空にはうっすらと雲がかかり、降り注ぐ日差しも柔らかい。  
 そんなうららかな休日の午前、朝食を終えた上条当麻とインデックスはまったりとした時間を過ごしていた。  
 そして、そんな2人のもとについ今し方、上条の母、詩菜の名前で段ボール箱が一つ送られて来ていた。  
 
「とうまー、一体何が届いたのー?」  
「あー、母さんからインデックス宛に……、何を送って来たんだぁ?」  
 期待に瞳を輝かせるインデックスを制して、上条は段ボールを開けた。  
 そして、一番上に乗っていた手紙を手に取って中を読む。  
 
「へー……、インデックス。母さんお前に服送ってくれたみたいだぞ!?」  
 上条は驚きの表情のままインデックスの方を振り返る。  
 その内心ではインデックスの喜ぶ顔なども期待していた上条だったのだが、  
 
「なんだー、食べられるものじゃ無いんだね」  
「ぉ……?」  
 見るからに落胆した表情を浮かべたインデックスを目の当たりにして上条はア然とした。  
 そのまま暫しインデックスを無言で見詰めていた上条は、一つ大きな溜息をつくと、  
 
「こらこらインデックス。その反応はちょっと酷く無いかー? お前はもっとこう慎みを持つって言うか……、感情も胃袋任せですか?」  
 上条の投げやりながらも、かなり刺のある物言いにインデックスは目を丸くする。  
 それからカァーッと顔を真っ赤にすると、  
 
「え? あ、えー……。も、もーっ! とうまはもっと女の子の繊細さとか理解して欲しいかもっ!」  
「な、何急に怒ってんだインデックス!? 俺何か間違っ――――」  
 涙目になって怒るインデックスに上条は面食う。  
 とにかく自分の正当性だけは主張しておこうと言葉を口にしようとしたのだが、  
 
「それ以上何か言ったら……」  
 柔らかな日差し差しの込む室内の筈なのに、何故かインデックスの顔に濃い影が落ちて表情が見えない。  
 そして、そこにパックリと開いた赤い口と輝く白い歯を見た上条はすぐさま降伏の白旗を上げた。  
 
「はわ!? ま、待て、インデックス。判った、了解、オッケー、今俺は心の底から理解したからっ!!」  
 一心不乱に土下座を繰り返す上条に少しは溜飲を下げたインデックスは元の表情に戻ると一つ小さな溜息をついた。  
 それから改めて興味深そうに段ボール箱を見つめて、  
 
「で、とうまのお母さん、私に何を送ってくれたのかな?」  
「(やっと本題かよー、ふ、不幸だぁー)」  
「何ぼそぼそ言ってるのかな?」  
 上条の小さなぼやきに、インデックスは聞こえないながらも不満げに相槌を打つ。  
 そんなインデックスに話が元に戻るのを恐れた上条は、  
 
「あ、や、ははは、服だよ服。さっき言っただろ?」  
 そう言いながら上条は段ボールの中身を一つ一つ広げては並べて行く。  
 
「服?」  
「そうそう。どうやら母さん、お前のそのボロボ――――」  
「うー……」  
 上条は背後からの殺気にも似た気配に肩をびくっと大きく震わせた。  
 そして失言に気が付いた彼は、しどろもどろになりながら言い訳の言葉を考えるが焦った頭では何も思い付かない。  
 それでは何かインデックスの気を引けるようなものは無いかと、上条は必死になって段ボールの中身を物色する。  
 
「あ、ごめんっ! で、とにかく服を送ってくれたらしいんだけど――――ぉ!?」  
 ところが、またもや上条は肩をびくっと震わせると、とてつもない速度で段ボールの中に何かを隠して蓋をした。  
 それからすっくと立ち上がると、ダンボール箱の存在を振り切るかのようにインデックスの方に全身で振り返った。  
 
