自分の事をミサカと名乗る1人の少女――妹達(シスターズ)と呼ばれる御坂美琴の体細胞クローン――は暗闇の中で目覚めた。  
 
「ここは何処でしょう? とミサカは現状把握が出来ていない事を吐露します」  
 まず何時もの病院のベッドの上ではない事はすぐに判った。  
 次に、自分が今座った状態にある事、両手両足に何か拘束があり特に両手は吊られた状態にある事も確認できた。  
 
「以上の状況から推測すると私は捕まったようです、とミサカは暗い室内に目を凝らしながら結論を口にしてみました」  
 ミサカはミサカネットワーク――妹達(シスターズ)だけが利用出来る脳波リンク――に接続を試みるが応答は無い。  
 どうやらここは何らかの電磁波のかく乱が行われているのだろう。  
 次にミサカは電撃を使ってみようとするのだが、  
 
「能力が使えません!? とミサカはこの事実に驚愕します!」  
 この事実は、ここが単なる監禁目的の場所では無く、本格的に能力者を閉じ込める為の施設である事を意味していた。  
 能力が使えなければただでさえ非力な自分は脱出できない。  
 最悪の展開にミサカは息を呑んだ。  
 
(早急に脱出の為のルーチンを再構築しな――――)  
 ミサカは現状を打開する為にすぐさま脱出方法を模索しようとしたその時、突然部屋の中が明るくなった。  
 すでに暗闇に目が慣れ始めていたミサカにとって、その明るさに痛みすら感じた。  
 何とか目を閉じてその痛みに耐えていると、ミサカの耳にガチャガチャとドアノブを回す音が聞こえて来る。  
 続いて空気が吸い出される感触と共に、誰かが入ってくる足音が聞こえた。  
 そして、  
 
「ふー、やっとカミジョーさんのプライベートな時間ですよ。おい、元気にしてたか?」  
「あなたは? とミサカはあなたを確認してちょっと安堵します」  
 あまりにも聞き覚えのある声――、妹達(シスターズ)の命の恩人である少年、上条当麻の声にミサカは安堵のため息を付く。  
 ところが、そんな気持ちを打ち砕くかのように、何者かの手が突然ミサカの髪を鷲掴みにするとぐいと手前に引き寄せた。  
 室内にじゃらじゃらと金属のぶつかり合うような音が鳴り響く中、まだ目が光に慣れていないミサカは何の抵抗も見せずに床の上に投げ出された。  
 ミサカは固く冷たい床の感触を頬で感じながらぼんやりとした視線をさ迷わせる。  
 そんな状態の彼女の頬に、突然何かが押し当てられた。  
 それは圧力をもってミサカの頭を床の上に固定する。  
 度重なる状況の変化に混乱するミサカの耳に、更なる混乱をもたらす言葉が聞こえたのはその時であった。  
 
「『あなた』じゃねーだろ。俺の事は『当麻様』で、お前は『便所』だろ? ったく何度言や判るんだこの欠陥品は」  
「あなたが『当麻様』で私は『便所』ですか? とミサカはあなたの言っている意味がよく理解出来ません」  
 急激に視界が戻り始めたミサカは目だけで頭上を仰ぎ見た。  
 そこに見えたのは、自分を床に押し付ける裸の足の裏と、そこから伸びるスウエット地のズボンの足、そこからずぅーと上には見覚えのある顔。  
 確かに、自分を踏みつけているのが上条であると言う事実にミサカは珍しく驚愕の表情を浮かべた。  
 それ以上に驚く事は、あの上条が自分を便所(モノ)扱いした事だった。  
 あまりにもめまぐるしく変わる状況に言葉も出ないミサカの頬を、上条は呆れた表情を浮かべながら足の指でぐいぐいと引っ張る。  
 
「ったく……。お前がどうしても寮に置いてくれって言うから仕方なく個室まで用意してやったんだろ? そんな事も覚えてないのか?」  
 私が? と言う言葉が浮かんでくるようなミサカの表情に、上条はやれやれと言った感じで頭を掻くと、ミサカの顔の上から足をどけた。  
 そして自らしゃがみこむと、ミサカの髪を鷲掴みにして床から引き上げると目線を合わせる。  
 ミサカは、そこに何時もどおりの上条の暖かい瞳を見て、安堵と不安が入り混じり内心混沌とする。  
 そんなミサカの内情などお構い無しに上条は、  
 
