
 
「ど。どう。かな?」  
 何処も隠すことなく、ただ恥ずかしそうに頬を染めてはにかむ姫神の問い掛けに、上条は言葉も出ない。  
 白く輝く裸体は、光を浴びてなお白く輝き、一種の神々しさを持って上条を魅了する。  
 そんな上条に、姫神は一歩ずつ近づきながら、  
 
「ちょっと。話を聞いて欲しい」  
 そう話しながら、近づいてくる姫神を、ただ見守っていた筈の上条の背中が何かにぶつかった。  
「え?」  
 ちらっと振り返ったそこには壁が。  
 そう、上条はいつの間にか姫神から遠ざかる様に後ずさっていたのだった。  
 そんな上条の襟元が、かすかにだがぐいっと引っ張られた。  
 壁から目を離して向き直った上条は、  
「ふえ? ぇぇぇえええええ!?」  
 目の前で自分の襟を掴む全裸の姫神の姿に叫び声を上げた。  
 そんな上条のだらしない姿を見ても、姫神は相変わらず夢見る乙女だ。  
 その姫神が、  
 
「私が居た場所を覚えてる? 三沢塾」  
 
 と言った途端、上条の表情に変化が現れる。  
 それまでの間抜け顔から、それは、苦悩だとか、憂いだとか、兎に角良いイメージは抱いていない事は判る。  
 しかし、上条のそんな顔を見ても、姫神の表情は崩れなかった。  
 姫神はさらに「私ね。あそこで何をしていたと思う?」とまるで夢見るように上条に囁きかける。  
 そんな姫神の言葉は止まらず、  
 
「彼らはストレスが溜まるの。勉強。人間関係。親や先生からのプレッシャー。そして……」  
 
 ああ、何故そんなに楽しそうなのだろうか? 上条にはその理由が見つからない。  
 上条からすれば、それは辛い記憶だろうと思えるのに。  
 
「黄金練成(アルス=マグナ)の手伝い 」  
 姫神は楽しい事でも話しているように微笑んだ。  
 
 そんな姫神を見ながら、上条は頭の中で、これ以上姫神に喋らせてはいけないと思った。  
 ここで『姫神、冗談は大概にしろよ』と言えば引き返せると。  
 しかし上条の体は緊張してしまってか声が上手く出せない。  
 その間にも姫神は、  
 
「彼は言ったの。『当然。黄金練成を成すには健全な精神が不可欠である』と」  
   
 上条はある瞬間が迫っていると感じた。  
(ちきしょう、ちきしょう姫神、それ以上、それ以上言うんじゃねぇぇぇえええええ!!)  
 しかし緊張で張り付いた上条の喉からは呻き声しか出ない。  
 そんな上条に姫神は微笑みかけると、  
 
「知ってるかな? ストレス発散って気持ちいいのよ」  
 上条がどさっと音を立てて尻餅をついた。  
 襟を掴んだままだった姫神はそのまま引っ張られるような格好で前のめりになる。  
 結果、尻餅をついた上条を見下ろすような格好になりながら姫神は、  
 
「キミに。忘れさせて欲しい。のだけれど」  
 
 ぐいっと上条の顔に自分の顔を近づける。  
 大きく見開かれた目の中に自分の瞳が写るのを見ながら、  
 
「お願――」  
 姫神の切実な祈りを込めた言葉と共に近づいた唇を、上条は避けることが出来なかった。  
 
 
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  
 
 
 明るい室内に湿った水音と「ん、くっ」と息苦しそうな声が響く。  
 何時までも続くと思われた淫らな旋律。しかし、それは始まった時と同様に唐突に終わりを迎えた。  
 ふっと上条と姫神の唇が離れる。  
 すると、別れを惜しむようかの様に、銀の糸がつぅっとお互いの唇の間に一本の橋を架けた。  
 その淫靡な架け橋が2人の間でぷつっと切れると、お互いの緊張の糸も切れたのか、どちからとも無く熱いため息が漏れる。  
 そして次の瞬間、姫神は脱力したように膝をかくんと折ると、その裸身を上条の胸の中に納めた。  
 上条の胸に顔を埋めた姫神は、心地よいリズムを刻む上条の心臓の音を聞きながら、  
 