「ひんでっくしゅさん! あ、後は、じ、じじ、自分で見てみてくれるか? お、俺ちょっと用事を思い出したから」  
「どうしたの、とうま? 顔が真っ赤だよ」  
「ひ!? いや、な、ななな、何でも無いんだすッ!!」  
 インデックスの指摘に上条は更に顔を赤くすると、顔を見られたくないのか両腕で覆い隠した。  
 そんな上条の様子を、インデックスは『私だけはとうまを見捨てたりはしないんだよ』と思ったかどうかは定かではないが、そんな聖書に書かれる聖母にも似た優しい眼差しで見つめていた。  
 とにかく色々な意味で居た堪れなくなった上条は、突然何かを閃いたかのように人差し指を立てると、  
 
「そ、そうだ! プリン買って来てやるから! だからな、ちょ、ちょっとそれは自分で着てみてくのぅえっ!? イテッ! ふ、不幸だ――――――――――っ!!」  
 そう言うと上条は転がる様に玄関に向かおうとして、テーブルに蹴つまずいて本当に転がりながら玄関の方に消えて行った。  
 そんなこんなで、ハイテンションに目の前から消えた上条をしばし呆然と見送ったインデックスだったが、『プリン』の一言に先程の聖母の眼差しを引っ込めて、夢見る少女のように瞳を輝かせると上条の後を追った。  
 
「あっ、とうまぁ!? 私プリン3個欲しいかもっ!!」  
「わ、判ったから! じゃ、行って来るから。帰る前にはちゃんと電話するから、お願いだから、絶対電話に出てくれよなっ!!」  
「うん! だからとうまもプリン3個、忘れないで欲しいかもっ!!」  
 インデックスは、上条の懇願に近い叫びに元気に返事を返すと、にこやかに笑顔で送り出したのだった。  
 
 
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  
 
 
 上条はドアノブに手を掛けたままごくりと生唾を飲み込んだ。  
 ついさっき電話で確認した限りでは、インデックスはたいそうご機嫌な様子でプリンの事さえ口にしなかった。  
 そんなプリンはちゃんと上条の左手に下げられた箱の中に入っている。  
 万が一何かあってはいけないと、奮発して学園都市でもいちにを争う有名パティシエ作のプリンをインデックス用に4つ、自分用に1つの計5つ買ってきた。  
 それでも自分の不幸体質に一寸の幻想も持たない上条としては、どんな自体が起きてもいい様に覚悟を決めると、極力平静を装って扉を開けた。  
 
「ただいまー。インデックスーどうだー、上手く着れたかー?」  
「お帰りとうまー」  
 軽やかな足音を響かせてインデックスが玄関先まで出迎えに来た。  
 その姿を見た上条は、  
 
「お、おおっ!!」  
 驚きの声を上げるだけで、意味のある言葉を発することが出来なかった。  
 それ程の衝撃が上条に心に走ったのだ。  
 恥らうように佇むインデックスの服装は、白地を基本に薄いピンクのレースをあしらったロングスリーブ、ロングスカートのワンピース。  
 更にインデックスの美しい銀色の髪に合わせた白い花模様のカチューシャと、足首にピンク色のレースのリボンがワンポイントになっている白いストッキング。  
 殆ど肌の露出の無いそれらが、インデックスの華奢な体型にはぴったりと合っていて、まさに深窓の令嬢といった雰囲気をかもしていた。  
 
(か、母さんスゲー! まさにインデックスのためにある様な服)  
 呆然とする上条の前で、インデックスははにかみながらくるっと回って見せた。  
 すると、ふわっとスカートの裾が広がりさながら花が咲いたかのようだ。  
 実際上条はその時甘い花の香を嗅いだ気がしてくらっと眩暈がした。  
 そんな上条の前で後ろ手に指を絡めてモジモジしながらインデックスは上条の顔を覗き込むと、  
 
「こう言うの生まれて初めてなんだけど。ど、どうかな?」  
「あ、ああ」  
「変、じゃない?」  
「変な訳無い――もし変なんて言うヤツがいたら、俺がその幻想ごとソイツをぶっ飛ばしてやる」  
 上条の淡々とした台詞にインデックスは目を丸くする。  
 そして、その言葉を意味が浸透すること数瞬――インデックスは顔を真っ赤にして俯いてしまった。  
 
