(姉か妹なら俺は……)  
      『甘えさせてくれるお姉ちゃんかな』  
      『面倒見の良いお姉ちゃんかな』  
     →『おとなしい妹かな』  
      『ちょっぴり生意気な妹かな』  
 
「やっぱり、おとなしい妹かな」  
「ほぇー」  
「ふむふむ」  
以外だったのか声を上げるアンジェレネに、考え込むアニェーゼ。  
「ほぅ……」  
「あらあら」  
そしてなぜか、冷たい目で上条を見るルチアに、黒い笑顔のオルソラ。  
(な、なんですか?このリアクション……)  
四者四様の反応。  
特に後の二人からは、何やら責めるような視線。  
(なんかまずかったかな?)  
上条はとっても不安になった。  
「ふぁ〜」  
上条の不安を余所に、アンジェレネが大きな欠伸を一つ。  
「ふふ、もうこんな時間でございますね」  
そんなアンジェレネを見てオルソラが柔らかい笑みを浮かべる。  
「そうですね。このような人のいる場所にシスター・アンジェレネを置いておいては危険です」  
アンジェレネを庇うように抱きしめ、上条に非難の目を向けるルチア。  
彼女の猫目が「この変体が……!」と暗に語っている。  
「ええっ!!?ちょ、ちょっと待って下さい!?俺が―――」  
―――ガタン。  
扉が閉まった。  
一人残された上条の、潔白をアピールするため両手を広げたポーズが痛々しい。  
「…………寝よ……」  
急に脱力し、就寝を決定。もはや不貞寝レベルだった。  
 
 
深夜。  
なぜか寝苦しく、浅い眠りを繰り返す上条の所に一人の訪問者が。  
―――コンコン……。  
控えめなノックの後に扉の開く音。  
(……誰だ?こんな夜中に)  
上条は完全に目を覚まし、身を起こして訪問者を確認する。  
「アンジェレネ……?」  
そこには、小さなポットを持ったアンジェレネがいた。  
「あ、あの、あのっ、えっと、寝苦しかったから!  
あの、もしかすると、まだ起きてるかなって思いまして……その…お茶でもって…」  
もじもじするアンジェレネ。  
上条は暫し呆然としたが、直ぐに、  
「あ、ああ、ありがと。確かに今日は寝苦しいよなぁ〜」  
「そうなんですよ!こう、たくさん寝返りうっちゃうんですよ!」  
アンジェレネが楽しそうに話し出す。  
(案外人懐っこいんだよなぁ)  
彼女の無防備な笑顔を見てそう思う上条。  
「あ、そうでした。お茶を飲みましょう」  
そう言ってアンジェレネが、こちらに背を向けてお茶の準備を始めた。  
「(えっと……、まず、入れてから……)」  
ブツブツと独り言を呟きながら何かやっている様子。  
上条は(秘伝の茶酌み法でもあんのかな?)と大して気にしなかった。  
 
「ング、ん、うまいな」  
上条が思わず感想をもらす。  
何かは分からないが、ハーブっぽい香りが口内に広がった。  
「はい、体がポカポカしてくるそうですよ」  
「おお!ほんとだ!もう、してきた……ぞ――」  
下っ腹辺りからじんわりと熱が回るのが分かる。  
そして、なぜか頭がボーっとしてきた。  
「はい、なんでも速効性が強いんだそうです」  
アンジェレネの声が遠くで聞こえるような気がする。  
「速効性ってなんでしょうか?」  
う〜ん、と首を捻るアンジェレネ。  
頭の中でアンジェレネの声がくぐもって反響しているような気がした。  
「ア、ンジェレネ……」  
息を荒くし、上条は潤んだ瞳を少女に向ける。  
「あわわ!どうしたんですか!?」  
上条の異変に気付き慌てふためく。  
見れば、彼汗を浮かばせながら、何かに耐えるように、荒い呼吸をついていた。  
「だ、大丈夫ですか!?どうしよ―――」  
―――ドスン。  
と、言葉の途中でアンジェレネはベッドの上に転がった。上条によって押し倒されたのだ。  
「―――――――」  
上条に覆いかぶさるように乗られながら呆然とするアンジェレネ。  
耳元では上条の荒い息遣いが聞こえている。  
それは、初めて感じる異性の重み、体温、におい、感触であった。  
恐怖が全くないと言えば嘘になるが、彼女はそれ以上の、自分でも分からない感情で胸を高鳴らせた。  
すると、  
「ご、めん。アンジェレネ……、今日はもう……」  
僅かに身体を浮かせ、声を絞り出す上条。無理をしているのは一目瞭然だった。  
彼がこうなった理由はどう考えても自分が入れた『薬』にある。  
(私が確認もせずに入れたから………)  
アンジェレネも、上条の部屋にくる途中で渡されただけなのだが、彼女は己を責めた。  
だが、不幸中の幸いか、解決策は直ぐに見当がついた。  
先程までアンジェレネの太腿当たっていた上条の熱くたぎった男性器。  
(きっと……『そういう薬』、なんですよね……)  
幾ら外見が幼いと言っても、そこまで子供ではない。  
修道院ではちゃんとした性教育もあったし、  
ずっと女子寮だったので、逆にその手の話題にも事欠かなかった。  
彼女も人並みには知識がある。  
「…ハ……はぁ……」  
荒い息遣い、見れば、上条の目の焦点が合っていない。  
アンジェレネ胸が締め付けられるような切なさを覚えた。  
彼女は羞恥に顔を真っ赤にさせながら、ズボン越しに上条の男性器に手を沿え、  
「わ、私に、任せてください!」  
と、力強く気合十分に言い切った。  
 