「上手と言うか。慣れていると言うか。どっちなの?」  
 
 夢見心地で呟いた姫神の耳に、今まで心地よいリズムを刻んでいた心臓が一拍大きく跳ねた。  
 夢見心地を邪魔された姫神は、顔を上げると抗議の眼差しを上条に向ける。  
 すると上条は頬をひくっと引き攣らせながら、  
 
「ひ、姫神。いくらなんでもそれは言いすぎじゃないかと思うんですが」  
「完全には否定しないのね」  
 抗議の声を上げた上条に、姫神は再び上条の胸に顔を埋めながら追い討ちの一言をかけた。  
 上条の胸の奥と、外から「う」と言う小さな呻き声を聞いた姫神はくすりと笑うと、再び上条の胸の中から顔を上げて、  
 
「じゃあ。エスコートよろしく」  
 いつもの表情の読めない姫神――いやその頬は今だ上気し、瞳は興奮で涙目になっている。  
 そんな姫神のゴーサインを前に、上条は一抹の不安を口にしようとした。しかし、  
 
「吹よ――」  
「こんな時に。他の女の名前を言うのは反則。それよりも一言。キミは。十字架にだけは触れないように」  
 十字架を手にした姫神が、いつになく強い口調でそう言い放つと、その勢いに飲まれた上条は「あ、ああ」とだけしか言えない。  
 そんな返事でも姫神は満足したかのように頷くと、  
 
「じゃあ。改めて。よろしく」  
 
 と三度(みたび)、上条の胸に顔を埋めた。  
 
 
 上条はコスプレ衣装を脱ぐと、自分のそれと、姫神の衣装を重ねて即席のベッドを作る。  
 その上に裸の姫神を横たえると、その上に自分の体を重ねた。  
 
 そしてまずはと、姫神の可愛い唇をついばむように自分の唇で吸う。  
 すると、唇を割ってこれも可愛い舌がチラリと頭を覗かせた。  
 上条はそこで、一気に姫神の唇を奪うと舌を姫神の口の中に差し込んだ。  
 そして、先程の可愛い舌の動きと、口腔の味を堪能しながら、自分の唾液を流し込みながら丹念に塗りこんでゆく。  
 その作業はまるで、姫神を自分の物にする為の作業のようで、姫神はこの行為だけで軽いエクスタシーに達した。  
 
 姫神の舌越しに、彼女が喜んでいる事を感じた上条は、唇を離れると、顎、肩、喉と、キスの雨を降らせて行き、たどり着いた頂に立つピンクの可愛らしい乳首をパクっと口に含んだ。  
 その途端、姫神が海老反になっ「あうっ!」と悲鳴を上げた。  
 あまりに反応が大きかったので心配になった上条は、  
 
「痛かったか、姫神?」  
 と姫神の顔を覗き込んだ。  
 すると姫神は両手で顔を隠しながら、  
 
「大丈夫。ちょっと。久しぶりだから。それよりも。秋沙って呼んで」  
 そんな姫神に上条は、  
 
「あ、秋、沙」  
 と呼びなれない姫神の名前に戸惑いながらも呼びかけた。  
 すると姫神は目隠しを外して歓喜の涙に濡れる瞳に上条を映して、  
 
「ふふふ。これで百人力」  
 とにっこりと上条に笑いかけた。  
 
 それが合図だったように、上条は再び姫神の胸を愛し始める。  
 意外と大きな乳房を、優しく、時には指を食い込ませて荒々しく揉みしだきながら、両の乳首に舌を這わせる。  
 乳首を舌で捏ねる様に押し込んだかと思えば、子供のように唇を尖らせ音を立てて吸う。  
 そんな刺激を与えられる度に、姫神は白い喉を見せて体を小刻みに震えさせた。  
 