「2日目でこれじゃすぐ使い物になんなくなるかもなぁ。それともあれか? 『栄養』が足りてないのかなぁ」  
 そう言うと、上条はおもむろに立ち上がって自分のスウェット地のズボンを脱ぎ捨てた。  
 すると、ミサカの目の前に隆々と天を向く上条のイチモツが現れた。  
 初めて目にする異性のそれにミサカはごくりと生唾を飲む。  
 
「おら、口開け」  
「口を開けと言われても、とミサカはあな……当麻様の言葉の意味が理解できず戸惑います。それか――――」  
 上条の言った意味が理解で出来ずに聞き返そうとしたミサカだったが、上条がそれを許さない。  
 
「ごちゃごちゃうるせー便器だなぁ。カミジョーさんは健全なダンシコーコーセーですから毎日溜まるんです! だからだまって口開けろよ」  
 そう言い放つと、まだ喋るミサカの鼻と顎を掴むと強引に口を開けさせた。  
 
「ふが? 無理矢ははははあえはええあえはほほはほほほほあ? おおおああおおあああほおあああああ(無理矢理口を開けさせて何をするのですか? とミサカは当麻様に問いかけます)」  
 上条の行為に戸惑うミサカ。  
 そんな彼女の柔らかそうな唇を潜ってまだ元気に動く舌の上に、上条はイチモツをそっとあてがった。  
 ミサカは舌から伝わる感触と独特な味と、鼻を抜ける香と、それ以上にこの状況に驚いて体が勝手に逃げそうになる。  
 
「いいからそのままにしてろよ」  
「おあ!?」  
 上条の低い声と、有無を言わせない両手の力がミサカをその場に釘付けにする。  
 そして上条はミサカの抵抗が収まると、ゆっくりとした動作でミサカの舌をレール代わりにして口の中を進み始めた。  
 その先の結末を予測してか、ミサカの唇は小刻みに震え、舌は抵抗を示すようにイチモツに絡みついてくる。  
 
「歯ぁ立てんなよー」  
 上条はそんな事を言いながらも前進の手を緩めない。  
 その内にイチモツは口の中から喉に達したが、止まる事を知らないのか更に奥へと突き進んでゆく。  
 
「えほっ、えほっ!」  
「ぅん……。この押し返してくる感じが何とも……」  
 ミサカが嘔吐感にえづく度に喉の奥が上条を締め付けると、上条は目を細めてミサカの頬を優しく撫でた。  
 
(え?)  
 その瞬間ミサカは、体の奥底に熱い疼きを感じて我知らず内股を擦り合わせた。  
 その間にも上条の前進は続き、最終的に根元まですっぽりと口の中に納められてしまった。  
 上条の恥毛がミサカの鼻先をくすぐる中、「オラ、動くぞ」の号令でそれは唐突に開始された。  
 まず、突き入れられたイチモツが半ばまで抜き取られると、カリに掻き出された大量の唾液がミサカの口の中に溜まる。  
 続いて再び喉の奥まで今度は一気にイチモツが突き入れられる。  
 そうして何度も繰り返される抽送に、ミサカの口の中は唾液と、若干の胃液と、イチモツから漏れる牡の先走りですぐに一杯になった。  
 最初は零すまいと堪えていたミサカだったが、そのうち口に納まる事も飲み込むことも出来なかった分が泡立ちながら滝のように唇から零れ落ちて、ミサカ自身の胸をしとどに濡らした。  
 じゅぶじゅぶと水音が響くミサカの頭の中は、既に嘔吐感も感じられない程に朦朧として来ていた。  
 そんなミサカの頬を何かがぺちぺちと叩くと、ミサカは涙で潤んだ瞳を上へ――上条の方に向ける。  
 
「もっと舌使えよ。喋るしか能がねぇのかその舌は?」  
 上条の言葉に、ミサカは舌に力を込めるとイチモツに絡めるように動かした。  
 
「そうそう。やれば出来るじゃねーかよ」  
 上条は嬉しそうにそう言うとミサカの頭を優しく何度も撫でた。  
 その瞬間、再びミサカの体の奥底に熱い疼きが沸き起こる。  
 すると、先程までの苦しさ等の不の感覚が全く別の……浮き上がるような高揚感に置き換えられてゆく。  
 その狂おしいほどの感覚に取り込まれたミサカの舌の動きは徐々に激しさを増して上条を追い立てる。  
 終いには唇をすぼめたりして前後する竿を締め付けるてやると上条のピッチが上がった――そろそろ上条の限界が近いのだ。  
 そして、その瞬間はすぐに訪れた。  
 