「と、とうま。それはちょっと、その……言いすぎ、かも……」  
 その一言に上条も我に帰ってインデックスの姿と自分の言葉を反芻して――――。  
 
「へ!? あ、いや、ごめ、見とれ、てゆわっ!! お、お土産、お土産のプリンだぞ!!」  
「?」  
 突然慌しくなった上条にインデックスはキョトンとして上条を見つめた。  
 上条はそんなインデックスの手をそっと壊れ物でも扱うかのように手に取ると、  
 
「さ、上がろうー。上がってプリンを食べましょー」  
 インデックスが事の次第に気がついて再び赤面する前に、その手を引いて奥の部屋へと向かったのだった。  
 
 
「ねえ、とうま」  
「へ、何だインデックス?」  
「知ってたら教えて欲しいんだけど――」  
 インデックスはそう言うと、手にしていた空になったプリンの容器とスプーンをテーブルの上において、段ボール箱をごそごそと物色し始めた。  
 布越しにゆらゆらゆれるインデックスのお尻に無意識に見とれていた上条は、意識した途端猛スピードで顔の向きを変えると、壁にかかったカレンダーの数字を順番に数えて気持ちを落ち着けようと努力した。  
 その間に目的の品を見つけたらしいインデックスは、上条の前に回りこむとそれ――白のレース地にストラップと留め金が付いた――を目の前にぶら下げて見せた。  
 
「これ、何だろうね?」  
「あ、それはガータァ……!?」  
 上条はそれ以上言わずに、インデックスが手に持ったそれから全力で視線を外した。  
 そんな上条に気付かれない程度にインデックスはちょっとだけ悪戯っぽい笑みを浮かべると、声を大にして視線を逸らす上条を名を呼んだ。  
 
「とうま! ねえとうまぁ! 顔赤くしてどうしたの?」  
「ひへ!? あ、な、ななな、何でも御座いませんの事よインデックスさん!! と、ところでわたくしめはまた用事を思い出しまして――」  
 インデックスに顔色を指摘された上条は、慌ててインデックスから離れようと立ち上がろうとした。  
 ところが、上条が立ち上がろうとした瞬間を見計らってインデックスが背後から飛び掛って来たのだ。  
 
「どわっ!?」  
 急にインデックスに飛びつかれてうつぶせに倒れてしまった上条の背中には、ぐいぐいと体を密着させてくるインデックスの体の重みと、それ以外の色々な感覚を刺激するものが伝わって来て上条は更に精神的に追い詰める。  
 とにかく現状から逃れたい上条は、慌てて上体を捻ると背中に居座るインデックスに向かって、  
 
「イ、インデックス! とにかく背中から降りろっ! 俺は重要な用事をたった今思い出したのですから、どうかお見逃し下さいまし、かしこ」  
「ふーん」  
 インデックスは、上条の苦し紛れの言い訳の言葉に生返事を返すと、状態を少し前に倒して自分を仰ぎ見る上条に顔を近づけた。  
 
「ねえ、とうま」  
「はいっ! 何でしょうかインデックスさん」  
 余裕の表情を見せるインデックスを前に、上条は何を言い出すのかと緊張する。  
 そんな上条に対して、インデックスは優しさを感じさせるような笑顔を浮かべながら、  
 
「ところで、私の質問の答えはどうなったのかな?」  
「え? わたくしめには何の事やらさっぱり――ああ!! 母さん、母さんに聞けばきっと判るに違――――」  
 また視線を逸らそうとした上条の頬を、インデックスの両手が挟み込んだ。  
 そこからぐいっとインデックスの方に顔を向けさせられた上条は、本来だったら苦しい姿勢なのにも関わらず、インデックスの顔を見た途端にそんな事など忘れてしまった。  
 
「私はとうまに聞いたんだよ。とうま、ちゃんと答えて欲しいかも」  
 先程と打って変わって真剣な表情のインデックス。  
 その銀色の瞳の中に映る自分の顔を暫し見つめた上条は、  
 
「わ、判った。ちゃんと話すから退いてくれ」  
 と観念してそう答えた。  
 インデックスが背中から降りて床の上に正座すると、上条もインデックスと向かい合わせに正座した。  
 
