「見切ったぁ!!」
上条は己の耳を頼りに、絶対の自信をもって右のドアを開け放つ。
目の前に広がるのは湯気の溢れるユニットバスだった。
そして、湯気の中に身を隠すように立っている、元ローマ正教のシスター・オルソラ。
彼女は普段は真っ黒な修道服で全身を覆っている。 が、さすがに風呂の中では当然裸だった。
「あら?」
不思議そうに上条を見つめるオルソラ。
その平均より遥かに豊かな胸、柔らかそうなお尻、くびれた腰などがすべて上条の目に飛び込んで来る。
上条は絶句して固まっていたが、この後必ず襲い掛かるであろう不幸を少しでも軽減しようと、普段使わない頭をフル回転させていた。
(どうしようどうしようとにかく逃げないとああやっぱりオルソラって胸大きいんだなってこんなときに何考えてんだ俺はーーーー!?)
フリーズ状態から抜け出せず思考の海に溺れる上条。と、そこへ、
「あなた様もお風呂に入りたかったのでございますか?それなら一緒に入ればいいのでございますよ」
オルソラが笑顔で核攻撃を仕掛けてきた。
・・・はい?
上条は己の耳を疑った。一緒に入ればいい、と聞こえた気がするが・・・。
(いや、聞き間違いだよな!駄フラグ立てボーイ・上条サンにそんな18禁レベルのイベントなんて起こるはずないし!)
自分の不幸な体質をとてもよく理解している上条は、突如目の前に現れた幸運を否定しようとする。
だが、
「ほらほら、そんなところに立っていても仕方ないでございますよ。それとお風呂では服はお脱ぎにならないと・・・」
にっこー、と後光が見えそうな笑顔を浮かべながら、オルソラは上条を自分の近くに引き寄せる。
そして上条の服をゆっくりと脱がせ始めた。
何かの間違いだと決め付けていた上条も、これには慌てた。
「わっ、オルソラ!ちょ、ちょっと待ってちょっと待ってー!っていうかなんなんだこのハッピーイベントはー!」
上条は力一杯叫んだが、オルソラはまるで聞こえていないかのように手を止めずに服を脱がせていく。
その笑顔は、何故だかいつもよりもさらに嬉しそうだった・・・。
ちょうどその頃、隣のバスルーム。
「きゃあああッ!?な、なんかブオーンって、変な形のステッキから暑苦しい風が襲い掛かってきたんだよ・・・・・・ッ!!」
銀髪の少女が何かを叫んでいたが、誰も気付くことはなかった。
上条当麻は困惑していた。「このくらいの強さでいいのでございますか?」
「あ、あぁ、ちょうどいいくらいだ・・・」
彼は今、オルソラに背中を洗ってもらっている。
この幸運が上条には信じられないようだった。
何しろ今までは、この手のイベントにおいてすべて不幸な目(インデックスに噛み付かれたり、美琴に殴られたり、神裂に殺されそうになったり)にあってきた彼である。
しかし今は、なんとオルソラに体を洗ってもらっている。
(こ、これはまさか、本当に本当のハッピーイベント?・・・よーし、生まれて初めて叫ぶぞー。せーの、幸せだーーーー!)
そして上条は、至福の時をたっぷりと楽しもうと決めた。
オルソラの手が、上条の体の上を艶めかしく動く。
既に下半身は爆発寸前となっている。
何しろ上手い、とにかく上手い。
まだ敏感なところは少しも触られていないが、それでもどんどん性感は高められていく。
「オ、オルソラ・・・体を洗うのに、そんな手の動きは、必要でないと、ワタクシ上条当麻は思うのでせうが・・・?」
「いえいえ、引っ越しのお手伝いでお疲れになっているでございましょう?それにこれからもっと凄いことをするのですから、今からそんなことを言われても困るでございますよ・・・」オルソラはボディソープを手に取り、ネチャネチャと音を立てながら妖しく笑った。
上条は、 (そういえば、会話がまともに続いてるなー)
と、少しズレたことを考えていた。