「…ほぇー……」  
ドクドクと脈打ちそそり立つ上条の肉棒を、好奇心たっぷりの視線で見つめる。  
そして、彼女は大胆にも、ムギュッと赤く腫れた亀頭を握り込んだ。  
「う……………」  
呻き声をもらす上条。それは挨拶なしの突然の『快感』による物なのだが、  
「わわ!ごめんなさいごめんなさい!大丈夫です!ちゃんとできますから!」  
アンジェレネは慌てて謝った。が、握った亀頭は離さない。  
少女が亀頭を握りながら謝っている、なんともシュールな光景が展開されていた。  
尤も、もう薬が回り、夢現の彼にはよく分かっていないのだが。  
「あむっ!」  
突然だった。アンジェレネが握っていた亀頭を一気に口に含んだ。  
「うぅ…………」  
またしても呻き声をもらす上条。  
先程からいろいろすっ飛ばして、スゴイ少女である。  
「ひゃわわ!ごめんらひゃいごめんらひゃい!」  
亀頭を咥えたまま謝るアンジェレネ。  
彼女が口を動かす度に、舌が絡み付き、口内の粘膜に擦れ強烈な快感を生んだ。  
「……う、……」  
上条がビクリと腰を跳ねさせる。  
「うむむぅ〜………」  
アンジェレネは失敗したと思い、亀頭を咥えたまましょんぼりする。  
が、アンジェレネの舌は直ぐに活発になった。  
狭い口内に収めた上条の亀頭に対し、好奇心を剥き出しに舌を動かす。  
彼女は、『男女の営み』がどういう物かは知っているが、具体的な技術に関する知識は皆無だ。  
先程から、その場で思い付いた動きをやっているに過ぎない。  
そのため、どの動きも唐突で力加減もバラバラなのだ。  
カリの段差を確認するようにチロチロと舌を引っ掛けたかと思うと、  
亀頭の形を確認するようにグルグルと舌を動かしたり、急に強く吸い上げたりと……。  
 
(んん?なんか出てきてる??)  
口の中に不思議な味が広がってきた。  
アンジェレネは探るように舌を這わせる。  
(ンムム……ここですね!)  
と、液体の溢れ出る場所を発見。  
彼女はその『鈴口』を舌先でチロチロとくすぐり始めた。  
「うぅっ………」  
一段と荒い息をつき、堪らず声を上げる上条。  
少女の小さな舌先で鈴口をくすぐられ、彼の肉棒はビキビキと硬度を増した。  
溢れ出る先走りの量もドッと増える。  
(あれ?味が変わったです……)  
先走りに精液が混じり始めたのだ。彼の射精が近いことを告げている。  
しかし、そんなことは知らないアンジェレネは、  
(これは、食べたことない味です!!)  
どうやらグルメ魂にも火が付いてしまった様子。  
舌や口全体の動きが積極的になっていく。  
彼女は本来とは違う意図で、上条から精液を搾り出すという目的に向かう。  
そしてアンジェレネが、一際強く長く、彼の亀頭に吸い付いた。  
ズチュチュウゥゥゥゥッ〜〜〜〜!!  
と音を立てて激しく亀頭を吸い上げる。  
舌は裏筋側に添えられ、口の粘膜が肉の壁となって亀頭全体を包み込む。  
ズチュチュゥッ、ズチュチュゥッ、と激しく吸い上げる度、少しずつ肉棒が飲み込まれていく。  
唇に陰茎を扱かれ、ザラザラした舌の上を亀頭の裏筋側が滑り、  
口内の粘膜で全体を擦られ、鈴口を中心に激しく吸いたてられる。  
「ううッ……クッ……」  
びゅくびゅくっ!!と、上条が射精するのに大した時間は掛からなかった。  
長い長い射精が終わり、  
「ふーっ、ふーっ…」  
と気付けば、アンジェレネの息も荒くなっていた。  
(なんだか……気持ちいいです……)  
口内に放たれた上条の精液の、においや味にあてられたのかもしれない。  
ぼんやりしながら、所在無さ気に、精液と唾液に塗れた亀頭を口の中で転がす。  
再び硬度を増す肉棒。  
アンジェレネは、無邪気さと妖艶さの混じった瞳で上条を見詰めて微笑んだ。  
 