「上。じょ。くん。もぉ。胸は。やめ……て」  
 限界が近いのだろう。姫神が苦しそうに上条に呼びかける。  
 しかし、そんな姫神に上条は、  
 
「上条君て。そんな呼び方じゃ俺は止めはふんんんんんん」  
 
 言葉を発するのもそこそこに、姫神の乳房を頬張れる限り口に含んで吸い上げながら上体を起こした。  
 まるで掃除機で乳房を吸い上げられたかのように、姫神の片方の乳房が引き伸ばされる。  
 その刺激はギリギリの状態に置かれていた姫神に止めの一撃を与えた。  
 
「きゃ。きゅぅぅぅぅうううううう!!」  
 
 姫神は、釣り上げられた魚の様に身を反らせ震えながら歓喜の悲鳴を上げる。  
 抗い難い快感が全身を駆け抜け、内側から張り裂けそうな気さえした。  
 むしろこのまま千々(ちぢ)に散ってしまえればさぞ幸せな気持ちのまま逝けるだろう、と姫神は翻弄される頭の中でそんな物騒な事を思った。  
 しかし、そんな背徳的な気持ちも上条の口から乳房が開放されると徐々に引いてきた。  
 姫神の胸からはまだ快感の残滓を心地よく伝えては来ていたが、酔わせるにはまだ少し足りなかった。  
 
 そんな姫神は、溢れた涙を拭うのもそこそこに上条をキッと睨みつけると、自分の息が戻るのも待たずに、  
 
「はっはっ。キ。キミ。ちょっと。鬼畜」  
 と先程の一撃に抗議の声を上げた。  
 
 すると、それまで黙って姫神の状態を見ていた上条はにっと子供っぽい笑みを浮かべた。  
 その笑顔に、何かとてつもない危険を感じた姫神が行動を起こす前に上条は、先程苛めた乳房と逆側の乳房に手を這わせると、  
 
「何だぁ、さっきから他人行儀で。俺に名前呼ばせといてそんなのアリかよ?」  
 と言いながら、姫神の可愛い乳首を親指と人差し指でこりこりと捻り上げた。  
 そうされてしまうと姫神には成すすべも無い。  
 痛みにも似た刺激に、まるで上条の掌で遊ばれているような気分になりながら姫神は、  
 
「あう。駄目ぇ。あ。ふ。と。当麻ぁ」  
 と吐息交じりの甘えた声で上条の名を呼ぶ。  
 その普段の姫神からは見られない乱れ方に満足した上条は、苛めていた姫神の乳首を解放すた。  
 上条の指が離れた瞬間、姫神が安堵のため息をつきながらも、何故か物足りなそうなあえぎを漏らしたのを上条は聞き逃さなかった。  
 再びいたずらっ子の笑みを見せた上条は、  
 
「よく出来ました。じゃ、そんな秋沙にカミジョーさんからごほふんんー」  
 
 今の今まで苛めていた乳首に力いっぱい吸い付いた。  
 それを静止しようとした姫神の両腕は間に合わず、奇しくも上条の頭を抱いて胸に押し付けるようになった。  
 
 先程の快感も覚めぬ内に次の快感を送り込まれた姫神は、  
 
「いや。だぁっ!? と。当麻の嘘ちゅきぃぃぃぃいいいいいい!!」  
 
 胎児のように体を丸めて上条にしがみ付いて、この嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。  
 
 
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  
 
 
 姫神の全身から力が抜け、上条を抱いていた両腕がずるりと滑り落ち、そのまま床の上に敷かれた衣装の上に投げ出される。  
 姫神の手が落ちた瞬間、チャリっと涼しげな音がしたが、どうやら十字架が手から滑り落ちたようだ。  
 上条は、乳首から口を離す。  
 先程までは、可愛いピンク色だったそれは、充血して赤みと大きさを増し、上条の唾液をまぶされ妖しく輝いていた。  
 そのまま上条は顔を上げると姫神の顔を覗き込んだ。  
 
 ここには、焦点の定まらない瞳で天井を見つめる姫神が居た。  
 可愛い唇も半開きで、流石の上条もこれはやりすぎたと即座に反省すると、  
 
「おい、秋沙。秋沙」  
 と頬を軽く叩く。  
 すると程なくして、姫神の瞳に生気が戻り始める。  
「ぁ……」  
「大丈夫か、秋沙?」  
 か細い呻き声を上げる姫神に、上条はもう一度呼びかけた。  
 そうするうちに、姫神が瞬きを見せた。  
 
