「ビリビリ」
アイツの声が耳に響く。
「ナニ怒ってんだよ? 上条サンはお前を怒らせるようなことしましたか?」
しないから怒ってるんじゃない!
私がこんなにドキドキしてるっていうのに。
アイツの顔を見るだけで顔が赤くなっちゃうってのに。
全然わかってない。
ニブチン。バカ。トウヘンボク。
胸の中が熱くズキズキと痛む。
こんなに・・・私は、こんなにコイツのことが・・・なのに!
泣きたくなる。
「あーもー、しょうがねえなあ」
コイツはそう言って私の頭をぐりぐりと撫で始める。
「俺お前に泣かれるほど酷いことした覚えはないんだけどなあ。頼むから泣き止んでくれませんかね?」
もうだめ。
コイツの右手が。
私の頭皮に触れる。髪の毛をくしゃくしゃにするようにして撫でてくる。
すごい。
まるで魔法の手みたい。
触れ合った肌から伝わってくるのは、痒いくらいに痛い甘い切ない感情。
なんでだろう。
ただ触れられてるだけなのに。
涙が止まらない。
嬉しくて。
切なくて。
もっともっと近づきたくて。
私は気がつくと、コイツの胸に顔を押し当てながら両手で背中に手を回し。
ようするにコイツの胸の中でスンスンと泣いていた。
「なんだよ? どうしたんだよいったい?」
困惑しながらも、私の背中や後頭部をそっと撫でてくれる。
その優しさに。
その暖かさに。
私の身体は反応してしまっていた。
触れた感触。シャツ越しの胸の厚さ。暖かさ。
その熱はズキズキと私の芯を焼き焦がしていく。
最近覚えたはしたない一人遊びのときみたいに、ジュクジュクとわたしのそこが熱く湿って溶け出していく。
コイツに強く抱きつけば抱きつくほど、その熱は高まっていく。広がっていく。
だから私は気がつくと、両腕で強く固く、コイツに抱きついていた。
「なあビリビリ」
そう言うコイツは、私の顔を持ち上げて問いかけてくる。優しい目。まっすぐな瞳。
そんな色が、私の視界いっぱいに広がっていく。
汗のにおい。オトコノコの匂い。嗅ぐだけで肺の中が甘く焼けてしまいそうな匂い。
それはますます強くなり、私の唇がコイツのそれをふさいだ瞬間、スパークのように私の全身を貫いた。
いきなりキスされ、そしてソレと同時にぴくっ、ぴくっ、と身体を痙攣させる女子中学生の態度にびっくりしながら、
あ、なんか今のコイツの顔ってなんかエロいな、としか思えない超ド級トウヘンボクの上条当麻少年は
その淡くていい匂いのする可憐な御坂美琴の唇から視線を離せないでいた。
その晩、この二人が一線を越えてしまい、そして翌朝真っ赤になった美琴があわわわと実のないいいわけをしたりするのは、また、別のお話。