if 大覇星祭  
 『二人走る』  
 
 この日、御坂美琴は一人の少年の表情を窺いながら、意を決して口にした。  
「じゃあ、あ、赤組のメンバーで合同の競技とかあったら一緒に出ない?」  
 美琴はそれを言うためだけに、少年――上条当麻を探してあちこち探し回った。  
 ようやく見つけた上条は、両親と待ち合わせしているらしい。  
「一緒に出る…って二人でか? 協力すんのはいいけど、高校生と中学生が組む競技ってあったか?」    
「あるわよ。借り物競争だって高校生の男子でツンツン頭を連れて来いってのもあるし」  
「うげっ…なんだか上条さんは嫌な予感してきましたよ頼むから誘拐拉致監禁とかあるんですか!?」  
「っていうか、私出るから。条件合ったらゴールまで着いてきてもらうわよ。  
 そ、それと二人三脚なんだけど、急病で代理がいるのよねー」  
 競技中に火炎放射喰らって病院行きになったらしいんだけどね、と美琴は付け加えた。  
 能力の使用を認められたこの大覇星祭では決して珍しいことではない。  
 むしろ、大覇星祭がお祭り騒ぎに近い部分があって許容されていることの方が問題だろう。  
 上条は先行きに不安を感じつつ答える。  
「…話の前半部分は忘れるとして代理は同じ常盤台のお嬢様に頼めばいいんじゃないか?」  
「こ…高校生って指定があって、男子でも女子でもいいんだけど知ってる人の方がいいかなーって」  
「…御坂とか」  
「文句ある!?」  
「二人三脚だろ!? 練習する時間なんてほとんどねーだろ!」  
「私が合わせるから大丈夫よ。あんたは私が一晩中追いかけて捕まらなかったから、  
 足の速さも体力も保障済みだし」  
(一晩中……?)  
 上条にそのような記憶はない。  
 上条当麻はある日を堺に記憶を失っている。それを知っているのは極一部の人間だけだ。  
 美琴はそんなことは露とも知らない。  
 知る必要もないだろう。  
 美琴の前では、美琴の知っている上条当麻でいられている。それで十分だった。  
 しかし、美琴に追い回されているのは日常茶飯事で、実際に逃げ切ったことも一度や二度ではない。  
 むしろ『一晩中追い駆けられて上条さんは一体何やらかしたんですか!?』という疑問の方が大きい。  
 
「あんたが駄目だった場合、知らない男と組むことになるかもしれないし…」  
「……ん?」  
 上条の脳内で雷撃で脅迫される、或いは電気で筋肉を動かされ走らされる男子生徒の姿が思い浮かぶ。  
 もっとも、その男子生徒が上条であっても同じことになるかもしれない。   
 まったく知らない男と肩を組んで走りたくない、というのは上条にも分からなくもない。  
 もし。仮に。  
 青髪ピアスや土御門が、美琴とペアを組むことになったら――と想像してみよう。  
(それだけは絶対阻止しなければならない、なんて上条さんが思ってしまうのは何故でしょう?)  
 と、自分の感情に疑問を持った上条に、美琴は駄目押しとばかりに言った。  
「あ、赤組が勝つために必要なことなの」  
「……」  
「…っていうかこれで順位落とすと皆に迷惑かかるのよ。私も負けるの嫌だし」  
「……」  
「……私とじゃ、駄目なの?」  
「……」  
「――なんか、言いなさいよ。やるの!? やらないの!?」  
 上条当麻が出した答えは――  
 
 
 車椅子に座る白井黒子は体をわなわなと震わせていた。  
 小刻みに揺れる茶色のツインテールを『嫉妬に荒れ狂う二匹の蛇みたいですね』と頭に造花が咲き  
 乱れている少女――初春飾利がコメントしている。  
 白井には耳にはそれすら入らない。  
「こ、これは、夢ですわ。そうですの。夢に違いありませんわ。夢に違いありませんの」  
 デパートに取り付けられた大画面には一着でテープを切った美琴と上条が映っている。  
 
 
 スタート直後は息が合わず、何度も転倒しかけた。  
 それでも少しずつ、必死にリズムを合わせて、走り続けた。  
 やがてペースが上がってくると、次々と他のペアを追い抜き始める。  
 
