「…………………」
「…………………」
―――嵐は去った。
先ほどまで渦巻いていた桃色の空気は消え去り、イヤになるほど冷静になる二人。
「じゃ、寮に戻るわね」
ああ、と頷きだけで答える上条。Lv5には言葉をかけてはいけない時があるのだ。
「じゃあこれ連絡先。気が向いたらかけて来なさいよ」
いそいそと鉄橋を渡っていく御坂。あ、白黒に捕まった。
「…………………俺も帰るか」
ここ三十分ばかりの記憶をまっさらに消去して鉄橋を後にする。 こうして御坂美琴True End到来の危機は阻止されたのだが、彼女の最大の見せ場と、その相手である旗男の決め台詞は誰にも語られることなく忘れ去られたのであった、まる。