上条当麻は未成年である。  
よって、飲酒というのは立派な法律違反である。本人は勿論、飲ませた店も管理責任を問われることになる。  
「……ひっく」  
上条当麻は未成年である。  
よって、まだアルコールに対しての抵抗力が未発達であることを意味している。  
「……うっぷ」  
上条当麻は未成年である。  
よって、完全に出来上がってしまった自らの精神を、完全に持て余している。  
「うだぁー」  
そしてそれは、思わぬ方向に向かっていく。  
 
 
「あれは…」  
ツンツンな黒髪がフラフラ歩く姿を目撃した人物がいた。  
たまたま所要で学園都市に来ていたエロウエスタン侍、神裂火織だ。  
(…酔ってる?)  
「上条当麻!!」  
どうみても千鳥足を踏むツンツンな黒髪。はて彼は飲酒を認められた年でしたか?  
と疑問に思い、声をかけてみた。  
「んん~?おおおー神裂さんではないれすかあ!!」  
(酔ってる…)  
「いったい、どうしたんですか?」  
「んあ?ドウぅ?ドウなんかしてませんよ~  
 いま上条さんはルーララーと風に乗って宇宙になるところですよお」  
(完全に酔ってる…)  
「まったくあなたは…あの子の面倒も見ずに一体何をしているのですか?」  
「ナニぃ?神裂さんはナニがしたいのかあ?」  
「は?」  
 
ブチュ  
 
「!!!!!?????」  
「ふむぅ…神裂さんのクチビールは、ヒッジョーにやわらかいですね~」  
「ッ!!!!!」  
轟!!という凄まじい音とともに放たれる聖人の拳。  
しかし、  
 
パシッ  
 
「なっ!?」  
酔っ払いのわき腹目掛けた聖人の拳は、酔っ払いの手のひらに、いともたやすく受け止められた。  
「んっとに~、カリカリすんなよ神裂さ~ん。あれか、カルシウム不足か。  
 しょーがないな~なら上条さんがカリカリ神裂さんにカルシウムを分けてしんぜよう!!」  
そういうと何処からともなく牛乳パックを取り出し、パックを開け、牛乳を口に含み、そして、  
 
ムチュゥ  
 
「む゛!!ん、ん、んぅ!!」  
「ん、む、んぅ」  
「~~~~~~ッ!!」  
 
ゴクン  
 
「ふッ!!!!」  
「んばぁ…もう一杯いっとくか?」  
「もっ!!結構ですっ!!」  
「遠慮すんなよ~」  
ムチュゥゥ  
「ぅ、むうぅぅぅ!!」  
「ふむぅ…んむ……」  
「むうぅぅぅ!!!!」  
ビチャァ…  
神裂が2杯目を頑なに拒んだため、牛乳がこぼれてしまった。  
その豊満な胸を覆うTシャツの上に。  
 
「ありゃあこれは面目無い!上条さんともあろうものが大失態!!いまきれいにして差し上げますからね」  
「へっ?」  
 
ヂュウゥ…  
 
「あ、ああぁぁぁぁ!!」  
Tシャツに染み込んでしまった牛乳を吸い取ろうとする酔っ払い。  
しかし所詮はTシャツ。その薄さは簡単に快感を伝えてしまう。その豊満な胸に。  
「うあぁぁっ、あっ、あああっ!!」  
間接的にだが、胸を吸われる神裂。しかも天下の往来で。周囲に人が一人もいないのは幸か不幸か。  
そして酔っ払いの口が、Tシャツの上からもわかるほどに堅く立ち上がった突起の上に到達する。  
チュウゥゥゥゥゥゥ!!  
「あああぁぁぁぁぁぁッ!!!」  
耐えられなくなった神裂は果ててしまい、その場で尻餅をついてしまった。  
「いよーしこれでよーし!キレーキレーになりましたよー神裂さーん!それでは!!」  
爽やかな別れ言葉を千鳥足に乗せ、宇宙の風になっていく酔っ払い。  
尻餅をついてしまったエロウエスタン侍のジーンズに、新しく染みを作ってしまったのは、  
また別のお話。  
 

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