 何度か能力による妨害が行われたが、そう多くはなかった。  
 この競技では他人と片方の足首を紐で結び、同時に足を踏み出す、ということには集中力がいる。  
 そのため能力を使用するための演算に集中できない。  
 中には能力の誤使用、暴走して自爆する者達も決して少なくはない。  
 美琴と上条は違った。というより、事情が違うのだ。  
 どう調節しても、使用制限の規定値を超えてしまう美琴は能力を使えない。  
 上条の能力は攻撃として使えない。走りながらでは防御として使うのも難しいだろう。  
 美琴の左足と上条の右足を紐で結び―美琴が右側で上条が左側に並び―走ることに徹底している。  
 最初から能力の使用を想定していないのだ。  
 気休めに、上条は右手で美琴に触れることで体質的な微弱な電磁波を打ち消している。  
 電磁波の放出から、狙いを定められないためだ。  
 そして、一度だけ先行していたペアが転倒して、その内の一人が後続―上条と美琴のペア―を攻撃した。  
 そのとき、上条が美琴の肩から右手を離した。  
 能力の使用は想定していない。  
 だが正面から迫る攻撃なら、上条が右手を正面にかざせば防げる。  
 一つだけ問題があった。  
 美琴と上条の身長差は七センチ。美琴はすでに体力が限界に近いのが、疲労の色の濃さからも分かる。  
 美琴だけで体格差のある上条の身体を支えるのは辛すぎる。今にもバランスを崩しそうだった。  
 それでも走り続けた。  
 上条の力を信じて美琴は必死に支えた。  
 美琴の支えを信じて上条が走る。  
 美琴も上条は何も疑わない。互いを信じて、何かを掴むように右手を伸ばす。  
 ほとんど真正面から火炎が浴びせられた。  
 そして二人は共に炎の中に飛び込んだ。  
 さすがの白井も息を呑んだ。  
 歓声の何割かが悲鳴に変わる。  
 それぐらい絶望的な状況に見えた。  
 しかし、その炎の中から無傷の二人が飛び出した。  
 その二人の間から上条の右手が突き出されていた。白井は『超能力の無効化』が行われたのだと冷静に推測した。  
 そのまま走り続けると、あっさり転倒したペアを追い抜いた。  
 肩を組み直した二人は真っ直ぐに走り続けた。  
 
 生中継だった。  
 白井は危なげな二人に嫉妬と不安を抱き、やがて他のペアを追い抜いていく二人に魅入って、  
 いつの間にか初春と応援していた。  
 このときばかりは白井も、  
「今回だけですの。お姉様に恥をかかせたら八つ裂きにして差し上げますわ」  
 と、初春に語った。  
 しかし、そのゴールした後。  
 片足を拘束していた紐が解かれると、嬉しさからハイになった美琴が上条に抱き付き――押し倒した。  
 大画面の中で大騒ぎになっている。常盤台のお嬢様ということもあって注目が集まる。  
 男性の解説にも熱が入る。  
 同じように大画面を見ている人達の中から『恋人かしら?』『恋人なんだろ』という声まで聞こえる。  
「御坂さんすごいです…。お隣の方は…借り物競争で一緒に走った人ですよね」  
「夢ですのお姉様のお隣を歩むのも微笑まれるのも触れるのも黒子だけですの」  
「いいですね……私も年上のかっこいい男の人と一緒に――白井さん?」  
「ふふ、おかしいですわね。日差しが強すぎたのですわ。初春、帽子を買いに行きますのよ。おほほ」  
 上品に笑っているつもりで白井の目元や頬が不気味に歪んでいる。  
 その頭の中では今も同じ映像が繰り返し流れている。  
『―――!?』  
 大画面の中で美琴が動いた。  
 ハイになったギャラリーから喝采が沸き起こる。  
 それが通行人達の興味を引き、伝染するように大画面に注目が集まる。  
 全身に落雷に打たれたような衝撃を浴びて、白井黒子の意識が薄れていく。  
 もはや行き交う人々の喧騒など耳に入らない。  
 
