土御門に招待された魔術サイドか科学サイド合同温泉ツアーは、女湯を覗こうとした青髪ピアスが手桶によって  
撃墜されて顎部全損の重傷を負ったり、その後崩壊した仕切りの先にいたオリアナに、  
 
「その慎みのないものを隠したまえ」  
 
 とか言ったステイルがボンバーマンのように爆殺されたり。  
温泉後の卓球対決でエキサイトしすぎた上条と土御門がマジ喧嘩になって  
 
「このハーレムフラグ野郎そこに直れだにゃー、根性たたきなおしてやるんだぜい!!」  
 
「うるせー俺の勝手だ、お前のシスコンは微笑ましいレベルを超越しすぎてるんだよ、マジで自重しろ!!」  
 
「ししししし、シスコンちゃうわ!!」  
 
 本気できょどる土御門にギャラリーがドン引きしたり。  
 そんなこんなで始まった宴会はアルコールが入ったことでより一層カオスな事態を引き起こしていた。  
 
「トウマはヘタレなんだよー!!」  
 
「アタシにかまえー!!」  
 
「ミサカはミサカはミサカはミサカは…………」  
 
「おしぼりです」  
 
「あ、どうも」  
 
「おしぼりです」  
 
「……どうも」  
 
「ちょっと聞いているの上条当麻!! イソフラボンの素晴らしさをこの私が説明してやっているのに、ほかの女にデレデレして!!」  
 
「聞いているとも吹寄、二人でイソフラボンへの愛を確かめ合ったところじゃないか」  
 
「……そうだったかしら?」  
 
「かまえっつってんでしょうがー!!」  
 
「おい、大丈夫か姫神」  
 
「………大丈夫、あなたの愛があれば」  
 
「愛あしてるぜ姫神」  
 
「…………きゅう」  
 
「だからようねーちん、あとひと押し、あとひと押しなんだぜい。この堕天使淫乱メイドを着てだな」  
 
「ですから私は、そのような格好をもうしたくないと言っているでしょう!!」  
 
「おい神裂、聖人パワーで突っ込んでやるな。土御門の首がトリプルアクセルしてるぞ」  
 
「大丈夫です、オートリバースです」  
 
「かまえー!!」  
 
「おい、脱ぐなよオリアナ」  
 
「帯が結べないわ〜」  
 
「さっき自分で結んだんじゃないのか!?」  
 
「知らないわん」  
 
「神裂、結んでやってくれ」  
 
「あなたがやればいいでしょう」  
 
「風邪ひいちゃうわ〜」  
 
「し、仕方がない………はえてない?」  
 
「剃ってんのよ」  
 
「あらあら、あちらでは割と当たり前なのですよ?」  
 
「え……じゃあ、オルソラも」  
 
「子供は3人ほど欲しいです」  
 
「会話がどこかに行ってるぞ!?」  
 
「……かまってよぅ」  
 
「ルチアとアンジェレネはどこに行ったんだ?」  
 
「もう寝ました」  
 
「上条当麻!! イソフラボンと吹寄を愛していると言いなさい!!」  
 
「さっき言っただろーが!!」  
 
「あの………あーん」  
 
「五和、おしぼりからのレベルアップは嬉しいがそれは箸置きだ」  
 
「子供は日本で育てましょうか」  
 
「インデックスちゃんは可愛いなぁ」  
 
「おいそこの犯罪者、インデックスから手を放せ」  
 
「上条当麻、ステイルとあの子は同じ歳です」  
 
「絵面がまずい」  
 
「そうですね、まるっきりロリコンです」  
 
「大体ですね、あなたが本命を絞らないからこんな」  
 
「どうしたアニェーゼ、何の話だ?」  
 
「………もういいです、私にも愛していると言ってください」  
 
「愛してる」  
 
「上条当麻、あなたは今晩だけで何回愛していると言うつもりですか」  
 
「もう一生分言った気がする。あ、そのスルメ取ってくれ神裂」  
 
「どうぞ」  
 
「ああ………あなたも結婚するような歳ですか」  
 
「………かまってください」  
 
「どうしたビリビリ?」  
 
「あのね」  
 
「おい、インデックス眠るなら部屋に戻れ」  
 
「………」  
 
「私が聞きましょうか?」  
 
「………いいです」  
 
「悪い、インデックスを部屋まで運んでくる」  
 
「ステイルに任せればいいのでは?」  
 