「うっ。で、出るっ!」  
 ミサカは押し付けられた唇を伝って上条の腰が小刻みに震えるの感じていた。  
 イチモツの根元のその奥から、喉を通ってさらに奥に何かが放たれる。すると一段と強い牡の香が頭の中に充満する気がした。  
 それらを固く眼を瞑って感じるミサカ自身も、実は身を焦がすような快感に体を震わせていた。  
 そうして軽く達してしまったミサカがイチモツを咥えたまま上条に体を預けていると、喉の奥からゆっくりとイチモツが引き抜かれ始める。  
 すると、ずるずると引き出される竿と共に白濁液が緩んだミサカの唇からぼとぼと零れ落ちた。  
 イチモツを引き抜く間も小さく痙攣するミサカの喉を堪能した上条は、  
 
「ふぅー。よし、残ってる分を吸い出してくれ。おと、ただし飲むなよ。吸い出した分は口ん中に溜めとけよな」  
 そう言って先端をミサカの唇に押し付けると、ミサカも黙って先端をズルズルと下品な音を立てて吸った。  
 ミサカが口をすぼめる度に、イチモツの中に残る残滓が口の中に溜まってゆく。  
 すると、瞬く間に口の中に広がった粘っこい液は、ミサカに牡の香を伝えた来る。  
 暫くそうしてイチモツに吸い付いていたミサカだったが、何も出なくなった所でちゅぽんと音を立てて唇を離すと、口を閉じてもごもごさせながら上目遣いに上条を見上げた。  
 上条は、そんなミサカの顎に指を当てると、更に上を向かせながら、「見せてみろ」と一言言う。  
 その言葉に答えてミサカは、大きく口を開けてその中にある唾液と白濁の交じり合ったものを上条に見せた。  
 
「そのまま舌でこねて泡立ててみろ」  
 上条の言葉にミサカは忠実にそれを実行する。  
 口を開けたまま舌で中をかき回すと、ぐちゃぐちゃと汚らしい音と共に内容物が泡立ち始める。  
 それが唇から顎を伝って滴り落ちる程になった所で、  
 
「ヨシ。飲めっ」  
 その合図でミコトは、上条の顔を見つめたまま口の中のものを一気に嚥下した。  
 ミサカの喉がごくりと鳴るのをじっくりと眺めた上条は、  
 
「飲み終わったらどーすんだったかな?」  
「ご、ごちそうさまでした。大変美味しかったです当麻様、とミサ……べ、便器は喜びを隠さずに言葉にします」  
 恥ずかしそうに、それでも目を逸らさずに言い切ったミサカに、上条は始めて笑顔を見せた。  
 そして優しくミサカの髪を指ですきながら、  
 
「よしよし。カミジョーさん素直な子は女の子でも便器でも大好きですよ」  
「ありがとう御座います当麻様、と便器は当麻様の賛辞の言葉に感動します」  
 そんな上条の言葉に、状況――今まで触れなかったが実は全裸で、両手足を鎖につながれ、手は今だ吊られたまま、床に膝立ちの状態――も忘れてミサカは珍しくほんの少し嬉しそうに感謝を述べた。  
 
「じゃ、そんな素直な便器ちゃんにご褒美をあげようかな?」  
 そう言うと上条は、床に膝立ちのミサカを抱き起こした。  
 そしてくるっとミサカを回れ右させると、壁に手を付かせてお尻を突き出したような状態にする。  
 その状態から上条は、自分の指を後ろの割れ目をすっと掠めて一気にむき出しになったミサカの秘割にあてがった。  
 小さな水音と共に、ミサカの口から「あっ」と小さな声が漏れた。  
 暫くその水音とミサカの口から漏れる嬌声を楽しんだ上条は、ミサカの目の前に濡れた指を持ち上げた。  
 糸を引くそれを指で弄んでミサカをたっぷりと辱めた上条は、  
 
「何だこの便器水漏れしてんな……やっぱ欠陥品は駄目だなこりゃ。捨てるか?」  
「あっ、い、いやです当麻様。べ、便器は一生懸命頑張りますから捨てないで下さい! と便器は必死に当麻様に懇願します!!」  
 上条の言葉に本気でうろたえるミサカは、珍しく声を荒げて上条に懇願した。  
 