 
(公衆の面前でお姉様と片足を結んでお姉様と肩を組んでお姉様と密着してお姉様と二人三脚してお姉様と  
 汗を流してお姉様とゴールしてお姉様に抱き付かれてお姉様に押し倒されてお姉様に―――)  
 ふう、と小さく息を吐いて白井は車椅子の上で真っ白になった。  
 初春の目には、白井の吐き出したものが『黒い悪魔』から『白い天使』へと変貌を遂げ、昇天していく様を見えた。  
「し、白井さん!! 今、魂抜けませんでしたか!? 白井さーん――」  
 
 
 気がついたときには、辺り一面が色鮮やかな花々がが咲き誇る場所に立っていた。  
 綺麗だ、と白井は素直に思った。  
 本当に綺麗な世界だった。汚いものなどなにもない。  
 白井は無意識の内にに歩き出していた。  
 この先にもっと綺麗なものがるような気がした。  
 お花畑の向こうへと歩き出そうとして、振り返った。  
 あれは、誰だろう。  
 はっきりとは見えない。それでも白井には分かった。  
(何故でしょうね。そちらへ行くことができないような気がしますの)  
 それは白井がもっとも愛する『お姉様』。  
 強くて、綺麗で、優しくて……  
(あれは……)  
 その『お姉様』が誰かに寄り添う。  
 その相手は――  
(あ、あ、あ……)  
 白井は駆け出した。  
 
 
「ああああああぁの類人猿がああああああああああ―――っ!!」  
「し、白井さん? 気がついたんですね。…ってどこへ行くんですかー!?」  
 
 
 上条が美琴の肩から右手を離した。  
「このまま突っ込むぞ! 手を離すなよ!」  
「分かってる! 私が支えてるから!」  
 身長差は七センチ。走っているため体は上下に揺れている。  
 美琴は一人、上条と体が離れないように肩を強く掴む。  
 男の上条の肩幅は広かった。美琴の細腕がぎりぎりのところで肩を掴んでいる。  
 疲労が全身に重く圧し掛かっている。腕が痺れ始めている。脚が重い。息が苦しい。辛い。  
(でも止まらない! こいつが走れるなら、私もどこまでだって走ってやる!)  
 美琴は上条の肩を掴み、体を抱き寄せて必死に走り続ける。  
「頼んだわよ!」  
「任せろ! 行くぞ美琴!」  
 正面から怒涛の勢いで炎が迫る。  
 二人の組み方は能力の使用は想定していない。超能力による応酬が激しい種目ではないためだ。  
 仮に、上条の能力だけでも使用するなら、組み合わせは逆にするべきだった。  
 右手に能力を備える上条は、その右手がフリーになった方が自由度は高い。  
 その代わり、その右手を走りながら振り回せばバランスを崩しやすく、上条が守られても美琴を守れない。  
 そして、今の組み方では上条は正面にしか手を伸ばせない。  
 だが攻撃は正面のみ。  
 二人は互いにやるべきことを理解している。  
 打ち合わせも何もない。  
 必要ないのだ。今、美琴はそう確信している。  
 恐らく上条も同じだろう。  
 美琴は上条を支えてやればいい。  
 上条が右手を前へ伸ばす。  
 不思議なことに、美琴は何の不安も感じていなかった。  
 
 
 二人の姿が紅蓮の炎に飲み込まれる。  
 歓声に悲鳴が混じる。  
 後にこの火炎放射は能力の使用規定値を大幅に超えていたことが判明して、能力を使用したペアには  
 大きなペナルティが与えられる。  
 
 
 しかし、その灼熱の炎を突き破るように何かが飛び出した。  
 二つの人影が互いを支え合うように走る。  
 上条当麻の右手、幻想殺し―イマジンブレイカー―はあらゆる異能の力を無効化する。  
 火炎を打ち消しながら駆け抜けた二人に戸惑いも躊躇いもない。  
 そのまま走り続けると、あっさり転倒したペアを追い抜いた。  
 二人は肩を組み直して真っ直ぐに走り続ける。  
 