 それから改めて、ほんの少しだけ戸惑いの表情を浮かべると、  
 
「あの……、インデックスさん? その怒らないで聞いていただけますか?」  
 そう言って上条は頬を指で掻きながら、  
 
「あの、な。それは『ガーターベルト』と申しまして、女性のストッキングが落ちないように付けるものでして、ええ」  
「なるほどなるほど」  
 インデックスの返事に内心胸をなでおろす上条は、  
 
「これでよろしゅうございますか、インデックスさん? ではわたくしめはこれで――」  
「ねえ、とうまぁ」  
 上条はインデックスの猫なで声にビクッと肩を震わせる。  
 
「え? あ、あの……何? わ、わたくしめこれから大変な用事をこなさなくてはいけない使命が天啓にてにて舞い降り――――」  
 この場から逃げなくてはいけない!! と言う本能からの指令を実行しようと支離滅裂の言葉を紡いでいた上条の両手を、さっきのお返しとばかりにインデックスがそっと握りこんだ。  
 そして、ぎょっとする上条にインデックスは、  
 
「手伝って欲しいかも」  
 涼しい顔で上条にとどめの言葉(いちげき)を投げかけた。  
 
 
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  
 
 
 上条は、まるで借金取りに来訪されて逃げ場を無くした、いたいけな借主の様に部屋の隅で身を縮めていた。  
 そして、その借金取りよろしくテーブルの上に借用書代わりに広げられたガーターベルトを挟んで、テーブルの上で頬杖を付いて上条を半眼で見つめるインデックス。  
 先程のインデックスの爆弾発言からずっとこの状態でかれこれ1時間が経過しようとしていた。  
 重苦しい沈黙――それに耐えられなくなったのはこの部屋の家主、上条であった。  
 
「あ……、あの……」  
「何かな、とうま?」  
「舞夏にお願――」  
「却下」  
「じゃ、小萌せ――」  
「却下」  
「姫――」  
「却下ぁぁぁあああああ!! 却下、却下。もう誰が誰でもとうま以外はぜぇんぶ、大、却、下、なんだよっ!!」  
 興奮気味にテーブルをバンバン叩くインデックスに、上条はただ「は、はぁ」と間抜けた返事を返した。  
 すると、暫くインデックスは「うー……」と唸りながら上条を睨みつけていたが、突然すっくと立ち上がると大股で上条に近づいて行く。  
 そして、黙って自分を凝視している上条の前まで行くと、インデックスは突如悲しい目で上条を見下ろすように見つめて来た。  
 
「と、とうまはそんなに私に触れたくないのかな?」  
「え?」  
 インデックスの急な態度の変化についてゆけない上条は、言葉の意味を聞き返そうとインデックスの方に実を乗り出した。  
 インデックスはそんな上条の頭をふわっと胸の中に抱き寄せながら、  
 
「私は氷細工でも、飴細工でも何でも無い生身の人間だよ。そりゃ十万三〇〇〇冊の魔道書が頭に入ってる『歩く魔道図書館』なんて言われてるけど――」  
 そう言うと、今度は上条の目の前にすっと座り込んだ。  
 そして、顔を真っ赤にして硬直する上条の右手を両手で包み込むとまたも自分の胸の中に抱きしめた。  
 
「どう? とうまの右手が触れても私は消えないよ」  
 右手に微かに柔らかさと、暖かさを感じて上条は脈拍が跳ね上がるのを感じた。  
 暫しその感触に我を忘れた上条だったが、  
 
「お、わ、判った! 判ったからインデックス!! と、とにかく手を離してくれ!!」  
 観念した上条は、無茶は百も承知でインデックスの言う事を聞く約束をして手を取り戻すと、改めてインデックスの前で正座した。  
 
 緊張した面持ちの上条を前に、インデックスは妙に嬉しそうにはにかむと、  
 
「さあ、とうま。まず私はどうすればいいのかな?」  
 と、ことさらかわいらしく小首を傾げながら問いかけた。  
 そんなインデックスの姿に、上条はまた生唾を飲み込むと、  
 