「おい、秋沙!」  
 上条は更に呼びかける。  
 すると姫神が、  
 
「と。当麻ぁ。当麻ぁ。無茶。しないで。私。死んでしまう」  
「わりぃ、わりぃ。秋沙があんまり可愛いから。次からは気を付けるからさ。ごめん」  
 上条は笑いながら、息も絶え絶えの姫神の頬にキスをした。  
 姫神はちょっと首を竦めて、そのキスを受けながら、  
「当麻はずるい」  
 と上条に抗議した。  
 そんなご機嫌ちょっと斜めな姫神に、上条は自分の頬を掻きながら「ハハハ」と乾いた笑いを漏らした。  
 それでも上条は気を取り直すと、姫神の瞳を覗き込むようにして、  
 
「ところで秋沙。秋沙の中はカミジョーさんで一杯になったか?」  
 そんな上条の質問に、姫神はきょとんと目を丸くしたままじっとしていたが、ふっと上条から目を逸らすと、  
 
「まだ。残ってる」  
 小さな声でそれだけ言うと、恥ずかしいのか両腕で顔を覆ってしまった。  
 そんな姫神を黙ってみていた上条だが、彼女の体が小刻みに震えているのに気付いてしまう。  
 上条はそんな姫神を気遣って優しい声で「秋沙」と名前を呼んだ。  
 すると腕で顔を隠したままの姫神が、  
「大丈夫。だから。お願い」  
 と言うと上条も覚悟を決めた。  
 
 上条は「秋沙」ともう一度優しい声で呼びかけると、自分の昂ぶった分身を、先程の愛撫でぐしょぐしょになった姫神の秘裂に押し当てた。  
 その感触に姫神は一瞬だけ体を大きく震わせるたが、  
「大丈夫。一気に来て」  
 と上条に先を促した。  
 それを聞いた上条は、自身の剛直ずぶずぶと姫神の中に埋め込んでゆく。  
 しかし、ある程度まで行った所で姫神が「くっ」と痛みを堪えるような声を出した。  
 上条の方でも、姫神の中にある特有の抵抗を感じてギョッとした。  
 それは純潔の証。馬鹿なと思った上条は、  
 
「おい、秋――」  
「止めないで」  
 若干語気を荒げた上条の言葉を止めたのは、姫神の言葉と、解かれた腕の下から現れた瞳から感じる意思だったのか。  
 姫神のそんな気持ちに戸惑う上条は、  
 
「秋沙、オマエ……」  
「ごめんなさい。嘘をついて。彼らには何もされて無い。私は当麻が好き。だから。最後まで……」  
 姫神の告白が、上条の凍りついた心を溶かした。  
 それに、ここまで言われて放り出すことなど上条には出来ない。  
 上条は、今の告白でぽろぽろと涙を零し始めた姫神の頭を優しく撫でると「いくぞ」とだけ言う。  
 姫神もそれにただ頷く。  
 次の瞬間、姫神の中でにわかに力をなくしていた上条の分身が力を取り戻して、姫神を内側から押し広げた。  
 その感覚に目を見開いた姫神に新たな感覚が、それは自身を引き裂かれるような痛みが一気に脳天まで駆け上がった。  
 その痛み声も出せずに震えていた姫神だったが、  
 
「痛。いって本当」  
 とだけ言うと上条に笑って見せた。  
 姫神のけなげさに、上条はこれ以上痛みが行かないようにと注意しながら腰を前後させる。  
 ゆっくりと深く浅く上条の剛直が姫神の中を出入すると、結合部から愛液と破瓜が混じってちゅぷちゅぷと音を立てて漏れ出す。  
 姫神はこの時、痛み以上に上条と1つになれた事の高揚感に満たされていた。  
 その気持ちだけでも達してしまいそうな姫神だったが、それではつまらないと必死でその気持ちを抑える。  
 それでも「あぅん。くふッ」と、時折漏れてしまう自分の喘ぎ声にさえも酔ってしまいそうになる。  
 そんな姫神はぎゅっと目を瞑って「んッ。んッ」と声を殺しながら耐えていたが、次から次から押し寄せる快楽の波が彼女を翻弄する。  
 姫神はその甘い苦しさに涙を流した。  
 そんな姫神の様子を心配した上条は「秋沙、涙が」と声を掛けるが、  
 