 
「カミやんっ!! ゴールまでもうちょいだにゃー!」  
 土御門が吼える。  
「上条君! あと少し!」  
 姫神が非常に珍しいことに、大きな声を出した。  
「カ〜ミ〜やんっ! カ〜ミ〜やんっ! ボクらの血と汗と涙の気合持ってくんやーっ!!」  
 青髪ピアスと、クラスメイト達が声援が熱い。  
「上条ーっ! 進めーっ!!」  
 吹寄が力の限り叫ぶ。  
「当麻ーっ! 男の意地を見せろーっ!」  
「当麻さーん! 頑張ってー!」  
 刀夜と詩菜のものもある。  
「あの子が応援してるんだ! その気持ちに答えてみせろ!!」  
「進みなさい! 上条当麻!」  
 インデックスの様子を見に来たらしいステイルと神裂も声を投げかける。  
「上条ちゃーんっ!! もう少しなのですよーっ!」  
「とーまーっ!! ガ・ン・バ・レーっ!!」  
 チアガールの服を着た小萌とインデックスが応援席から身を乗り出している。  
 上条は少しずつ力が湧いてくるのを実感しながら、美琴と走り続ける。  
 上条当麻は絶対に倒れない、そう思った。  
 
 
 愛されてるなぁ、と美琴は思った。  
 上条当麻は愛されている。  
 この少年を独り占めするのはなかなか難しそうだ。  
 
 
「美琴ちゃーん!! 当麻くーん!! 行っちゃえーっ!」  
 美鈴の声だ。  
『御坂さーんっ! 頑張れーっ!!』  
 常盤台の水泳部の少女。  
『お姉様ーっ!』  
 その声に美琴はちらっと横目で声の主を探す。  
 妹達だ。  
 声援を送る観客の中に上手く紛れ込んでいる。常盤台の制服を着た少女が四人。  
 それぞれ帽子を被ったり眼鏡をかけたりウィッグを着けている。軽い変装のつもりだろう。  
 一人だけ素の姿のままなのは10032号――上条が言う御坂妹だろう。  
 なんだか、力が湧いてきた。  
 
 
「あと少しだ! これで赤組が勝てたら上条さんは何でも付き合ってやるっ!」  
「言ったわね!? その言葉、絶対忘れんなーっ!!」  
「忘れねぇから、ぶっ倒れるなよ!? 俺も限界ぎりぎりですけど!! でも絶対倒れねーっ!!」  
「私も限界ぎりぎりよ! でもまだ走れる!! あんたこそぶっ倒れるんじゃないわよ!?  
 いろいろ付き合ってもらうから覚悟しろーっ!!」  
「そっちこそ覚悟しやがれ! ついでにこんな無茶苦茶な競技考えたやつも覚悟しとけよっ!!  
 絶対一発殴ってやっからなーっ!!」  
 ゴールは目前だった。  
 
 
 同時刻。  
 水槽の中に人影が浮かんでいる。  
 生命維持装置の中で逆さに浮かぶ学園都市の理事長――アレイスター・クロウリーがくしゃみをした。  
(また誰かが私の噂でもしているのか。この中でくしゃみなど、したのは、初……)  
 くしゃみをもう一つ。  
 何かおかしな恨みでも買ったのだろうか?  
 
 
 