「シ、ショ、ショーツを……」  
「ショーツを……どうするのかな? とうまの口からはっきりと言って欲しいかも」  
「ショーツは、ガーターベルトの上に来なくちゃいけないんだ――」  
「どうして?」  
「シ、ショーツが上じゃないと、トイレに行った時に一々ガーターベルトを外さなくちゃいけなくなる。だからショーツの前にガーターベルトは身に付けなくちゃいけないんだ」  
「うん」  
「だから……、シ、ショーツをぬ、脱いで……」  
 上条は段々と居た堪れなくなってインデックスから目を逸らして行く。  
 そんな上条のすぐ側で衣擦れの音共に何かが動く気配がした。  
 
「脱がしてくれると、嬉しい、かも……」  
「はひ?」  
 上条の目の前にはつい数時間前上条が一度手にしたそれ――サイドリボンがアクセントのサテン生地のシルバーのローレグが見えた。  
 どうやらインデックスは自分のスカートをたくし上げて見せているらしい。  
 太ももまでのストッキングとショーツの間に見える桃色に染まった肌が、インデックスの恥じらいを如実に表していた。  
 
「とうまぁー、ねぇとうまぁー」  
 インデックスの妙に間延びした甘ったるい声が、上条の頭の中で木霊する。  
 すると、それまでインデックスの秘密の部分を覆い隠す布地を凝視したまま硬直していた上条の両手が、ゆっくりと動き出したのだ。  
 上条は荒い息継ぎをしながら無言でインデックスのショーツのリボンに手を伸ばしてゆく。  
 そして、何度か躊躇した後リボンを摘み上げるとぐいと引いた。  
 その感触に、インデックスが「あっ」と小さく息を漏らしたが、上条は手を止める事無くリボンを解いた。  
 リボンが解かれると、秘密の部分を覆い隠していた三角の布地がはらりと上条の方に倒れると、そのままインデックスの内股をくすぐりながら足元に落ちた。  
 隠すものの無くなったそこには、くすみ一つ無い桃色に染まった肌と、うっすらと申し訳程度に生えた頭髪と同じ銀色の茂みと、そして肌より若干赤みを増した割れ目が有った。  
 
(綺麗だ……)  
 上条は、本能に誘われるままにそっと人差し指で割れ目に触れる。  
 
「ひゃ!? と、とうま……」  
 インデックスの驚く声も意に返さず、上条はそのまま割れ目に人差し指を潜り込ませた。  
 
「ひっ、いや」  
 無意識にインデックスはいやいやと首を左右に振る。  
 それでもスカートはたくし上げたままだし、上条から逃げようともしないのは、上条を誘った負い目かそれとも……。  
   
「あくっ」  
 上条の指が割れ目の奥に潜り込むと、指先に滑った感触と湿り気が感じられた。  
 そのままゆるゆると指を動かすと、次第に耳にもくちゅくちゅと水音が聞こえてくる。  
 上条はとろとろと蜜を漏らす割れ目を黙って凝視したまま一心不乱に指を動かした。  
 そして、その行為は段々とエスカレートして行く。  
 上条は伸ばしたままの指を少し鉤状にして引っかくようにゆっくりと動かしてみた。  
 すると何か柔らかい穴のようなものに引っかかる。  
 そのまま穴に指先を入れたままで先程と同じように指を前後させると、  
 
「ひぐっ!?」  
 一際大量の蜜が溢れて上条の手と、インデックスの太ももを濡らした。  
 インデックスは刺激の強さに体を震わせて、無意識の内に内股を閉じようとしたのだが、  
 
「へ?」  
 太ももに違和感を感じてインデックスは一瞬正気に戻りそうになった。  
 
 しかし――――  
 
「っ!?」  
 生暖かく湿った感触を股間に感じた瞬間、先程に倍する快感に声も出ない。  
 それもその筈、上条が太ももを両手で押さえて閉じないようにした上に、インデックスの割れ目にかぶりついて一心不乱に舌を這わせていた。  
 インデックスは、スカートの生地の上から上条の頭を股の間に押さえつけたまま、受け止めきれない快感の波に頭(かぶり)を振って涙を流した。  
 その甘美な責めは、インデックスが正気を保てずに失神するまで永遠と続けられるのだった。  
 