「嬉しいの。当麻ぁ。嬉しい」  
 と姫神に甘えた声を出されると、大丈夫かと1人納得して、また姫神を愛する行為を再開した。  
 
 そんな上条だが、実は彼自身にも限界が近かった。  
 兎に角姫神の中はきつく、ぎゅうぎゅうと彼を締め付けてくる。  
 上条には、先に逝ってはいけないと言う漠然とした思いが有ったから、彼なりに必死で我慢していた。  
 それでも苦しくなってきた上条は、  
「秋、沙」  
 と途切れ途切れに姫神の名前を呼んだ。すると姫神も返事を返す。  
 
「もっと。して欲しい。当麻を。当麻でいっぱ……いぃ!?」  
 その姫神の甘い囁きが、瞬間歓喜の悲鳴に変わった。  
 それは、上条の分身が一際深く突き入れられた時に、姫神の子宮口をコツンと小突いたからだった。  
 声も無く酸欠したかの様に口をパクパクさせて喘ぐ姫神。  
 その時上条には、姫神の入り口がキュッとすぼまり、変わりに奥が空洞になったような感覚――姫神が確実に感じている手ごたえを見つけて嬉しくなった。  
(俺もそろそろ限界だったけど、秋沙もだったんだな。奥が少し緩んだから……もう少し耐えられそうだ)  
 
 一方の姫神は、今の不意打ちから何とか復活すると、  
 
「い。今の。何?」  
「あ? ああ、俺のと秋沙のが挨拶したんだよ」  
 こんな感じに、と上条は深く突き入れたまま腰を捻って、姫神の子宮口を自身で分身で擦った。  
 姫神は強い刺激にびくびくと体を震わせながら、  
「い。いい。挨拶。もっと。してぇッ!!」  
 上条にしがみつくと、頭を振って激しく乱れる。  
 そんな姫神を見て上条は、  
 
「じゃ、これ、なんてどうだぁあ?」  
「いひゃうぅ!!?」  
 上条は今度は、自由になった自身の剛直で姫神の天井を擦り上げた。  
 凶器と化したカリの部分が、天井を擦り上げながら姫神の中で交じり合った粘液を外に掻き出すと、先程にも増してじゅぶじゅぶと、卑猥な音が辺りに響く。  
 
 上条の荒い息遣いと、姫神の上げる嬌声と、2人が奏でる淫らな水音、そして結合部分から来る耐え難い刺激が一体となって2人を上り詰めさせる。  
 まず上条が音を上げる。  
 いくらなんでもこのままでは中に出てしまう。  
 それを恐れた上条は、  
 
「秋沙。俺、そろそろ……」  
 と腰を引こうとした。  
 と、ところが上条が離れようとしているのを察した姫神がより一層力を込めてしがみついてきたのだ。  
 驚いた上条は、  
「秋っ……!?」  
 目の前でいやいやをする姫神を見て上条はそれ以上の言葉が出てこなくなる。  
 そんな上条の困惑する瞳を覗き込みながら姫神は、  
「駄目。そのままぁ」  
 と自ら上条の剛直を締め付けながら、この時初めて自分から腰を動かして上条を責めた。  
 不意を喰らった上条は慌てて、  
 
「ホントに、ホントに出る!!」  
 と姫神を引き離そうとした。  
 しかし姫神から「来てッ! ッ来てぇ!!」と更に、腰を打ち付けられて責め立てられると、上条は我慢できずに、  
「ふぅっ!!」  
 くぐもった声を上げると、熱い迸りを姫神の中に放ってしまった。  
 灼熱の猛りを受けた姫神も、  
 