 上条と美琴は一着でテープを切った。  
 二人の足を結ぶ紐を係の生徒が解く。  
 その直後、嬉しさのあまり美琴が上条に抱き付いて――押し倒した。  
 男子から絶叫が、女子から黄色い声が上がる。  
 上条は押し倒されるがままに、仰向けに倒れた。  
 後頭部を打ったらしく鈍痛がある。  
 息が荒い。  
 全身が重くて、一歩も歩けそうにない。  
 しかし、息を整え、少しずつ勝利を実感し始め――ピークに達したとき『やったー!!』と思わず美琴を抱き締めた。  
 汗でずぶ濡れになった美琴は顔が上条の胸にうずくまる様に抱き締められた。  
 上条も汗でびっしょり濡れていて、体操服が胸に張り付いている。  
 呼吸するたび上下する胸板は、分厚く広い。  
 透けて視える肌の色。  
 伝わる体温は燃えるように熱い。  
 美琴には上条の鼓動が感じられた。  
 他の音など一切耳に入らない。  
 美琴の呼吸はすでに落ち着いている。  
 その上で、軽く息を吸って吐く。  
 汗の臭いとわずかな体臭が鼻腔をくすぐり、美琴の頭の中をとろとろに溶かす。  
 麻薬のようだ。吸えば吸うほど、また吸いたくなる。  
 いろいろ駄目になってきた美琴の体から『ふにゃー』と力が抜けていく。  
「美琴?」  
 異変に気づいたらしい上条に頬をぺしぺし叩かれると、美琴が寝惚けたような声で『んー……?』と漏らしてから  
 周囲の喧騒が耳に入り、正気に戻った。  
 一瞬で状況を把握すると、上条の腕を振り解いて腕を立てて上半身を起こす。  
 羞恥心で顔が熱い。   
(あ)  
 目の前に上条当麻の顔がある。  
 見下ろす形で上条と目が合う。  
 心臓が早鐘を打つ。  
 自然に体が動いた。  
 顔を近づけて。  
 目を閉じて。  
 唇が――  
 
 
 学園都市の某所。  
 10歳前後の小さな少女と杖をつく白髪の少年が、デパートに設置された大画面を見上げている。  
「今のが二人三脚っていうんだよねってミサカはミサカは勤勉っぷりをアピールしてみたり!」  
 少女がぴょんぴょん飛び跳ねる度に、茶色の髪の中から一本だけ跳ね上がった前髪が大きく揺れる。  
「くっだらねェ……」  
 ただのお遊戯だ、という言葉が少年の口から洩れる。  
 彼は今まで一人で走ってきた。  
 一緒に走れる者はいない。  
 その身に秘められた悪魔のような力は他者を拒絶する。触れることを許さない。一種の呪いだった。  
 誰も彼の隣を歩めない。何時頃からか、歩みたいと思う者さえいなくなった。いなくなるように振舞った。  
 彼は何も共有することはできない。同じ時間も、同じ気持ちも。  
 それが続くはずだった。  
 一人の少年に殴られて、彼の中の何かが変わった。  
 そして、小さな少女を助けたのを堺にその力を失った。  
 今の彼は機械の首輪と、一万弱の少女達によって支えられ生きている。  
「でもでも、あなたとミサカも同じようなことやってるよねってミサカはミサカはあなたに同意を求めてみたり」  
「……」  
 少年と少女の関係はまさしく二人三脚だ。  
 お互いに紐で結び合い、一緒に歩いている。  
 紐で結ばれているのは何だろうか。  
 少女がいなければ、少年はまともに喋ることも動くこともできない。  
 少年がいなければ、少女は大きな危険から身を守れない。  
 同じ時間の中で、同じ気持ちを抱いて、互いに触れ合えることを知って、一緒に生きている。  
 利害の一致だけでこうしているのではない。  
 嘘偽りなき本物の気持ちがある。  
 二人は互いに、自らの意思で歩む。  
 
 
「あの子達は自分の意思で道を選び、歩けるようになった。それも“共有”しているだろう?」  
 元気がありすぎて危なっかしいがね、と後にカエル顔の医者が二人の保護者に語る。  
 
 
 インデックスと小萌が上条にお説教をしている。  
 姫髪と吹寄が逃げ道を塞ぎ、青髪ピアスと土御門が羨んでいる。  
 こっそり逃亡しようとした美琴を御坂妹が捕まえて問い詰める。  
 どこからか、白井と初春の声が聞こえてくる。  
 刀夜と詩菜、美鈴の三人が子供の将来について語り合う。  
 遠くからステイルと神裂が眺めている。  
 露店の前で白髪の少年と小さな少女がもめている。  
 それを二人の女性が見守っている。  
 
 
 上条当麻は様々な思いと交差する。  
 互いにぶつかって、砕けたり、混ざったり、直したり、作ったり。  
 そして、何かが変わる。  
 今までにない、違うものと繋がる。  
 ここには、様々な人がいる。  
 きっと、どこかでこの少年の思いと繋がっている。  
 少年の愚直さが築いたものだろう。  
 
 
 上条当麻は愛されている。  
 この少年を独り占めするのはとても難しい。  
 
 
 

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