ふらっと街を出歩き。
「御坂。なにしてんだ」
「そっちこそ」
「今日の上条さんはお暇をいただいてます」
「?」
「ま、とにかく今日は暇なんだ。のんびりしたいんだよ」
「暇……。ふーん。暇、なのね」
「――なんでしょうか」
「映画見ない?」
「アクションか恋愛系の二択かよ」
「くっ……『密室×密室探偵』の劇場版が見たかったのに」
「で、ジェットコースターと観覧車。どっちがいい?」
「極端ね。コーラか紅茶ね」
「どっちでもカフェインが効いてくれりゃいいけど。
っていうか今時のお嬢様は炭酸飲むのかよ。
ともかく……焼肉かケーキ、だな」
「甘い方がいい」
(やばい。眠気が――寝たら絶対怒るよな)
(……)
(ちょ…御坂さん待ってください居眠りでお隣さんに寄りかかるなんて
お約束されても上条さんはどう対処したら良いのでしょうか!?)
お昼を食べる。
「結構食うんだな」もりもり
「あんただってかなり食べてるわよ」もりもり
「育ち盛りの高校生ですから」
「私だって育ち盛りだからね」
「男と女じゃ違うだろ。俺みたくそれだけ食ったら、さすがに太るんじゃないか?」もりもり
「!? そ、そんなことないわよ…たぶん。――きっと! あははは」ぱくぱく
「まだたくさんあるぞ」
「ごめん」食べて
映画の話で盛り上がる。
(見てたかな。私も少し寝てたけど)
(よし覚えてる。気づかれてさえいなければ無問題)
「最後のあれって、ハッピーエンドで良いのかな」
「なんていうか、ハッピーエンドにしようと思えばできたのにな」
「そうかもしれないけど」
「一番最初に、大切に思ってた人にちゃんと気持ちを伝えてれば……
他の誰かに全部打ち明けていれば、悲劇なんて一つも起こらなかったんじゃないか」
「でもお互い大切に思ってたから、そういうすれ違いが起きた」
「まあ、主人公も主人公なりにハッピーエンドにしようって頑張ったんだよな」
「でも綺麗だった、かな。悲しかったけど、なんか輝いてた」
(確かにそうだけど……寝息立てたり寝顔が可愛かったりで集中できなかったんだよな)
「なによ」
「なんでしょう」
たくさんのぬいぐるみ。お金を入れて掴み取り。
「あれが取れない」
「あれでいいのかよ」
「ゲコ太が欲しいのよ」
「ほら」
『ありがとうゲコ』
「もうひとつはどうすんだ」
『あげるゲコ』
『ゲココ?』
『ゲココっ!!』
雑貨屋を覗く。銀色の指輪―シルバーリング―が光り輝いている。
(指輪……)
「髪留めがあるぞ」
(『ここに』指輪が――)
「ネックレスもあるぞ。妹に買ったのと同じやつだけど」
「髪留めでいいわ」
(もしかして、無意識の内にスルーしてんの?)
「なんで怒ってんだよ」
「ばか」