「かっ!? はあああああああああああああああ……!!」  
 
 歓喜の叫びを上げてその身を激しく震わせながら、その愛と快楽を渇望する心を解き放った。  
 
 
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  
 
 
 全てを姫神の中に解き放ってしまった上条は、上条自身をぐったりとしている姫神の中からそっと抜き取った。  
 その途端に閉じかけた姫神の秘裂から、ごぽっと白濁した粘液があふれ出してきた。  
 姫神はぎこちなく、十字架を持たない手を股間に添えると、  
   
「あ。漏れ。ちゃう……」  
 とかすれた声を上げる。  
 そんな乱れた姿を見た上条の中では、  
(やっべ、出したばっかりなのに!? 秋沙エロすぎッッッ!!)  
 と劣情の炎が再び燃え上がろうとしたその時、  
 
「か、み、じょ、う、と、う、ま♪」  
 
 突然後ろから、身に覚えがありすぎる人物――吹寄に名前を呼ばれた上条は、物凄いスピードで振り返った。  
 そして上条が振り返った先には、  
 
「カメ――」  
「ハイ、姫神さんポォーズ♪」  
 吹寄の合図と共に目の前で電子音で合成されたシャッター音が響いた。  
 そしてカメラの後ろから、満面の笑みを湛えた吹寄が現れると、上条の体は蛇に睨まれた蛙の様に硬直した。  
 
 そんな上条を余所に、吹寄はカメラと一緒に付いた液晶画面を覗き込むと、  
 
「うわー、いい写真取れたわねぇ〜。姫神さん喜んで。バッチリよ♪」  
 
 と目の前の上条を無視して、上体を起こした姫神に話しかけた。  
 もし上条が後ろを振り返ることが出来たなら、愛液と精液でどろどろになった手でブイサインを送る、いつもと違う満足げな笑みを見せる姫神が見れた事だろう。  
 しかし結局のところ上条は振り返ることが出来なかった。何故なら、  
 
「上条当麻ぁ。貴様に聞いて欲しい事があるのよ〜」  
 そう言いながら、裸の上条の首に両腕を絡ませながら微笑む吹寄。  
 そんな吹寄の猫なで声にびびりながら上条は、  
 
「ひゃ!? な、何でしょう?」  
「実は私、大覇星祭の罰ゲームで輪されちゃって……」  
「なっ!? 吹寄ぇ」  
 急に節目がちに重大な告白を受けて、上条の鼓動が二つ飛ばしで早くなる。  
 とそこで吹寄が、  
「って言ったら慰めてくれる?」  
 などと急ににやりと笑って言うのもだから上条は、  
「つかテメエ嘘か!? これはドッキリか!? ドッキリなんですか? ドッキリなんですよね?」  
 錯乱して吹寄を抱きしめながら騒ぎ立てた。  
 しかし吹寄から、  
「そんな訳無いじゃない」  
 姫神からも冷たく、  
「何を今更」  
 と言われてしまうと心細くなった上条は、  
 
「それじゃ……」  
 と目の前にいる吹寄に助けを求めるような眼差しを送った。  
 その視線に吹寄は一言、  
「貴様を落とすためよ」  
 と言い、姫神も、  
「当麻と一緒になるため」  
 だと言う。  
 
 上条は眉間に深い皺を作って、  
(はめられた)  
「「はめた(る)のはキミ(貴様)」」  
「あなた達は何で人の心を読みますか!!」  
 姫神と吹寄に心の声にツッコミを入れられて上条は派手にうろたえる。  
 そして次の瞬間、  
「きゃ!?」  
 抱きしめていた吹寄を放り出すとドアに向かって突進した。しかし、  
 
「人を放り出すとは上等。上条当麻、覚悟は出来ているわね?」  
「うわっ!? やめ、コラ放せっ!! カミジョーさんは帰るんです!! こ、こんな、こんなぁああああ!!」  
 腕にまとわり付く吹寄を振り切ろうと必死に応戦する上条に、  
「当麻。往生際が悪い」  
 いつの間にか起き上がった姫神も参戦して、上条を部屋の中に引き戻す。  
 
「あ、秋沙まで!? ひっ、うわ、やめ、ふ、不幸だぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ――」  
 
 バタンと扉が閉まると上条の哀れな叫び声も聞こえなくなった。  
 
 
 
END  
 
 

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