「あの酔っぱらいアフロに任せたらどうなるかわからん」  
 
「私ももう孫を抱くような歳になったなんて、昔が懐かしいですねあなた?」  
 
「おしぼりもってイソフラボンを進めたら相手してくれるのかしら?」  
 
「お勧めできませんね」  
 
「ですよね」  
 
「体で迫れば………ごめんねぇ、お嬢ちゃん」  
 
「ちくしょう、胸が、胸が足りないの?」  
 
「やけ酒は止した方がいいですよ」  
 
「これがのまらいでか!!」  
 
「お姉さんが付き合ってあげるわん」  
 
「おーっすただいまー、ビリビリ話の続きを、ってもういいのか?」  
 
「あとで聞いてあげてください上条当麻」  
 
「………あぁ、あなたと出会えて、私は幸せでした。先に行って待っていてくださいね、あなた」  
 
「オルソラの中であなたが死んだようですよ」  
 
「酒が入ると会話が時空の彼方に飛んでいくのな、オルソラ」  
 
「無論処理していますわ」  
 
「何の話だったっけ?」  
 
「忘れなさい」  
 
「何やってんですか、あなたは」  
 
「そっちこそなんで膝枕? しかもなんで上条さんの?」  
 
「ぐぅ」  
 
「君は、いつでも君なんだね」  
 
「おまえもいつだって綺麗な姫神だよ」  
 
「イソフラボンはどうしたの上条当麻!?」  
 
「いくらなんでもイソフラボンと結婚するのは上条さんには無理ですよ」  
 
「ステイル、イノケンティウスが漏れていますよ」  
 
「ミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカは酔っ払っていないと、主張します」  
 
「わかったからもう寝ろ、御坂妹」  
 
「建宮、それはこけしです」  
 
「悲しいのよな、行き場のない愛とは。この胸が想いによって張り裂けそうなのよ」  
 
「気持ち悪いです。そういう事は日記帳に書きなさい」  
 
「あーんしてください」  
 
「五和、それはおしぼりだ」  
 
「………限界ですね、お開きにしましょう。正気の人間が私とあなたしかいません」  
 
「そうだな………男は放っておいてもいいが、姫神たちは部屋に連れて行こう」  
 
「おねぇさんも手伝うわ」  
 
 
 
「………ふぅ、酔いもさめたな」  
 
 酔ったまま風呂にはいるのはだめらしいが、各部屋に女の子を運ぶのは意外と重労働であり汗をかいてしまったため  
一度風呂に入ってきたのだ。ちなみに後の二人は汗一つかいていなかった。基本スペックが違い過ぎる。  
 
「一人か」  
 
 部屋に入ると、当然誰もいなかった。男部屋のメンバーはまだ宴会場だろう。  
ようやく落ち着く一人の部屋、突っ込み不在の宴会で疲れ切った体を一刻も早く休めようと上条は布団に入ろうとした。  
 
「………柔らかい?」  
 
 布団の感触ではない、温かい何かが手に触れた。電気をつけていない部屋の中で、外で月が出てきたのだろう  
月明かりによって部屋の中が照らされる。  
 
「神裂!?」  
 
 聖人が寝ていた。それも、上条の布団に。  
 
「なんで? どうして? 上条さんが部屋を間違いましたか!?」  
 
 上条が一人でパニックに陥っている中、聖人は寝苦しそうに寝がえりをうった。  
 
「うぅん」  
 
 やけに色っぽい声とともに聖人が寝がえりを打つと、浴衣の胸元から零れそうなバストがゆさりと揺れた。  
部屋にはほかに誰もいない。青少年にはたまらないこの状況で、上条の右手もゆっくりとその魅惑的なバストに伸びて―――――  
 
「って上条さんは犯罪者ですか、土御門みたいに首だけトリプルアクセルになるぞ!!」  
 
 もう手を出さない。心に固く誓って、仕方がないので隣の布団で眠ろうとする。  
 
「あぁん」  
 
 また寝がえりをうった。今度は浴衣の裾が乱れて、聖人の太ももがあらわになっている。  
乱れた裾は太もものつけね近くまであらわにして、もしかしてはいてないんじゃないかと思わせる。もうちょっとくらい、  
いや、もうちょっとなんだ。  
 再び右手はけしからん行動を起こし始め、浴衣のすそをもうちょっとだけ乱れさせようと――――  
 