 
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  
 
 
 まだ西日が窓から差し込んでくるような時刻に、上条は自宅にある唯一の寝具であるベッドの上で天井を眺めていた。  
 その顔はなんとも気まずそうな感じにしかめられていて、出来ればこの状況から逃げたいですと如実に物語っていた。  
 で、その逃げたい現状とは――――  
 
「本当にするのかインデックス?」  
「とうま、何度聞いても答えは同じなんだよ。残念だけど諦めた方がいいかも」  
 そう答えたインデックスは、上条を跨ぐようにしてベッドの上に立っている。  
 その顔は妙に上気していて息遣いも若干荒い。  
 
「残念って……」  
 上条は困ったように視線をインデックスの顔からすぅーと下げて行き、自分の股間の辺りにそそり立つ自身の剛直を見つめて、深い溜息をついた。  
 インデックスはこれから性交を行おうと言うのである。  
 
「じゃ、覚悟はいいね」  
 インデックスはそう言うと、腰を沈ませて行く。  
 すると、スカートがふわりと広がり、上条の股間を覆い隠した。  
 上条は、服を脱がなくてもいいのかと聞いたのだが、あまり生々しいのは困るとインデックスが言ったので服を着たままで初めての行為を行うことになった。  
 行為自体に抵抗があった上条からすると、  
 
(初エッチが着衣プレイっていったい?)  
 色々知識ばかり豊富な男子高校生はドキドキしっぱなしだ。  
 
「うぉ!?」  
「熱っ」  
 そんな考え事をしていた上条の股間に、何か暖かい湿り気を帯びたものが触れたので、上条は思わず情け無い声を上げた。  
 同じく声を上げたインデックスの方は、顔を真っ赤にしながら上条を睨みつけている。  
 どうやら『集中しろ』と言う事らしい。  
 上条が表情を引き締めたのを確認したインデックスは、もう一度上条自身に自分の大事な部分を触れさせると、ゆっくりと腰を動かし始めた。  
 
「はっ、あっ」  
 インデックスの短い吐息と共に、スカートの生地の向こうからは湿った音が聞こえてくる。  
 上条も、自分の股間に伝うぬるっとした感触に低く息を吐きながら快感の波に体を震わせた。  
 そんな行為がどれくらい続いたのだろうか。  
 
「もういいかな? いくよ――」  
 そう言うとインデックスは、スカートの端から手を潜り込ませると、上条の剛直を握り締めた。  
 そして、2度、3度とインデックスは自身の秘所に押し当てて位置を確認する。  
 そんな行為に上条は急に不安になってインデックスを止めようとした。  
 
「お、おい、インデックス。ちょ、ちょっと待――」  
 しかし、上条は自身の剛直が何かを引きちぎるような感触と、腹部にズンと重みが加わった事で間に合わなかった事を悟った。  
 
「痛っ」  
「大丈夫か、インデッ……クス?」  
 上条はインデックスの声に慌てて顔を覗き込んで、その表情に息を呑んだ。  
 インデックスは涙を流しながら笑顔で笑っていたのだ。  
 
「ふぅ。とうまでお腹いっぱいかも」  
 インデックスが嬉しそうにお腹を撫でる姿を見て、上条は今まで以上にインデックスに欲情した。  
 すると、上条は股間がどんどん熱くなって来るのを感じる。  
 それは確実にインデックスにも伝わったようで、  
 
「あは、まだ大きくなるんだね。もっとお腹いっぱいにして、とうまぁ」  
 インデックスは甘えるような声を出した。そして、  
 
「う、動く……ね」  
 そう言うとインデックスはゆっくりと腰を前後させる。  
 そうすると、上条の剛直はインデックスの中を抉るように前後しながらますます力を溜めてゆく。  
 インデックスは、自身の中をうねるように出入する感触に、  
 
「くふっ。私でもこんなに食べたら大満足かも」  
 と嬉しそうに笑みをとろけさせる。  
 そんな笑みを見せつけられると、上条もただ黙ってされるがままではいられなかった。  
 実際、インデックスの動きだけでは若干もどかしかった上条は、インデックスの動きにあわせるように腰を突き上げてみた。  
 すると、先端が何かにぶつかったのか上条の股間から激しい快感が駆け上がって来た。  
 それはインデックスも同じだったのだろう。  
 彼女は暫く口をパクパクさせた後、  
 