その後も少女による口陰は続いた。  
股間にぶら下がる睾丸を見て、「おっきなチョコボールみたいですね」と口に含み転がしてみたり、  
「出るところ見てみたいです!」と唾液と精液でグチョグチョになった肉棒を、手で扱き上げたり、  
途中、上条に腰を使われ、喉奥を犯されるということもあったが、彼女はそれもさえも受け止めた。  
羞恥はあったが嫌ではなかった。それにアンジェレネは、大人しく見えて結構活発な少女だ。  
羞恥も、それ以上の好奇心で上条の肉棒に触れていった。  
 
全てが終わったのは夜中の一時を回ってからだった。  
 
アンジェレネは眠気と疲れでボーっとする頭で、  
(やっぱり、歯磨きしなくちゃダメなんですかねぇ………)  
などと考える。  
そして、彼女は今更どうでもいいことを思い出した。  
「そうだ……、上条さんは、妹が好きなんですよね……」  
かなりの語弊があるが、否定するべき彼はベッドでノックダウンしている。  
アンジェレネは上条の耳元に唇を寄せ呟いた。  
 
「気持ちよかったよ……お兄ちゃん……」  
 
と、既に意識のない上条の脳裏に、優しく、そしてどこか慈悲深い囁きが響いた―――。  
 
 
翌朝。  
食堂は多くの修道女達でごった返していた。  
「あ……」  
アンジェレネが声をもらす。  
食堂の入り口、他の修道女達と挨拶を交わしながら上条が入ってきた。  
そして、彼女の視線に気付いたのか、  
「よ、おはよ」  
挨拶をしながら上条がこちらへとやってきた。  
「あ、あの、あの……」  
昨晩のことを意識しまくりあたふたするアンジェレネ。  
一方平然としている上条。  
「なぁ、アンジェレネ」  
神妙な面持ちで上条が囁く。  
「ひゃい!なんでひゅか」  
緊張のあまり噛むアンジェレネ。  
「昨日のことなんだが………」  
「ええ!?」  
ここで言うんですかぁ!とアンジェレネは泣きたくなった。  
(気持ちよかったですけど、気持ちよかったですけどっ!今ここで言わなくてもいいじゃないですかぁ〜)  
彼女は心で泣いた。いや、実際にも涙が出てきていた。  
「俺、ロリコンじゃないから!安心してくれっ!」  
ビィイッシィ〜!決まった。完全に決まった。上条はそう思った。が、  
「ふぇ?なんのことですか?」  
目を点にして、アンジェレネは小首を傾げる。  
「いや、どうって、俺が『おとなしいしい妹』が良いって言っただろ?そんで誤解を受けてたらって思って」  
「…えっと………あ!ふわわ!そうでした!」  
あたふたするアンジェレネ。彼女は重要なことを思い出した―――  
 
昨晩、お茶を入れたポットを持って上条の部屋に行く途中のこと、  
何故か廊下にアニェーゼおり、彼女から『薬』を渡された。  
 
『良いですか?この薬を使うと、上条さんが『元気』になって、素敵なことが起こります。  
でも速効性のある強力なヤツなので、『最中』の記憶は飛んぢまうかもです。  
って、その顔は意味分かってませんね……。まぁ、いいです。では、選択肢が『妹』同士、健闘を祈る、です!』  
 
(そうだ、上条さん、覚えていないんだ)  
ほっとしたような、残念なような残念なような……。  
アンジェレネは上条を見上げた。  
「ど、どうした?」  
只ならぬ雰囲気を感じ、僅かに身構える上条。  
彼女は意を決し、  
「『昨日は気持ちよかったよ!お兄ちゃん!』」  
食堂の時が、止まった。  
「ええっ!?いやいや!!ええーっ!!?」  
大混乱の上条。が、彼はこの後のお約束を熟知している。  
弁解よりも先に、  
「アンジェレネ!一先ず行くぞ!!」  
「わわ!!?」  
上条はアンジェレネを抱え食堂を飛び出した。  
数秒遅れで、修道女達も動き出す。鬼ごっこが始まった。  
 
誰もいなくなった食堂に修道女が一人。  
「フ、行っちまいましたか………」  
彼女は優雅さを感じさせる手付きでティーカップを置き、  
「主よ、どうか我が同士に、幸、多からんことを……」  
と、神に祈りを捧げるのだった。  
 
 

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