「ってさっき手を出さないって決めたばっかりだろうが!!」  
 
 この右手が! この右手がっ!!  
 右手を壁に打ち付けることで何とか落ち着いて、もういい加減に寝ようと布団に入った。隣を見ると寝乱れた聖人の姿が  
目に入ってしまうので天井の木目を数えながら気を落ちけようとした時、  
 
「私には………愛していると、言ってくれないんですね」  
 
 ぼそりとつぶやいた言葉が耳に入る。そういえばこの聖人に入っていなかったなと、そう思い「愛してるぜ」とでも呟こうと  
そう思った瞬間。再び聖人が寝がえりをうった。  
 上条に抱きつく形で。  
 胸が柔らかい。まず思ったのはそれだった。理性はすでにどこかに行っていた。おっぱいはそれだけ強いのだ。  
全盛んでまとわりつくように体を絡めてくる聖人の力は、まさに聖人のそれだった。どうにもこうにも、振りほどけそうにない。  
そして、足まで絡めて来ているせいで聖人の股間は上条のむき出しの太ももに当たっている。  
 こいつはいてない。  
 はえてるけど。  
 
 これは、誘われているんでしょうか?  
 そう自問自答した上条の脳裏に、いい笑顔の建宮が現れた。「いけばいいのよ」そう言ってサムズアップするクワガタ頭。  
頭の中で、「おまえのポエムは笑わないでやるぜ」と答えてから、足を絡めてくる聖人に言った。  
 
「愛してるぜ、神裂」  
 
「嬉しいです」  
 
「…………!!」  
 
 強引に、唇を奪われた。すごい力で舌が侵入してくる。息苦しくなるとようやく目の前の聖人は唇を離した。  
 
「ふふ」  
 
 離した唇の間に、唾液の糸が橋を造る。エロい、神裂エロい。初心なくせにどうしてこう、時たま異常にエロいのか。  
上条を見つめるその目は、すでに獲物を狩るハンターのそれだった。アイ オブ レイパー。  
 
「神裂」  
 
 今度は、上条のほうから口づける。そうして彼女のはだけてしまった浴衣を脱がせながら  
体の上に跨るように態勢を入れ替えていく。横になっても形の崩れないその胸を弄びながら耳元で愛を囁けば、白い素肌が  
瞬く間に赤く染まっていき、そして股間の秘所はあっという間にべとべとさん。  
 エロかった筈の彼女はやはり、いざこう言うことをすると初心なのか顔を真っ赤にして目を潤ませている。その様子に  
嗜虐心を刺激され、上条はついついからかいたくなってしまうと言うのに。  
 
「なあ神裂、まだ始まったばっかりなのになんでもうこんなにびしょびしょなんだ?」  
 
 もしかして最初から期待してた? と意地悪く言ってみせると、ついさっきまでの獲物を狙う瞳が信じられないように  
半泣きになった聖人が必死に首を横に振った。  
 
「違います、そんな、私ははしたない女では」  
 
 と、必死に弁解する聖人をよそに、上条はひょいと聖人の秘所をいじって見せた。主にお豆さんを。  
 
「あんっ」  
 
「ん? どうした、神裂?」  
 
「なんでも、あっ、りませっ、やめてくだ」  
 
「こんなに腰を押し付けてきてるのに?」  
 
「〜〜〜〜〜〜〜っ」  
 
 まだまだいじめてみたいところだったが、これ以上やるとへそを曲げれるのでそこまでにして、  
上条はようやく―――――――  
 
 
「ヤッてしまった、もといやってしまった」  
 
 次の朝もぬけの殻になっていた布団の中で目覚めた上条はそう呟いた。酔ったうえでの狼藉なんですという  
言い訳は果たしてあの堅物に通じるのだろうか。調子に乗って言葉攻めのようなまねごとまでしてしまったけど  
初めての筈なのにそんなのでいいのだろうか。  
 くよくよと考え続けているうちにいつの間にか朝ごはんを食べ、帰り支度をし、バスに乗っていた。  
そういえば神裂は朝から何も言ってこない。黙って死ねということですか?  
 
「となり、失礼します」  
 
 貸し切りにしたことで席には十分余裕があるはずのバスの中で、そう言って彼の隣に座った神裂と  
彼女にかいがいしく世話をされる上条をめぐって帰りのバスが荒れることを、上条はまだ知らないのだった。  
 

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