「あぁ……まだそんなに? 私でも……ちょっと無理……かも……」  
 と言ってお腹を摩りながら快感と不安と喜びがない混ぜになった表情を見せた。  
 それからは、インデックスの動きに合わせて上条が腰を振るうたびに2人は激しい快感に打ち震えた。  
 その激しさは、たった数回の抽送で、お互いをギリギリの高みまで引き上げた。  
 
 上条は、爆発寸前の剛直を何とか気力で押さえながら、  
 
「ちょ、おい、インデックス!? で、出るから止めっ――――」  
 と慌ててインデックスを上から下ろそうとした。ところが――――  
 
「あん。駄目だよぉ、とうま」  
 そう言ってインデックスは上条の体に抱きつきながら激しく腰を動かして上条を更に高みに誘おうとする。  
 
「だ、駄目って、おい!?」  
 今にも爆発しそうな上条は焦ってインデックスの顔を覗き込む。  
 しかし、そんな上条に顔を見られまいとするかのようにインデックスは上条の胸に顔を埋めてしまう。  
 そんな状態でインデックスはぽつりぽつりと、  
 
「と、とうまには……関係……無い……事だけど……、姦淫……は……十字教では罪なんだ……よ……。性……交は……正しく……子供を……授かる為に……しなくちゃ……いけない……の」  
「ば、馬鹿やろ。子供ってお前!?」  
 インデックスの言葉に上条は驚いて飛び起きようとして、  
 
「馬鹿なのは……判ってるの……。でも……、でもとうまの子供が……生みたい……。とうまに迷惑かけないから……、お願い……、中に……、中に出して――――」  
 インデックスはそう言いながら一際強く腰を動かした。  
 その動きは、インデックス自身にも絶頂を与えると共に、上条の我慢を決壊させた。  
 
「くぁ!? ゴメン。出るっ!!」  
「あぁ!!」  
 何か熱いものがインデックスの中にぶちまけられると、インデックスは体をふるふると震わせて衝撃に耐えた。  
 しかし、その衝撃が、2度、3度と繰り返されてなおも続くと、  
 
「あぁ……もう入らないよぉ……。とうまぁ……、とうまぁ……、苦しいよぉ……」  
「ゴ、ゴメン。でも、俺にも、どうする事も……」  
 上条は、自分の胸の上で苦しそうにあえぐインデックスにどうしていいのか判らずに困惑する。  
 そうしてどれほどインデックスの中に出したのだろうか。  
 急速に放出は弱まり、やがて納まると深い脱力感が2人を包んだ。  
 上条の胸の上でインデックスが小さく身じろぎすると、役目を終えて力を失った上条自身がインデックスの中を擦りながら抜けて行く。  
 
「ひゃ……、ぁぁん」  
 中から漏れる感触にインデックスは小さな悲鳴を上げる。  
 それから上体を少し起こしたインデックスは、自分のお腹をさすりながら、  
 
「これでとうまの子供出来るかなぁ。とうまには迷惑かけな……ふ、ふぇ――――ん」  
 覚悟の言葉は最後まで出ずに、涙の中に消えていってしまう。  
 そんなインデックスの様子を見た上条は、急にいとおしい気持ちになって、  
 
「馬鹿だなインデックス。俺なんか選んで……、幸せになんかなれなかったらどうするんだ?」  
「わ、わらひはとうまを地獄から引き上げられらいかもひれらい。だ、だけろ、いっひょに地獄に堕ちる事は出来るんらよ!」  
 涙声のインデックスに、上条はふとどこかで聞いたようなフレーズだなと思いながら、  
 
「馬鹿、そんな事言われて俺が地獄に落ちるとでも思ってんのか? もしそんな幻想をお前が抱いてるんなら、お前のその涙ごと――――」  
 そう言いかけたところでそれ以上言うのを止めた――そして、まだ涙を流すインデックスの唇に自分の唇を重ねていった。  
 その口付けはインデックスの心の中を暖かく満たしてゆくのだった。  
 
 
 
END  
 
 

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