とある一方通行の嘘予告
秋の夜、悪夢に目を覚ました『一方通行』。
悪夢の中身はもちろん、幻想殺しのあの男。
今まで受けたことの無かった『痛み』という感覚は、ゆっくりと、しかし確実に『一方通行』に根を宿していた。
消すことの出来ない精神的な痛みへの打開策として、『一方通行』はただ一つの方法を選択するーーー!
「あれ? 何処行くのー、ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
「うッせえな、ーーーテメエにやったのと、同じ事だよ」
それは痛みに対する『上書き』。
『一方通行』が『打ち止め』のデータを上書きすることによって、彼女の命を救ったように、あの『幻想殺し』が『一方通行』の痛みというデータを上書きしてくれれば、自分は救われる。
そんな、幻想を思い描いたからーーー。
「俺ァよ、今更、テメエに救って貰える立場じゃ、ねェよ。けどよ、疼くんだ。どうしようもなく、よ」
数奇にも、あの日、二人が決着した路地で。
少年に、もう失われたはずの最強の名が明かされる!
「なあ、『幻想殺し』。俺を抱いて、優しい『痛み』をくれよーーー」
かつての最強と永遠の最弱。
彼等が再び邂逅する時、物語は始まるーーー。