「ぷっ!」  
「?」  
 破裂音のような音に、ミサカは後ろの様子を確認しようとした。すると、  
 
「ぷはははははは――んなお約束通りな反応すんなよ。なぁに、カミジョーさんはこれでも物は大切にするんです。この水漏れだってちょいと塞いでやれば――――」  
「あっ!?」  
 ぴとっと秘割に何かがあてがわれた。  
 指よりもはるかに圧迫感のあるそれに、ミサカは自然と声が出てしまう。  
 そんなミサカに上条は、  
 
「『あ』じゃねーだろ? こう言う時は、な、ん、て、言、う、ん、だ?」  
「と、当麻様、どうかこの欠陥便器の水漏れをお止め下さい、と便ひゃぁぁぁぁぁあああああああああああああああっ!!」  
 ドンと言うお腹の壁を突き上げるような衝撃に、ミサカの声は途中から叫び声に切り替わる。  
 奥まで貫かれた衝撃に震えるミサカの秘所からは止め処無く愛液が吹き出して、上条の太ももとミサカの太ももを濡らしている。  
 
「何だこの便器……。水漏れの次は振動が出んのか? って冗談はともかく――オイ、ちょっと逝っちまったか?」  
「あ゛い、べ、べんぎ……ちょとイギました……、とべん……きはと、まさまの、ことば……そのままかえ……しまぁ……」  
 すっかり壊れたテープレコーダーと化したミサカは、訳も判らず上条の言葉をただ鸚鵡返しのように返す。  
 そんなミサカの様子に上条はちょっと面白くなさそうな顔をすると、乱暴に腰を打ち付け出した。  
 
「んだ? 入れただけだってのにっ! 随分とっ! 感度がっ! 良いんだなあっ!!」  
「あっ! ああっ、ああっ!! あい゛!? おぐに当た……ぅ」  
「ははは、何時もみたいに喋ってみろよ、とカミジョーさんは便器に言ってみたりして」  
 ミサカの叫びも締め付けのあざ笑うかのように、上条のイチモツは力を増してミサカの中を削り取る。  
 もう床にはミサカからこし取られた愛液が水溜りを作っている。  
 そのまま一気にミサカを追い詰めるのか? そう思われるほど激しい腰つきが突然止んだのはその時だった。  
 
「あれれ、すっかり中が膨らんじまってスッカスカだなぁ? オイ便器、物欲しそうにすんのもいいけど、これじゃあ俺が逝けないんですけど?」  
「あ゛ー、あ゛ー」  
 ところがミサカの方は、すっかり頭の中が飛んでしまったのか上条の質問にも答えず1人迎え腰を振っている。  
 そんな状態のミサカに上条は呆れたような顔をして、  
 
「何だこの便器、ICもイカれてやがんのかよ? チッ、仕方ねえなあ。ここは一つ荒療治といきますか?」  
 そう言うとミサカの腰を押さえてイチモツを一気に引き抜いた。  
 
「あ゛うぅ?」  
 ミサカは、急な抵抗感の損失をいぶかしむも、相変わらず迎え腰を続けようとする。  
 その腰を上条はギュッと押さえつけると、先程の秘割では無くその上にあるすぼまりに竿にべったりと絡みついたミサカの愛液を塗りつけた。  
 それから小さく「動くんじゃねえ」と呟きながらすぼまりに先端を押し当てた。  
 そして、  
 
「おりゃ」  
「あ゛――――――――――――――――――――っ!!」  
 ミサカはまた一気に奥まで貫かれた。  
 そして先程以上の衝撃に彼女らしからぬ――いや人とは思えないような叫びを上げて体を仰け反らせた。  
 そのあまりの衝撃は彼女に激しい絶頂と共に失禁をもよおさせ、足元の水溜りはかさを増して更に大きく広がってゆく。  
 そんなミサカを余所に、上条は逃げるミサカの腰を押さえ込むとイチモツを引きちぎらんばかりの締め付けを堪能していた。  
 
「おー、やっぱこっちのが締まるなぁ――――オイ、俺がイクまでイクんじゃねえぞ」  
「あ゛、い゛、べんぎがんばり、あ゛い゛っ! べんぎが、あ゛あ゛ッ!!」  
 ミサカは既に自分を見失って聞き取る事も困難な叫びを発しながら一心不乱に腰を動かしている。  
 そんなミサカのすぼまりを抉るように上条は激しく腰を振るう。  
 そんな身を削るような快楽拷問が何時まで続くかと思われた。  
 だが、その終わりは突然に訪れる。  
 上条のイチモツが一際太さを増して張り詰めた瞬間、  
 
「いくぞっ! うおっ、出っ!!」  
「熱っ!!」  
 最初の迸りの熱さに一瞬正気に返ったミサカだったが、次の迸りをその内に受けると、後はもう声も無く何度も体を跳ね上げるだけだった。  
 そして、全てを吐き出した上条が満足して体の中から出てゆくと、そのまま意識を闇の彼方に手放したミサカは、ぐったりと鎖にぶら下がる。  
 幸せそうな笑みを浮かべて呆けるミサカ。  
 吊るされて床から浮いた尻のすぼまりは、もうすぼまりとは呼べぬようなうろ穴と化して、その縁は半ばめくれ上がり紅い空洞を晒している。  
 そして、そこから床へと滴り落ちる赤と白の混ざり合った粘液が、2人の行為の激しさを雄弁に物語っていた。  
 
 
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  
 
 
「――――と言う夢を見たのですが、とミサカ一九〇九〇号は報告します」  
 その言葉に一瞬沈黙したミサカネットワークだったが、  
 
「それなら私も同じ夢を見ました、とミサカ一〇〇三二号も発言します」  
「多分ミサカネットワークに繋がっている全てのミサカが同じ夢を見たのでは、とミサカ一三五七七号は確信を持って答えてみます」  
「今回の夢を占い的に見るとどうなるのでしょう、とミサカ一八三〇二号は以前学園都市内に残る妹達(シスターズ)内で流行った事を思い出して聞いてみます」  
 次々と他の妹達(シスターズ)から、珍しく若干の熱を帯びた発言が飛び出す。  
 
「それよりも夢を見て以後、ネットワーク内で音信普通の妹達(シスターズ)が数名います、とミサカ二〇〇〇〇号はあの人の身辺警護の必要性を訴えます」  
「了解しました。それは学園都市(こちら)に残る妹達(シスターズ)で実行します、とミサカ一〇〇三二号は上位個体に代わって全てのミサカに回答します」  
 ミサカ一〇〇三二号――上条に『御坂妹』と呼ばれる個体――は、ほんの少しだけ面白くなさそうなニュアンスを言葉に乗せた。  
 それにいち早く気が付いたミサカ一八三〇二号は、  
 
「ところでそのちっこいの――もとい、上位個体はどうしたのですか? とミサカ一八三〇二号は疑問を投げかけます」  
「詳細を確認する気もありませんが、ネットワーク内に残る最後の言葉は、『ねえねえ肉便器って何何ぃ―――――って、ミサカはミサカはあなたに質問を投げかけてみたりっ!』でした、  
とミサカ一〇〇三二号は妹達(シスターズ)の身の安全を心配しつつも上位個体はどうでもいいので放って起きます」  
 ミサカネットワーク内に妹達(シスターズ)のため息が木霊する。  
 
「――――ところで先程から一〇〇三九号からの発言が無いのは何故ですか? とミサカ一三五七七号は疑問を投げかけてみます」  
 その一言に、同じ病室内にいた3人の妹達(シスターズ)の視線が、残る1人に注がれると、その注目の的になったミサカ一〇〇三九号は慌てたように俯いて視線を逸らすと、  
 
「えっ? わ、私は……特に何も言う事が無いので黙っていたのですが……、とミサカ一〇〇三九号は平静を装いつつ答えます」  
『平静を装う? とミサカ*****号は一〇〇三九号の言葉の意味を確認します』  
 綺麗なハモリ声とも呼べる発信がミサカ一〇〇三九号に集中する。  
 
「あ、い、今のはただの言葉のあやですので深い意味を込めたつもりはありません、とミサカ一〇〇三九号はしどろもどろになりつつも答えました」  
『…………』  
(う、疑われていますね、とミサカは戦々恐々としながらも沈黙を守ります。しかし……、興味本位で朗読した本が全妹達(シスターズ)の夢に出るとは、とミサカは改めてネットワークの恐ろしさを痛感しました)  
 そう原因はミサカ一〇〇三九号だった。  
 いつぞやあの人の部屋を訪れた時に、珍しく写真集でも漫画でもない本が置いてあったので興味本位で題名から本を探して読んでみたのだ。  
 その題名は『淫欲の肉便器メイド』。  
 
(さて、この夢をあの人にお話したら、あの人はどんな顔をするのでしょうか? とミサカはその情景を思い浮かべてほくそえみます。  
それには妹達(シスターズ)を出し抜けるルーチンを構築しなければいけません、とミサカは成功に向けての行動計画の作成を開始します)  
 平静を装いながらもミサカ一〇〇三九号は行動を開始した。  
 
 
 
END  
 

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